レジェンドとは、マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)にかつて存在した特殊なクリーチャー・タイプ、または、エキスパンションの名前である。
クリーチャー・タイプとして
主にMTGのストーリーにおける重要な人物・モンスターなどに付属するクリーチャー・タイプである。2004年発売の神河物語を境に廃止され、クリーチャー・タイプに「レジェンド」があるクリーチャーは全て「伝説のクリーチャー」と読み替えることになっている。
「レジェンド」は「ゴブリン」や「人間」などと同じクリーチャー・タイプとしてだけではなく、「伝説の」というサブ・タイプと同様の特殊ルール(レジェンド・ルール)を持っていた。
クリーチャー・タイプ自体が特殊ルールを持っているため、何らかの方法でクリーチャー・タイプをレジェンドにされたクリーチャーは「レジェンド・ルール」の影響を受けた。そのため、レジェンドが存在していた時期に作られた「クリーチャー・タイプを変更する」カードにはよく「壁[1]でもレジェンドでもないクリーチャー・タイプをうんぬん」と書かれていた。
ちなみに、伝説のクリーチャーがレジェンド・クリーチャーだった時期にも、伝説の土地やアーティファクトなどが存在した。ただし、土地やアーティファクトは「レジェンド」というクリーチャー・タイプではなく、最初から「伝説の」というサブ・タイプを持っていた。
以下にレジェンド・ルールを時系列順に記述する。
ルールが2回変わっているので古いカードに対するコメントなどを読むときには要注意。
また、レジェンド・ルールは「カード名」を参照するルールである。そのため「ストーリー上では同一人物」である2種類のカードはレジェンド・ルールに引っかからず一緒に戦場に並ぶ。
初代ルール(「レジェンド」~「ミラディン」ブロック)
初代ルールは、『同名のカードが2枚以上戦場に存在する場合、後から出た方を墓地に置く』
これは、「召喚しようとしている人物は既にこの場に存在しているのだから、後から召喚しようとしても失敗する」という雰囲気付けを重視したルールである。
しかし、このルール下では強力な伝説のカードを主軸にしたデッキのミラーマッチ(同デッキ対決)では、先に出したもん勝ちの先出しゲー=クソゲーが頻発した。
特にMoMaで使用された《トレイリアのアカデミー》でこの問題は顕著に表れた。ミラーマッチで先攻を取り、首尾よく1ターン目にこの土地を出してしまえば、相手はもうまともにデッキが動かない。土地を置いただけでほぼ勝利である。
この時にはMoMa対策として青いカードもアーティファクトも0枚のデッキに《トレイリアのアカデミー》が4枚投入される始末であった。
2代目ルール(「神河」ブロック~「ラヴニカ」への回帰)
『同名のカードが2枚以上戦場に存在する場合、それらは全て墓地に置く(通称:対消滅)』
自分で2枚出すと2枚とも墓地に行くという困った事態を引き起こすが、対戦相手の「伝説の」カードに対する除去としても使うことができた。
≪クローン/Clone≫のようにクリーチャーをコピーするカードは、伝説のクリーチャー専用除去として使われることもあった。特に伝説のクリーチャーが確実にデッキに組み込まれる統率者戦[2]では珍しくない。また、この特性を利用するために「伝説な感じ」への基準を多少緩め、複数出すと処理が面倒になったり、バランスがぶっ壊れたりするカードにも「伝説の」を付けてカード化するようになった。
現行ルール(「基本セット2014」以降)
『同名のカードが自分のコントロール下で2枚以上戦場に存在しようとする場合、1枚を残し他は全て墓地に置く』。
2代目ルールでも先に出すだけで対戦相手の選択肢を奪うことには変わらなかったので、是正のためのルール変更であった。
先出し側はタップコストを持たない能力起動のチャンスがあり、速攻[3]を持っていれば攻撃が可能なのに対し、後出し側は対消滅しか選べない。
これにより、ただ先に出すかどうかだけでカード性能が変わってしまう不公平さは軽減されたが、代わりに「伝説の」カードにあったはずの「このカードは特定の品物、人物を表してるから1つしか出ないんだぜ」という雰囲気は犠牲になってしまった。
エキスパンションとして
1994年6月発売のエキスパンション(拡張セット)。多色のクリーチャーや、上記レジェンド・クリーチャーが初めて登場したエキスパンションである。クリーチャー以外にも、Mana Drainなどの強力なカードが有名。
今の環境からは考えられないことだが、当時のレジェンド・クリーチャーというのは一種の素敵性能の塊であり、マトモに運用できるものは数えるほどしかいなかった。主にボーラス様とか。
ただ、カードの雰囲気やバックストーリーに関してはカッコいいものも存在している。主にダッコン様とか。《天使の炎ガブリエル》(名前のみ)とか。トレーディングカードゲームは気に入ったカードを集めることも楽しみ方の一つである、ということを再認識させられる。
レジェンドの最初期ロットには致命的なカード封入ミスがあったことが知られている。
これは、アンコモンは[A]グループと[B]グループの2種類に分けられて、ブースターパック1箱には[A]か[B]かどちらかのグループのカードしか入っていない、というものである。
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関連項目
脚注
- *かつては特殊ルール(壁・クリーチャーは攻撃できない)があったクリーチャー・タイプ。現在は特殊ルール部分を【防衛】というキーワード能力として切り分けたので、特殊ルールのない普通のクリーチャー・タイプとなった。
- *基となった非公式フォーマットElder Dragon Highlander(EDH)の名で呼ばれることも多い
- *クリーチャーがプレイヤーへ攻撃するための条件の一つに「自分のターンの開始時からそのクリーチャーを継続してコントロールしていること」というものがある。速攻を持つクリーチャーはこの条件を満たしていなくても攻撃することができる。
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