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ランディ・バース(Randy William Bass)とは、阪神タイガースに在籍した元プロ野球選手で、元オクラホマ州上院議員である。そして、阪神タイガースの歴史に欠かせない人物である。
経歴
OB | |
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ランディ・バース | |
基本情報 | |
国籍 | 日本 |
出身地 | アメリカ合衆国 |
生年月日 | 1954年3月13日 |
身長 体重 |
182cm 76kg |
選手情報 | |
投球・打撃 | 右投右打 |
守備位置 | 一塁手 |
プロ入り | 1977年ドラフト7巡目 |
引退 | 1988年 |
経歴 | |
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プロ野球選手テンプレート |
メジャー時代
メジャー時代は「ニューヨークからロサンゼルスまで打球を飛ばす男」だといわれていたが、幼少時に足を複雑骨折しており、全力疾走出来ないために、守れないということでメジャーではレギュラーを獲得できなかった。メジャーリーグは5球団を転々としていた。
阪神タイガース時代
1983年に阪神タイガースが獲得を表明した。登録名は「バース(R.BASS)」、背番号は「44」。
本来の読みは綴りが「Bass(ブラックバスの「バス」と同じ)」なため「バス」であるが、阪神電鉄がバス事業を所有しており、活躍時に「バス大爆発」、不振時に「バス大渋滞」などとスポーツ記事で「バス」を使って批評されることを嫌ったため登録名を「バース」にした経緯がある。
前述にある通り、幼少時に足を複雑骨折しているが、それでもライトを守らされていた。しかし、一塁を守っていた藤田平の年齢的な衰えにより、一塁に固定される。しかし、入団当初は調子が上がらず、1983年に一時優勝ムードが流れていたものの、5月に「勝率0割台(1勝15敗)」と大きくチームが負け越し、それをバースのせいだとファンから批判されていた。この年、解雇話が出ており、オルセンの獲得で同期入団のストローターかバースのどちらかを解雇するかを球団側が話し合ったが、何とかストローターの解雇でバースは生き延びた。理由はバースの態度、努力、人格を評価しており、努力の結果、1983年シーズン後半から調子を上げた。ちなみに、この年の本塁打数は35本、打点83と本塁打は多い方であった。また、25試合連続安打も記録。
1984年は打率こそ前年を上回る3割台に乗せたものの、本塁打数と打点が前年より減少する。球団は一時的に外野に回っていた岡田彰布を内野に戻すためにバースの解雇を内定するが、新監督の「ムッシュ」こと吉田義男の意向でバースは解雇を免れた(代わりにセカンドの真弓明信がライトに回った)。
そして1985年、「3番ランディ・バース、4番掛布雅之、5番岡田彰布」の最強クリーンナップが誕生。1985年4月17日は30代以上の阪神ファンにとって忘れられない日となる。対戦相手は読売ジャイアンツ。この日の試合、1-3と巨人が2点リードで迎えた巨人7回裏、2アウト一塁二塁から先発の槙原寛己の第2球目をセンターバックスクリーンに弾丸ライナーで運び、逆転3ランホームランで4-3と逆転する。この時、バースの打率は.133で、これがシーズン第1号だった。その後、掛布が槙原の3球目をバックスクリーン左へ、岡田も槙原の2球目からバックスクリーンに運び、「バックスクリーン3連発(昭和の3連発)」が誕生。
試合は9回に2点取られたが、6-5で勝利。この年のバースは至る球場でホームランを放ち、また、ヒットも量産していった。結果、打率.350、本塁打54、134打点、174安打を挙げて見事、セリーグ史上初の外国人三冠王(最多安打を含めると四冠)を達成した。また、セリーグ史上初の外国人本塁打王でもある。
この年のバースの活躍ぶりは他の選手にも影響し、阪神は真弓(34本)、バース(54本)、掛布(40本)、岡田(35本)だけで163本塁打を放ち、チーム合計219本塁打の大爆発でセリーグ優勝、さらに日本シリーズで西武ライオンズを相手に4勝2敗で初の日本一に輝いている。当時、ファンがバースに似ているとしてケンタッキーフライドチキン道頓堀店でカーネル・サンダース人形を胴上げし、道頓堀に誤って落としたことは余りにも有名。その後、日本一になっていないのは「カーネルの呪い」と言われている。尚、そのカーネル・サンダース人形が2009年3月10~11日にかけて眼鏡・左手・両足首を除いて引き揚げられたが、その年に阪神は優勝できなかった。
また、優勝翌年のバースはヒットを量産し、打率が現在も破られていない日本プロ野球記録の打率.389に達し、本塁打47、打点109、176安打でパリーグの落合博満(当時ロッテ)と同時に2度目の三冠王(最多安打を含めると四冠)を獲得している。シーズン最高打率.389はイチローですら破ることが出来ず(2000年、.387)、2008年に首位打者となった内川聖一(.378)も破ることが出来なかった。
1987年にも打率.320、37本塁打、打点79で活躍していた。
阪神タイガースの退団経緯
1988年、その時は訪れた。バースは長男の水頭症で急遽帰国(その息子は現在結婚してグッドイヤー勤務)。フロントがバースとの契約内容に「家族の保険」をかけていなかった(1980年代当時でも本来なら入っていて当然のもので、球団側が加入を怠っていた。後に示談金が支払われた)ことが判明し対立、阪神退団を決意した。当然阪神にとってはこの代償はあまりにも大きく、1988年シーズン序盤で打率も3割台と好調だっただけに阪神の勢いは低下、更に当時の阪神球団社長が東京のホテルで投身自殺する事態にまで発展してしまい、阪神は名実ともに暗黒時代を迎えることとなる(この事から、当時のオーナーであった西のナベツネこと久万俊二郎を疫病神とするファンもいる)。
退団後
帰国後は牧場経営の傍ら、度々来日。「モルツ」のCMやマスターズリーグにも登場している。また、あるテレビ番組では現役さながらで東京ドームで本塁打を放ったことがある。その時はバックスクリーン3連発の際にセンターを守っていたウォーレン・クロマティも一緒に出演していた。また、東京スター銀行の名誉大阪支店長にも選ばれており、関西圏のタイガースファンのみならず、関西の人間はほぼ知っている未だに伝説の神様である。
2002年に公開された阪神映画「ミスター・ルーキー」(ダメ虎時代のタイガースを長嶋一茂扮する覆面のストッパーが救うという内容)では、Mr.バース役として本人自ら出演、特大のホームランを放っている。これはCGでも何でもなく、50歳間近のバースが撮影で実際に放った正真正銘のホームランである。ただし、当然のことながら打つのに何十回とテイクを重ねている。2012年(57歳)にもテレビの企画で、神宮球場にて金属バットながら何発もホームランを放ってみせた。余談だが「ミスター・ルーキー」の作中ではバースを「阪神が優勝した時の4番」と説明していたが、実際のバースの打順は3番である。これは本来4番を打っていた掛布雅之が出演する予定だったが、掛布は阪神OBではない長嶋一茂が阪神のユニフォームを着ることに難色を示し、出演を断ったため、代わりにバースが出演することになったが、セリフの変更を行わなかったためである。
2004年よりオクラホマ州の州議会上院議員選挙に立候補し、当選している。党派は民主党。アメリカのBSE問題では現役時代に神戸牛を好んで食べていたこともあり、日本でアメリカ産牛肉が冷やかに見られた際、アメリカ政府は日本に対し強く対立していたが、バースは「日本人が牛肉にかける思い、情熱を私ほど理解している政治家はアメリカにはいない」と語っている。その政治手腕についても高い支持を集め、初当選時こそ僅差だったが2回目は60%以上の得票、以降は対立候補がなく無風で当選を重ねている。院内総務(議会の会派トップ)を務めるなど州議会民主党の重鎮として活躍、任期上限まで4期14年を務めて2018年いっぱいで勇退した。
2023年1月13日、エキスパート表彰で野球殿堂入りすることが決まった。
影響力
阪神タイガース時代の伝説的な活躍から、退団から四半世紀以上たった今でも引き合いに出される事が多い。
その最もたる物は阪神の新外国人打者が好調な場合の在阪マスコミの謳い文句が「バースの再来」である事である。
また、バースとは名字が同じこと以外関係のない北海道日本ハムファイターズの助っ人外国人投手、アンソニー・バースが2016年日本シリーズで活躍した際も「バースの再来」「バース緊急来日」とネタにされていた。アンソニーも本来の発音は「バス」なのだが、伝説の助っ人であるランディにあやかって登録名は「バース」とされた。
なお東北楽天ゴールデンイーグルスにも同姓のアダム・バス投手がいたが、こちらは登録名が「バス」。2試合連続で炎上した後、当時の野村克也監督に「あいつは帰りのバスに乗せない」と言われて2軍落ちとなるなど、成績はさっぱりでほとんど話題にならなかった。
ちなみに、阪神タイガースの応援団はバースの応援歌をバース以外の助っ人外国人に流用したことがある。バースの解雇によって後釜として急遽獲得したルパート・ジョーンズと、数年後に入団したケビン・マースである。双方とも成績はバースに及ぶどころか惨憺たる物で、特にジョーンズは入団する前から既に肩がぶっ壊れていたという全く笑えない逸話も残っている。
また、バースの応援歌は「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で360°モンキーズの杉浦双亮が口ずさんでいたが、マイク・イースラーのモノマネをしているせいか、いつの間にか「イースラーのテーマ」に変わっている。
関連動画
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関連コミュニティ
関連項目
- 阪神タイガース
- バースの再来
- 掛布雅之
- 岡田彰布
- カーネル・サンダース
- モルツ
- プロ野球選手一覧
- これが本当の阪神タイガースシリーズ(バース退団後の阪神タイガース暗黒時代についての記事)
- バースの再来
- バース緊急来日
- 野球殿堂
- 政治家の一覧
- 民主党(アメリカ)
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