主な勝ち鞍
2016年:ホープフルステークス(GII)
2017年:東京優駿(GI)、神戸新聞杯(GII)
2018年:天皇賞(秋)(GI)、オールカマー(GII)
概要
~2歳
父キングカメハメハ、母ラドラーダ、母父シンボリクリスエス。父と母父の説明は割愛。母はマイル戦を中心にOPまで出世した馬。それ以上に重要なのは牝系で、ラドラーダの母はスプリントで一世を風靡したレディブロンド、そしてその母がかのウインドインハーヘア。つまりディープインパクト・ブラックタイド兄弟や帝王賞馬ゴルトブリッツなんかがファミリーにいるかなりの良血馬である。
レイデオロが入厩したのは美浦の名門・藤沢和雄厩舎。14度のリーディングトレーナーに輝くなど日本競馬史に残る名伯楽なのだが、無理に使わない厩舎の方針や有力馬の不運もあってそれまで牡馬クラシックとは無縁。ことにダービーではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイなどの名馬でも2着に敗れるなど何度も悔しさを味わっていた。
2歳10月にデビューし、危なげなく2連勝。暮れのホープフルS(当時はGⅡ)に参戦し、3戦連続となる上がり最速の末脚で快勝。2歳シーズンを3戦無敗でターンし、クラシックの有力候補となる。ちなみにこの年の藤沢厩舎は阪神JFをソウルスターリング、朝日杯FSをサトノアレスで制し牡牝の2歳チャンピオンを両取りするなど絶好調だった。
3歳
悲願のクラシックに臨み、王道の弥生賞→皐月賞→ダービーのローテを描いていた陣営。しかしソエ(若い馬特有の骨膜炎)の影響で弥生賞をパスせざるを得なくなり、ぶっつけで皐月賞(GI)に出ることになってしまう。4ヶ月の休み明けが嫌われ、無敗の重賞馬ながら5番人気。本番も後方から上がり2位の末脚で突っ込むが、前が止まらず5着に敗れてしまう。とはいえ、レイデオロは明らかに調整途上で、陣営も当初からダービーが最大目標と語っていただけに、後方3番手から5着まで押し上げられたのは十分という声もあった。
迎えた最大目標のダービー(GI)。今回は調整も順調、しかも同厩のソウルスターリングがオークスを圧勝と流れも向いていた。藤沢厩舎御用達の青葉賞を圧勝したアドミラブルに1番人気は譲ったが、5.3倍の2番人気で本番を迎える。
近年のダービーとしてはやや不利な外寄りの12番枠からスタート。いつも通り後方で前をうかがう。レースは淡々と流れ…ていたはずが、向正面に各馬が入ったところで場内騒然。レイデオロが外から一気にポジションを押し上げたのである。
実は引っ掛かったわけでも反応が悪かったのでもなく、鞍上のクリストフ・ルメールがあえて行かせたものだった。その理由は明快、ペースが淡々としすぎていたのである。レイデオロが2番手につけた直後に通過した1000mのラップは63秒2。過去10年でもぶっちぎりの超スロー…どころか、1984年のグレード制以降、1000m63秒台のダービーは初だったくさい。とにかく冗談みたいなゆるっゆるのラップだったのである。そりゃ、後ろにいちゃ届かない。
最後の直線に向き、馬場の真ん中から堂々と先頭に立ったレイデオロ。外からスワーヴリチャードが追い詰めてきたがレイデオロは最後に突き放し3/4馬身差で勝利。鞍上のルメールもキャリア通じて初の「ダービー」勝利、そして藤沢和雄は開業25年目、19頭目で悲願のダービー制覇となった。
しかし、このような特殊な勝ち方の弊害からか、レイデオロはレースでかかりやすくなってしまい、その後のレースでは二度とダービー時のような立ち振る舞いをすることはできなくなってしまった。将来の事を考えたら、ダービーは負けていた方がよかったのかもしれない。
秋は地元のセントライト記念ではなく神戸新聞杯(GII)から始動。このレースで早くも行きたがるそぶりを見せてしまうが、鞍上がなんとか壁を作って辛勝した。その後はジャパンカップ(GI)に駒を進める。今度は中団から上がり最速で伸たが、先に抜けていたシュヴァルグランに振り切られて2着に敗退する。この年の最優秀3歳牡馬を受賞。
4歳
開けて4歳、陣営は春の目標をドバイ遠征と定め、前哨戦として京都記念(GII)に出走。圧倒的1番人気に支持されるが、主戦のルメールが騎乗停止でD.バルジューに乗り替わったせいか、はたまた休み明けの影響か、道中引っ掛かるなど終始ちぐはぐなまま、クリンチャーの3着と敗れてしまう。最近の京都記念はジェンティルドンナといいハープスターといいマカヒキといい、断然人気馬がよく飛ぶなぁ…。
とはいえ日本代表としてドバイシーマクラシック(ドバイGI)に遠征。2番人気に支持されるが、例年のごとくスロー展開となったが、もはやダービーのような走りもできなくなってしまっていた。またも引っかかって直線で伸びきれず4着。春は全休となる。一部では「またダービーで燃え尽きる馬か」という声もないではなかった。
秋は中山のオールカマー(GII)から始動。メンバーも比較的軽かったので断然の1番人気となり、中団から同期の皐月賞馬アルアインをきっちり差し切って勝利。1年ぶりの重賞勝ちを挙げる。
陣営は天皇賞(秋)とJCの両にらみから天皇賞(秋)(GI)を選択。東京が得意なスワーヴリチャードに押され2番人気に甘んじる。12頭の少頭数の中で5番手という好位置を確保し、直線では上がり2位の末脚を披露。1馬身1/4差で勝利するが、この天皇賞秋は少数頭であり、1番人気のスワーヴリチャードが序盤から武豊鞍上のマカヒキにカットインされていたため「スワーヴリチャードが妨害されていたから勝てたのでは?」と競馬ファンに怪しまれた。ともあれ勝ちは勝ちであり、藤沢は現役最多の秋天6勝目を手にした。
鞍上のルメールとの兼ね合いもあり、JCを回避して有馬記念(GI)に参戦。元々中山の方が得意と言われていたこともあり、2.2倍と抜けた1番人気に支持される。
今度は9番手と中団からの競馬を選択。道中も全く問題はなかったが、3,4角で若干緩んだ馬場に反応が遅れ、一足早く抜け出していたブラストワンピースを捕まえきれずクビ差2着に敗戦。相手は小回り重馬場上等のハービンジャー産駒で、適性の差が如実に出た形となった。一応最優秀4歳上牡馬を受賞しているが、競馬ファンからの評価は有馬記念での敗戦で地に落ちてしまった。普通なら有馬記念2着は誹られるものではないが、この馬の戦績を見てもらいたい。3歳秋は2戦しかしておらず。4歳も出走数が少なく、一部スポーツ紙でも「ジャパンカップを回避し、ゆったりしたローテ」と書かれたように、出走数が少なくなった現代の他の馬と比べてもゆとりがあるローテだったのだ。このため「鬼ローテでドバイ3着のワンアンドオンリーのほうが強い」「あんなローテなら天皇賞秋ぐらい誰でも勝てる」などと散々な言われようだった。
5歳
明けて5歳は衰えが見え始め凡走が目立つようになる。ドバイシーマクラシック(ドバイGI)に出走したが6着と初めて掲示板をはずす結果になった。
次走は初参戦となる宝塚記念(GI)に出走したが直線で伸びることはできず5着。秋初戦のオールカマー(GII)では鞍上は福永に代わって出走したが4着になるなどGⅡでも複勝圏内に入ることはできなかった。福永もレース後「直線で他の馬に刺されてしまうなんて」と動揺を隠せないような発言を残した
次走はビュイック騎乗でジャパンカップ(GI)に挑んだ。馬体診断で細江順子氏が絶賛したように、仕上がりが良く見えたためか1番人気で出走したが、11着と生涯最悪の大敗に終わった。ジャパンカップ当日は不良馬場だったが、ビュイック騎手は 「デビュー以来で最高の出来と聞いていた。しかし馬場が柔らかくて進んでいかなかった。道中でステッキを使うことも考えるほどだった」とコメントした。
陣営も馬場を敗因に挙げた。重芝発表の新馬戦を勝った時ですらもルメールが「こういう重い芝は良くない」と発言したように、重芝は苦手なのだろう。(キングカメハメハ産駒全体の傾向として、実は重芝の勝率は他の一流種牡馬と比べても低い)しかしドバイでは、スロー展開になったために途中から逃げる形になったが、ジェットスキー状態なることもなく(掛かることもなく)スローで逃げることができていたのに直線で他の馬にさされてしまっていた。宝塚、オールカマー、ジャパンカップいずれのレースでもコーナー回る前の段階でジョッキーの手が動いていることから、5歳になって走る体力そのものがなくなっているのでは?と思えてしまう。
ラストランとなった有馬記念(GI)は鞍上を三浦皇成に添えて出走したが、有馬記念は大器晩成型の牝馬リスグラシューの背中を追う形となり、本馬は7着に終わった。このレースを最後に引退し種牡馬入りした。
社台での種牡馬展示会では調教師の藤沢和雄も参加したがそこで藤沢は「いいレース戦績にできず、申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を発していたように大成したとはいいがたい形で競走生活を終えることになった。
血統表
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble | |||
*マンファス 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Pilot Bird | Blakeney | ||
The Dancer | |||
ラドラーダ 2006 青鹿毛 FNo.2-f |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Kay | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
*レディブロンド 1998 鹿毛 |
Seeking the Gold | Mr. Prospector | |
Con Game | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere |
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関連項目
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