リスクオフ(risk off)とは、金融に関する言葉である。反対語はリスクオンである。
概要
定義
金融の分野で投資をする者が臆病になってリスクが高くて収益性が高い投資からリスクが低くて収益性が低い投資に移ることをリスクオフという。
リスクが低い投資
リスクが低い投資とは、債務不履行リスクや流動性低下リスクや通貨安リスクが低い投資のことである。リスクが低いほどリスクプレミアムが減って利回りが低くなり、収益(リターン)が少なくなり、収益性(リターン性)が少なくなる。
債券には債務不履行リスクがあり、債務不履行リスクが低いほど利回りが低くなる。債務不履行リスクが低い債券は投資適格債という。債務不履行リスクの低い順に債券を列挙すると、自国不換銀行券建て国債(政府の影響を受ける中央銀行が発行する不換銀行券を支払うと約束して政府が発行する国債)、金融債(銀行が発行する債券)、社債(企業が発行する債券)となる。
株式(株券)や商品投資(エネルギー資源や貴金属や穀物などの先物取引)には流動性低下リスクがあり、銀行預金に換金したいと思って市場に売り出したときに買い手が付かないリスクがある。株式は流動性低下リスクが低いほど利回りが低くなり、高値で売買される。流動性低下リスクが低くて高値になっている株式は値嵩株(ねがさかぶ)とか高位株という。
外国の国債や金融債や社債や株式といった金融商品には通貨安リスク(その国の通貨が相対的に安くなる為替変動リスク)があり、通貨安リスクが低いほど利回りが低くなる。
キャリートレードの巻戻し
A国をキャリー元にしてB国をキャリー先にするキャリートレードを実行している投資家は、B国の通貨安リスクが高まってB国通貨が相対的に安くなりそうになったら、キャリートレードの巻戻しをする。
つまり、キャリートレードの巻戻しはリスクオフの一種である。
投資家を臆病にさせる判断材料
投資家がリスクオフをするときは投資家を臆病にさせる判断材料が発生している。その判断材料としては次のようなものが挙げられる。
- 内戦や戦争が勃発して確実性が減った
- テロや暴動のような暴力犯罪が増えて治安が悪くなり確実性が減った
- 粉飾決算のような知能犯罪が増えて治安が悪くなり確実性が減った
- 銀行の放漫経営が減って銀行が詐欺師を実質的に支援する現象が増えて治安が悪くなり確実性が減った
- 政府や中央銀行などが悪い経済指標を発表し、経済の先行きに対して暗い気分が広がった
1.~4.は、投資の確実性を低めて「投資が急減する負の需要ショック」の発生を促進して投資家を臆病にさせる事象である。「投資が急減する負の需要ショック」のことを一般に不景気とか景気後退という。
関連項目
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