『ルパン三世 ルパンVS複製人間』とは、1978年公開の映画である。
映画の題名としては『ルパン三世』のみであったが、ソフト化の際に区別のため、サブタイトルがつけられた(厳密には、ポスターにも「ルパン対クローン」の表記は存在している)。
相変わらず概要書いてんなぁとっつぁん
モンキー・パンチ原作の『ルパン三世』における(TV・映画通じて)最初の長編アニメ作品。
サブタイトルの「ルパンVS複製人間」はVHSビデオ化の際についたが、なかなか定着せず、90年代半ばに入っても放送時の新聞ラテ欄には「ルパン三世(劇場版)」などと記されることもあった。山田康雄の追悼本でも「ルパン三世(マモー編)」と表記されている。現在のサブタイトルがある程度定着したのはDVD化された21世紀に入ってからのことである。
また、サブタイトルの読みも「ルパンたいクローン」か「ルパンたいふくせいにんげん」と読むかで分かれており、テレビ放送時には後者で読まれることもあるため、どちらの読みでも間違いではない。2016年10月14日の金曜ロードSHOW!で放送された予告では「たいクローン」と読まれていた。
1978年当時、ルパンシリーズは人気の面でも絶頂を迎えており、テレビシリーズも2作目に突入し、視聴率も好調なことから待望の映画化となった。
映画のポスターは原作者書き下ろしのものと後のDVDジャケットになったものの2種類が存在する。
特報などで、当時のファミリー路線の第2期シリーズではなく初期ハードボイルド路線に近づけることを宣言し、ルパンの愛車はメルセデス・ベンツSSK、ジャケットは赤、ネクタイは黄色と1stと2ndを足して2で割ったような設定になった(実は、この山田康雄版赤ジャケルパンの映画はこの作品だけだったりする)。
また、音楽はおなじみの大野雄二氏が担当し、配役は第2期、脚本などの主要スタッフは第1期のものとシリーズの良いとこ取りとも言えるキャストで作られている。
オープニングテーマはおなじみ「ルパン三世のテーマ」で、この作品ではテレビでも使われた'79バージョンが使われている。実は、山田康雄時代の映画で「ルパン三世のテーマ」がオープニングとなっているのは本作だけで、その後「ルパン三世 くたばれノストラダムス」まで、ルパン映画で「ルパン三世のテーマ」がオープニングを飾ることは一度も無かった。
エンディングは三波春夫の歌う「ルパン音頭」。シリアスなテーマの作品内容に対してコミカルなEDだが、そのギャップからか意外と好評である。
本作のヴィランとなるマモーには2代目水戸黄門でおなじみの西村晃を起用。その独特の怪演ぶりは彼の死後もなお語り草になるほどで、アニメ出演が少ない西村氏の代表的な吹き替え役としても知られている。
ゲストキャラクターの配役も豪華で、エジプト警察署長には主題歌も担当した歌手の三波春夫、アメリカ大統領は漫画家赤塚不二夫、ソ連書記長には小説家や漫画原作者(「巨人の星」「あしたのジョー」「タイガーマスク」など)として活躍した梶原一騎が起用された。三波春夫は言われなければ気付かないほどの演技力だったが、漫画家コンビは正直棒読(ry
本作の内容は、「賢者の石」を巡るルパンとマモーの壮絶な頭脳戦・肉弾戦が描かれるほか、中盤からは「ルパンの夢」がテーマとなり、最終的に両者は「自分自身であるため」に対決することとなる。
「カリオストロの城」と同じくTVで何度も放送されているが、TV放送時には重要な部分が大きくカットされるため、「カリオストロ」に比べると不当に評価が低く扱われることも多い。しかし原作ファンやコアなルパンマニアからは「本作こそ真のルパン三世映画だ」と称賛する声も少なくない。
2017年9月1日から15日の期間限定で、「ルパン三世生誕50周年」を記念してルパン史上初の4Kリマスター化を施し、MX4D版として初公開から39年ぶりに劇場で再公開された。
2019年4月19日には、同月に亡くなった原作者のモンキー・パンチ追悼のため、金曜ロードSHOW!で急きょ放送されることになった。
あらすじ
一人の男が処刑階段を登り、絞首刑にされるシーンでこの映画は始まる。
検死報告
司法解剖ハ精密カツ厳正ヲキワメ
当受刑者ガ ルパン 本人デアル
コトハ疑イナイ事実デアル。
だ が
それを信じようとしない男がいた・・・
当然銭形警部は過去の経験からルパンが死ぬはずがないと彼の埋葬された墓地へと向かい、遺体を確かめる。
棺おけに入ったルパンにとどめを刺したその時、死体は大爆発を起こし、何処からともなくあの「んふふふ」という特徴的な笑い声が聞こえるのだった。
驚嘆する銭形だったが、ルパン自身も自分が死んだと聞き、それを確かめに来たのであった。
銭形を軽くあしらうとルパンはそのまま逃亡。しかし、ルパンが生きていたと知った銭形は「貴様の骨にこの手で戒名を刻む」と、改めてルパン逮捕を誓い、開戦の砲を放つのであった。
その後、ルパン一味はエジプトのファラオの墓から伝説の賢者の石を盗み出す。
不二子の依頼とあって、次元や五ェ門は乗り気ではなかったが、これを機に「神」を名乗る謎の怪人物・マモーから付け狙われることになる。
アジトを壊滅させられ、どこまで逃げても無駄だと警告するマモーの執拗な攻撃と、ルパンの不二子に対するふざけた態度に次元と五ェ門は愛想を尽かし、ついにはルパン一味離散となってしまう(シリーズを通じ、一味をこのような形で別れさせたのは、実はマモーだけだったりする)。
不二子に騙されたルパンはマモーの住むカリブの島に連れ去られてしまうが、ここでルパンはマモーの正体が自らをコピーし続けたクローンであることを突き止める。
なんとか島を脱出したのも束の間、再びルパン一味を襲ったマモーは不二子を連れ去り、ルパンに「自分が本当にルパン三世かよく考えてみろ」と言い残すと巨大な地震を起こして去っていった。
しかしルパンは「これまでマモーのやってきたことは全て科学で説明が付く」と次元を諭すと、一人でマモーの本拠地へと乗り込むと言う。
全力で止める次元だったが、ルパンは「俺は夢を盗まれたから取り返しに行く」と言い残し、マモーの掘り起こした古代遺跡へと向かって行った。
ここに至り、ついにマモーも世界を滅ぼすことを画策する。
果たしてルパンはこの史上最強の敵=「神」に勝つことが出来るのか?
そしてマモーの本当の正体とは?
登場人物
- ルパン三世
- 世界的な大泥棒。冒頭で死亡したはずだと語られるが、本人ですらそのことは知らなかった。
- かつてない強敵を前に夢を盗まれ、自分がルパン三世自身であることを確かめるためにマモーと戦う。
- 次元大介
- ルパンの相棒で射撃の名手。バトルシーンは少なめだが、ここぞというところで活躍しマモーの最初のクローンを見事倒している。
- この作品で、マリリン・モンローとハンフリー・ボガードのファンだったことが発覚。
- 石川五ェ門
- ルパンとはライバル的な関係にある寡黙な侍。「他人にルパンを殺させたくない」とは彼の弁。
- 近年の作品とは異なり、距離を置きつつもルパンのピンチには駆けつけ、斬鉄剣を振るう剣客として描かれている。
- 後のお約束的な台詞「またつまらんものを斬ったか」はここで初登場(なお、その時斬ったのはヘリのプロペラだった)。
- マモーの部下フリンチとの死闘の果てに斬鉄剣を折られ、戦意を喪失し行方不明になっていたが、クライマックスでリベンジ。ラストシーンでは本編最後のセリフをかっさらっていった。
- 本作に限り、一人称は「私」。
- 銭形警部
- ルパンの宿敵。元々は映画の冒頭で銭形がルパンを逮捕し、死刑執行前のやり取りが描かれた後に彼が寺男となった山寺のシーンに繋がるという予定だったが、そのくだりは全てカットされた(断片的映像が予告編で残っている)。
- ルパンが死んだことを確認するために墓地へ向かうが、彼の生存を確認すると改めてルパン逮捕に命を懸けることを誓うのだった。
- この作品では目つきが全編通して異常でマモーには無関心、ひたすらルパン逮捕にのみ執着している様子が伺える。
- 決して無能ではなく、ルパンが盗み回った品から次の獲物をエジプトと予測したり、僅かな情報からフランス~南米とルパンを追跡、警察官を辞職し個人の資格で彼を追うことになっても、手がかりがほとんど無いにもかかわらずマモーの古代遺跡にまで現れた。ルパンも「見上げたしつこさ」と呆れていた。
- この作品では名前が「平次」になっている(現在の公式設定では「銭形幸一」が本名)。
- 峰不二子
- ルパンを惑わす魔性の女性。
- マモーに「永遠の命を授ける」と誑かされ、ルパンにマモーの欲するものを盗ませていた。
- しかし、実際にはルパンを深く愛していることが伺えるシーンが随所に存在する。
- 劇中ではB地区も披露し、男性諸君を喜ばせた(TVでもカットされない)。
- マモー
- ルパン三世史上最凶の敵との呼び声も高い自称・「神」。
- 「1万年生きた」と称するその身体から様々な超常現象を引き起こす力を持っているとしていた。
- 名前の由来は1stシリーズに登場した魔毛狂介だが、性格はどちらかというとパイカルの方が近い。これらは、脚本担当が「魔術師と呼ばれた男」と同じであることから来ていると思われる。
- また、パイカルが使ったのと同じ空中浮遊トリックを使い、ルパンからは「こんな手には飽き飽きしてる」と言われている。
キャスト
- ルパン三世:山田康雄
- 次元大介:小林清志
- 石川五ェ門:井上真樹夫
- 峰不二子:増山江威子
- 銭形警部:納谷悟朗
- マモー:西村晃
- 警視総監:富田耕生
- スタッキー:大平透
- ゴードン:柴田秀勝
- フリンチ:飯塚昭三
- エジプト警察署長:三波春夫(特別出演)
- 米大統領:赤塚不二夫(特別出演)
- ソ連書記長:梶原一騎(特別出演)
また、つまらん関連動画を観たか
長ぇこと関連リンクと関連項目のファンだったが、今日限りだいっ!
- 映画「ルパン三世 ルパンVS複製人間」 最新技術でよみがえる39年前の傑作 監督だけは「今さらほめられても…」2017.9.4
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