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リレンザ®(Relenza®)とは、A型・B型インフルエンザウイルス感染症の治療薬である。一般名はザナミビル(Zanamivir)。
概要
ザナミビルは、A型またはB型のインフルエンザウイルス感染症の治療・予防に用いられる世界初のノイラミニダーゼ阻害薬である。オーストラリアのバイオタ社とライセンスを提供されたイギリスの製薬企業グラクソ・スミスクラインが開発した。日本では1999年に製造販売承認を受け、現地法人であるグラクソ・スミスクライン株式会社が製造販売している。小児への適応は2006年、予防適応は2007年に承認された。2009年、厚生労働省より異常行動につながるおそれがあるとして注意を求める通告が出されているが、インフルエンザでは服薬の有無にかかわらず異常行動を起こすことが報告されているため、転落などの事故に注意する必要がある。
円盤状のアルミシート(ディスク)の4つの凸部(ブリスター)に粉末が入っている。治療の場合はブリスター2つ分の粉末を1日2回5日間、予防の場合はブリスター2つ分の粉末を1日1回10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。発症後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。48時間以内に治療を開始した場合の罹病期間の短縮や症状の軽快が報告されている。ただし、重症例や肺炎など合併例では投与を避けるべきである。[1]
先発医薬品名のRelenza®は、“relieve”(緩和)、“influenza”に由来する。日本において、2020年2月時点で後発医薬品(ジェネリック医薬品)は販売されていない。吸入方法が煩雑なザナミビルに対し、エビデンスの豊富な経口剤オセルタミビルはジェネリック医薬品が上市されている。また、吸入剤にしても、単回投与で治療が完結するラニナミビルが2010年に上市されている。これらノイラミニダーゼ阻害薬(NA阻害薬)は、ウイルス表面にあるノイラミニダーゼ(NA)を阻害し、宿主細胞からのインフルエンザウイルス遊離を阻害する。したがって、NAをもつA型およびB型のインフルエンザウイルスには有効で、NAをもたないC型インフルエンザウイルスには無効である。
関連動画
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- バロキサビルマルボキシル
- ラニナミビル
- レムデシビル
- カシリビマブ・イムデビマブ
- ソトロビマブ
- モルヌピラビル
- ニルマトレルビル
- アマンタジン
- チキサゲビマブ・シルガビマブ
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