レッドアクシズとは、スマートフォンアプリ『アズールレーン』に登場する陣営・軍事組織である。
概要
劇中世界における4大国家のひとつ「鉄血」が、人類共通の敵である《セイレーン》に対抗するための方針を巡る対立から超国家軍事連合《アズールレーン》を脱退し、自分たちの手で新たに設立したもうひとつの超国家軍事連合。
《セイレーン》との戦いで戦利品として手に入れた技術や力を積極的に導入し、人類のさらなる発展と革新を目指すことを主題に掲げている。
そのため、「人類自らが生み出した科学技術と天然自然の力による自然進化的な発展」を良しとする《アズールレーン》とは対立関係にあり、この対立は最終的に両陣営による本格的な武力衝突へと発展していく。
その後、「鉄血」と同じく4大陣営の一角を担っていた「重桜」も半ば寝返りに近い形で《アズールレーン》を脱退・離別し、《レッドアクシズ》に加わったため、世界は「人類の力のみで戦う道」と「毒を以て毒を制す道」の一方を選択することを迫られることとなる。
ゲーム中におけるレッドアクシズ
作品名が示すとおり、メインのストーリーは基本的に《アズールレーン》側の視点で進んでいくため、ゲーム中における《レッドアクシズ》はプレイヤーおよび自軍の敵として登場する。しかし、プレイヤーはゲーム中に行える「建造」で普通に「鉄血」や「重桜」に所属するKAN-SENを入手することができ、自軍の艦隊に編成することも可能。
また、司令部内の各種施設には明石、不知火、ケルンといった《レッドアクシズ》所属国のKAN-SENが普通に存在し、それぞれ「ショップ」、「購買部」、「戦術教室」を運営している。
さらには、これはレッドアクシズに限らずアズールレーン側にも言えることなのだが、メインストーリー上でKAN-SENたちの生死に関わる事態が起こることがある。しかし、ゲーム上でプレイヤーのもとにいる該当する娘には影響がない。
これら要素は、「ゲームシステム上の都合」ではなく、作中設定的にも明確な理由があるのだが、ストーリーおよび世界観の重大なネタバレになるのでここでは割愛する。
通常海域のストーリーは史実を下書きにしていることに加えて、アメリカ合衆国をモデルとした「ユニオン」の戦いを主題として描いているため、2021年の時点で敵として登場しているのは日本(大日本帝国)をモデルとした「重桜」のみである。初期のイベントでは「重桜」ばかり敵役をやらされていたが、一方で2017年12月26日から開催されたイベント『鏡写されし異色』から「鉄血」のKAN-SENが敵として登場したのを皮切りに「ユニオン」や「ロイヤル」のKAN-SENが敵として出現するケースも出始め、陣営問わずKAN-SENが海域に出現するようになっている。このため、イベントではころころ敵が変わる。その際同じKAN-SENが複数現れることがあるが、一部の例外(偽物であることが明示されている場合など)を除き同じKAN-SENが複数存在するということはない。
所属国家
かつて《アズールレーン》の設立に深く関わった4大国家のうちの2国である「鉄血」と「重桜」を中心に、様々な国家が所属ないし《アズールレーン》から鞍替えした――という設定だが、2018年4月の時点では、公式で所属が確認されている国家は上記2国だけであった。
イタリアを始めとした史実における枢軸国をモデルとした国家の本編ならびにイベントでの登場が待たれていたが、2018年7月に新勢力「ヴィシア聖座」、2019年9月に「サディア帝国」が登場した。
鉄血
4大国家のひとつ。強大な軍事力とそこから生まれた高度な科学技術により勇往邁進を続ける軍事独裁国家。正式名称は鉄血公国。英語表記は"IRON BLOOD"。艦船接頭辞は"KMS"。皇帝がすべての決定権を握り、貴族による評議会が行政を担う国家体制である。前々から北方連合と対立している。同国出身のアドミラル・ヒッパーからは「科学の国」と評されている。
《セイレーン》との戦いで得た彼女たちの技術を解析し、これを自軍の戦力として転用したが、これにより「ユニオン」「ロイヤル」と意見対立を引き起こし、やがて《アズールレーン》を脱退。《レッドアクシズ》を設立する。
上述したセイレーン由来の技術を取り込んだ影響か、所属しているKAN-SENの艤装は機械化した怪獣のような異形的なデザインをしたものが多く、大型艦であるほど艤装も大きくなり、その点が顕著という外見的特徴がある。また、KAN-SENたちのファッションとしては、軍服の意匠が強めに反映されており、ほとんどの娘が帽子をかぶっているのが目立つ。
日本版のメインストーリーでは、今のところプロローグにのみ登場する。戦艦ビスマルクがセイレーンの力を利用し、「ロイヤル」のフッドを一撃で再起不能にした。
KAN-SENの装備は「クラップ」という企業によって製造されている。モデルであるドイツが史実においては水上艦艇よりも潜水艦のほうに重点を置いていたためか、ゲーム中クラップ製の装備箱から入手できる装備品は装備箱中最も種類の幅が狭い。
2018年以降では、戦艦と空母の実装にともなって戦艦主砲と航空機も入手できるようになった。ただ事実上の鉄血艦専用装備も多く、鉄血艦がそろっていない新規プレイヤーには少々扱いづらい。なお艦砲に関しては徹甲弾を使うものが多く、KAN-SEN側でも徹甲弾を強化するスキルの所持率が高い。名前の元ネタは実在した企業「クルップ社」と思われる。
第二次世界大戦時のドイツすなわちナチス・ドイツがモデル――と思われがちだが、厳密には「ドイツ帝国をベースに軍事独裁などのナチス・ドイツ的要素を取り入れた架空のドイツ」をモデルとしている。「ロイヤル」ほどではないが、KAN-SENたちの服装が洋風寄りなのもそのため。
「戦場で散った者たちの魂はヴァルハラへ赴く」という教えが慣習化している。おそらく『銀河英雄伝説』のオマージュ。この点もモデルであるドイツの文化面・死生感を反映している。
重桜
4大国家のひとつ。「じゅうおう」と読む。おもざくらではない。極東に存在する君主制国家。英語表記は"SAKURA EMPIRE"。艦船接頭辞は"IJN"もしくは"IRN"[1]。建前上は「カミ」と呼ばれる超常的存在の神託を受ける「神子」が国家権力の中核を担っているとされる。しかし実際には政府に属する人間たちが統治を行っており、事実上の傀儡となっている。隣国の東煌と対立している。
島国という立地に加え、「数百年に渡り他国との交流を極力避けていた」という歴史ゆえに、「ヤオヨロズノカミガミ」を祀る精霊信仰など独自の文化・風習を今もなお色濃く残している。そのためか、所属しているKAN-SENは全体的に和服姿もしくは和風な装いをしている者が多い。セイレーンの技術を解析して転用したミズホの神秘により圧倒的な飛躍を見せ、敵国「ユニオン」に比肩する実力を得たとされる。この点から推測するにミズホの神秘を使う前は今より弱小だったと思われ、《アズールレーン》時代は肩身の狭い思いをしていたと考えられる。
島の中心地には国の名を冠した巨大な桜があり、名実ともに国の象徴となっている。かつてはKAN-SENの長門が臣民と重桜艦隊の頂点に立っていたが、旗艦の座は大和(未実装)に譲渡。長門自体は開戦に反対の立場だったが、開戦派に押し切られたようだ。またイベントでは、本島とは別に祭儀の島がある事が判明している。
「鉄血」同様、《セイレーン》との戦いで得た彼女たちの技術を積極的に取り入れる方針を掲げたために「ユニオン」「ロイヤル」と対立を深めていき、最終的に《アズールレーン》を離反する形で《レッドアクシズ》に鞍替えをする。ちなみに、ストーリー開始時点ではまだ《アズールレーン》に所属していた。「重桜」が《レッドアクシズ》入りしたのを契機に、東煌が《アズールレーン》に加入したという設定がある。
長門が旗艦の座を退いて以降、「カミ」という存在から力を貰った赤城と加賀が中心となって重桜を動かしている。国をより強大にするべく策を巡らせているが、強引なやり口に反発した一部のKAN-SENが離反しており、三笠や瑞鶴がその勢力の中心人物となっている。このため重桜内部で紛争が起きている状態。瑞鶴は独自に《アズールレーン》勢力に接触しており、「重桜」が一枚岩ではない事を窺わせる。
所属しているKAN-SENの肉体には獣耳や尻尾、ツノといった人外的な器官が生えている。ただし、不知火や翔鶴、瑞鶴のように人外的要素が一切ない者も少なからず存在する(前者は獣耳の形をした機械製の外付けオプション。後者は衣装などで動物要素を表現している)。これらは、重桜の人種的特徴であるらしい[2]。重桜上層部によるセイレーン技術の研究によって、重桜の民は人間と「カミ」の調和を強化した「ミズホの神秘」へと人種的進歩を遂げているようである。これらが肉体に少なからず影響を与えているようだ。
ちなみに「重桜」の艦はモノノケをモチーフにしているとされる。また、笛、刀、人形(ひとがた)、花札といった、日本的アイテムを使いこなす娘が多い。ファッション面も、和服や道着、袴、忍者衣装といった日本?的なものが目立つ。
上述したとおり、通常海域において《アズールレーン》の敵として登場する唯一の勢力である。それゆえか海域のドロップでしか入手できないキャラクターや装備設計図の数は、この「重桜」のものが最も多い。
KAN-SENの装備を製造している企業は「蔵王重工」。ゲーム中のテキストでは「蔵王」と略称で表記されることが多い。蔵王製の装備箱は入手できる装備品の種類が豊富で、とりわけ駆逐艦と軽巡洋艦用の装備が非常に充実している。例えば、ロイヤルの軽巡ベルファストに最適と呼ばれる最強の軽巡用榴弾砲は、この蔵王製である。反面、性能にクセが強いものや普通に「ハズレ」扱いされる装備品の数も非常に多い。企業名の元ネタは三菱重工だろうか。
また、「重桜」の装備として特徴的なのが、攻撃機が搭載している航空魚雷(通称・重桜魚雷)。これは他陣営の攻撃機の魚雷(通称・汎用魚雷)が放たれた場所から真っ直ぐ水平に進んでいくのに対して、補足した敵1体の位置に向かって魚雷が放たれる(敵を追尾するのではなく、発射の瞬間敵の「いた」位置なので注意)というもの。面制圧能力こそないが、ボス戦など特定の敵に火力を集中したい場合などでは非常に有効な装備である。ただし、魚雷1発あたりの威力はそれほど高くはなく、駆逐艦など素早い相手には余裕でかわされたり外れることが多いので過信は禁物。海域のボスキャラの種類などに合わせて、汎用魚雷と重桜魚雷を使い分けるのが有効だろう。
メインストーリーでは散々な扱いだが、イベントでは「重桜」視点のものが幾つか用意されている。味方の「鉄血」もセットで登場して共闘する展開も見受けられる。ただし、何故か敵はセイレーンか自軍の演習相手ばかりである。
モデルは第二次世界大戦時の日本(大日本帝国)だが、全体的に「和」のテイストが強い。あと、くどいが「ケモノ」「マモノ」「モノノケ」要素も。
ヴィシア聖座
2018年7月26日に開催されたイベント「光と影のアイリス」にて登場した。英語表記は"CURIA OF VICHYA"。艦船接頭辞は"VNF"。
開戦劈頭、「鉄血」の侵攻を受けた「アイリス」は早々に降伏。これにより「アイリス」は「ヴィシア聖座」に改名し、「鉄血」の軍門に下った。「ヴィシア聖座」の海軍力は「ロイヤル」を脅かすほどの戦力だった。
アイリスの所属艦の中で「鉄血」に庇護を求めた者達であり、あくまで「中立」を標榜。初登場となった「光と影のアイリス」にて、攻撃をしなければ「鉄血」や「サディア帝国」に与しないと宣言していた。しかし「ヴィシア聖座」のKAN-SENが「鉄血」の戦力として利用されることを恐れた「ロイヤル」と、その同盟勢力である「ユニオン」に攻撃されてしまう。中立を掲げているにも関わらず一方的に攻撃されたため「ヴィシア聖座」所属のダンケルクは「信ずるに値しない」と吐き捨て、決定的な亀裂となる(元ネタとなったメルセルケビール海戦でも英仏の関係が断裂した)。さらにこれが、《アズールレーン》に与する「自由アイリス教国」の設立を招くことになる。既に戦端は開かれており、「アイリス」に入国しようとした「ユニオン」の艦隊が、「ヴィシア聖座」に攻撃され、追い返されている。
また「光と影のアイリス」の後半では先述の事もあり、「ヴィシア聖座」の艦隊を率いるジャンバールは「ロイヤル」に激しい憎悪を向け、徹底抗戦を指示。敵艦隊と交戦したが、敗れてしまう。更に本部から「《アズールレーン》と合流せよ」と事実上の降伏を命じられるが、仲間を蹂躙した憎き敵に与する事を拒んだジャンバールは自沈を命じ、自らを命を絶った…に見えたが、「鉄血」に救助されて手当てを受けている事が判明した。
所属艦は全体に暗めのカラーリングが特徴であり、白基調の「自由アイリス教国」つまり「アイリス」の所属艦たちと対照的。「アイリス」がさしずめ「聖騎士」「天使」のイメージなら「ヴィシア聖座」は「黒騎士」「堕天使」のイメージだろうか。
徹底抗戦を貫く「自由アイリス教国」と、「鉄血」の支配下に置かれた「ヴィシア聖座」。基本的な体制は「アイリス」と同じだが、両者は敵対関係にある。後継としての正統性は「ヴィシア聖座」にあるようで、対する「自由アイリス教国」はその正統性を否定している。また、正統性の象徴となる「聖堂」も「ヴィシア聖座」の勢力下にある。この事から「光の影のアイリス」の光は、正統性のある「ヴィシア聖座」を指している。
モデルは第二次世界大戦時にフランスがドイツに降伏後、傀儡政権としてドイツにおもねる道を選んだ勢力「ヴィシー・フランス」である。ヴィシー・フランスは自由フランスと違ってアメリカやソ連から国家承認を受けており、「ヴィシア聖座」に正統性がある事の由来となっている。
サディア帝国
2019年9月11日に開催されたイベント「悲歎せし焔海の詩」にて登場したが、それ以前から存在は仄めかされていた。英語表記は"SARDEGNA ENPIRE"。艦船接頭辞は"RN"。
地中海を巡って「ロイヤル」と対立関係にあったため、敵の敵は味方理論で《レッドアクシズ》入りしている。しかし「鉄血」の支配下に入るのも良しとしておらず、更には「鉄血」の最近の軍事力増大には懸念を示しており、「ロイヤル」の動向次第で《レッドアクシズ》を裏切る考えもあることを示唆している。一方、「鉄血」側もその動きを察知しており、監視を続けている状況。またロード画面の陣営説明でセイレーンを除くと唯一説明文が無く、陣営が明言されていないなど不穏。
軍(KAN-SEN)を指揮しているのは総旗艦ヴィットリオ・ヴィネトと姉妹艦リットリオ(ヴィットリオ・ヴィネトを長とし、リットリオが参謀格)。
イタリア人の気質が色濃く出ており、イベントも平和なものが多い。帝国の威光を世界に知らしめるという理念から「味方が全力で戦っている中、町興しをしている」と評される。
アズールレーンがリリースされてから2年近く、枢軸国のイタリアに相当する勢力が登場せず、指揮官達の間では「セイレーンがイタリアに相当するのでは?」という説まで出た程だったが、ようやくの登場となった。なお、登場時点では《レッドアクシズ》所属ではあるが、「鉄血」や「重桜」のように、セイレーンの技術を取り込んでいる様子は無い。ただ、現時点での実装艦はなぜか巨乳が多く、「セイレーンの技術を取り込んで巨乳になったのでは?」と囁かれているとか。
余談
- 《アズールレーン》とは方針の違いから対立関係にあるが、「《セイレーン》を打倒し人類の未来を守る」という点は共通する。
- 「重桜」に所属するKAN-SENの獣耳などの人外的要素は《アズールレーン》所属国の一部のKAN-SENにも見られる。代表的な例は「ユニオン」のシムス、ハムマンで、彼女たちには犬耳がある。この二名に関しては犬耳がデザインした担当イラストレーターの趣味であり、彼(彼女)によりハムマンの犬耳は取り外し可能なカチューシャである絵が投稿された。シムスも同じと思われる。また、外見上では人外的要素が一切ないが、「ロイヤル」のヴァンパイアは「他人の鮮血を飲みたがる」という、その名のとおり吸血鬼のような言動を見せる。
- 実は、KAN-SENおよび彼女らを生み出す「メンタルキューブ」は《セイレーン》によって齎されたものであるため、《アズールレーン》側は設立した時点で自らが掲げている「人類自らの力による発展」という理念に反している(ネタバレのため反転)。
- 通常海域では一貫して重桜が敵として登場するが、1-1に限り演習という形でホーネットと戦う。
- アズールレーン陣営とレッドアクシズ陣営のどちらかの絵を投稿する、イラストコンテストがピクシブで行われた。その結果、絵の投稿数は拮抗したがブックマーク数は圧倒的にレッドアクシズ陣営が多く、敵対する陣営に勝利した。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *"IJN"表記はドックや図鑑での艦船表記に、"IRN"表記は「艦船技術」の陣営別画面で確認できる。ちなみにIJNのJはJapanese、IRNのRはRìběn(「日本」のピンイン表記)と思われる。
- *公式4コマ「びそくぜんしんっ」第005話・2のツイッター掲載時のコメント(外部
)で、高雄が「重桜は御伽話の存在とともに共存している国ゆえ、異国の方からすればいささか珍しい外見を持つ子が多い。…そういえば翼やウロコの子もいるな」と語っている。
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