リミテッド(Limited)とは、limitの過去形・過去分詞形。「限定された」を意味する。
本記事では、トレーディングカードゲーム(TCG)における対戦形式の一つについて説明する。
概要
ほとんどのトレーディングカードゲームは、自分が持っているカードの中から、あらかじめデッキを作って対戦する。この形式を構築(Constructed)という。
これに対し、今開けたブースター・パックから出てきたカードだけでデッキを作る形式がリミテッド(限定戦)である。
マジック:ザ・ギャザリングでは公式戦のルールとして設定されているとともに、カードセットそのものも構築だけではなくリミテッドを意識して構成されている。
また、ブースター・ドラフト専用のカードセットもいくつか発売されている。
そのため、本記事も主にマジック:ザ・ギャザリングを例にとって説明する。
用意するもの
基本的には構築と同じであるが、別に未開封のブースター・パック、もしくはパック代が必要である。
そのため、遊ぶたびに1000円程度必要になるが、裏を返せばパック代以上のお金は必要ない。
MTGの構築では、カードをボックス単位で購入し、1枚数千円のカードを4枚投入するなどザラであることを考えれば、比較的安価に遊べるともいえる。
また、MTGの基本土地など、支給の対象(ルールの項を参照)になっているカードを大量に用意する必要がある。
不正を防止するために、カードスリーブなども用意するのが望ましい。
非公式だが、持っているカードでカードプールを作る「キューブ・ドラフト」などの形式もあるので、パック代を出せない場合でもそれなりに遊びようはある。
ルール
パックから出てきたカードしか使えない。隠し持っていたカードを使ったり、出てきたカードを隠したりしてはならない。
公式戦では、不正防止のためにジャッジがあらかじめ開封してマークを付ける場合がある。
カードプール(デッキに使えるカード)が構築より少ないため、デッキ枚数の下限も少ない。
MTGの場合、構築戦60枚に対し、リミテッドでは40枚である。
MTGの場合、構築では同名カードは4枚までしか入れられないが、リミテッドにこの制限はない。
同じカードを5枚以上取れる状況は限られるが、同じセットのパックばかり使う場合は重要になる。
MTGの基本土地やポケモンカードゲームのエネルギーカードなどのように、ルールの根幹に関わる上大量に必要になるカードは、これとは別に支給される。
戦略
構築戦とリミテッド戦では、まるで戦略が異なる。そのため、有用なカードも異なる。
例えば、構築では初心者を喜ばせるだけのカードである《甲鱗のワーム/Scaled Wurm》も、リミテッドでは(強いとは言わないまでも)けっこう戦えてしまうクリーチャーである。
逆に、構築では超強力なカードであっても、リミテッドではまるで使えないということも多い。
カードが手に入るかどうかは完全に運であるため、コンボデッキはまず組めない。
基本的には、単体でも頼りになるカードを集めて戦っていくことになる。
回避能力のあるクリーチャーや除去はそう簡単に手に入らず、クリーチャー同士の膠着戦になることが多い。そのため、マナ・コストの重さは構築ほど気にされない。リミテッドで甲鱗様がそこそこ強い理由である。
そのような環境のため、除去呪文は非常に重要である。構築では見向きもされない除去も積極的に採用される。
また、除去の代わりとして、戦闘中に使って相手の意表を突き、クリーチャーを倒す「コンバット・トリック」というテクニックが重要視され、それ用のカードも構築より評価が上がる傾向にある。
形式
シールド
シールド(Sealed)は、自分が開封したパックのみでデッキを組む形式。
使うパックの数や種類によって幾つかの形式にわけられるが、公式戦では6パックを使う。
全カードセットから1パックずつ使う「デカデント・シールド」や、全員同じカードを使う「デュプリケイテッド・シールド」もある。
ドラフト
ドラフト(Draft)とは、野球のドラフト会議のように、決められたカードプールから複数人が好きなものを順番に取ってデッキを組む形式。
例えばブースター・ドラフトなら、開封したパックから1枚取って隣に回し、隣から回ってきたパックから1枚取って隣に回し…を繰り返し、取ってきたカードからデッキを組む。
どのようなカードプールからどのようにドラフトするかで、いくつかの形式に分かれる。
詳しくはドラフト(TCG)を参照。
関連項目
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