ラル・ザレックは、トレーディングカードゲーム『Magic: The Gathering』の登場人物である。
プロファイル
「マジック:ザ・ギャザリング デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ 2012」で初登場したプレインズウォーカー。
このゲームが出た当時、ラル・ザレックはカード化されておらずさまざまな話題となった。
曰く、ラヴニカ出身のプレインズウォーカーということはもうすぐラヴニカを舞台にしたブロックが出るのではないか。
曰く、イゼット団出身ということは初の赤青プレインズウォーカーなのではないか。
曰く、雷雨の中で乳首をいじってるようにしか見えないのだがそこのところどうなのか。などと。
聡明にして予測不可能、大胆不敵なラル・ザレックは、ラヴニカの若き魔道士として常に周囲の寛容と我慢の限界点を試していた。彼はイゼット団の狂気じみた独創性に惹かれ、雷や嵐を集め、制御することを可能にする呪文の研究に没頭していく。
ラルはその嵐の魔法の才能と危機を前にして果敢に立ち向かう気質によって、イゼット団の中での出世の階段を瞬く間に昇って行った。ラルのプレインズウォーカーの灯が点った時、彼はすでにラヴニカに縛られてはいなかった。しかし、彼は自分を育んでくれた次元とイゼット団というギルドに対しては恩義を感じていた。ギルドが再び隆盛を迎えるようになった時、ラルは再び自分の故郷であるラヴニカに戻っていた。
彼の前途とギルドに対する献身を認めたイゼット団のギルドマスターであるドラゴンのニヴ=ミゼットは、ラルをラヴニカの道や路地の中に隠されたパズル「暗黙の迷路」の謎を研究する責任者に任命した。ラルと彼の率いる魔道士たちは、探し出したすべての手がかりを熱心に研究し、イゼット団に他のギルドにはない大きな優位性をもたらした。しかし実際に迷路の謎を解明する段階に至って、ニヴ=ミゼットはラルではなく新たに創り出したイゼット団の一員を迷路走者として選定したのである。
自分こそがその役目に相応しいと信じていたラルは、その決定に対し大いに憤慨した。競走が始まる中、ラルはギルドマスターに反抗し、自分の真価を証明することを決意する。彼はイゼット団の迷路走者に成り変わろうとしている。嵐を操る聡明なプレインズウォーカーにどのようなことができるのか、皆に見せ付けるために……。
(WotC公式サイトより抜粋)
カードとしてのラル・ザレック
ラル・ザレックとしてデザインされているカードは、2019年現在で3枚存在する。
パーマネント・タイプは当然プレインズウォーカーである。
ドラゴンの迷路
プレインズウォーカー — ラル(Ral)
[+1]:パーマネント1つを対象とし、他のパーマネント1つを対象とする。その前者をタップし、その後者をアンタップする。
[-2]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。ラル・ザレックはそれに3点のダメージを与える。
[-7]:コイン投げを5回する。表が出た回数1回につき、このターンの後に追加の1ターンを行う。
4
能力はパーマネントの状態操作、ダメージ生成、コイン投げによる追加ターン獲得。
プラス能力はクリーチャーに使用して、相手のブロッカー排除しつつ自分のクリーチャーを擬似的に警戒[1]持ちにする使い方が多いだろうか。他にも土地をアンタップしてマナを増やしたり、起動型能力を再利用したり、などといった使い方が考えられる。
タップ能力は相手のターンに撃てないためアンタップ能力と比べて使いどころは少ない。一応、土地をタップさせて打ち消し呪文などを使い辛くする、といった使い方もできる。
なお、この能力は対象が2つないと起動できない。もっとも、どちらかをラル・ザレックにすればいいだけなので困ることはほとんどないのだが。
マイナス能力は説明不要のダメージ能力。《火山の槌》に相当する。3点のダメージとなると結構な範囲のクリーチャーを処理することができる。忠誠度が4あるので2連射が可能なのも魅力。
大マイナス能力は《時の縫い合わせ》5回分。コインを振って追加ターン獲得!なんてカードもMTGには存在するのだ。
獲得ターンの期待値は2.5、ターン獲得に失敗する確率は約3%である。やるかやらないかはあなた次第。
キャラクターを十分に表現しつつ、性能も上々、イゼットらしいさまざまな使い方が想像できるすてきな1枚である。
…であるのだが、青赤という色で作られたデッキの方向性はたいていの場合、このカードの方向性とかみ合っていないため使用率は高くない。そもそも赤青デッキ自体少ないし。赤青デッキにするなら赤青白デッキにするし。そしたらラル兄貴使わないし。
話は変わるが、ラヴニカへの回帰ブロック最終セット「ドラゴンの迷路」では、セット発売前のメインビジュアルとしてラル・ザレックが登場した。しかし、そのイラストはイケメンオーラをビシバシ放つ野心的な魔術師といった感じであった。(プロファイルのWotC公式サイトから飛んだ先のイラスト。)
プレイヤーたちは「ああ、やっぱり乳首兄貴じゃダメだったか」とちょっぴりがっかりしながらも来るべきカード版ラル・ザレック紹介記事を待ったのである。
そして、ついにカード版ラル・ザレックの紹介記事が公式ページにアップロードされた。それが迷路にめろめろ その1である。そこには記事の一番下で乳首をいじってるラル・ザレックの姿があった。
ラヴニカのギルド
伝説のプレインズウォーカー — ラル(Ral)[+1]:あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、もう1枚をあなたの墓地に置く。
[-3]:クリーチャー1体を対象とする。イゼット副長、ラルはそれに、追放領域かあなたの墓地にあり、あなたがオーナーであり、インスタントかソーサリーであるカードの枚数に等しい点数のダメージを与える。
[-8]:あなたは「あなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えるたび、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。この紋章はそれに4点のダメージを与え、あなたはカードを2枚引く。」を持つ紋章を得る。
5
「ラヴニカのギルド」で再登場したラル。イゼット団の実質トップまで上り詰めたようだ。
プラス能力は墓地に置くようになった《手練》のような衝動ドロー。ライブラリーを2枚掘りながら確実にアドバンテージを稼げる。墓地肥しも同時に行え、スタンダート環境の青赤カードには墓地のインスタント・ソーサリーの枚数を参照する能力が多く、シナジーを形成している。勿論イゼット団のメカニズム「再活」との相性もいい。
小マイナス能力は威力不定の対クリーチャー火力。《標の稲妻》に相当する。このカードが出るころには十分呪文を消費しているだろうし、長期戦ともなれば大型クリーチャーも一撃で葬れる。自身のプラス能力で火力を上げることもできるので、ある程度自己完結している。高い除去能力を持つ反面忠誠度の消費が大きいため乱発は難しい。
大マイナス能力はインスタント・ソーサリー呪文に4点ダメージと2枚ドローが誘発する紋章を得る。発動すれば一瞬でゲームが終わりかねないド派手な能力である。もし《パルン、ニヴ=ミゼット》をコントロールしていようものなら《ショック》が1マナ計9点割り振りダメージ+3枚ドローと化すなど意味不明なことになる。ややオーバーキル気味だがロマンと過激さを兼ね備えたラルらしい奥義と言えるだろう。
初期忠誠度も5と硬く、能力も分かりやすく強力なため使いやすいPWである。スタンダートでは青赤を含むコントロール系デッキで採用されている。
Ral, Caller of Storms / 嵐を呼ぶ者、ラル (4)(青)(赤)
伝説のプレインズウォーカー — ラル(Ral)
[+1]:カードを1枚引く。
[-2]:クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーを1つか2つか3つ対象とする。嵐を呼ぶ者、ラルはそれらに3点のダメージを、あなたの望むように分割して与える。
[-7]:カードを7枚引く。嵐を呼ぶ者、ラルは対戦相手がコントロールしている各クリーチャーにそれぞれ7点のダメージを与える。
4
プレインズウォーカーデッキに収録されたラル。例によってカードパワーは抑えめ。
プラス能力は単純なドロー。小マイナス能力は《弧状の稲妻》。大マイナス能力は7枚ドロー及び相手クリーチャー限定の全体7点火力。明確な形でアドバンテージを取ることに特化しており、マナコストに比して初期忠誠度が低いことを除けば十分な性能である。ラルが好きなら副長ラルと一緒にデッキに入れてみてはいかがだろうか。
カードでは「ラヴニカのギルド」で久々の登場となったが、ストーリーではその間も存在感を放っていた。イゼット団の「電光虫計画」によってプレインズウォーカーの存在が露見するのを防ぐために以前は敵対していたジェイスに協力を頼み、お互いのラヴニカへの想いを伝い合って和解、計画を失敗させた。
その後はヴラスカの動向を伝えたりギルドパクトとしての身の振り方を忠告するなど、すっかりジェイスの友人ポジションに収まった…かのように見えた矢先、「破滅の刻」のストーリー終盤でニコル・ボーラスがとんでもない発言をかましたのだ。
「後でいい。ラル・ザレックを呼んで来るのだ。あれの進展は遅すぎる」
ラルとボーラスに繋がりがあったという事実に多くの読者が驚愕した。
そしてヴラスカ、ドムリ、ケイヤ、ドビンと共にボーラス側のプレインズウォーカーとして再登場。ニヴ=ミゼットが姿を消したことで念願叶ってイゼット団のギルドマスターにとって代わることとなった。
しかし本人はゲームの駒にされているような感覚を拭えずにおり、そもそもボーラスの目的を知ればラヴニカを愛する彼はヴラスカのように反旗を翻そうとするはずである。おそらく単に利用されているだけだと考えられるが…乳首兄貴の明日はどっちだ。
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関連項目
脚注
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