ラピートとは、南海電鉄が難波駅―関西空港駅間を南海本線・南海空港線経由で運行する特急列車である。
概要
1994年9月4日の関西国際空港開港にあたって空港連絡鉄道として南海電鉄とJR西日本の乗り入れが決まり、双方で趣向を凝らした特急車両が開発された。
JR西日本は古都・京都へのアクセスを意識してシックで落ち着いた雰囲気の日本風な「はるか」(281系)を生み出した。
一方南海はというと、JRに真っ向から対抗するように「はるか」とは正反対のド派手で奇怪な特急「ラピート」(南海50000系)を生み出してしまった。
登場直後は話題性と価格面で圧倒的にラピートが優位に立ったが、利便性の面ではやはりはるかには敵わず、利用者数の面で次第に大きな差をつけられることになった。
そのため空港アクセス・速達性を重視した停車駅の少ない「ラピートα」を大幅に減らし、本線特急と同じ停車駅で運転される「ラピートβ」中心の運行として短距離利用者をこまめに拾う運行形態にシフト。
以前に比べて利用者数は回復の兆しを見せており、現在ではどちらかというと泉佐野以北でのビジネス特急という色合いが強くなってきている。
ところが、LCCの登場によって関西空港の需要が高まったことから、2014年10月のダイヤ修正で早朝の下りと夜間の上りを速達タイプに変更することになり、再び速達性が重視されつつある。
2016年度はインバウンド効果により、年間利用者数が約345万人とV字回復を。特にレギュラーシートの乗車率が平均50%前後と高い稼働率を見せている。
空港特急の運命か、2019年の新型コロナウイルス感染症流行により利用客が一瞬にして激減。そのうえラピート車両の台車に亀裂が発覚したことで車両検査を迫られる状況になり、一時期は日中のラピートが消滅するという異例の事態になっていた。コロナ禍収束とともに全便復活し、現在は以前の活気が戻りつつある。
運行形態
速達タイプの「ラピートα(アルファ)」と、従来の特急と同じ停車駅の「ラピートβ(ベータ)」の2種類があり、ラピートαは早朝の下り4本と夜間の上り6本のみ。それ以外はラピートβが運行に就き、毎時2本で運行されている。
※2005年秋のダイヤ改正以前は1時間に2つが交互に運行されていたが、概要にあるように運行形態を変えた結果、速達型のラピートαが激減。上りに至ってはラピートαが消滅していた。その後、2014年10月のダイヤ修正で再び上りのラピートαが復活した。
停車駅
ラピートα:難波駅→新今宮駅→天下茶屋駅→泉佐野駅→りんくうタウン駅→関西空港駅
ラピートβ:難波駅―新今宮駅―天下茶屋駅―堺駅―岸和田駅―泉佐野駅―りんくうタウン駅―関西空港駅
※天下茶屋駅はβが1996年より、α(の一部)が2001年より停車駅になり、2003年に全車停車となった。
※りんくうタウン駅は2003年から停車駅になった。
※当初ラピートαは難波駅―関西空港駅間ノンストップで29分で結んでいたが、次第に停車駅が増え現在に至る。
※現在の難波駅-関西空港駅間の所要時間はαが最速34分、βが最速36分である。
特急料金
レギュラーシート:おとな520円/こども260円(ただし泉佐野駅―関西空港駅間のみ、おとな100円/こども50円)
スーパーシート:おとな730円/こども470円(特別料金込み)
※1995年8月までレギュラー450円、スーパー700円。
※1997年3月までレギュラー500円、スーパー800円。
※2019年9月までレギュラー510円、スーパー720円。同年10月以降現在の通りになる。
※泉佐野ー関西空港間100円は2005年11月27日から開始。
車両
南海50000系電車のみで運行される。車両、設備について詳しくはこちらを参照されたし。
サービス
難波側2両がスーパーシートであるが、レギュラーシートとの違いはシート幅、シート配置、シートピッチが広い事ぐらいしか無い。強いて言えば特別席という優越感もメリットのうちか。
また朝夕ラッシュ時にはレギュラーシートは満席であるがスーパーシートは比較的空いているのでゆっくりした時間を過ごすことができる。
200円の追加料金を払う価値があるかはあなた次第。
かつては無料ドリンクサービスがあったが、レギュラーシート乗客の無断持ち出しや一人で何本も持ち出すモラルの無い行為が多発し廃止となった。1号車デッキのカウンターはこのサービスの名残である。
(余談だが、宮川大介・花子の漫才ネタで「関西空港の金属探知機でスーツケースが何度も反応するので開けてみたら、ラピートからパクッてきた大量の烏龍茶が出てきた」という笑えないネタがある。実話を基にした話らしい。)
難波駅で空港チェックインを済ませ荷物を4号車にある専用荷物室に詰め込めば、空港到着時に荷物はそのまま国際荷捌場に直行という「CAT荷物室」というサービスもあった。しかし、利用者が少ないため廃止となった。残されたのは荷物室跡の無駄なスペースだけ・・・。
今後の動向・その他
2024年、ラピートは運行開始30周年を迎えた。50000系車両は非常用の前面貫通扉が付いていないので、将来開業予定の地下区間がある「なにわ筋線」に入ることができない。人気のある50000系ラピートもいずれは車両更新が近づくことだろう。
50000系車両は何度かツアーなどで高野線や和歌山港線に入る機会があったほか、2022年の車庫での事故で車輌が不足した際に泉北ライナーの運用に就いて泉北高速鉄道線に入線したこともある。なにわ筋線開業に向けて後継車が入った後の先行きを見ているようである。
関連動画
関連項目
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