リアルタイムストラテジー(Real-time Strategy:RTS)とは、コンピューターゲームのジャンルの1つ。
ストラテジー(戦略)という単語が一般的ではないためか、「リアルタイムシミュレーション」と勘違いされることが多い。
概要
リアルタイムストラテジーは、俯瞰視点から戦場を大局から見据えてコントロールするシミュレーションゲーム(SLG)で、リアルタイムで進行する物を指す。これは、表現の方法ではなく概念の問題のため、俯瞰視点でも1つのユニットしか操作しないようなものはシューティングゲームやアクションゲームとなる。
本来、ストラテジー(戦略)とは、長期的、大局的視野から最終的な大目標に向けての方略を講じることを意味し、政略や経営においても扱われる概念であるが、ストラテジーゲームと呼ぶ場合、何らかの形で軍略を扱うものが大半であり、事実上、ストラテジー・ウォー・ゲームを指す呼称になる。その大分類のうちで、ターン制シミュレーションとの対比で、リアルタイムで兵器や軍隊などのユニットの活動を表現するものがRTSと分類される。一方、リアルタイムに経営や都市の発展をシミュレーションするものはミニスケープ、経営シミュレーションなどに分類され、RTSとは区別されるが、システムや表現上の共通点が多く、両方の特徴を兼ね備えたものもあり、縁の近い存在でもある。
RTSは、SLGと同じく大きなジャンルであり、主に戦略級と戦術級に分けられる。戦略級は、探索(eXplore)・拡大(eXpand)・開発(eXploit)・殲滅(eXterminate)の4Xをテーマとする物で、RTSのほとんどは戦略級である。また、ユニットの活動と同じ時間軸の中で素早い操作を行うアクション性と短時間での進行が基本になるもの(特に対人対戦、マルチプレイに向く)と、随時ポーズを掛けた状態でじっくり時間をかけて戦略を練って指令を出した上でリアルタイムな進行を眺めるもの(主にソロプレイに向く)に大別することもできる。
人気の中心(特に海外で)となる典型的なRTSは、生産、開発、拡張、兵站などの戦略級の計画と、索敵、進軍、戦闘、補給など戦術級の作戦行動が同一の時間軸、空間的スケールの中で行われ(これは史実上の戦争行為のシミュレーションとしては不自然な、極度に抽象化された表現である)、俯瞰視点の箱庭的マップをグラフィカルな軍隊が走り回り砲火を交わし、それに対しプレイヤーがリアルタイムに素早く逐一指示を下すというものである(例えばAge of Empiresシリーズ、Cossacksシリーズ、Warcraftシリーズなどが該当する。)。このタイプは大変スピーディで競技性も高い一方、「忙しい」「とっつきにくい」というイメージがつきまとい、RTS全体に対する敷居の高さに繋がってもいる。
しかしながら、RTSにはそれ以外の多様なゲームも分類される。例えば戦術級では主に戦略級の要素が省略され、ステージごとに手持ちのコマをやりくりして戦うもので、操作量は比較的少なく、中には個別のユニットを一般的なアクションゲームの要領で扱えるものもある。(少数の兵士を扱うコマンドスシリーズ、スーパーロボット大戦Scramble Commanderやギャラクシーエンジェルなどが該当)。一方で、戦略級の政略や開発、外交の要素を扱う画面と、戦闘を分離(あるいは簡略化)し、歴史的史実のシミュレーションや戦略性に重きを置いたタイプもある(Europa Universalisシリーズ、Hearts of Ironシリーズなど)。これらはゲームエンジンとしてはRTSのシステムを用いているが、比較的ターン制のウォーストラテジーに近い要領でプレイできる。
特殊な例として、Creative Assembly社のTotalWarシリーズがある。外交・内政・研究・生産・建設・戦略機動のみをターン制で行い、戦略マップで敵部隊同士がぶつかると戦術マップに移行し、他の戦術級RTSと同じく戦術機動や攻撃・防御を行って戦闘行動を遂行する。また、TotalWarシリーズ最大の特徴は、「ユニットの簡略化・記号化」を一切行っていないというものがある。 他のRTSでは、「ユニットは3Dモデル一体で10体分表示」など簡略化・記号化された状態で移動・攻撃を行うが、TotalWarシリーズでは、1万人VS1万人の戦いであれば2万人分の3Dモデルが表示され、鬨の声を上げつつ大戦闘を行うのである。シリーズを追うごとに、「やり過ぎではないか?」と思うほど緻密なグラフィックで大開戦を展開するため、非常に高スペックなPC性能を要求するRTSとして著名であるが、戦術級RTSで最も映像的、史実的リアリティ、そして実戦シミュレーションを兼ね備えるのは、TotalWarシリーズであると見て間違いない。(緻密な分、バグに悩み続けるシリーズでもあるが)。
こうした定義に当てはまらない独特な作品も多く存在する。伝説のオウガバトルやナイツ・オブ・オナーなどは部隊単位を操作する戦略級RTSでもあるが、部隊の戦闘の処理は、前者ならRPG風(オート処理)、後者なら戦術級RTS(オート可能)となるなど、複数のシステムが混ざっている。Strongholdは戦略級RTSのシステムだが、内容自体は戦術レベルを扱っている。そのためミニスケープ(箱庭ゲーム)のジャンルに属する場合もある。
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