ルグロリュー(Le Glorieux)は、1984年生まれのフランスの元競走馬・元種牡馬。
世界中を飛び回り、1年でGI3勝を含む重賞5勝の成績を残した第7回ジャパンカップ優勝馬。
概要
父Cure the Blues(キュアザブルース)、母La Mirande(ラミランド)、母父Le Fabuleux(ルファビュルー)という血統のイギリス産馬。ドイツの実業家の所有馬として、フランスのロベール・コレ調教師に預託された。2歳8月に迎えたデビュー戦では後の凱旋門賞馬Trempolinoに4馬身差を付けられて2着に敗れ、これでケチが付いたのかそこから6連敗を喫した後、12月に使われた2000m戦でようやく勝ち上がった。
3歳時も始動戦から2連敗を喫したが、馬主の地元ドイツに遠征すると単勝1倍台に支持され、その支持に応えてシュタイゲンベルガーホテル大賞(GIII)・ヘルティー国際大賞(GII)を連勝した。しかしフランスへ戻って出走したジョッケクルブ賞(仏ダービー)ではデビューから無傷の3連勝を決めた*ナトルーンの11着に敗れてしまった。
この後は各国を転戦することとなり、まずは再びドイツに遠征。その初戦となったベルリン大賞(GI・2400m)を短頭差で勝利してGI初勝利を決めた。続くバーデン大賞(GI・2400m)こそGI6勝馬Acatenangoの4着に敗れたものの、続戦したオイロパ賞(GI・2400m)では勝ったKamirosから短頭差の2着に入り、8着に敗退したAcatenangoに先着した。
このレースを最後にルグロリューはドイツを離れ、次の戦場をアメリカに定めた。そしてオイロパ賞から1ヶ月後のマンノウォーS(GI・11ハロン)に出走したが、ここではこの年に入ってGI4勝を挙げていたTheatricalに一蹴され2着。しかし連闘で出走したワシントンDC国際S(GI・10ハロン)ではブリーダーズカップ・ターフ創設によってTheatricalらの一線級が軒並み同競走を選んだこともあり、クビ差で勝利した。
その後は1ヶ月後のジャパンカップへ向けて渡日。日本側のGI馬が6歳のオークス馬トウカイローマン1頭だけという小粒なメンバーだったこともあって海外勢が注目を集めたが、その中でも目玉だったのは前哨戦の富士Sを物凄い脚でぶっこ抜いたGI8勝の鉄の女トリプティク(仏)で、同馬が単勝1.8倍の圧倒的人気となり、前年のセントレジャー・当年のサンクルー大賞を勝った*ムーンマッドネス(英)が単勝3.6倍でこれに続いた。ルグロリューは単勝8.6倍の3番人気で、前年のジュピターアイランドと同じクライヴ・ブリテン師が管理する当年のセントレジャー2着馬マウンテンキングダム(英)が4番人気(8.9倍)となり、この4頭が単勝オッズ10倍を切る人気となった。
スタートが切られると一旦レジェンドテイオーが先手を取ったものの、向こう正面手前でこれを交わした*ムーンマッドネスが大きくリードを取って逃げ、ルグロリューはそれを番手から追走する展開となった。3角で馬群が凝縮しても*ムーンマッドネスは先頭を譲らず、そのまま直線へ入ったが、残り300mくらいのところで*ムーンマッドネスは流石に厳しくなり、ルグロリューはこれを交わして一気に先頭へ。後ろではトリプティクの前が壁になる中、中団から伸びた米GI2勝馬サウスジェットと最後方グループから伸びたダイナアクトレスが一気に飛んできたが、ルグロリューは先頭を譲らないまま3/4馬身差で勝利。勝ち時計2分24秒9は前年にジュピターアイランドが記録したレコードを更に0.1秒縮めるレコードだった。2年後に2秒以上縮められたけど。
3歳時はこのレースを最後に休養に入り、この年のドイツ最優秀3歳牡馬となった。翌年も現役を続行したが、オーストラリアでタンクレッドS(GI・2400m)に出走し、ここで5着に敗れたのを最後に引退した。
種牡馬入りしたルグロリューはフランスで繋養されたが、重賞馬を数頭出すにとどまった。種牡馬引退後は馬主がフランスに所有している牧場で余生を送り、2010年8月に死亡した。その死後、母父として輩出したBig Buck'sが2009~12年のワールドハードル(現:ステイヤーズハードル)4連覇を含む英ハードルGI9勝の活躍を挙げている。
ちなみにルグロリューは華奢な馬で、ジャパンカップ出走時の馬体重はなんと410kgしかなかった。歴代JC勝ち馬では2006年のディープインパクト(436kg)を上回る歴代最軽量の勝ち馬であり、出走馬全体でも歴代3位の軽さである。このレースで2番目に軽かった牝馬のコックニーラス(450kg)と比べても40kgもの差があることからも、本馬は相当小柄な部類に入ると言える。
血統表
Cure the Blues 1978 鹿毛 |
Stop the Music 1970 鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Bebopper | Tom Fool | ||
Bebop | |||
Quick Cure 1971 栗毛 |
Dr. Fager | Rough'n Tumble | |
Aspidistra | |||
Speedwell | Bold Ruler | ||
Imperatrice | |||
La Mirande 1972 鹿毛 FNo.11-d |
Le Fabuleux 1961 栗毛 |
Wild Risk | Rialto |
Wild Violet | |||
Anguar | Verso | ||
La Rochelle | |||
La Magnanarelle 1961 鹿毛 |
Herbager | Vandale | |
Flagette | |||
La Malaguena | Migoli | ||
La Mirambule | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Variette=Vanille 5×5(6.25%)
- 父Cure the Bluesはローレルフューチュリティ(GI)を含めて2歳時は5戦無敗だったが、3歳初戦を勝って以降は4連敗を喫してそのまま引退した。種牡馬としても仕上がり早の馬が多く出ている。メジャーな日本馬ではマイルCSを勝ったエーシンフォワードの母父に名前を見ることができる。
- 母La Mirandeは重賞未勝利だが、その3代母La Mirambuleはヴェルメイユ賞1着、1000ギニー・ディアヌ賞(仏オークス)・凱旋門賞2着の実績がある。同じ牝系にはキングジョージVI世&クイーンエリザベスSを勝ったNasram、凱旋門賞馬Sagamixなどがいる。
- 母父Le Fabuleuxはジョッケクルブ賞などの勝ち馬。種牡馬としても仏リーディングサイアーに輝くなど活躍し、母父としてもUnbridledやフジキセキなどを輩出している。
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関連項目
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