リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner, 1813-1883)とは、「楽劇王」の別名でも知られるドイツの作曲家である。
概要
19世紀中葉のドイツを代表する作曲家の一人である。ドイツ語では /ˈvaːɡnɐ/ と発音されることから、「ヴァーグナー」と転写されることも多い。独自の音楽理論を追求し、それまでのオペラとは異なる形式の「楽劇」(Musikdrama)を生み出した。その革命性ゆえに多くの支持者を得る一方、あまりの自信家ぶりに多くの敵も作り出した。ドイツ南西部のバイロイトに自らの作品を上演するための劇場「祝祭劇場」を建設した。
主なオペラ
- 『さまよえるオランダ人』(Der fliegende Holländer)
- 『タンホイザー』(Tannhäuser)、正式には『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』(Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg)
- 『ローエングリン』(Lohengrin)
以下はいわゆる「楽劇」に分類される。
- 『トリスタンとイゾルデ』(Tristan und Isolde)
- 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(Die Meistersinger von Nürnberg)
- 『ニーベルングの指環』(Der Ring des Nibelungen): 4つの独立した楽劇からなる連作で、4日間、計15時間にわたって上演される。
- 『パルジファル』 (Parsifal)
逸話
あまり浪費ぶりに破産寸前になるが、かのノイシュヴァンシュタイン城を建設したバイエルン国王ルートヴィヒ2世の庇護を受けることで生活が成り立つようになった。
リヒャルト・ワーグナーはフランツ・リストを尊敬していたが、その娘で、当世随一の指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻となっていたコジマと「ダブル不倫」関係に陥った。リヒャルトとコジマは1866年に同棲生活を始める一方、1867年初演の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』はハンス・フォン・ビューローが指揮するという、傍からは理解しがたい様相を呈した。
バイロイトの祝祭劇場の総監督は、ワーグナー一族によって今なお「世襲」されている。ワーグナー上演の総本山と位置付けられていることから、夏の「バイロイト音楽祭」に行くことは「バイロイト詣」などとも呼ばれている。
ドイツの音楽雑誌に反ユダヤ主義の論文『音楽におけるユダヤ性』を匿名で発表し、音楽に対するユダヤ人とユダヤ文化を糾弾するなど、後世に反ユダヤ主義者と見なされる行動をしている (ただしユダヤ人との親交は意外な程多い) 。また、アドルフ・ヒトラーがワーグナー好きであった事、反ユダヤ的な糾弾内容をナチスが利用するなどしている事から、現在ではワーグナーの作品をイスラエルで演奏する事はタブー視されている。また、欧米ではワーグナーの「作品」を称賛する事は許されていても (実際その評価はかなり高い) 、ワーグナーの「人物」を評価する事は非難の対象になる。
関連動画
関連項目
- クラシック
- 作曲家一覧
- ドイツ
- ロマン派
- 楽劇王
- オペラ
- 楽劇
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- カール・マリア・フォン・ウェーバー
- フランツ・リスト(友人)
- ヨーゼフ・アントン・ブルックナー
- グスタフ・マーラー
- リヒャルト・シュトラウス
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