レイパパレ(英:Lei Papale 香:麗冠花環)とは、2017年日本産まれの競走馬である。
主な勝ち鞍
2020年:チャレンジカップ(GIII)
2021年:大阪杯(GI)
概要
父ディープインパクト、母シェルズレイ、母父クロフネという血統。
父と母父に関しては個別記事に詳細を譲るが、父ディープ×母父デピュティミニスター系はダービー馬マカヒキやショウナンパンドラ等がいる相性の良い組み合わせである。
母シェルズレイは希少なウイニングチケットの血を引く馬で、母系を遡って行くとフロリースカツプという馬に辿り着く。フロリースカツプについては個別記事を参照して頂けば分かるが、数多くの八大競走優勝馬を出してきた日本屈指の名門一族である。
ちなみに父ディープ、母シェルズレイ、母父クロフネ、母母オイスターチケットは皆金子真人オーナーの所有馬である。
ワグネリアンと違って金子オーナーの馬ではなく、キャロットファームのクラブ馬として、15万円×400口の計6000万円で募集された。
馬名の意味は、「レイ(lei)」が花飾り、パパレ(pāpale)が帽子の意。つまり、帽子の頭周りを一周させるようにつける花飾りをさす。金子オーナー繋がりでハワイ関連の名前を連想したと思われる。
デビュー~3歳冬
栗東の高野友和厩舎に入厩し、3歳1月に京都芝1600m戦で鞍上に川田将雅を乗せてデビューを迎える。このレースでは1番人気に支持され、2番手から鋭く抜け出し2馬身差を付けて快勝。
春のクラシック路線には向かわず休養に入り、6月の1勝クラス阪神芝1600m戦で復帰すると、直線前が塞がれるも川田の巧みな進路取りで間をすり抜け、後のローズステークス3着馬オーマイダーリンの追撃を1馬身抑えて勝利する。
次戦は7月の新潟、糸魚川特別(芝1800m)に出走し、ワグネリアンの全弟カントルを2馬身差付けて快勝する。このレースも直線で横の馬に寄せられながらも間を抜け出して勝利するという強いパフォーマンスで、春に無敗の二冠を達成したデアリングタクトに対抗出来る逸材として注目が高まった。
そして次走の目標は秋華賞。賞金的には抽選ラインで4/6の確率で出走出来る予定であったが、無念の除外対象になってしまう。
なので、秋華賞の前レースの大原ステークス(京都芝1800m)に出走を切り替え、スタートはやや遅れるも逃げの作戦に初めて出るレース展開となるが、直線荒れた内を避けて外に出すと鞍上の川田は持ったままの手応えながらグングン加速し、最終的に2馬身差付ける快勝。
タイムも1.46.3と時計の掛かる馬場を考えれば優秀なタイムであり、後の秋華賞でデアリングタクトが勝ったタイムが2.00.6であった事を鑑みると、秋華賞に出れたら勝ってたのではないかと思わせるほどのレース内容であった。
これでオープン馬となり、12月の阪神芝2000mのG3チャレンジカップに出走すると、これまでのレース振りから単勝オッズ1.6倍と圧倒的人気を背負うことになるが、2番手でレースを進めて4コーナーで先頭に立ってそのまま押し切り2着に1馬身1/4付け勝利。
3歳を5戦5勝と無傷の成績で終える事となった。
4歳
休養明けの4歳初戦はG1大阪杯へ直行する事となった。
このレースでは前年無敗の三冠を達成したコントレイル、前年スプリント・マイルG1を3勝したグランアレグリア、コントレイルの2着に甘んじたサリオスらが相手と、これまでとは違って一気に対戦相手のレベルが上がるレースに。初めてのG1、初めての55kgの斤量、強力な相手が考慮されて、デビュー以来初めて1番人気より下の4番人気に控える事となった。
当日は雨が降り続いて水が浮くような不良に近い重馬場でレースは幕を開けた。スタート直後に川田がバランスを崩しかける出遅れをするものの、二の足で先頭に立ち逃げる展開となる。馬場状態を考慮すれば前半1000mを59.8と速いペースで逃げるが、直線大原ステークスと同じく荒れた内を避け、外に出すとコントレイル、グランアレグリアが伸びあぐねる中レイパパレは逆に加速すると後続に差を付け、結局2着モズベッロに4馬身差を付ける圧勝劇となった。
このレース、重馬場とはいえGIで逃げて上がり最速1位タイととんでもないパフォーマンスであった。
デビューから無敗で古馬混合G1を制したのはファインモーション、クリソベリルに次ぐ3頭目、4歳になってから勝利したのはレイパパレが初めてという快挙を成し遂げた。また、この勝利でデアリングタクトとの比較が一気に加速する事となり、Twitterのトレンドに大阪杯に関係のないデアリングタクトが浮上するという出来事もあった。
大阪杯後は短期放牧に出され、G1宝塚記念に出走。前走負かしたコントレイルは疲労が取れず回避、デアリングタクトは繋靭帯炎を発症してしまい、三冠馬との対決は叶わなかったが、前年グランプリ連覇を達成したクロノジェネシスが1.8倍で一番人気、レイパパレは3.5倍の二番人気に支持された。
レースは同じ逃げ馬のユニコーンライオンに先頭を譲り二番手でレースを進める。道中やや掛かり気味に見えたが、4コーナーで持ったままで並びかけるが、直線ではユニコーンライオンを中々交わすことが出来ないまま叩き合いになった所の外からマークしていたクロノジェネシスに一瞬で交わされ突き放される。結局クロノジェネシスだけでなく、ユニコーンライオンにも差し返され、3着と初の敗北を喫する。
この敗北で7戦6勝となったが、高野氏は「体力がついてきて実にしていく分、柔軟性をそがないようにしていかないと。今後?結果を受けてオーナーサイドと相談していく」と今回の敗北を前向きに捉え、秋のG1路線に向けてパワーアップを誓った。
そんな秋競馬は凱旋門賞の登録もあったが、これを回避して国内古馬G1路線へ。秋は9月26日のオールカマー(GII・中山芝2200m)から11月14日のエリザベス女王杯(GI・阪神芝2200m)を目標にすることがキャロットファームから発表された。
秋初戦のオールカマーでは2019年の香港ヴァーズ馬グローリーヴェイズ、同年のミモザ賞をワンツーフィニッシュで勝った日経賞馬のウインマリリン、ウインキートスらと対決。レースは船団からロザムールの逃げをマークする形でスタート。残り800m辺りから動いたグローリーヴェイズ、ウインマリリンらと共に3コーナーを抜け直線へ。直線の攻防で春天5着、スタミナ自慢のウインマリリンがスパートをかけるとそのままレイパパレを押し切り1着入線。そのままウインキートスも同馬を差し2着となり、同年2度目のワンツーフィニッシュ。ゴール前でグローリーヴェイズにも差されレイパパレは4着となった。
11月は予定通りエリザベス女王杯へ。オールカマーで苦杯を舐めたウイン馬2頭へのリベンジに加え、夏のクイーンSを勝った同期のテルツェット、母アパパネの忘れ物を取りに来る秋華賞馬アカイトリノムスメとの対戦が実現。鞍上はアメリカ遠征で自主隔離中の川田からルメールに乗り替わり、1番人気でレースを迎えた。
4歳牝馬筆頭としての意地を見せたいレイパパレであったが、3・4番手で控えるも終始折り合いがつかず4コーナーまで引っかかり通し。4コーナーで先頭に立つも最後の直線では失速し、抵抗も空しく6着惨敗に終わった。2021年エリザベス女王杯は先述した4頭含め人気馬が総崩れで大荒れの様相を呈した。1着は10番人気の4歳牝馬アカイイトであった。
4歳時の締めくくりは12月、招待のあった香港国際競走・香港カップ(GI・2000m)。クリストフ・スミヨンを鞍上に迎えた。
レースではスタートで出遅れて行き足がつかず馬群に包まれてしまう。そのまま中団にてレースを進め、最後の直線では外に出すも大きく離されて見せ場のない6着敗退、連敗を止めることはできなかった。
1着はこのレースで今年海外GI3勝となったラヴズオンリーユー。レイパパレの4 3/4馬身先で引退レースの花道を飾ったその背中にはかつての相棒川田将雅の姿があった。
無敗で古馬混合GIを制覇した大阪杯から一転、4連敗となったレイパパレ。4歳時の成績は5戦1勝4敗で終わった。
5歳
2022年の始動戦は3月の金鯱賞(GII)、2番人気でレースを迎えた。鞍上はオールカマー以来となる川田将雅。ラヴズにNTRれた男が帰ってきた。香港遠征のダメージが大きかった(NFしがらき・松本場長談)らしく、帰国後は回復に努めていたとのこと。
レースではスタートから行き足がつき、折り合って四番手を追走するレイパパレ。驚異のレコードタイムで逃げ切った1番人気ジャックドールは捕まえられなかったものの、昨年エリザベス女王杯で屈したアカイイトの追撃を抑え2着に入り、改めてその実力を証明した。
レース後川田が「レースではよく我慢出来ていて、久しぶりにこの馬らしい良い内容で走れたと思います」とコメントしている通り、逃げずに控えても折り合ってスムーズな競馬ができたこの金鯱賞はレイパパレにとって収穫のあるレースだったと言えるだろう。
次走は香港で行われるクイーンエリザベス2世カップ(GI・2000m)が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で香港馬のみで開催されることが通達され遠征は中止となった。それを受けて3月15日、大阪杯に出走するとキャロットクラブが発表した。
史上初の連覇をかけて臨んだ大阪杯、昨年の年度代表馬エフフォーリアと金鯱賞レコード勝ちのジャックドールの2強から少し離れた3番人気でレースを迎えた。
スタートから出足がついたレイパパレはハナを主張するジャックドールとアフリカンゴールドの後ろ3番手につける。前半1000m58秒5とハイペースで流れる中、沈むジャックドールを残り200mで交わして先頭に躍り出たレイパパレ。エフフォーリアは伸びてこないし、これは連覇あるぞ――!と思わせたのも束の間、後ろから8番人気ポタジェにゴール前で差し切られてしまった。しかし、ポタジェと共に来た7番人気アリーヴォは何とか踏んばりハナ差で凌いで2着入線となった。
あと一歩連覇に届かなかったレイパパレであったが(せめてもう少しだけ内枠だとか、馬場が渋ってくれれば……)、2000mでは現役トップクラスの実力を証明したと言って差し支えないだろう。我慢できて折り合いもばっちりついていたし、番手に控えて引っかかりまくっていた昨年からよく成長したものである。陣営と、そして何よりレイパパレの努力が実を結んだのだ。
次走は新馬戦、1勝クラス以来となるマイル戦のヴィクトリアマイルに出走。芝とダート両方で主戦距離としているソダシや、385日ぶりの復帰戦となる三冠牝馬デアリングタクトなど、レイパパレ含めGI馬5頭が集結した古馬牝馬による春の頂上決戦に挑んだ。
単勝4.1倍ながらも堂々の1番人気に支持されたレイパパレであったが、スタートでつんのめるように躓き出遅れてしまう。鞍上の川田将雅はあわや落馬しかけるも、すぐに体勢を立て直し先頭から3番手に付けうまくリカバリー。先頭集団でレースを進め、手ごたえ良く4角を回ってきたのだが、直線に入るや否や突如力尽きたかのようにあれよあれよと後退し続け、白毛のアイドルホースソダシが華麗な復活劇を果たした陰でひっそりと12着というこれまでにない大惨敗を喫してしまった。
レイパパレにとって初めての2桁着順となった2022年ヴィクトリアマイル。高野調教師はスタートでのアクシデントでリズムがうまくとれなかったことを敗因の一つに挙げている。初の東京競馬場、距離適性、レース間隔などの問題もあったのかもしれないが、その真相は闇に包まれたままである。
レース後は北海道への放牧を挟み、毎日王冠から始動。鞍上は引き続き川田。
混戦模様のなか2番人気でレースを迎えた。ゲートイン完了、さあスタート……とはならず、発走前にゲートで隣のダノンザキッドが暴れてゲートを壊すアクシデント。すまんな川田はこっちなんだ。当の彼は外枠発走になった。
レースは前半1000m57.9秒でブッ飛ばすレッドベルオーブを見る形でレースを進めた。道中3番手から2番手に押し上げたレイパパレは最後の直線に入ったところでレッドベルオーブに並びかけ、残り400mで彼を交わして先頭に立ち抜け出した……までは良かったが、残り200m地点を過ぎると粘り切れず後続勢に差されて結果4着。またしても勝利はお預けとなった。
レース後右前脚に痛みが出ていたようで、ダノンザキッドが暴れたときの煽りを食らって自分の右前脚をトモ脚で蹴って痛めたかもしれないとキャロ公式。異常所見を認めなかったのは幸いだが、なんとも不完全燃焼なレースになってしまった。敗因については脚の痛み以外にも川田のハイペース番手追走が祟っただとか、高速時計の対応がとか、結局東京は合わないだとか、色々取り沙汰されていたようである。
11月2日、昨年参戦した香港国際競争・香港カップの招待を受諾したとキャロ公式が発表。最終直線まで3番手で粘るが、あとは抜かれるばかり。終わってみれば9着となった。
キャロットクラブの規定により、牝馬である彼女は6歳3月が引退期限であること、また右前肢のつなぎに腫れが生じており、痛みもあること(右前繋部浅屈腱炎で全治9ヶ月以上と後に判明)から、引退と報道された。12月21日をもってグローリーヴェイズ・サリオス・ジャンダルム(以上香港遠征組)およびシャドウディーヴァとともに競走馬登録を抹消。今後は母として、類まれなる競走能力をノーザンファームから伝えていくことだろう。
ウイニングチケットからのお祝い
曾祖父であるウイニングチケットにとっては子孫初のG1優勝であり、彼を繋養するうらかわ優駿ビレッジAERUより、大阪杯優勝のお祝いコメントが寄せられた。ひ孫の活躍を見られるのも彼の長寿(2021年時点で31歳)あってこそである。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/aeru_joba/status/1378605217525104646
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/aeru_joba/status/1378602138880798722
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
シェルズレイ 2003 芦毛 FNo.3-l |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
オイスターチケット 1998 鹿毛 |
ウイニングチケット | *トニービン | |
パワフルレディ | |||
ナムラピアリス | トウショウボーイ | ||
ヤマニサクラ | |||
競走馬の4代血統表 |
- 全兄シャイニングレイはGII時代のホープフルステークスとCBC賞を制している。
- 母シェルズレイは重賞勝ちはないが、チューリップ賞とローズステークスで共に2着に入っている。
- 母の全弟ブラックシェルも重賞勝ちはないが、NHKマイルカップ2着と日本ダービー3着があり、ディープスカイが同期でさえなかったらGIにも手が届いていたかもしれない。
- 4代母ヤマニサクラの兄には阪神3歳ステークスと天皇賞(春)を制した名馬リキエイカンが、妹サリュウコバンの息子には宝塚記念を制し種牡馬としても奮闘したスズカコバンがいる。
- 6代母(ヤマニサクラの祖母)トサモアーは阪神3歳ステークスや神戸盃(現神戸新聞杯)を制し、桜花賞とオークスでそれぞれ2着、3着に入った名馬。産駒にはヤマニサクラの母モンテホープの他に、中央の金鯱賞や地方の東海菊花賞などを制したローエングリン(初代)[1]がいる。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- 18
- 0pt