- セルジュ・リファール(Serge Lifar、1905-1986)。ウクライナ出身のバレエダンサー、振付師。
- リファール(Lyphard)。1969年生まれのアメリカ産の競走馬で種牡馬として活躍した。
名前の由来は1のバレエダンサーに由来する。英語読みすると「リーファード」に近い。
本項では2番の競走馬に関して記述する。
生い立ち
父Northern Dancer、母Goofed、母父Court Martialという血統。
父ノーザンダンサーは名競走馬にして世界を塗り替えた大種牡馬。本馬は4年目の産駒であり、そろそろ初年度がクラシックに挑む頃に生まれてきた。
母父コートマーシャルは仕上がりの早い産駒を多数送り出し、英愛リーディング2度、2歳リーディング6度の名種牡馬。何より彼が勝った英2000ギニーのすぐ後にナチスドイツが降伏し、欧州における第二次世界大戦は終結した(Court Martial=軍法会議とは何とも皮肉な名前である今ならサイン馬券だが)。
母グーフドは繁殖牝馬として優秀で、本馬の他にもGI馬を送り出しているほか、シーキングザパールの曾祖母にもあたる。
競走馬としてのリファールはアメリカの当歳セリとイギリスの1歳セリを経て(落札額は両方とも日本円で大体1300万円ぐらい)フランスに送られ、主に短距離戦線を中心に走っている。
3歳時は英愛ダービーで結果が出なかったところでさっさとマイル戦に切り替えたのが奏功したのか、フランスのマイル王決定戦たるジャック・ル・マロワ賞で1着、ムーラン・ド・ロンシャン賞2着、距離を縮めて1400mのフォレ賞1着と2つのGIを制した。
通算成績は12戦6勝。英ダービーでRobertoの15着と惨敗したのは内緒。因みに結構気性が荒かったぽい。
種牡馬入り後
1973年にフランスで種牡馬入りし、1977年にアメリカのケンタッキー州にある名門牧場ゲインズウェイファームへ栄転となった。米国と欧州は競走馬の往来が普通にあるので、米国にいる馬が欧州でリーディングサイアーを獲るといった事は(種牡馬が優秀なら)よくある。
1976年に産駒がデビューするといきなりGI馬を出して新種牡馬リーディングを獲得、すると活躍馬が出るわ出るわの大騒ぎ。1986年にアメリカ、1978・79年にフランスのリーディングサイアーとなった。
一番の代表産駒は何と言っても"躍動する勇者"こと*ダンシングブレーヴだろう。エプソムダービーこそ敗れるもののキングジョージと凱旋門賞をぶったまげた末脚で優勝した、是非動画を見て欲しい。
他には、
- Three Troikas(凱旋門賞、プール・デッセ・デ・プーリッシュ(仏1000ギニー)、ヴェルメイユ賞、サンタラリ賞)
- *ダハール(リュパン賞、サンルイレイS:シンボリルドルフが遠征した際の優勝馬)
- Manila(BCターフ、アーリントンミリオン等、芝馬としては数少ない米国殿堂馬)
- Jolypha(ディアヌ賞(仏オークス)、ヴェルメイユ賞、*ダンシングブレーヴの全妹)
といった感じ。目立つのは芝で良績を残す馬が多数いることで、ダートの活躍馬はあまり見られない。
特に得意とするのは欧州の芝1600~2400であり、産駒には英愛仏のクラシックホースが目立つ。2歳GI馬もおり、割とディープインパクトに近い。
日本では直仔は種牡馬として多く輸入されており、代表例がメジロラモーヌやレガシーワールドの父親である*モガミで、産駒は障害戦で無類の強さを見せた。
また*ダンシングブレーヴとその産駒である*ホワイトマズル、*コマンダーインチーフが輸入され、さらに日本輸入後に生まれ、国内のクラシック戦線で活躍したキングヘイローも含め、皆活躍馬を出している。
母父としても凱旋門賞馬等を出しているが、NijinskyやNureyevに比べると若干印象が薄い。
現在父系は(Northern Dancer初期産駒にありがちだが)衰退傾向にある。日本では*ダンシングブレーヴの系統が生き残ってはいるものの、孫世代以降の種牡馬成績は芳しくない。他の父系では日本に輸入され、葦毛の産駒ばかりを出したことから、ある意味で有名な*メンデスが日本へ輸出される前にフランスに残してきたLinamixの系統が生き残っている。
また母系に入って影響力を行使しており、現在日本のトップサイアーであるディープインパクトの母父父がリファールである。リファール系種牡馬は母父としても結構優秀である(*モガミ除く)。
そのリファールは1996年(27歳)に受精率低下を理由に種牡馬を引退。その後もゲインズウェイファームで繋養され、2005年6月に死亡。36歳というサラブレッドとして記録的な長命を保った。
余談
*モガミの大成功を受けて、日本に大量のリファール系種牡馬が買い漁られる輸入されることになったのだが、ほとんどが母父のコートマーシャルの影響が強すぎたのか一本調子のスピード馬ばかりしか出さない大失敗で、*リイフォーなどが多少成功した程度。あまりの有様に一部の書籍では「日本はリファール系の墓場」とまで書かれる始末であった。ちなみに日本に大量に輸入されて使い捨てられてあっという間に絶滅した血統としてはむしろネヴァーセイダイ系の方が酷かったりする。しまいにはマリー病の影響で種牡馬で成功しながらもヨーロッパで見捨てられたリファールの代表産駒である*ダンシングブレーヴまで輸入されたが、流石にヨーロッパでも成功しただけあって日本でも*モガミに匹敵する成功を治め、その産駒である*コマンダーインチーフや*ホワイトマズル、キングヘイローも父には及ばないながらも活躍馬を出している。ただし孫以降の後継種牡馬は日本だと牝馬の方に良績がやや偏っているのもあって苦戦している。
血統表
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic 1954 黒鹿毛 |
Nearco | Pharos |
Nogara | |||
Lady Angela | Hyperion | ||
Sister Sarah | |||
Natalma 1957 鹿毛 |
Native Dancer | Polynesian | |
Geisha | |||
Almahmoud | Mahmoud | ||
Arbitrator | |||
Goofed 1960 栗毛 FNo.17-b |
Court Martial 1942 栗毛 |
Fair Trial | Fairway |
Lady Juror | |||
Instantaneous | Hurry On | ||
Picture | |||
Barra 1950 栗毛 |
Formor | Ksar | |
Formose | |||
La Favorite | Biribi | ||
La Pompadour |
クロス:Pharos=Fairway 4×4(12.5%)、Gainsborough 5×5(6.25%)
関連動画
関連項目
子孫たち
Lyphard 1969
|*リイフォー 1975
||*トロメオ 1980
|||ダイワテキサス 1993
||||ダイワシュガー 2007
||ニッポーテイオー 1983
|||ハルウララ 1996
|*モガミ 1976
||シリウスシンボリ 1982
||メジロラモーヌ 1983
||ジュネーブシンボリ 1985
||シンボリクリエンス 1985
||メジロモントレー 1986
||レガシーワールド 1989
||ブゼンキャンドル 1996
|*ベリファ 1976
||*メンデス 1981
|||Linamix 1987
||||Sagamix 1995
|||ハシルショウグン 1988
|Alzao 1980
||*ウインドインハーヘア 1991
|*ライラリッジ 1980
||ツインターボ 1988
|*ダハール 1981
|*ダンシングブレーヴ 1983
||*コマンダーインチーフ 1990
|||アインブライド 1995
|||ラスカルスズカ 1996
|||レギュラーメンバー 1997
||*ホワイトマズル 1990
|||イングランディーレ 1999
|||スマイルトゥモロー 1999
|||アサクサキングス 2004
|||シルポート 2005
||||ハクサンアマゾネス 2017
|||ニホンピロアワーズ 2007
||チョウカイライジン 1993
||キョウエイマーチ 1994
||キングヘイロー 1995
|||カワカミプリンセス 2003
|||ローレルゲレイロ 2004
|||メーデイア 2008
|||キタサンミカヅキ 2010
||テイエムオーシャン 1998
|*グリーンマウント 1983
||ライブリマウント 1991
|Manila 1983
||Bien Bien 1989
|||Dream Alliance 2001
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