ルーラーシップ(Rulership)とは、2007年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。
馬名は「統治者の支配権」などの意味を持つ、若干偉そうな感じ。
オセロお坊ちゃま
父は最強の大王の異名を取るキングカメハメハ、母は90年代最強の女傑エアグルーヴ、母の父*トニービンという超絶良血馬。内国産馬としてはこれ以上を用意するなら父をディープインパクトかアグネスタキオンあたりに差し替えるしかない……と思う。
一口馬主クラブのサンデーレーシングに卸されたのだが、一口450万×40口の総額1億8000万で募集された。パネェ。
2009年の12月、有馬記念の裏開催の阪神でデビュー。3馬身半差を付け圧勝。次走は年明けの若駒ステークスへ。このレース、ディープインパクトの圧勝以来、なんかクラシックの登竜門的性質をさらに強めていたため彼も人気になったのだが、モタモタした隙にヒルノダムールが完全に抜け出し、追い込みも及ばず2着に敗退。
この馬、一歩の飛びが大きく直線で何の妨害もなく走ると驚くほど伸びるのだが、そのかわりコーナーワークなど細かい事がやや不得手という弱点があった。この弱点はこの後も彼を苛むことになる。その後、条件戦を圧勝し毎日杯に挑むがまたもたついて伸び切れず5着。ダービー出走をかけたプリンシパルステークスでは一転しスカッと伸び4馬身ぶっちぎり圧勝。
しかし本番のダービーではクソスローからの究極の上がり勝負となってしまい、一瞬のキレより長く確実に伸びる性質が強い彼の末脚では分が悪かったか5着。その後、体調を立て直すのに時間がかかり、なかなか復帰できずにいたが鳴尾記念でようやく復帰。一番人気のヒルノダムールを完封し重賞初勝利を遂げ、意気揚々と有馬記念へ向かったが6着に敗れてしまう。…ここまでで気づいたかもしれないが、彼の戦績は勝って負けて勝って負けてが綺麗に繰り返されているのである。
馬券買う立場からすると、なかなかにありがたい馬なのかもしれない。
強いんだか弱いんだか
さて、有馬記念後は日経新春杯に向かうとローズキングダムを歯牙にもかけない豪快な走りで重賞2勝目をマーク。適鞍を求めてドバイ遠征を敢行、シーマクラシックへ出走したが6着完敗。不器用。
帰国後、宝塚記念を大目標に据え金鯱賞へ出走。ここではまさかのスタート出遅れをぶちかまし、さらに不良馬場で逃げ馬がまんまとマイペースで逃げ切る態勢だったところに、大外から凄まじい末脚で強襲し、見事差し切り勝ち。不良馬場でこの追い込みは驚愕以外の何物でもなかった。
そのため宝塚記念では打倒ブエナビスタ一番手として二番人気となったが、今回は負ける番であり5着。秋は天皇賞(秋)ぶっつけからスタートする予定だったが、爪の不安で結局有馬記念まで自重。その有馬記念では最速の上がりで突っ込むが4着に敗れ、これで綺麗な勝ち負けのリズムが崩れた…と皆が思った。
2012年はアメリカジョッキークラブカップから始動。不良馬場も物ともしない、飛びの大きさとパワーを両立させた豪脚で圧勝。日経賞でも一番人気に推されたが、勝ち負けのリズムは完全に崩れていなかったかネコパンチににゃー!と逃げ切られ3着。
ここで天皇賞(春)から香港のクイーンエリザベスⅡ世カップに目標をスイッチし香港遠征。このレースではスローペースを巧みに先行し直線に入ると後続をグングン突き放し4馬身差圧勝。2003年エイシンプレストンが連覇を決めて以来の日本馬による戴冠を成し遂げたのであった。
勝ち負けのリズムから考えれば当然の帰結であったが、常識的に考えればなかなかやれない海外でのGⅠ初制覇をしれっとやってのけた。
やっぱり、この馬は大器である…と思う。そして、宝塚記念でオルフェーヴル打倒を目指し出走。僅差の二番人気に推されるが痛恨の出遅れ。 しかし立て直し前々に付け、馬場の良い外から末脚を伸ばすが…荒れた最内から尋常ならざる末脚で突き抜けたオルフェーヴルの前に完敗した。
ただ、出遅れたにも関わらず3着ショウナンマイティ以下は切り捨てており、一流馬の能力は示した。
相手が腐っても三冠を取った金髪の鬼神に相応しい怪物だっただけである。相手が悪いよ相手が!
秋は天皇賞(秋)に直行。ローテが嫌われたのか、フェノーメノがやたら人気していたせいか、鞍上が前週右肩脱臼し、余計買えない騎手になったことが影響したか二番人気となった。
そしてレースでは思いっきり出遅れ。 最速の末脚で追い上げるが、最内を最速タイの末脚で断ち割ったエイシンフラッシュ、前でしぶとく立ち回ったフェノーメノに遅れた三着に敗れた。しかし、天下の不公平コース府中2000で出遅れ、大外を回って直線ゴボウ抜きした様は実力の高さを伺わせるものであった。
次走はジャパンカップ。例によって出遅れる。いい加減スタート練習したほうがいいんじゃないかな…
直線猛烈に追い上げたものの、はるか前で金色のアイツとうら若き乙女によるどつきあいを傍観するしかなかった。またも三着。ミホシンザン先輩がそっち見てるぞ。
ジャパンカップ後は有馬記念へ。極限の仕上げ、念入りにスタート練習をして迎えた一戦は!・うん、もうなんか語るに落ちるレベルのスタートだったので言及しません。動画を見てください。笑っちゃいます。
それでも直線豪脚を全開にしたが、彼以上の無茶苦茶な末脚を二回仕掛けで引き出したゴールドシップが突き抜けるのを傍観する3着に終わった。ミホシンザン先輩が肩を叩いているぞ。
こうして、ミホシンザン以来の秋GⅠオール3着という珍記録は達成されたのだった。しかも3戦連続大出遅れのおまけ付きであった…
なにはともあれ、出遅れても3着には突っ込んでくる辺り能力の高さは見せつけた、と言える。出遅れ芸を見せてスリリングなレースを演出する?あたりエンターティナーとしても一流である。単勝や三連単馬単の軸にした方からしたらたまったもんじゃないが。
2012年シーズンをもって引退。結局、日本ではその余りある才気を十全に発揮することは叶わなかった。
種牡馬としても偶に垣間見える遺伝
サンデーサイレンスを持たない中では間違いなく最高レベルの良血といえる存在であり、種牡馬としての引き合いは生まれた瞬間から約束されていたような存在である。ましてこうも素晴らしい実績を残したとなれば、種牡馬としても成功の可能性は高いと期待されていた。強いていうならば、偉大な父キングカメハメハと思いっきりバッティングすることが大きな不安と言えなくもない…
と思われたが、キンカメは高齢やこれまでの酷使が祟ったか種付け数を絞る事になったため人気がルーラーに集中。通常なら一番凹むと言われる種牡馬生活三年目の2016年にはなんと280頭に種付けを行った。いきなりフルスロットルすぎないかな…
産駒の出来は一年目からずっと評判もよく、2016年にデビューした産駒も次々と勝ち上がり、見事新種牡馬リーディングを獲得。しかし重賞馬は一向に現れずファンが不思議がってたところ、超不良馬場の菊花賞でキセキが快勝。産駒初重賞制覇をクラシックで達成した。2019年には産駒のメールドグラースがオーストラリアG1のコーフィールドカップを制した。
種牡馬リーディングでは2017年:12位→2018年:8位→2019年:5位→2020年:6位→2021年:7位と暫くトップ10入りしている。2019年にはキングカメハメハが死亡したので、後継種牡馬の1頭としてますます期待がかかってい…たのだが同父のロードカナロアが凄い勢いで追いかけてリーディングを抜かしてしまっており、キングカメハメハの後継者争いとしてはロードカナロアに次ぐ2番手に居る。更に現在は早くに世を去りながらもG1馬を複数輩出したドゥラメンテ、ダート方面でも重賞馬を出し始めたホッコータルマエが台頭しているため、しばらくは3番手に居座りそうである。やはりこちらでも相手が悪い…
産駒は総じて成長力がある一方で、父譲りらしい気難しい所を見せることも多い。上記のキセキはデビュー直後から出遅れ癖があり、一時期マシになったものの現役晩年になってから再度悪化して出るか出ないか分からなくなってしまった。他にもダンビュライトは本馬場入場で何度も暴れた末に放馬してしまい去勢されたり、ホウオウイクセルは3歳春で重賞制覇後に出遅れ癖が付いてしまったり。
血統表
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble | |||
*マンファス 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Pilot Bird | Blakeney | ||
The Dancer | |||
エアグルーヴ 1993 鹿毛 FNo.8-f |
*トニービン 1983 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun |
State Pension | |||
Severn Bridge | Hornbeam | ||
Priddy Fair | |||
ダイナカール 1989 鹿毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victoria | |||
シャダイフェザー | *ガーサント | ||
*パロクサイド |
クロス:Northern Dancer 4×5×5
この血統の特徴はなによりサンデーサイレンスの血が入っていないことである。つまりはサンデー系の牝馬と近親交配になりにくいという強みがある。それを言ったらロードカナロアもそうなのだが
主な産駒
2014年産
- エイシンクリック (牡 母 エイシンサンサン 母父 *キャロルハウス)
- 主な勝ち鞍 '22阪神スプリングジャンプ(J・GII)
- キセキ (牡 母 ブリッツフィナーレ 母父 ディープインパクト)
- ダンビュライト (騸 母 タンザナイト 母父 *サンデーサイレンス)
- マイブルーヘブン (牡 母 *ウルトラペガサス 母父 Fusaichi Pegasus)
- 主な勝ち鞍 '19新潟ジャンプステークス(JGIII)
- ムイトオブリガード (牡 母 ピサノグラフ 母父 *サンデーサイレンス)
- 主な勝ち鞍 '19アルゼンチン共和国杯(GII)
2015年産
- グロンディオーズ (牡 母 シェリール 母父 *サンデーサイレンス)
- 主な勝ち鞍 '21ダイヤモンドステークス(GIII)
- テトラドラクマ (牝 母 リビングプルーフ 母父 *ファルブラヴ)
- メールドグラース (牡 母 グレイシアブルー 母父 *サンデーサイレンス)
- Hush Writer (牡 母 *スターオブサファイア 母父 Tapit)
2016年産
- ディアンドル (牝 母 グリューネワルト 母父 スペシャルウィーク)
- パッシングスルー (牝 母 マイティースルー 母父 *クロフネ)
- フェアリーポルカ (牝 母 フェアリーダンス 母父 アグネスタキオン)
- リオンリオン (牡 母 アゲヒバリ 母父 *クロフネ)
2017年産
2018年産
- ホウオウイクセル (牝 母 メジロオードリー 母父 スペシャルウィーク)
- ソウルラッシュ (牡 母 エターナルブーケ 母父 マンハッタンカフェ)
- ワンダフルタウン (牡 母 シーオブラブ 母父 ディープインパクト)
2020年産
- ドルチェモア (牡 母 アユサン 母父 ディープインパクト)
- 主な勝ち鞍 '22朝日杯フューチュリティステークス(GI)、'22サウジアラビアロイヤルカップ(GIII)
- 2022年JRA賞最優秀2歳牡馬
- フリームファクシ (牡 母 ライツェント 母父 スペシャルウィーク)
関連動画
最近の馬なので、他にも色々動画あるんで新馬戦などはタグで辿ってください。
関連商品
ルーラーシップに関するニコニコ市場の商品を紹介してください。
関連コミュニティ
関連項目
- 4
- 0pt