国内下着メーカーのATSUGI株式会社(以下、アツギ)がTwitterで実施した企画。およびその騒動。
概要
2020年11月2日、アツギがタイツの日にちなみ、自社商品のPRも兼ねて「ラブタイツキャンペーン」をTwitter上で展開。
同人作品「よむタイツ」「がんばれ同期ちゃん」で有名になったイラストレーター”よむ”を中心に、十数名のイラストレーターが「#ラブタイツ」のハッシュタグを付けてイラストを投稿した。
炎上
投稿直後、一時は10万以上のいいねが付くほど好調に見えたが、
- イラストに際どいアングルや描写が散見(スカートのたくし上げ、見下ろしてる描写が盗撮しているようにしか見えないetc…)
- 商品を着用したイラストなのに投稿者が商品名とリンクを記載していない
- イラストのシチュエーションと商品の使用環境に齟齬が生じている
- フェティシズムや性癖を全開にした内容で購入ターゲット層を間違えている(女性ではなく男性目線)
と、商品PRとは程遠いちぐはぐなものになっており、ネットユーザーから「タイツやストッキングを性的指向のものとしか見ていない」「アツギの商品を買いたくない」などの批判が殺到。また投稿したイラストに対して、
と公式アカウントがリツイートしたことも相まって大炎上に発展(既に削除済。もう1度言うが公式がリツイートしたものである)。
翌3日、アツギは公式HPで謝罪文書を掲載。キャンペーン中止と該当ツイートの削除、公式アカウントの一時閉鎖を行う(謝罪文 PDF注意)。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/y_o_m_y_o_m/status/1325080840238370817
問題点
この騒動で考えられる大きな問題点は、企画のチェック体制が甘かったことだろう。当時、コロナ禍ということもありリモートワークや出社制限が各企業で対応に追われ日常業務に支障を及ぼしていた。
アツギも例外ではなかったと思われるが、これらを含めても「社内のチェックが甘かったのでは?」といった指摘が挙がった。
これに対してアツギは、
と回答。しかし、アツギが挙げた他社というのはお菓子メーカーであり、製品ジャンルも全く違うものであった。
また上記ツイートの文面や、アツギとよむがTwitter上で、企画のやり取りと思しきツイートとリプライ(参考1、参考2
)もあったことから「社員が公私混同と私物化を行なっている」との疑惑も向けられた(キャンペーンの1年前に親睦を深めていたこともあり、この段階から企画が持ち上がったと思われる。
ただ、企画自体は社員単独でやっていたのではなく部門全体で動いていたという)。
他にも、アツギはイラストレーター側に、イラストのコンセプトについて指示していなかったことから双方で企画の趣旨に著しいズレがあったと思われる。
騒動の顛末
- アツギ
騒動後、アツギは社内教育とコンプライアンス強化を図る声明を行うも、2022年に国内の工場を閉鎖、さらに2023年3月期時点で5年連続赤字に陥る(注:元々、アツギの業績は芳しくなく「コロナ禍に加えてこの炎上で業績が悪化したのでは?」との見方も出ている)。 - よむ
この騒動より以前に、Twitter上での言動に問題があったことや、投稿イラストにトレパク疑惑が持たれていたことから余計に批判が集中する結果に。2021年に自身の同人作品「がんばれ同期ちゃん」の映像化と商業展開をするも騒動が尾を引く形となってしまった
この他に、ラブタイツのツイートにいいねやリツイートをしてしまった企業(主にグンゼ・福助など)にも飛び火した。
類似の事例
- まいてつ・くま川鉄道 コラボ切符販売(2016年)
エロゲー「まいてつ」のモデルにもなった、熊本県人吉市のくま川鉄道が限定切符の販売を予定したが、
人吉市議が青少年健全育成の観点から指摘・問題視され中止に。
また、告知の際に起用したイメージキャラクターが同ゲームに登場するキャラクターと酷似していたことも槍玉に上がった(ちなみに別人では通用しなかった模様。当たり前だよなぁ?)。 - 月曜日のたわわ 新聞広告(2022年)
漫画「月曜日のたわわ」が日経新聞で全面広告を展開したところ、UNウィメン(国連女性機関)が
猛抗議。これにツイフェミがSNS上で便乗し炎上する事態になった。 - 雀魂 ポスター広告(2022年)
スマホゲーム「雀魂」がJR大阪駅の改札口で広告展開をした際、複数の女性議員がTwitter上で批判、
炎上へと発展した。ちなみに、JR西の広告代理店は駅利用者からの苦情が来ないよう、クライアントと話し合ったり社内でも十分協議した上で広告展開をした様子。
関連リンク
- タイツメーカーATSUGIの「ラブタイツ」コラボ企画の問題点~twitterの変態ノリで炎上する企業垢たち~
- ATSUGIラブタイツPR炎上はオタクvsフェミの問題ではない。企業アカウントの炎上に見る偏りとユーザーのギャップ
- アツギとよむ先生のtwitterコラボ企画「ラブタイツ」の指示が「商品紹介の視点でもちぐはぐな絵を生んだ悲劇」から企業が学べること
- 「アツギSNS問題」女性担当者でも、ジェンダー炎上してしまうたった一つの理由
- アツギのタイツ広告炎上、識者に聞く 問題はどこにあったのか
/アツギのタイツ広告炎上、識者に聞く 発信側に求められる「覚悟」と問うべき「本質」
関連項目
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