基本データ | |
---|---|
正式名称 | リヒテンシュタイン公国 Fürstentum Liechtenstein |
国旗 | ![]() |
国歌 | 若きライン川上流に![]() |
公用語 | ドイツ語 |
首都 | ファドゥーツ(Vaduz) |
面積 | 160km²(世界第190位) |
人口 | 約3万人(世界第188位) |
通貨 | スイス・フラン(CHF) |
宗教 | カトリック:87%,プロテスタント:9%など |
主な輸出品 | 切手、精密機械 |
標準時 | UTC+1(CET)/UTC+2(CEST・夏時間) |
リヒテンシュタイン(Liechtenstein)とは、西ヨーロッパ中部にある小さな国である。
概要
正式名称は「リヒテンシュタイン公国」あるいは「リヒテンシュタイン侯国」。日本では「公国」と書かれる場合が多い。フュルストを公爵と訳すか侯爵と訳すかはその考え方による。ドイツ(神聖ローマ帝国)には他国の侯爵に相当する辺境伯が存在するため、他国との整合性を取るには「公国」と書くほうがふさわしいが、ドイツ内での爵位の序列を考える場合には「侯国」と書いても大きな間違いとはいえない。
面積は宮古島とほぼ同じで世界で6番目に小さい。人口は宮古島の約2/3。
スイスとオーストリアに挟まれる内陸国。また海岸部に到達するためには、2度国境を越える必要がある「二重内陸国」である。当国以外には、中央アジアのウズベキスタンのみがこれに当たる。
首都はファドゥーツ。他のミニ国家(特に「公国」等の類)では首都名が国名と同じである場合が多いので、このケースは珍しい。
非武装永世中立国であり、軍事・外交をスイスが代行している。警察官は70人ほどいる。また通貨もスイス・フランを使用しており、郵便・電話など生活の様々な面でスイスと共通である。
リヒテンシュタイン家
リヒテンシュタインの国家元首の地位は代々リヒテンシュタイン家の当主が引き継いでいて、大きな政治的権限を持っており、「ヨーロッパ最後の絶対君主制」といわれるほど。
リヒテンシュタイン家は元はオーストリアの貴族で、リヒテンシュタイン公国の何倍もの面積の土地をオーストリア領内に保有するなど非常に裕福。その個人資産の総額は約30億ユーロ(約4800億円)にのぼる。
これだけの大金持ちであるため、リヒテンシュタイン家は国から一切の歳費は受け取らずに、むしろ国の側が国家運営をリヒテンシュタイン家の資産に頼っている(通常は税金や資源などの国の収入でまかなわれる)。なお、昔はもっと領土・別荘をプラハなどの国外に保有していたのだが、ドイツのWWII戦後補償の巻き添えや、チェコの共産化などでその多くを失った。
経済
リヒテンシュタイン家の莫大な資産に加え、精密機械・切手発行・観光などの産業によって非常に豊かである。タックスヘイブン(租税回避地)としても知られ、免税目的の外国企業のペーパーカンパニーが集中。人口を超える数の法人企業が登録され、そこから得られる法人税は国全体の収入の40%にも及ぶ。
このために国民には所得税などの直接税がなく、住宅ローンすら無利子でOK。挙句の果てには刑務所すらホテル並みの広さに充実した娯楽、食事はホテルのケータリングという豪華さである。
ただし、あまりの企業の集中ぶりに、被害を受ける形のEU諸国からは苦情が出ている。
歯科材料の国際的メーカー、イボクラール・ビバデント社(Ivoclar Vivadent)が1923年の創業以来本社を置いている。
エピソード
- 国歌「若きライン川の上流に」のメロディーがグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)及びイングランドのもの(神よ国王陛下を守り給え,God save the King)と全く同じである(関連動画参照。なお歌詞は独自)。そのため、2003年のEURO2004サッカー予選、リヒテンシュタインで行われた対イングランド戦の試合前の国歌斉唱で、イングランドが英国歌を4回連続で歌ってしまった(この曲は短いので通常2回繰り返して演奏される)。特にブーイングもなかったらしく、イングランド勢は「なんで同じ曲が二回流れたんだろう?』と不思議に思いながらも、きっちり自国の国歌を繰り返し歌いきった。なお、余談であるがリヒテンシュタインサッカー代表は万年グループ最下位である。
- 2007年3月、軍事演習中のスイス軍の部隊が、夜間道に迷ってうっかりリヒテンシュタインに「侵攻」してしまった。普通なら大問題になるところだが、リヒテンシュタインの内務大臣曰く「別に誰も気づかなかった」「攻撃ヘリみたいなのが押し寄せてきたわけでもない」「まあそんなこともあります」とのことで外交問題にはいたらなかった。いくらスイスに守られているとはいえ凄い話。
- 「非常に小さなヨーロッパの君主国」というイメージに惹かれて訪れる日本人が多いのだろうか、首都ファドゥーツの中心部には日本語の書かれた看板も見つけることができる。
- シェンゲン協定に加盟しているため、隣国のスイスやオーストリアとの間には国境検問がない。空港も存在しないため、出入国審査は一切行われない。そのため、パスポートに入国スタンプを押してもらうためにはファドゥーツのツアリストインフォメーションへ赴く必要がある。しかも有料である。
- 侯爵家の方針もあって、芸術保護政策に熱心である。ファドゥーツの美術館はコレクションもさることながら、その建物も現代建築として高く評価されている。
- 銀行がやたら多い。スイスに暮らすイタリア人に「リヒテンシュタイン?あそこにゃ銀行しかねぇよ」と聞いた。実際、Bankの看板はよく目につく。
- 現在、オーストリアのイベント・マーケティング会社Xnetによる企画サイト「rent a village
」および自分の所有物件を「貸し部屋」として旅行者など安価の宿泊先を探す人たちに提供できるWebサービス「Airbnb
」にて、リヒテンシュタイン丸ごとレンタルの提供が開始されている。お値段は1晩7万ドル(約590万円)で、最少催行人数は40人から、最大150人まで。まず到着すると国王ハンス・アダム2世の私有地でワインなどがふるまわれたのち、シンボル付きの「国の鍵」が贈呈される。こののちあらゆる公共機関が使い放題、道の名前をオリジナルのものに変更、新貨幣の制定などイベント盛りだくさん。オプションで山の中腹の雪に名前を刻むことができたり、専用のお祭りや名士によるウェルカムイベントの開催、あるいはウィンタースポーツや馬車による首都巡りなど観光もふんだんに楽しむことができる。レンタル期間中、約3万人の国民はイベント以外は普段通りに生活している。なお、現在のところ実際にレンタルされたことはまだない。(参考:600万円で「リヒテンシュタイン公国まるごと」をレンタルするサービスが提供開始 – DNA
、らばQ:なんと国を丸ごとレンタル、一晩600万円…リヒテンシュタイン公国
)
舞台とした作品
また、直接舞台としている訳ではないが、映画「ルパン三世 カリオストロの城」に登場するカリオストロ公国のモデルとなった事でも知られる。
関連動画
関連商品
関連項目
- 12
- 0pt