リンク召喚とは、遊戯王OCGの召喚法である。
概要
2017年3月25日の新マスタールール施行に伴って登場した、ペンデュラム召喚に次ぐ新たな召喚法。指定されたモンスターをリンク素材として、エクストラデッキからリンクモンスターを出すという点はシンクロ召喚やエクシーズ召喚といったこれまでの召喚法に類似するが、エクストラモンスターゾーンの新設、リンクマーカーの概念など、単なる追加にとどまらない大規模なルール変更が行われている。
5D's以来恒例の、アニメ新シリーズに合わせた新召喚法であり、2017年5月より放送のアニメ「遊☆戯☆王ヴレインズ」にもこの召喚法が登場している。
リンク召喚してみる
リンクモンスターを見てみる
リンクモンスターの例として、「デコード・トーカー」を見てみよう(リンク先は公式データベース)。
リンク召喚する際に参照するのは、テキスト欄の右下(普通は守備力が書いてあるところ)にある"LINK-○"と、カードテキストの一番上(実物では【サイバース族/リンク/効果】の下の行)にある素材の条件を記した記述。
"LINK-○"とは、「○体のモンスターをリンク素材にしなさい」という意味である。「デコード・トーカー」の場合、"LINK-3"と書いてあるので、3体のモンスターを素材にする必要がある。
カードテキストの一番上にある素材の記述は、リンク素材にするモンスターの指定である。「デコード・トーカー」の場合、"効果モンスター2体以上"とあるので、効果モンスター2体以上を使ってリンク召喚しなければならない。通常モンスターは使えないということだ。
まとめると、「効果モンスター3体をリンク素材としてリンク召喚できる」ということになる。
実はほかの出し方もあるのだが、それは順を追って説明する。
リンク召喚!
必要な素材がわかったので、「デコード・トーカー」のリンク召喚をやってみる。
まず、リンクモンスターは融合・シンクロ・エクシーズモンスターと同様、デュエル開始時点ではエクストラデッキに投入する。
デュエルが始まったら、頑張ってフィールドに3体の効果モンスターを揃えよう。ここでは「クリボー」(効果モンスター)を3体出したということにしておく。これでリンク召喚の準備は完了だ。
自分ターンのメインフェイズに、リンク召喚することを相手に宣言し、「クリボー」3体を墓地へ送る。これが"リンク素材にする"ということである。そして、エクストラデッキから「デコード・トーカー」を取り出してフィールドのエクストラモンスターゾーンに置く。これでリンク召喚成功である。
エクストラモンスターゾーンって何だよと思われる方が多いだろうが、とりあえずフィールドにそういう場所があるのだと思っておけばよい。詳しい説明は後ほど。
素材の記述が2つある意味とは(LINK-○の意味)
先ほどは、「LINK-○とは○体のモンスターをリンク素材にしなさい」という意味であると書いてしまったが、すると気になることがある。「効果モンスター2体以上」の"以上"とは何なのか。実は、リンク素材をLINK-○の数より少なくする方法もあるのである。
リンクモンスターの特徴として、別のリンクモンスターのリンク素材にする場合、LINK-○の数分の素材にすることもできるというものがある。
これだけでは分かりにくいので、実例を出してみる。まず、「デコード・トーカー」とは別のリンクモンスターである「ハニーボット」を見てみよう(リンク先は公式データベース)。"LINK-2"、"サイバース族モンスター2体"と書いてある。先ほどの例と同じように考えれば、フィールドにサイバース族モンスター2体を揃え、それを墓地へ送る(リンク素材にする)ことでリンク召喚するわけである。
さて、「ハニーボット」を出したところで、さらに「デコード・トーカー」をリンク召喚したいとする。この場合、先ほどのように「クリボー」を3体揃えて出す手もあるのだが(本当は問題があるけど、それは後で考える)、「クリボー」1体に「ハニーボット」1体で出す方法もあるのである。
つまり、「デコード・トーカー」の"LINK-3"を満たすために、「クリボー」1体に「ハニーボット」1体だとあと1体分足りないが、"LINK-2"の「ハニーボット」を2体分とすることで合計3体分となるわけである。「ハニーボット」も効果モンスターなので、"効果モンスター2体以上"という条件もクリアしている。
こうなると、"LINK-3"の「デコード・トーカー」1体をリンク素材に別の「デコード・トーカー」をリンク召喚できるのかということが気になるが、これはできない。もう一つの素材指定である"効果モンスター2体以上"が満たせないからである。LINK-○の数分の素材にできるというのは、新たに出したいリンクモンスターのLINK-△を満たすために使えるだけで、カードテキストの一番上に書いてある素材指定には適用できない。リンクモンスターであろうがなかろうが、1体は1体である。
それならばと、"LINK-3"の「デコード・トーカー」1体に「クリボー」1体をリンク素材として、"効果モンスター2体以上"の条件を満たせばいいのかというと、そうでもない。これではLINKの数が4になってしまう。LINK-○の数はぴったり合わせなければいけない。
では、「デコード・トーカー」をリンク素材にして別の「デコード・トーカー」をリンク召喚する方法はないのか。実は、リンクモンスターをリンク素材にする際、LINK-○の数を無視してただの1体分としてしまうこともできる。そのため、「デコード・トーカー」1体と「クリボー」2体をリンク素材として別の「デコード・トーカー」をリンク召喚することは可能なのである。
ここまでのまとめ
- リンク召喚とは、フィールドのモンスターをリンク素材として墓地へ送り、エクストラデッキのリンクモンスターをエクストラモンスターゾーンに出す方法である。
- リンク召喚の素材は、出したいリンクモンスターのLINK-○の数分ぴったりを用意し、それがカードテキストの一番上にある素材の条件を満たす必要がある。
- リンクモンスターをリンク素材にする場合、そのLINK-○の数分、別のリンクモンスターのLINK-△の数に充てることができる。ただし、LINK-○を無視して1体分にしてしまうこともできる。
例題
自分フィールドに"LINK-2"の「ハニーボット」が2体、リンクモンスターではない「クリボー」が3体いる(どちらも効果モンスター)。この状況で"LINK-3"、"効果モンスター2体以上"の素材指定を持つ「デコード・トーカー」をリンク召喚したい場合、どのような素材の組み合わせが考えられるだろうか。
(リンクマーカーはまだ考えなくてよい)
答え
- 「クリボー」3体
最も基本的なリンク召喚法。2つの条件を満たしている。 - 「ハニーボット」1体と「クリボー」1体
"LINK-2"の「ハニーボット」を2体分とすることで"LINK-3"の条件を満たし、"効果モンスター2体以上"の条件も満たしている。 - 「ハニーボット」2体と「クリボー」1体
2体の「ハニーボット」の"LINK-2"の数を無視すれば、これでも条件を満たせる。問題の条件にはないが、「ハニーボット」3体で出すことも可能。 - 「ハニーボット」1体と「クリボー」2体
3と同じく、"LINK-2"の数を無視すればこれでもよい。 - 「ハニーボット」2体
1体の「ハニーボット」は"LINK-2"で2体分として扱い、もう1体の「ハニーボット」は"LINK-2"を無視するとこんな組み合わせもできる。
以上がリンク召喚の概要である。しかし、リンクモンスターにはまだ特別な要素があり、以降はその説明をしていく。
エクストラモンスターゾーンとは
リンクモンスターを説明する前に、先ほど後回しにしてしまったエクストラモンスターゾーン(EXモンスターゾーン)について取り上げる。リンクモンスターと同時に導入された概念であり、深い関係がある。
新マスタールールにおけるデュエルフィールド
まず、今(新マスタールール)のデュエルフィールドは以下のようになっている。
デッキ | 魔法&罠 (兼ペンデュラム) |
魔法&罠 | 魔法&罠 | 魔法&罠 | 魔法&罠 (兼ペンデュラム) |
EXデッキ |
墓地 | メイン | メイン | メイン | メイン | メイン | フィールド |
EX | EX | |||||
フィールド | メイン | メイン | メイン | メイン | メイン | 墓地 |
EXデッキ | 魔法&罠 (兼ペンデュラム) |
魔法&罠 | 魔法&罠 | 魔法&罠 | 魔法&罠 (兼ペンデュラム) |
デッキ |
※名前が長いので上では省略したが、メインとは「メインモンスターゾーン」のこと、EXとは「エクストラモンスターゾーン」のことである。
背景が白い下側2行を自分フィールドとして、背景が灰色の上側2行は相手フィールドである。この場所はそれぞれ自分・相手が扱うカードを置く場所である。
エクストラモンスターゾーンはそれらと違い、カードが置かれる前はどちらが使うかを決められていない。モンスターを置くことで初めて置いたプレイヤーのフィールドとして扱われる。
メインモンスターゾーンとエクストラモンスターゾーン
そしてここで注目するのがメインモンスターゾーンとエクストラモンスターゾーンである。
大雑把に言えば、エクストラモンスターゾーンはエクストラデッキから出すモンスターを置くための場所、メインモンスターゾーンはそれ以外の場所から出すモンスターを置くための場所である。
エクストラデッキに入るモンスターは融合モンスター、シンクロモンスター、エクシーズモンスター、リンクモンスター、そしてペンデュラムモンスターである(ペンデュラムモンスターはちょっと特殊)。
どこにモンスターを置けばよいか
実際のカードを例に出して考えてみる(リンクマーカーはまだ考えない)。
手札にある「ビットロン」(レベル2の通常モンスター)を召喚したい。この場合、フィールドゾーンと墓地の間に挟まれた5か所のメインモンスターゾーンのいずれかに置かなければならない。エクストラモンスターゾーンに置いてはいけない。
墓地にある「ビットロン」を通常魔法カード「死者蘇生」を使って特殊召喚したい。この場合も置く場所はメインモンスターゾーンである。除外されていたり、デッキにあったりする「ビットロン」を特殊召喚する場合もやはりメインモンスターゾーンに置かなければならない。
「カオス・ソルジャー」を手札から儀式召喚したい場合も置くのはメインモンスターゾーンであり、「デーモンの召喚」をアドバンス召喚したい場合も置くのはメインモンスターゾーンである。
次に、「スターダスト・ドラゴン」(レベル8のシンクロモンスター)をエクストラデッキからシンクロ召喚したい。チューナーとチューナー以外のモンスターをレベルの合計が8になるようにシンクロ素材として墓地へ送り、シンクロ召喚するわけだが、このとき「スターダスト・ドラゴン」は自分と相手のフィールドに挟まれた2か所のエクストラモンスターゾーンのどちらかに置かなければならない。
「No.39 希望皇ホープ」(ランク4のエクシーズモンスター)をエクストラデッキからエクシーズ召喚する場合、レベル4モンスター2体を重ねてエクシーズ素材とし、その上に「No.39 希望皇ホープ」を重ねてエクシーズ召喚するわけだが、この時の素材にしたいモンスターがたとえメインモンスターゾーンに置いてあったとしても、素材にするモンスターはエクストラモンスターゾーンに置き、その上から「No.39 希望皇ホープ」を重ねてエクシーズ召喚する。
「CNo.39 希望皇ホープレイ」をメインモンスターゾーンにある「No.39 希望皇ホープ」の上に重ねてエクシーズ召喚したい場合も、まずメインモンスターゾーンの「No.39 希望皇ホープ」をエクストラモンスターゾーンに置き、そこに「CNo.39 希望皇ホープレイ」を重ねなければならない。
融合モンスターの「青眼の究極竜」をエクストラデッキから融合召喚する場合もやはりエクストラモンスターゾーンに置かなければならない。
ちょっと特殊な例その1(ペンデュラム召喚)
ペンデュラム召喚の場合はちょっとややこしい。
手札にある「ビットロン」をペンデュラム召喚したい。この場合は迷うことなくメインモンスターゾーンに置けばよい。
次に、手札にある「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」(レベル7のペンデュラムモンスター)をペンデュラム召喚したい。この場合もやはりメインモンスターゾーンに置く。
ペンデュラムモンスターには、フィールドから墓地へ送られる場合、エクストラデッキに表側表示で送られ、以後エクストラデッキからペンデュラム召喚できるようになるというルールがある。そして、エクストラデッキにある「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」をペンデュラム召喚したい。この場合は、エクストラモンスターゾーンに置く。
ペンデュラムモンスターの場合、どこからペンデュラム召喚するかによって置く場所が変わってしまう。基本は「エクストラデッキからの特殊召喚はエクストラモンスターゾーン」である。
ちょっと特殊な例その2(リンクモンスター等の墓地からの特殊召喚)
せっかくエクストラモンスターゾーンにリンク召喚した「デコード・トーカー」だが、相手に破壊されてしまった。さて、これを「死者蘇生」で墓地から特殊召喚したい。この場合、この「デコード・トーカー」はメインモンスターゾーンに置く。エクストラモンスターゾーンに置いてはいけない。
融合モンスターやシンクロモンスター、エクシーズモンスターでも同じである。もちろんペンデュラムモンスターも。
ちょっと特殊な例その3(エクストラデッキからの正規の方法以外による特殊召喚)
融合モンスター、シンクロモンスター、エクシーズモンスター、ペンデュラムモンスター、リンクモンスターはそれぞれエクストラデッキから特殊召喚する正式な方法というものが存在する(それぞれ融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚、ペンデュラム召喚、リンク召喚)。しかし、中にはこれを無視してエクストラデッキからモンスターを特殊召喚してしまうカードも存在する。
エクストラデッキから「スターダスト・ドラゴン」を特殊召喚できる通常罠カード「スターライト・ロード」を使って「スターダスト・ドラゴン」を特殊召喚したい。この場合、この「スターダスト・ドラゴン」はエクストラモンスターゾーンに置く。
繰り返しだが、基本は「エクストラデッキからの特殊召喚はエクストラモンスターゾーン」である。
ちょっと特殊な例その4(コントロールを奪われたり、一時除外された場合)
エクストラモンスターゾーンの「デコード・トーカー」が、相手の使った通常魔法カード「精神操作」によってコントロールを奪われてしまった(相手フィールドのカードとして扱われるようになってしまった)。コントロールを奪われたカードは自分フィールドから相手フィールドに移動させなければならないのだが、この時、「デコード・トーカー」は相手のメインモンスターゾーンに置く。決してその場でくるっと180°回転させるわけではない。
さて、「精神操作」で奪われたモンスターはエンドフェイズになると自分の下に帰ってくるが、この時、「デコード・トーカー」は元々置いてあったエクストラモンスターゾーンではなく、空いている自分のメインモンスターゾーンに置かなければならない。
また、通常罠カード「亜空間物質転送装置」は、自分モンスター1体をエンドフェイズまで除外するという効果を持つ。これで「デコード・トーカー」を除外した場合、エンドフェイズに自分フィールドに戻さなければならないが、この時戻す場所はメインモンスターゾーンである。
まとめると、一度でもエクストラモンスターゾーンから移動してしまったカードは、もうエクストラモンスターゾーンには戻れないということである。
エクストラモンスターゾーンの使い方
ここまでメインモンスターゾーンとエクストラモンスターゾーンの違いを確認したが、今度はエクストラモンスターゾーンの性質について確認していこう。
エクストラモンスターゾーンは自分・相手フィールドの間に2つ存在する。エクストラデッキからの特殊召喚の際はここにモンスターを置くが、右と左のどちらに置くかは出す側が自由に決めてよい。
しかし、一人のプレイヤーが置けるのは原則としてどちらか一つだけである。たとえば、自分が右側のエクストラモンスターゾーンに「デコード・トーカー」をリンク召喚したとすると、さらに左側のエクストラモンスターゾーンに「スターダスト・ドラゴン」をシンクロ召喚することはできない。空いた左側は相手しか使えない。
では片方のエクストラモンスターゾーンを使ってしまうとそれ以上エクストラデッキからの特殊召喚ができなくなるのか。そうではない。ここでリンクモンスターが重要になってくる。
ちなみに、「デコード・トーカー」がメインモンスターゾーンにいるならば、エクストラモンスターゾーンに「スターダスト・ドラゴン」を問題なくシンクロ召喚できる。問題となるのは今現在エクストラモンスターゾーンを使っているか否かである。
また、エクストラモンスターゾーンに出したモンスターを素材にして新たなモンスターをエクストラデッキから特殊召喚するならば、エクストラモンスターゾーンが空くため、問題なく出すことができる。
ここまでのまとめ
- モンスターを出す場所にはメインモンスターゾーンとエクストラモンスターゾーンの2種類がある。
- メインモンスターゾーンには、手札、デッキ、墓地などエクストラデッキ以外の場所から出すモンスターを置く。
- エクストラモンスターゾーンには、エクストラデッキから出すモンスターを置く。
- エクストラモンスターゾーンからモンスターが移動する場合、メインモンスターゾーンに置かれ、エクストラモンスターゾーンへは戻らない。
- エクストラモンスターゾーンは2つあり、空いている限りどちらを使うかは自由だが、原則として一方を使っている間はもう一方を使うことができない。
リンクマーカーとリンク状態、エクストラリンク
リンクマーカーとエクストラモンスターゾーン
改めてリンクモンスターである「デコード・トーカー」を見てみよう(公式データベース)。カードイラストの周囲に三角形のマークがあることが確認できる。特に赤色で示されているものが上、左下、右下の3つあり、これを"リンクマーカー"という。
ここでLINK-○のもう一つの意味が分かる。○の数はリンクマーカーの数を表わしているのである。"LINK-2"の「ハニーボット」を見てみる(公式データベース)と、左と右の2つあることがわかる。
そしてリンクマーカーには重要な意味がある。リンクマーカーの指し示す先(これを"リンク先"という)であれば、メインモンスターゾーンであってもエクストラデッキから出すモンスターを置けるのである。
以下の図ではモンスターゾーン以外の場所と相手フィールドは省略する。
「デコード・トーカー」を右側のエクストラモンスターゾーンに出したとする。この場合、左側のエクストラモンスターゾーンは使えなくってしまう。しかし、以下のように、左下、右下のメインモンスターゾーンにはエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できるのである(デは「デコード・トーカー」)。
上 | ||||||||||||||
× | デ | |||||||||||||
左下 | 右下 | |||||||||||||
× | × | ○ | × | ○ | ||||||||||
さらに、リンク先のメインモンスターゾーンに「ハニーボット」をリンク召喚してみる(ハは「ハニーボット」)。
上 | ||||||||||||||
× | デ | |||||||||||||
左下 | 右下 | |||||||||||||
× | ○ | 左 | ハ | 右 | ○ | ○ | ||||||||
すると、今度は「ハニーボット」のリンク先にあるモンスターゾーンにもエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できるようになった。このように、リンクマーカーを利用することで、本来1体しか出せないエクストラデッキからのモンスターを複数体並べられるようになる。
こうなると、「ハニーボット」の左側にもう1体「デコード・トーカー」を出し、その上にあるエクストラモンスターゾーンにさらにモンスターを出したいところだが、さすがにそれはできない。たとえリンクマーカーがエクストラモンスターゾーンに向いていても一度に使えるエクストラモンスターゾーンは1つである。
実は、1人でエクストラモンスターゾーンを両方とも使う方法もあるのだが、それは後述する。
ちなみに、上の状態で「デコード・トーカー」が破壊されてしまい、フィールドに「ハニーボット」しか残っていなくても、「ハニーボット」の左右のリンク先にエクストラデッキからモンスターを特殊召喚することは可能である。
もう一つ、「デコード・トーカー」のリンク先は上にも向いている。上に向いた先に自分がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚するというのは不可能だが、相手はこの場所にエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できてしまう。
ここで、「ハニーボット」を出した後に「クリボー」3体で「デコード・トーカー」を出す話を考えてみる。「ハニーボット」のリンクマーカーは左と右なので、エクストラモンスターゾーンに出すとどこにもリンク先がない。そのため、この状態で「クリボー」3体からリンク召喚することはできないのである。この状態で「デコード・トーカー」のリンク召喚を行いたい場合、「ハニーボット」をリンク素材に含めることでエクストラモンスターゾーンを空けなければならない。
もちろん、ほかにリンクモンスターが存在してリンク先のモンスターゾーンが空いている、あるいは「ハニーボット」がメインモンスターゾーンにあってエクストラモンスターゾーンが空いているならば話は別である。
リンク状態
あるモンスターについて、リンクマーカーの先にモンスターがいる、または1つ以上のリンクマーカーがモンスターに向いている状態ならば、そのモンスターはリンク状態である。
言葉ではわかりにくいので、図にしてみる。「デコード・トーカー」(デ)と「ハニーボット」(ハ1)を先ほどのように出した状態で、2体目の「ハニーボット」(ハ2)、「ビットロン」(ビ)を出したとする(先述したように、墓地からの特殊召喚を使えばこの位置にハ2を出すことは可能)。
上 | ||||||||||||||
デ | ||||||||||||||
左下 | 右下 | |||||||||||||
左 | ハ2 | 右 | 左 | ハ1 | 右 | ビ | ||||||||
さて、この時、リンク状態にあるモンスターは「デコード・トーカー」と1体目の「ハニーボット」と「ビットロン」である。
「デコード・トーカー」は自らのリンクマーカーの先に1体目の「ハニーボット」と「ビットロン」がいるため、1体目の「ハニーボット」は「デコード・トーカー」のリンクマーカーが向いているため、「ビットロン」も同じく「デコード・トーカー」のリンクマーカーが向いているためである。2体目の「ハニーボット」はどこからもリンクマーカーが向いておらず、リンクマーカーの先にモンスターもいないため、リンク状態ではない。
リンク状態になること自体に特別の意味はないが、カードによってはリンク状態にあるモンスターが効果に関わってくることもある。
相互リンク
リンク状態の中でも、リンクマーカーがお互いに向き合っている状態を相互リンクと呼ぶ。
先ほどの2体の「ハニーボット」がいる状態で、さらに3体目の「ハニーボット」(ハ3)を2体の間に出してみよう。2体がリンクマーカーを向けているので、素材さえそろえば問題なく出せる。
上 | ||||||||||||||
デ | ||||||||||||||
左下 | 右下 | |||||||||||||
左 | ハ2 | 右 | 左 | ハ3 | 右 | 左 | ハ1 | 右 | ||||||
さて、この時ハ1とハ3、ハ2とハ3が互いにリンクマーカーを向けあっている。この状態が相互リンクである。ハ2はハ3と相互リンクしており、ハ1はハ3と相互リンクしている。ハ3はハ2、ハ1と相互リンクしている。「デコード・トーカー」は一方的にリンクマーカーを向けているだけなので、どことも相互リンクしていない。
相互リンクは性質上、リンクモンスター同士でしか成立しない。相互リンクしていること自体に特別な意味はないが、カードによっては相互リンクが効果に関わることもあるほか、次に説明するエクストラリンクを成立させる要因となる。
エクストラリンク
2つのエクストラモンスターゾーンにあるリンクモンスターが、メインモンスターゾーンのリンクモンスターを通じてすべて相互リンクでつながっている状態をエクストラリンクと呼ぶ。
「デコード・トーカー」と「ハニーボット」ではこの状態を説明できないので、ここでは1~5までの番号を振った架空のリンクモンスターを使う(これ以上例示するカードを増やしたくない)。
5 | 1 | |||||||||||||
下 | 下 | |||||||||||||
上 | 上 | |||||||||||||
4 | 右 | 左 | 3 | 右 | 左 | 2 | ||||||||
この時、1と2は相互リンクにある。2と3は相互リンクにある。3と4は相互リンクにある。4と5は相互リンクにある。このようにして、一方のエクストラモンスターゾーンにあるリンクモンスターから相互リンクをたどっていくことで、もう一方のエクストラモンスターゾーンにたどり着ける状態がエクストラリンクである。
そして、エクストラリンクで重要なのは、エクストラリンクが成立する場合に限り、一人で2つのエクストラモンスターゾーンにリンクモンスターを出せることである。上記の例では、1~4までのモンスターを出した状態ならば、5の位置に下方向のリンクマーカーを持ったリンクモンスターが出せるのである。
ただし、出せるのはエクストラリンクが成立するような出し方の場合のみであり、上記の例ならば、5の位置に下方向のリンクマーカーを持たない「デコード・トーカー」を出すことはできない。当然、リンクモンスター以外のモンスターを出すこともできない。
この状態を成立させると、相手フィールドにリンクマーカーが向いていない限り、相手はエクストラデッキからの特殊召喚が基本的に不可能になる。
ちなみに、1~4まで並べた状態でも、5の位置のエクストラモンスターゾーンが空いているならば、相手はそこにモンスターを出せる。
上の例では上下左右のみを使ってエクストラリンクを示したが、1に左下、3に右上および左上、5に右下のリンクマーカーを持つリンクモンスターを置けば、3体でエクストラリンクを成立させられる。
ここまでのまとめ
- リンクモンスターは自身のLINK-○の数だけリンクマーカーを持っている。
- リンクマーカーの向く方向にあるメインモンスターゾーンには、エクストラデッキからモンスターの特殊召喚ができる。
- リンクマーカーをほかのモンスターに向けている、または向けられている状態をリンク状態という。
- リンクマーカーをお互いに向けあっている状態を相互リンクという。
- 一方のエクストラモンスターゾーンからもう一方のエクストラモンスターゾーンまで、相互リンクでモンスターがつながっている状態をエクストラリンクという。
- エクストラリンクを成立させられる場合に限り、一人のプレイヤーが両方のエクストラモンスターゾーンを使用することができる。
以上がリンクマーカーの性質である。これがリンクモンスターの一番の特徴である。
リンクモンスターのその他の性質
三度「デコード・トーカー」を見てみる(公式データベース)。今までのモンスター(たとえば「ブラック・マジシャン」(公式データベース))と見比べると、レベル表示と守備力がないことがわかる。
リンクモンスターはレベルが存在せず、当然ランクも持っていない。そのため、レベル、ランクに関する効果は受けず、レベルを参照する儀式召喚のリリース、シンクロ召喚の素材、エクシーズ召喚の素材にすることもできない。
さらに、守備力も存在しないため、リンクモンスターは守備表示にできず、表示形式を変更する効果や守備力のみを変動させる効果の対象にできない。
リンク素材にできるモンスター
リンク素材となったモンスターは墓地へ送られるが、ルール上フィールドから墓地へ送れないトークンやペンデュラムモンスターを素材としてリンク召喚することも可能である(シンクロ素材と同じ扱い)。
ここまで、リンク召喚やリンクモンスターの様々な性質について触れてきたが、特殊な性質を多く持っており、少々とっつきにくい(過去の召喚法も少なからず特殊な要素は持っていたが)。さらに、基本的に追加という形で導入され、ほかのカードに直接的な影響を及ぼさなかった過去の召喚法と違い、エクストラモンスターゾーンやリンクマーカーという形で既存の召喚法に強く影響しており、リンク召喚の登場以前から存在したデッキのほぼすべてが何らかの形で影響を受けることになる。
現在に続くルールが確立した新エキスパートルール以来と言えるほどの大規模なルール改定であり(マスタールール4ではなく新マスタールールとしたのもそのためか)、OCGプレイヤーへの衝撃は大きい。
遊☆戯☆王ヴレインズにおいて
アニメではVRAINSより新たに登場した召喚法。基本的なルールはOCGと同様。
作中ではある程度普及した召喚法であるらしく、第2話のハノイの騎士は遊作がリンクモンスターを使ったことに驚いていたが、リンクモンスターの存在自体には驚いていなかった。また、第4話ではGo鬼塚が特に入手経路の説明もなくリンクモンスターを使用している。
召喚の際の共通した口上は「現れろ、(キャラ固有の言葉)サーキット!アローヘッド確認。召喚条件は(素材指定)。(一人称)は(素材にするモンスター名)をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!リンク召喚!現れろ、(リンクモンスター名)!」。
スピードデュエルでのリンク召喚の際は、「現れろ、…サーキット!」という口上とともに上空にリンクモンスターのイラストの枠(リンクマーカーを示す三角形が描かれている部分)のようなゲートが現れ、その中にデュエリストと素材モンスターが飛び込む。ゲート内の空間で素材モンスターが出したいリンクモンスターのリンクマーカーとなる部分に吸い込まれ、リンクモンスターが出現。その後、元の空間のコース上にゲートが現れ、デュエリストとリンクモンスターが戻ってくる。
何度も連続でリンク召喚される際などは、演出や口上が一部省略されることもある。
関連動画
関連項目
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- 0pt