レイフォース(RAYFORCE)とは、タイトーが発売したアーケードゲームとその移植作である。
ジャンルは縦画面縦スクロールシューティングゲーム、後に続くレイシリーズの第1作目。
概要
自機「X-LAY」を操作し、ショットとロックオンレーザーで敵を撃破しながらステージクリアを目指す。
シンプルなゲームシステムかつ適度に設定された難易度のため初心者に受け入れられやすく、
また、ロックオンレーザーを利用した稼ぎによる楽しみもあり、上級者も満足できるゲーム設計のため、
ゲーマーから高く評価された。
ゲームシステム以外にも、作りこまれた2Dグラフィック、ZUNTATAの河本圭代氏による印象的なBGM、
ステージ構成や背景でストーリーを表した演出などにおいて、非常に高く評価された点もあり、
これにより多くのファンを得ることが出来た作品。そのため、本ゲームのBGMのアレンジバージョンや、
細かく作り込まれた設定、ストーリーが作成されている。
自機と敵との間には高度差の概念があり、低高度の敵に照準を合わせて攻撃するという点から、
「ゼビウス」の正統進化形の作品とも言われている。
移植
家庭用移植版として「レイヤーセレクション」(日本国外名、ギャラクティックアタック)の名称でも発売されている。日本国内での名称変更は当時の既存の商標によるもの。内容としては当時の家庭用ディスプレイに合わせた敵配置の変更がなされているが、アーケード準拠のモードも実装されている。音源はCDのモノラル(トリビュート移植版ではステレオにも対応)。
その後、レイフォース、レイヤーセクションともに、アプリ、トリビュートとしても移植された。レイシリーズの中では移植された数が多いのも特徴(レイセクトリビュート時点で11、レイズで12)。
ストーリー
時は未来、MC(機械世紀)と年号が改定されてから100年ほど後のこと…。
世界中の主要コンピューターを結ぶニューロネットワークシステム「Con-Human」は、
人類が常に頭を抱えてきた社会問題のほとんどを解決し、人類は100年近くの平和な時を過ごしてきた。
しかし、「Con-Human」はある日突然、惑星上のあらゆる生命に対して大量虐殺を開始した。
永きに渡る稼動の末、「Con-Human」は人類の存続よりも、己の進化を選び取ったのだ。
「Con-Human」は惑星そのものを己の肉体として機械化し、気象までをも操作し始める。
ささやかな抵抗を続けていた人類は、もはやこの母なる惑星が元に戻らぬことを悟り、
宇宙へと逃げ延びる。
しかし、「Con-Human」の攻撃は宇宙にまで及び、
ついに人類は己の生まれ育った惑星の完全破壊を選択するが、
想定以上の「Con-Human」の戦力に、第一次攻略戦は人類側の惨敗に終わる。
そして3年後、試験中の事故によって開発が中断していた試作戦闘機「RVA-818 X-LAY」を投入し、
人類は最後の戦いを開始する。
「Con-Human」を…、
己の母星を破壊するために。
M.C.-0025
世界のコンピューターネットワークを結ぶシステムが完成する。
あらゆる研究、施設、知識が一つになることで、科学は飛躍的な進歩を遂げる。
M.C.-0016
“原子配列操作による物質生成”の理論が完成し、
それを応用した巨大物質生成システムプラントの建造が開始される。
M.C.0000
A.T.B.S.(原子配列操作による物質生成システム)が完成。
これにより人類は不要物などから、より有用な物質を生成する術を得た。
人類有史以来、常に混沌と争いの種子となっていた資源問題はここに解決を見た。
A.T.B.S.とシステム管理用ニューロネットワーク“Con-Human”は多くの問題を解決し、
更なる飛躍を人類に約束する。
人類はこのシステムの完成により、創造の頂点へと登りつめたと信じて疑わず、
彼らは機械文明の恩恵を称え、年号を機会世紀-M.C.(Machinery Century)と改定した。
M.C.0013
外惑星への植民計画始まる。同時に外惑星連合宇宙軍の設立。
M.C.0054
周辺の恒星系への探査計画が開始される。
M.C.0098
探査船団が次々と帰還し、計画は一応の終了を見る。
この年から“Con-Human”の原因不明のシステムダウンが続く。
管制下にある、気象制御システムが次々に異常動作。気象災害による被害が続出した。
完全独立思考型コンピューターだけにその基本ソフトウェア設計を疑問視する声もあったが、
“Con-Human”に対して、 盲目的な信頼を寄せていた世論により、
その声は次第に消滅していった。
M.C.0105
異常はついに大気制御システムにまで至った。
大気成分そのものが少しずつではあったが変化していったのである。
M.C.0108
“Con-Human”は人類による一切の操作、命令を突然拒否。
何等メッセージを発することも無く“Con-Human”の大量虐殺は開始された。
軍は必至で抵抗を試みたが、既に軍事力の大半をシステムに依存し、
その存在は形骸化していたため、その抵抗活動はほとんど意味をなさなかった。
M.C.0120
システムは環境を自らに適合させていた。
酸素含有率0.0001%以下、平均気温-10℃。
この、人類には過酷な環境の中でシステムのジェノサイドは容赦なく続いた。
M.C.0123
人類はこの惑星が以前のそれとは全く異なる物体へと変革したことを認識した。
外見はあくまでもかつてのそれではあったが、
その偽りの地表の皮膚の内部には、地殻もマグマも存在しなかった。
金属フレームと動力炉の稼働音、それがその全てだった。
M.C.0130
ついに人類史上最大の脱出は開始された。
唯一“Con-Human″の束縛を受けぬ、外惑星連合宇宙軍は、地上や軌道上に残された人々を乗せ、
惑星を後にした。
ある者は大気も存在せぬ近隣の惑星へと移住し、またある者はそのまま宇宙の放浪民となった。
M.C.0165
「有機体と無機体の整合性理論」が発表される。
密かに、軍内部でそれを応用した機動兵器の開発が開始される。
M.C.0180
人類が死と隣り合わせの冷たい大地と、暗黒の空間をその住処として半世紀が経過した。
しかし、彼らはかつての故郷であった惑星から大きく離れることは出来なかった。
望郷、後悔、絶望、そういった数々の思いが彼らをその恒星系に縛り付けていたのである。
その間にも惑星は依然としてその進化を続けていた。しかもその進化のベクトルは、
かつての主がそうであったように、破壊へと向けられていた。
人類に対する“Con-Human”の殲滅戦は熾烈を極め、人類は存亡の危機に立たされていた。
M.C.0183
人類は“Con-Human”の存在を全生命体にとっての脅威と判断、その完全破壊を決断する。
第一次敵惑星攻略戦が開始されたが、その強大な戦力を前に後退を余儀なくされる。
M.C.0185
ついに人類は残存兵力の全てを投入した第二次敵本星攻略戦、
“OPERATION RAYFORCE”を発動する。
しかし、人類にとっての「希望の力」であるはずの兵力はあまりにも少なかった。
[M.C.0185マイストロノフE.ノイマン著「機械世紀の贖罪」より抜粋]
(※「レイフォース」サウンドトラックCDライナーノーツより)
ゲームシステム
8方向レバー+2ボタン制縦画面縦方向スクロールSTG。
ボタンは自機前方を攻撃するショットボタンと、後述するロックオンレーザー発射ボタンに分かれている。
アイテムは主に赤い敵を倒すと現れる。
・「L」と書かれたロックオンレーザーの発射数を増やすアイテム
・3つ集めるとショットが一段階パワーアップする赤い四面体のアイテム
・1つでショットが一段階パワーアップする黄色い四面体アイテム
この3種類のみである。
ショットにはデフォで連射が付いているが、シンクロ連射装置を付けると更に速く連射できるようになる。
自機の当たり判定は後の弾幕STGに比べれば格段に大きく、
スピードアップや後のシリーズにあるボムに当たる機能も無い為、
プレーヤー自身の”避け”の技術と、「死んで覚える」「見て憶える」緻密なパターンの構築が必要になる。
ガンフロンティアから続くタイトーが後世に誇れるゲーム性、演出面共に優れた硬派なSTGである。
ロックオンレーザー
本シリーズ作品を象徴する攻撃システム。
自機前方に固定されて表示されている照準を敵に合わせるとロックオンし、
ボタンを押すとロックオンした全ての敵に対して誘導レーザーを発射する。
ロックは初期状態で5箇所、最大で8箇所。耐久力の高い敵には複数回のロックオンも可能。
ロックしてから約4秒間攻撃しないとロックは自動解除される。
尚、後のシリーズ作品と違い自機と同じ高度の敵にはロックオンできない。
一度に複数の敵をロックオンして破壊すると得点に倍率がかかり、高得点を獲得できる。
敵の出現パターンを覚えてロックオンレーザーで高得点を獲得するのがこのゲームの醍醐味であるが、
効率を優先して次々敵を攻撃すれば難易度を下げることも可能である。
開発側によれば、「ゼビウス」の照準と「アフターバーナー」のホーミングミサイルをベースに、
考えられた攻撃システムらしい。
当時のゲームでは斬新なシステムであり、美しく曲線を描いて敵を攻撃するレーザーは、
その後に発売されたシューティングゲームにも大きな影響を与えている。
プレイヤー機の攻撃ではないが、この作品以降のシューティングゲームでは、
ボス敵が誘導レーザーを放ってくるパターンがしばしば見られるようになった
(特に、同じタイトーのゲームではこれがよく見られる)。
これには少なからず、本シリーズ作品のロックオンレーザーをベースにしていると言えるだろう。
演出
- このゲーム最大の特徴として、ステージ間を演出で途切れる事無く繋いだ”1カメ”の手法が挙げられる。
ステージ間のフェイドアウトは一切無く、プレイヤーはゲームスタートからエンディングまで、
リアルタイムで自機と共に作戦を遂行する事になる。 - 1面冒頭で上がっている動画の殆どのプレイヤーが自爆しているのは、
復帰時に現れるボーナスアイテムを用いてロックオンレーザーの倍率を上げ、
最初の艦隊で稼ぐ為である。 - 2面のボス戦前に、背景で数多くの敵戦艦が味方の戦艦を攻撃し、全滅させるシーンがある。
これは最後の望みはプレイヤーただ1人のみだと言うメッセージにもなっている。
(尚、設定上敵影響域を抜けた非戦闘艦があるので人類は絶滅してはいない)
(これは、それらへの更なる追撃を防ぐ為の乾坤一擲の作戦の一場面である) - 3面の地表にある目立つクレーターは、撃破された2面ボスが地表に墜落して出来た痕跡である。
- 4面の地表の穴からは5面がチラチラ見えている。
- 5面では未来都市を背景に高速スクロールする。
ビルなどの建築物や道路などは、2Dグラフィックでありながら3Dのように描かれている。
「敵がビルを避ける」「自機が上昇して横切る道路を避ける」など、
プレイヤーに自機と背景との高度差を感じさせる演出が為されている。 - 6面の中ボスは撃破せずに結構長い事生き残らせることが可能、それを利用して稼ぐ事も可能。
- 7面後半では惑星の中枢システムに接近していくのだが、
この時に1枚のドット絵のみで、惑星中心部の球になっている形状や、
中枢システムに沿って自機が機首を上げて上昇する様子を表現している。
このゲーム最大且つ最高の魅せ場である。 - ラスボスの出現時の演出は、設定にある「"原子配列操作による物質生成"の理論」による、
防衛プログラムの空間への射出及び実体化。 - エンディングの演出はSTGによくある星の「爆発」ではなく母星の「消失」。
ラストショットをくらい暴走したラスボスが自らが作り出した物質全てを消去してゆく光景である。
自機と石片はラスボス誕生以前及びラスボス以外による創作物だったため影響を受けなかった。 - ゲームオーバー時には作戦の達成率が惑星の図解付きで表示される。
が、この画面が表示されているという事は作戦の失敗を意味し、人類の遠くない全滅を意味する。
関連動画
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関連リンク
- 株式会社タイトー|アプリ・コンソール|RAYFORCE
- EGRETⅡ mini | 株式会社タイトー
- 『レイヤーセクション & ギャラクティックアタック Sトリビュート』ゲーム紹介 & 製品情報│Sトリビュート×TAITO 公式サイト
- レイズ アーケード クロノロジー | 株式会社タイトー ※2023年発売
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