ルベン・ディアス(Rúben Dias, 1997年5月14日 - )とは、ポルトガル出身のサッカー選手である。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティFC所属。サッカーポルトガル代表。
ポジションはDF(センターバック)。183cm87kg。利き足は右足。メディア媒体によっては、ルーベン・ディアスやルベン・ジアスとも表記されている。
経歴
生い立ち
ポルトガルのリスボン県北に位置するアマドーラ出身。家庭環境は中流家庭で、サッカーが盛んな土地柄ということもあり、幼い頃からサッカーに興味を持つ。9歳の頃、エストレラダアマというクラブでキャリアをスタートさせ、加入した当初のポジションはFWだったが、その後攻撃的なセンターバック(CB)として頭角を現すようになる。
ベンフィカ
2008年にポルトガルの名門SLベンフィカの下部組織に加入。ここでメキメキと実力を付けていき、各年代のアンダー代表に呼ばれるなど、将来有望な選手として注目を集める。
2015年には、セカンドチームであるベンフィカBの一員としてポルトガルの2部リーグであるリーガプロに初出場。2016-2017シーズンには28試合出場している。
2017年にはトップチームに昇格し、プリメイラ・リーガでのデビューを果たす。初のトップレベルでのプレーながらもチームの主力として定着するようになり、2017-2018シーズンは24試合に出場し3得点という成績を残している。UEFAチャンピオンズリーグでも2試合に出場。この年のプリメイラ・リーガ最優秀若手選手賞を受賞している。
2018-2019シーズンになると、ベンフィカのディフェンスリーダーとしてすっかり定着。32試合3ゴールという成績を記録し、ベンフィカの37回目のリーグ優勝に大きく貢献。2019-2020シーズンはチームは無冠に終わったものの、プリメイラ・リーガのベストイレブンに選出されている。
マンチェスター・シティ
2020年9月28日、イングランド・プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティFCへ移籍することが発表される。移籍金は6800万ユーロだが、同時に1500万ユーロでニコラス・オタメンディがベンフィカへ移籍しており、実質的にはトレードという形になった。
10月3日のプレミアリーグ第4節リーズ・ユナイテッド戦で新天地でのデビューを果たすと、プレミアリーグのリズムにすぐにフィットし、ジョゼップ・グアルディオラ監督の戦術にも適用し、加入1年目の23歳とは思えない堂々とした振る舞いで、シティのディフェンスリーダーとなる。ヴァンサン・コンパニが退団して以降のシティは守備に不安を抱えていたが、ルベン・ディアスの加入によって20のクリーンシートを達成するなど、ソリッドな守備のチームへと変貌する。2021年に入ってから公式戦13連勝と破竹の勢いを見せるようになったあたりから世界最高レベルのCBという評価を受けるようになり、グアルディオラからの信頼も揺るぎないものとなる。もはやシティに欠かせない選手となり、公式戦46試合に出場し、独走でのプレミアリーグ優勝、EFLカップ優勝、CL準優勝に大きく貢献。この大車輪の活躍が認められ、FWA年間最優秀選手賞、プレミアリーグ最優秀選手賞を受賞。
2021-22シーズンもシティのディフェンスリーダーとして重宝され、前年ほどのセンセーショナルな活躍ではなかったものの、安定したパフォーマンスでシティの守備を固める。加入2年目ながらもキャプテンマークを巻いたこともあり、4バックの人選が頻繁に変わった中でもファーストチョイスであり続け、グアルディオラ監督からの絶対の信頼を寄せられていた。2022年3月にハムストリングを負傷し1か月ほどチームを離れた時期があったが、シティの連覇に貢献。
ポルトガル代表
2013年にポルトガルU-16代表に選出されて以降、各年代のポルトガル代表として主軸を担っており、2016年には飛び級としてU-23代表の一員に選ばれトゥーロン国際大会に出場するなど育成年代からエリートとして育ってきたことがうかがえる。2017年には2017 U-20ワールドカップに出場。ここでも守備の要となり、準々決勝までの5試合のうち4試合に出場している。
フル代表には、2018年3月のチュニジア戦でデビュー。しかし、当時はペペ、ジョゼ・フォンテというベテラン勢のバックアップという位置づけで、2018 FIFAワールドカップのメンバーに選出されたものの、出場機会は訪れなかった。
ロシアW杯後にレギュラーの地位を掴むようになると、UEFAネーションズリーグ 2018-2019では主力としてポルトガル代表の優勝に貢献する。2020年11月17日のネーションズリーグ クロアチア戦において代表初ゴールを記録している。
2021年6月に開催したEURO2020に出場し、全試合にフル出場したものの、グループステージのドイツ戦では4失点を許し、ラウンド16のベルギー戦ではロメル・ルカクとのフィジカルバトルで当たり負けするなどマンチェスター・シティで見せるような絶対的なDFリーダーとしての姿が見られなかった。
2022年11月開催の2022 FIFAワールドカップ・カタール大会ではペペとセンターバックを組みディフェンスリーダーとして出場。グループリーグ第3戦の韓国戦以外の全試合でフル出場したが、準々決勝のモロッコ戦ではユセフ・エン=ネシリの脅威的なジャンプ力の前に競り負けてゴールを決められ、ベスト8敗退となってしまう。
個人成績
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2016-17 | ![]() |
ベンフィカB | リーガプロ | 28 | 0 |
2017-18 | ![]() |
ベンフィカ | プリメーラ | 24 | 3 |
2018-19 | ![]() |
ベンフィカ | プリメーラ | 32 | 3 |
2019-20 | ![]() |
ベンフィカ | プリメーラ | 33 | 2 |
2020-21 | ![]() |
ベンフィカ | プリメーラ | 2 | 1 |
![]() |
マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 32 | 1 | |
2021-22 | ![]() |
マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 29 | 2 |
2022-23 | ![]() |
マンチェスター・シティ | プレミアリーグ |
プレースタイル
現代のCBが求められる全ての要素をハイレベルで持ち合わせているCBである。
恵まれた体格によるフィジカルの強さと抜群の読みによる対人守備の強さは、フィジカルコンタクトが特に激しいプレミアリーグの中でも飛び抜けている。クリーンにボールを奪えるためファウルが少なく、エレガントな守備技術と同時に体を張ったシュートブロックなど泥臭いプレーも見せる。
スピードも水準以上のものを持ち合わせており、カバーできるエリアも広い。かといって無闇に持ち場を離れることもなく、出るときと残るときの判断力も的確。空中戦にも滅法強く、ハイボールを使うチームが多いプレミアリーグの中でもリーグトップクラスの勝率を残している。
足下の技術の高さも魅力であり、CBからのビルドアップにこだわるグアルディオラ監督の厳しい要求を遥かに超えるパス能力、サイドへの蹴り分けをおこなえる。プレミア移籍1年目となった2020-2021シーズンではリーグ1位の93.3%というパス成功率を記録しており、正確なパス能力でシティのビルドアップに安定感をもたらしている。
何事にも物おじしないパーソナリティも大きな魅力であり、シティ加入1年目では23歳という若さながら周りに対して大きな声でコーチングをおこなっており、チームリーダーとしての資質の高さを見せている。普段からのプロ意識の高さにも定評があり、グアルディオラ監督は会見で「彼はあらゆる面でプロフェッショナルだ」と評している。
関連項目
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