レイピアとは、
- 16~17世紀頃のヨーロッパで護身用或いは決闘用に用いられた、細身で先端の鋭く尖った刺突用の片手剣。
- 英国BAC社の開発した短距離防空ミサイル、及びそのシステム。フォークランド紛争において実戦投入された。
- アメリカ空軍の試作戦闘機、XF-108。B-70(XB-70)の護衛戦闘機としての性能が要求されていた。
- ガンダムシリーズのモビルスーツ「レイピア」。(ΖレイピアⅠ、開発コード:ηガンダム。)
- ACECOMBAT04に登場する友軍機コールサイン。AAは(r゚∀゚)r
本項では1.を紹介する。
概要
基本的には幅2.5cm以内、全長1.3m前後の細身の刀身を持ち、両刃である。その刀身は1mを超えるほど長大で、大型両手剣に迫るほど。
しばしばフェンシングで用いられるフルーレと混同されるが、フルーレはスモールソードの練習刀であり、刃を落とし軽量化されている。
これに対しレイピアは突くだけでなく、断ち切りにも使用でき、又、重量も1.0kg~1.3kg程度と見た目より重い。貧弱そうに見えるが根本周辺は頑丈にできており、大型両手剣の一撃に耐えられる分の強度があったという。
ただし上記は標準形であり、時代の変遷の過程で、木の葉型、身幅の広いワイドレイピア、片刃、刃のついていない純粋な刺突剣など、身幅、全長、重量、使用方の異なる様々なものが作られている。
歴史と背景
レイピアの語源は15世紀中期にフランスで誕生したエペ・ラピエルと呼ばれる刺突用の剣とされている。
後にスペインに渡り発展(エスパダ・ロペラ)、イタリア経由でフランスに戻り、17世紀初頭に普及。ヨーロパに広く流行した。
この時代は銃器の発達に伴い、鎧が廃れていった時期であり、剣による攻防技術が発達した時期でもある。
ただし戦場においてはブロードソード、サーベル等が使われており、レイピアは街中での護身、或いは決闘のための剣として扱わる事が多かった(戦場で使われた例としては1565年のマルタ包囲戦など)。
17世紀中頃になると、より日常生活においてかさばらない小型(全長60~70cm、重量500~700g)のスモールソードが後継となり、装身具としての意味合いが高くなり、装飾も華麗なものとなっていった。
現在ではスモールソードの練習刀であるフルーレ、及び、18世紀後半に入り帯刀の習慣が無くなって後、決闘に用いられたエペが、フェンシングの競技に残っている。
扱い
一般的には相手の攻撃を受け流すためのパリーイング・ダガー(仏名のマンゴーシュで有名)と対で使用された。
レイピアは片手剣としては刀身が長大であるがゆえに鈍重であり、一度剣を交えた場合、相手の剣と絡まりやすく、斬激、刺突双方において取り扱いの難しい武器である。
その為、剣と剣が絡まることを防ぐため、相手の攻撃はなるべく受け流すことが重視されていた。また、レイピアの特徴でもある複雑な柄は、護拳以外にも相手の剣を絡め取るなどの目的に使用されていた。
尚、しばしば類似性を指摘されるエストックは戦場において、敵の甲冑の継ぎ目を保護するチェインメイルを刺し貫くために開発されたもので、構造も扱いも異なる。
エストックを細くしてレイピアが誕生したなどの直接的な連続性も認められていない。
派生各種の解説
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┃ レイピア ┃
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┃ ┏━━━━━━━┓
┣━━━━┫ ショートソード ┃
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┃ ┃ ┏━━━━━┓
┃ ┗━━━━┫ フルーレ ┃
┃ ┗━━━━━┛
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┃ エペ ┃
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┃ エストック ┃
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┃ サーベル ┃
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- レイピア
- (エペ・ラピエル、エスパダ・ロペラ、ストリッシャ、レイピア等)
- 主に軽装や平服での戦闘を目的とした片手剣。
- 銃の登場による軽装化→剣対剣による、服や肌の露出部を狙った剣術・武器という構図から日本で言う所の、江戸時代以降の打ち刀に境遇が近いと言う人もいる。
- 登場作品:アラトリステ?
- スモールソード
- 護身、決闘、装身具としての側面が強化されたもの
- フルーレ
- フェンシングで有名。レイピアと言われて大抵の人が想像する、細くて凄くしなる針みたいなやつはこっち。
- スモールソードの練習刀で、近代西洋剣術の基礎がみっちり入っている。文字通り練習に最良の剣。
- 蛇足。伝統的フェンシングではフルーレではなく、木剣や杖が使われる場合もある。
- 登場作品:シュヴァリエ
- エペ
- エペ・ラピエルから派生した、決闘用の剣。位置づけは、スモールソードに近い。
- 板金鎧には刺さらないが、フェンシングの防具くらいなら、浅くではあるが刺さる。
- 登場作品:ベルサイユのばら
俺の瞳はもう君の姿を見る事ができない。愛している…オスカル!
・よく勘違いされるやつら
- エストック
- 突きが主体の剣という事で、親戚扱いされるが全くの別物。
- 相手を鎧ごと剣でぶった切るのは、日本でもそうだった様に、かなりの無理ゲー。
- そこで、板金鎧の隙間を埋めるチェインメイルなら、突き破ってぶっ刺せるんじゃね?という発想で出来た武器。
- サーベル
- またはサーブル。
- 同じ近代西洋剣術(フェンシング)によって運用され、また同時代に活躍した武器だが、レイピアとは全く別の血筋で切り裂き用の曲刀の系譜の武器。
- 蛇足。独立戦争、ナポレオン戦争、第一次世界大戦と、レイピア(の子孫)やサーベルによる騎兵突撃が行なわれたが、軍配は直刀(レイピアの血筋)ではなくサーベルにあがった。
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関連項目
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