リフレイムとは、2018年生まれの日本の元競走馬、繁殖牝馬である。芦毛。
個性溢れる走りで注目され、引退後も多くの人に愛されている。
主な勝ち鞍
2022年:パラダイスステークス(L)
概要
父American Pharoah、母父Careless Jewel、母父Tapitという血統。
父American Pharoah(アメリカンファラオ)はアメリカ三冠馬。産駒は何故か「日本の」ダートでよく走る。フェブラリーステークスを連覇したカフェファラオが代表例。
母Careless Jewel(ケアレスジュエル)はアラバマS(GI)など7戦5勝。母父Tapit(タピット)は病気で大成できなかったがアメリカで好成績を挙げている大種牡馬。
なかなかの血統である。
アメリカで生産されたリフレイムは、2019年のキーンランドセプテンバーセールにおいて日本人馬主の山口裕介氏(山口ステーブル代表)に41万ドルで購入されて黒岩陽一調教師に預けられた。
良血だったので相当期待されていたらしく、山口氏は「繁殖にしたいと一念発起し買ってきた」とのことで繁殖牝馬としての期待も大きかった。
しかしデビュー戦で名手ミルコ・デムーロ騎手に依頼しようとしたところ
「だが断る」
ということになってしまった。どうやら調教で乗ったときに相当ヤバいと感じ取っていたという。
仕方なしに厩舎所属の木幡巧也騎手が乗ることになった。
2歳(2020年)
そして2020年7月25日の新馬戦(新潟・芝・1600m)、リフレイムは意外といいスタートで先頭につける。そして第4コーナーから直線に入ったときリフレイムは
どんどん外へと逸走していったのである。
……一応1/2馬身残して勝利しました。
そして当然JRAから平地調教再審査のお達しが下りました。
山口ステーブルのスタッフが必死に立て直した結果、リフレイムが次に競馬場に現れたのは3か月後の1勝クラス(東京・芝・1400m)になった。
このレースでは好スタートを決めたリフレイムの機嫌を損ねないよう木幡騎手は最後位まで下げた。そして最後の直線で大外に出すと一気に加速し全馬を交わし更に5馬身突き放して勝利したのである。
この勝利にリフレイムを支えてきた山口ステーブルのTwitterは
とツイートした。
そして2週間後の京王杯2歳ステークス(GII)、前2戦で凄まじいパフォーマンスを見せたリフレイムは1番人気に推されていた。しかしここでのパドックでリフレイムは
ちょうどテレビで紹介されるタイミングで寝ようとしていた。
そしてレース直前、ゲート入りも相当嫌がっていた。
たぶん中1週で疲れていたんだということにしておこう。
それでもレースでは1着から僅差(クビ・クビ・アタマ+半馬身差)の5着に来たのは能力の高さの現れか。
3歳(2021年)
リフレイムが次に競馬場に現れたのは2021年2月のクイーンカップ。そこを13着とすると、フラワーカップも10着。ダート戦の青竜ステークスでも6着となり、指定交流競走の関東オークスでも6着。斜行癖の対処のための矯正で結構無茶をしていたようで、重度の胃潰瘍になるほどであったようだ。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/yamaguchistable/status/1488275219009531905
秋まで休みをとって、鷹巣山特別(2勝クラス)。このレースから野中悠太郎騎手に乗り替わりとなったが、馬の気持ちを考えて気持ち良く走らせることに集中したおかげか久々の掲示板(半馬身差)の2着となった。
11月6日の東京8R3歳以上2勝クラス、道中では2番手からまだ道中キョロキョロしながらも進み、直線では外側にやや逸走しながらも2馬身抜け出し3勝目をかざった。
山口ステイブルのツイッターでは「あの頃リフレイム」が戻ってきたとツイートした。
奇しくもこの日はPerfumeがReframeツアーを行う日だったという。
4歳(2022年)
年が明けて1月30日の東京10レースの節分ステークス、スタート直後から伸びそのまま先頭に立ったが、やっぱり最終直線で外ラチにどんどん寄ってきた。だが最後は2馬身半差逃げ切って1番人気に応えた勝利。オープン入りを決めた。
次走は4月初週のGIII、ダービー卿チャレンジトロフィー。待望の古馬重賞初挑戦となり、そのまま牝馬マイル戦線へ突入する模様。同路線は既にソダシやアカイトリノムスメといったGI馬がいる激戦区だが、同世代の強豪相手にどこまで戦えるか。その注目のレース。とにかく逃げた。最初の600mを34秒2で行ってしまう。さらにそのあとの200mも11秒3。そんなに行ってしまったらスタミナが持つはずもなくあとは失速。終わってみれば15着に沈んだ。
次走はヴィクトリアマイルに登録していたが賞金不足で除外されたため、同週の京王杯スプリングカップ。ここには他にも同い年の癖馬メイケイエールも出走してくるが、果たしてどのような展開になるだろうか。そういう注目のもと行われたレース。やはりリフレイムは行く。逃げる。最初の600mは34秒4。その次の200mも11秒4。最終コーナーを曲がり直線に入るとやはり斜めに行く。最後の300mあたりまでは粘ったがその後失速してしまい結果は8着に終わった。だが、斜めに行くところまでがワンセットと思われているのがリフレイム。みんなに愛される馬であることが再認識された。彼女の斜行以外にもギルデッドミラーの出遅れ・メイケイエールのかかりと気性難の見本市みたいなレースが展開された結果、本レースに「京王杯スリリングカップ」の異名が付いたのはまた別のお話。
次走は6月26日のリステッド競走パラダイスステークス。今回もハナに立つかと思われたが飛び出したキタイに続く二番手でレースを進める。そして直線に入ったところでキタイを交わすといつも通り斜行を開始。
しかしこの日は6月東京開催の最終週で内側の馬場が荒れた状態で、それが逆にリフレイムにとってプラスに働いた。斜行しながらも粘り込み、ラルナブリラーレの追撃をクビ差凌いでゴールイン。嬉しいオープン初勝利となった。
7月の放牧を経て8月28日のリステッド競走朱鷺ステークス。デビューの地でもある新潟競馬場は東京競馬場と同じ左回りなのは問題ないのだが、彼女は18頭立ての最内1枠1番に放り込まれてしまう。
繰り返し言っているが、この馬、外に斜行するのだ。
馬群に埋もれてしまおうものなら最終直線の斜行癖で他の競走馬の進路妨害をしてしまい降着・失格処分されかねないリスクが付き纏う中、鞍上の野中は好スタートを取れたリフレイムを押して押してで先頭に立たせる事で最内という難題をクリア、4コーナーカーブまで首位をキープ。そのまま直線に入っていつもよりも控えめに斜行しつつもラストスパートに入るがそれまで後ろで脚をためていた後続馬たちが一気に襲い掛かり始める。
残り200mまで粘った所で野中の鞭に応えて斜行を再開しつつ加速しようとした所を外から追い抜いて来たタイセイディバインとララクリスティーヌに斜行をカットされてしまい失速、9着でレースを終えた。
8月31日、山口ステーブルのTwitterにおいて、繁殖としての期待も非常に高く、既に「中央5勝リステッド勝ちと望外の成績」を残していることから、次走は10月30日のペルセウスステークス(東京・ダート1400m)に向かい、ダート重賞を目指せるイメージが持てればあと1年現役続行、厳しそうであればこのレースを最後に繁殖入りすると発表された。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/yamaguchistable/status/1564754820224802821
山口ステーブルからの今後の進退についての報告後、1ヶ月の休養を挟んで臨んだ10月30日のペルセウスステークス。 人気は初めてのダートと言う事もあり4番人気、枠番は2枠3番とやや内側での出走となった。 前走まで着用し続けていた黒いチークピーシズから、黒の耳抜きメンコとシャドーロールを付けた姿でパドックに現れたリフレイム。 下手をすればこれがラストランになってしまうという今後の進退に関わる重要なレースだけあって、訪れたファン達からは不安と心配を拭えない視線を送る中(SNS上では半泣きになって見つめていた人もいたとか)、肝心のリフレイムは目を細めて今にも寝てしまいそうな程の寝ぼけ顔を見せていた。おいおい、そんなんでいいのかよ…
相変わらずのマイペースな姿を見せたリフレイム。レースは好スタートを切った後は同じ逃げ馬のジャスパープリンスとハナを奪い合う形となるも先頭に立つが、今までの芝コースの時とは違って思うように後続と差を広げずにいた。そして最終直線に入るとやはり外へ外へヨレていく。1番人気のダート7戦5勝の猛者レモンポップにあっさりと追い抜かれるも粘りに粘り、ゴール直前でタイセイサムソンにハナ差で差されるも古馬初ダートで3位に食らいつく大健闘を見せた(実況が初ダートとか言ってるが、3歳の時にダートを走ってるので誤り)。
この結果を受け、牝馬ダート重賞路線を行く方向に決まる。リフレイムの癖の都合上、左回りしか選択肢がないわけだが、左回りの競馬場は中央競馬では東京競馬場・新潟競馬場・中京競馬場の3つ、ダートグレード競走を行う地方競馬場は盛岡競馬場・船橋競馬場・浦和競馬場・川崎競馬場の4つ。それらで開催する牝馬限定で古馬が走れるダートグレード競走はエンプレス杯(川崎・2100m・JpnII)・マリーンカップ(船橋・1600m・JpnIII)・スパーキングレディーカップ(川崎・1600m・JpnIII)・クイーン賞(船橋・1800m・JpnIII)の4つである(盛岡競馬場・浦和競馬場はJBCが来ない限り牡牝混合戦しかない。また、中央競馬に牝馬限定のダート重賞は皆無)。それらを目指していくことになるだろう。
当然、それらに出るために賞金を積まなければならないので、12月18日にコールドムーンステークス(OP・中京ダート1400m)に出走。別定戦(収得賞金1600万円超600万円ごと1kg増)であり、リステッド競走の勝ちがあるリフレイムは57kgという牝馬としては過酷な負担重量となる。芝からダートに入るまでにハナを取り切り、そのままの体制で直線に入るが、やはり外へヨレてしまう。その間にヴァニラアイスが内から、その2頭の間をグレートウォリアーが襲い掛かる。だが、あっという間に突き放すと、さらに後ろからやってきたタイセイサムソンに3馬身差をつける圧勝となった。
5歳(2023年)~引退以降
コールドムーンステークスの結果を受け、次走は根岸ステークス(GIII)を予定していおり、また、その次の目標とするレースはマリーンカップ(JpnIII)であったのだが、首回りのトラブルが発生したおそれがあり、引退するということが馬主から発表された。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/yamaguchistable/status/1613813207667441665
その後、美浦トレーニングセンターの診療所で腰萎(ようい)と診断された。
腰萎(腰フラとも)について詳しくは→馬の資料室「サラブレッドの『ウォブラー症候群』について」
リフレイムはスタッフや獣医師の献身的なケアの結果、1月27日にトレセン内診療所を退院。
リハビリのため北海道のエクワインレーシング(リアルダービースタリオンでもお馴染みの育成牧場)へ移動することとなった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/yamaguchistable/status/1618796563496837122
到着後にレントゲンやCTスキャンなどで詳細に検査したところ、当初の診断や報道にあった腰萎ではなく、(おそらく寝違えなどで暴れたことにより)右目付近の骨が折れており、その部位から脳へダメージを負ったことで立てなくなったのではないか、ということが分かった。
神経には損傷がない=徐々にでも動かしていくことができる、ということで、繁殖入りを目標にリハビリを始めることになった。
詳細はこちらの東スポ競馬の記事を参照されたし。
日々リハビリを続ける中、3月4日のリアダビ生放送に突然のゲストとして登場し、リスナーを驚かせた。
症状の回復も順調に進み、4月には購入当時でまだ東スポ杯2歳Sを勝ったばかりの頃から目を付けていたコントレイルとの子を無事受胎。
5月15日にはついにエクワインレーシングを卒業し、繁殖牝馬として第二の馬生を送るべく千里ファームへ移動することとなった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/masarusese/status/1657899384288464896
そして2024年3月16日、無事に真っ黒な馬体と額に星を持つ牝馬を出産。
分娩中も特に問題はなかったようで、山口ステーブル公式Xでは母娘が顔を寄せ合う微笑ましい様子も見られた。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/yamaguchistable/status/1768967705011560828
余談
長らく「なぜ外ラチへの大斜行をするのか?」という疑問の声が上がるが、これは骨格上の問題で真っ直ぐ走ろうとすると前脚と後足がぶつかってしまい、それを避けようとしている為という説が有力である。
また、直線コースでの斜行癖やパドックで寝ようとしたというエピソードで埋もれがちであるが、リフレイムにはルーティンのような行為が他にもある。
それは返し馬をする際、外ラチ沿いにいる観客を見つめながら歩くというものである。
これについて競馬ファンの間では「リフレイムなりのファンサービス」「これから走る外ラチの馬場状態を確認している」として斜行癖とは別に高い人気を得る一助にもなっている。
尚、これについては騎手の池添謙一曰く「入れ込んだ際に自身を落ち着かせる時にする馬がいる」とあり、実際パドックでジョッキーを乗せると激しくヘドバンして入れ込み、Twitterでも入れ込んだ際の白目をひん剥いた物凄い形相のリフレイムの顔の画像が散見されている。
血統表
American Pharoah 2012 鹿毛 |
Pioneerof the Nile 2006 黒鹿毛 |
*エンパイアメーカー | Unbridled |
Toussaud | |||
Star of Goshen | Lord at War | ||
Castle Eight | |||
Littleprincessemma 2006 栗毛 |
Yankee Gentleman | Storm Cat | |
Key Phrase | |||
Exclusive Rosette | Ecliptical | ||
Zetta Jet | |||
Careless Jewel 2006 芦毛 FNo.2-e |
Tapit 2001 芦毛 |
Pulpit | A.P. Indy |
Preach | |||
Tap Your Heels | Unbridled | ||
Ruby Slippers | |||
Sweet and Careless 1999 鹿毛 |
*ヘネシー Hennessy |
Storm Cat | |
Island Kitty | |||
Not So Careless | Desert Wine | ||
Careless Notion |
クロス:Unbridled 4×4(12.50%)、Storm Cat 4×4(12.50%)
関連コミュニティ・チャンネル
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アイコンテーラー
- アカイトリノムスメ
- アリーヴォ
- イグナイター(競走馬)
- インペラトリス
- EST(競馬)
- フライトライン
- エフフォーリア
- カリフォルニアスパングル
- キャッスルトップ
- コディーズウィッシュ
- シャフリヤール
- シャマル(競走馬)
- ジャックドール
- ステラヴェローチェ
- スモモモモモモモモ
- スルーセブンシーズ
- ソウルラッシュ
- ソダシ
- ソングライン
- タイトルホルダー(競走馬)
- ダノンザキッド
- テンハッピーローズ
- テーオーロイヤル
- ディクテオン
- ディヴィーナ
- ドバイオナー
- ノースブリッジ(競走馬)
- バスラットレオン
- バーイード
- ピクシーナイト
- ファインルージュ
- ブレークアップ
- プログノーシス
- ペプチドナイル
- ホウオウイクセル
- ホットロッドチャーリー
- ポエティックフレア
- マイネルグロン
- メイケイエール
- メイショウフンジン
- ユーバーレーベン
- レッドベルオーブ
- レベルスロマンス
- レモンポップ
- ロマンチックウォリアー
- ローレルリバー
- ヴィアシスティーナ
- ヴォイッジバブル
▶もっと見る
- 13
- 0pt