ルイ・アームストロング(Louis Daniel Armstrong)は、アフリカ系アメリカ人ジャズトランペット奏者、ジャズシンガーである。サッチモ(Satchmo)の愛称で知られる。
概要
ジャズ黄金時代を語る上で外せない人物の一人。ジャズ・フィーリングの革新のみならず、新しいトランペット奏法や独自の和音解釈、スキャット唱法の創始など、アメリカ合衆国ひいては世界のポピュラー音楽に影響を与えた。
トランペット奏者のほかジャズ・ボーカルのパイオニアとしても知られ、その独特のしゃがれ声は印象的。なお彼の生み出したトランペットの新しい奏法には、グロウル(呻るように演奏すること)、シェイク(音を激しく上下させること)、ベンド(音を無理やり曲げること)など非常にボーカル的なものが多い。
代表曲は『この素晴らしき世界(What a Wonderful World)』『ハロー・ドーリー』など。
音楽活動以外に『グレン・ミラー物語』(1954)、『上流社会』(1956)、『五つの銅貨』(1959)、『ハロー・ドーリー』(1969)などの映画にも出演(主に「本人」役)。そのエンターテイナーぶりを発揮している。
来歴
1901年、ジャズ発祥の地ニューオーリンズの貧民街に生まれる。13歳のときに路上で銃を発砲、入れられた少年院の楽団でコルネット(トランペットに類似した楽器)に出会う。少年院を出てからは地元のキャバレーやパレードで演奏、そこで「キング・オブ・ジャズ」ジョー・キング・オリバーの目に留まり、手ほどきを受ける。
1923年、キング・オリバーに呼ばれシカゴの彼の楽団に参加し、二番奏者として活躍する。この楽団でピアノ奏者リル・ハーディンと出会い結婚。「二番奏者にしておくにはもったいない」と感じた彼女の薦めにより、キング・オリバー楽団を抜けてニューヨークの一流バンド「フレッチャー・ヘンダーソン楽団」にソロ奏者として参加。ニューオーリンズ・ジャズの要素をNYジャズ界に持ち込み、後のスウィング・ジャズ黄金時代の基礎を築く。
1925年、シカゴに戻りリル・ハーディンらと「ホット5」を結成。翌年楽器をコルネットからより華やかな音色と高音域を持つトランペットに変更する。またこの頃録音された「ヒービー・ジービーズ」は音楽史上初めて録音されたスキャット曲といわれる。
1929年にはビッグバンドを結成。翌年、禁酒法廃止で勢いを失うシカゴからニューヨークに拠点を移す。1930年代にはヨーロッパツアー、第二次大戦中には慰問演奏などもおこなうが、1940年代後半頃からはビッグ・バンドの需要が減少。小規模バンドでの活動を増やしていく。
その後のジャズの更なる革新、ポップス音楽の隆盛といった流れの中、サッチモの音楽はオールドスタイルとなっていくが、『バラ色の人生』『ハロー・ドーリー』などサッチモはヒットを出し続けた。1967年、『この素晴らしき世界(What a Wonderful World)』は世界的なヒット作となった。なおこの頃のサッチモは体力の衰えから、体力を必要とするトランペット演奏から歌手活動へとその重点をうつしていた。
そののち脳梗塞で倒れ入院。退院後すぐラスベガスのホテルで3週間演奏をおこなうも、最後の演奏終了後バンドメンバーに「もう演奏できない」と最後の言葉を残し、その7週間後の1971年7月6日、逝去。
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