ランスロットとは、アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の一人、またはそれにちなんだ人名である。
- アーサー王伝説に登場する円卓の騎士の一人、「湖の騎士」ランスロット。本項で記述。
- コードギアスに登場するナイトメアフレーム → 枢木スザク
- Fateシリーズのキャラクター → 『バーサーカー(Fate/Zero)』、ランスロット(Fate/Grand Order)
- グランブルーファンタジーに登場するキャラクター → ランスロット(グランブルーファンタジー)
概要
アーサー王伝説における最も優れた騎士の一人であり、最も罪深き円卓の騎士でもある。原典であるブリテンの物語には存在しておらず、フランス人作家クレティアン・ド・トロワによって追加されたキャラクターである。
フランスの騎士。アーサー王がブリテンを統一した後の、ローマ遠征よりその戦いに名を連ねる歴戦の勇士。その実力は主君たるアーサー王、親友たるガウェインやトリスタンといった者たちと並ぶとも超えるとも言われ、エクスカリバーに匹敵する名剣アロンダイトを振るう。戦場や槍試合においては一騎当千の活躍を見せ、また数々の冒険譚を残す、まごう事なき英雄。円卓の騎士の筆頭格として多くの尊敬を(そして嫉妬を)集めていた。
しかし、終盤でアーサーの王妃・グィネヴィアとの不義密通が発覚。彼は裏切りの烙印を承知の上で、処刑寸前の王妃を救い故郷へと落ち延びる。これにより円卓の騎士団は真っ二つに分かれ、親友ガウェインとも決裂。激戦の末、ブリテン本国での謀反という事態からアーサー王とは和睦する。その後はアーサー王の危機を救うべく動くも、魔女モーガン・ル・フェイの策略でその願いはかなわず、グィネヴィアにも別れを告げられ、失意のうちに生涯を閉じる。
生涯
物語序盤:湖の騎士
フランスのベンウィックのバン王の子として産まれる。母の名はエレイン。一族の他の子供達と共に、幼少の頃より湖の乙女(水の精)に預けられて養育された。その中でも傑出した才能・素質を持っていた。
父・バン王はアーサー王のブリテン島統一事業に協力するが、長く領地を留守にしていた為に、帰郷後の反乱鎮圧で命を落とす。このため、ランスロットは弟や従兄弟たちと共に、父に代わってブリテン島へと渡りアーサー王に仕える事となった。
そこでアーサーの后であるグィネヴィアと出会い、二人は互いに一目で恋に落ちる。グィネヴィアとアーサーの夫婦仲は決して円満とは言えないものだったのである。これ以後、長きにわたって二人の愛人関係は続き、最終的に悲劇の引き金となってしまう。
物語中盤:罪深き愛
ローマ遠征から本格的に騎士としての活躍が始まり、親友でありライバルであるガウェインと円卓の騎士の中でも一、二を争う武勇の持ち主として名声を高めていく。剣術、槍術、馬術、騎士道精神、いずれも傑出した物であった。なんという完璧超人。
グィネヴィアが悪い騎士メレアガンスにより攫われた際には、当然真っ先に救出へと向かう。しかしメレアガンスの罠にかかって馬を失ってしまい、移動に難儀しているうちに荷車を見つける。中世において荷車に乗せられる人間とは罪人や不浄な者に限定されており、当然騎士が乗るような物ではないのだが、ランスロットは王妃への愛の為にプライドを投げ捨て、荷車に乗ってメレアガンスの城へと辿り着く。
なお、メレアガンス打倒後に「ランスは罪を犯して荷車に乗るような身分に墜ちた」と勘違いしたグィネヴィアに(一時的に)嫌われてしまうというオチも。この時のランスロットのショックのうけっぷりは半端ではない。
また、亡き母と同じ名をもつ「エレイン」という女性に不思議と縁がある。
ひとりはカーボネック城のエレイン。魔女モーガン・ル・フェイの呪いに苦しんでいた彼女を救出したランスロットであったが、グィネヴィアへの思いから、彼女の求愛を断った。だがエレインは魔法の薬でグィネヴィアの姿に変身し、ランスロットと一夜限りの関係を結ぶ。これによりエレインはランスロット唯一の子であり、神に愛された世界最高の騎士となるガラハッドを産むことになる。
なお、彼女と(ワーオ♪)してしまったことがグィネヴィアにバレた際には当然(一時的に)嫌われた。
もうひとりはアストラットのエレイン。やはり一目惚れしたエレインは赤いスカーフを(もし私の愛を受け入れてくれるなら……)という思いを込めてランスロットに贈る。普段、ランスは王妃以外の女性からプレゼントを受け取っても、それを身につけるという事は決して無かったのだが、このあと行われる槍試合に正体を隠して出場するつもりだったので「ほー、いいじゃないか、こういうのでいいんだよ」と深く考えずに変装用として身につける。更に槍試合で負った怪我の看病までしてもらうのだが、エレインの愛は通じなかった。悲しみにくれたエレインは自ら命を絶ち、その亡骸はテムズ川の流れに乗ってアーサー王の城へと辿り着いて、事情を知った騎士たちの涙を誘う。
なお、王妃への思いを一途に守ったにもかかわらず「貴方そんな冷たい仕打ちをするなんて…」とグィネヴィアには怒られた。
物語終盤:愛ゆえの反逆と結末
優れた騎士であるランスロットではあったが、王妃との長きにわたる愛人関係は半ば周知の事実となり、次第に王宮にひずみを起こしていく。彼自身、この不倫の罪によって聖杯探求の旅には失敗してしまった。
遂に、反ランスロット派の急先鋒であるモードレッド(アーサーの庶子)によって二人の関係は告発される。グィネヴィアは火あぶりの刑に処せられる事になるが、処刑間際、ランスロット一派によって間一髪救出された。しかしこれにより(不本意ではあったが)アーサー王に反逆した身となる。更に悪い事に王妃救出の際、ランスロットを慕う騎士・ガレス(ガウェインの弟)を誤殺してしまい、親友ガウェインとの仲も決裂してしまうのである。
王妃を連れてフランスの地に戻ったランスロットの元に、アーサー王率いる征伐軍が押し寄せる。戦いは終始ランス派有利に進み、一時はアーサー王やガウェインを追い詰めたりもしたが、ランスロットとしてはアーサー王に本格的に反逆する気は無かった為、敢えて見逃している。一時休戦を結んだ際にグィネヴィアはアーサー王の下へと帰された。
休戦が明けて再び戦となるも、この隙にブリテン島の留守を預かっていたモードレッドが謀反を起こし、グィネヴィアをも我が物にしようとする。これによりアーサーとランスロットは和議を結んだ。ランスロットはアーサー王への援軍派兵を計画するが、アーサーを憎む魔女モーガン・ル・フェイの妨害にあい間に合わぬまま、アーサー王とモードレッドの戦いは相討ちに終わる。
自らの行いが破滅を招いた事を悔いたランスロットとグィネヴィア。
グィネヴィアは出家して修道女となり、それを聞いたランスロットは彼女の元へと向かうも、別れを告げられる。ここにランスロットもまた俗世との別れを決意し、行先も告げずに自領を出奔。既に円卓の騎士を引退していた隠者ボードウィンの元で僧となり静かな日々を送る。
のち、グィネヴィアが病死した事を聞くと食事を絶ち、後を追ってこの世を去る。最後の戦いから七年後の事であった。
関連人物
- ガウェイン
- ほぼ同時期に仕官し、長きにわたる親友でありライバルとして円卓の騎士団を率いた友。しかし彼の弟たちの行動が二人の友情を引き裂くことになる。死後は気持ちも落ち着いたのか、アーサー王の夢枕に立って「焦らずにランスロットの援軍が来るまで待つべき」と助言している。
- ガレス
- ガウェインの弟。ランスロットによって騎士に叙任された経緯もあって、非常にランスを慕っている。だが非情にもランス自身の手によって殺害されてしまう。
- ボールス
- ランスロットの従兄弟。スペックの高すぎるランスの補佐を黙々とこなす出来た人。聖杯の騎士の一人。戦後、出家したランスを発見して自分も僧となり、のちにランスの死を看取った。
- エクター・ド・マリス
- ランスロットの弟。ボールスとは異なり補佐役としてはどうにも力不足で、大抵噛ませ犬ポジションになる。戦後、出家したランスを捜索するが、発見したのはランスが亡くなった直後であった。
- ライオネル
- ボールスの兄でランスロットの従兄弟。ヤムチャその2。戦後やはりランスを捜索するが、辿り着けずに戦死する。
- ラヴェイン
- アストラットのエレインの弟。ランスロットの怪我が治った際、ランスに付き従い円卓の騎士に加入。物語終盤から登場する若手ではあるが、ボールスに次ぐ良き補佐役として活躍する。
- トリスタン
- コーンウォール出身の騎士。元主君の后との愛人関係に悩むという、ランスロットと似た境遇の人物。その為ランスとはウマがあう模様。原典に存在しないキャラクターという点でも似た者同士。
- ウルリー
- 「この世で一番優れた騎士でなければ治せない」という呪いの傷を負った騎士。ランスロットの祈りで全快。以後はランス派として活動。
- ガラハッド
- ランスロットの息子。なのだが、前述のとおりランスの望まない相手が魔法を駆使して無理やりことに及んだ上で産んだ子であるため、ランスはしばらく認知しておらず、親子の情は薄い。父をも超える円卓最高の騎士に成長し、聖杯探索を成功させるが、最後は聖杯と共に天に上り物語から退場する。
- アグラヴェイン
- ガウェインの弟で、反ランスロット派の急先鋒。モードレッドと他12名の騎士を引き連れてランスと王妃の密会現場を襲うのだが、モードレッド以外全員その場でランスに返り討ちにされた。完全に無双ゲーの世界である。この時のモブ騎士のこり12名は以下の通り。
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関連項目
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