レトロスペクティブ東方とは、tokati0755氏が制作する幻想入りシリーズである。2016年10月30日に完結した。
アナタは 何処から来た?
では 何処へ行く?
帰りたいんだろう。
帰るために選べと言われたら
アナタはどちらに答えを出すのだろう?第1話「演舞」
より
概要
意図せずして幻想入りを果たした青年・史規と、彼の決意の元に共に幻想抜けと呼ばれる試練に挑む博麗霊夢の戦いを描く。
皆、何処かへ帰りたい。
これは、誰もが辿り得る--
幻想と真理の織り成す物語。第1話「演舞」
より
幻想入りNo.543、2008年5月06日1に投稿が開始され2009年11月22日2に完結した3。
(これを下記のリメイク・リビルドと区別し”無印”とも称される)
また、デク氏率いる有志レトロ組によるフルボイス化もなされた4。その後tokati0755氏とレトロ組がタッグを組みフルボイスリメイクであるレトロスペクティブ東方-Phantasm-が制作された5。
本稿では2016年10月30日に完結を迎えたレトロスペクティブ東方-雅-について扱う。
レトロスペクティブ東方-雅-とは?
2008年~2009年にかけてニコニコ動画で連載され完結した幻想入りシリーズ「レトロスペクティブ東方」のリビルド6作品である。物語のテーマはそのままに、グラフィックの新規描き起こし、脚本・演出に大幅な再構築を施されている。前作と似て非なる、根幹を同じくする物語。それが「レトロスペクティブ東方-雅-」である。
製作はtokati工房と表記される場合があるが、監督・シナリオ・イラスト・編集のすべてにtokati0755氏がクレジットされており、つまりはそういうことである。
特徴
本作の特徴として、『BGMとのシンクロ』があげられる。
多くの場面で地の文、台詞、場面演出等が曲の盛り上がりや転調にあわせて進行し、物語を彩る。また、ヴォーカル曲が使用される場合、その歌詞も含めて作品とのシンクロが狙われている。
これらは曲を聴きながら台詞や場面を作っていくというtokati0755氏の制作スタイルによるものであり、同氏のこだわりともなっている。
映像面においては膨大な量の立ち絵・イベント絵・映像素材・画面効果に彩られている。映画や映像作品を意識した動きの溢れる戦闘描写、遠近や動と静の演出による場面描写、細かな立ち絵の動作や表情差分による見逃せない感情表現などに注目したい。また、手動文字送りのできない動画としての性質と上記BGMとのシンクロとが合わさり、見た目通りのADV形式ではない緻密なタイムラインに沿って厳密に進行する映像作品と言える。
文章・シナリオに関しては、上記の通りBGM展開や場面イメージを先に据え、そこに文章を添えられることから描写が冗長な印象を受ける可能性がある。だが、本編では主に主人公の主観で描かれていることも起因していると思われる。
本作では幻想入りシリーズ界隈における所謂”東方を知らない主人公”が登場するが、下記引用もあるように東方キャラを主とした活躍が期待できる。
本編テキストには本稿冒頭の引用にあるような意味深な言葉だけにとどまらず、設定・伏線・登場人物の背景や意図へと辿り着ける記述が綿密に散りばめられており、 文章作品としての考察も楽しめるだろう。
メインキャラクター
- 史規(ふみのり) 「…頼む。俺に…俺を見つけさせてくれ」
外来人。本作の主人公にして物語の基本的な語り部。特別な能力を持たないごく普通の青年。霊夢と出会い、博麗神社で居候することになる。
- 博麗霊夢 「私は何処へも行かないわ」
- チルノ 「あったり前だー!ノリをやっつければ、あたいの勝ちなんだから!」
氷の妖精。史規の腰ほどの身の丈に六枚の氷柱の羽を持つ少女。森で迷った史規の前に現れた。史規を「敵」と呼び、突然襲い掛かってくる。
- アリス・マーガトロイド 「本気を出して負けたら後が無い。まるで、私と同じ」
七色の人形遣い。幻想抜けを成すべく神社から旅立つ史規と霊夢、その第一歩を挫かんと刃を携えた人形の群れを操り二人の前に立ち塞がった。
- 八雲紫 「まだよ。まだ… 帰さない」
- パチュリー・ノーレッジ 「何処にも載っていない事は、知らなくていい」
動かない大図書館。見知らぬ洋館、紅魔館で出会う。お嬢様の古くからの友人である魔法使い。元居た世界についての知識と、この幻想入りに対する知識の交換を持ちかける。おっぱい。
- レミリア・スカーレット 「踊りましょう?大丈夫、食べたりしないから」
永遠に紅い幼き月。紅魔館の主。お嬢様と呼ばれる羽を持つ少女。”頑固者の外来人を、ここから帰りたくなくさせるゲーム”を持ちかける。
- 十六夜咲夜 「時間は有限です。--例外を除いて」
完全で瀟洒な従者。紅魔館のメイド長。幻想郷に来た経緯もわからないと言う史規に対し、「全て、きっとこの紅魔館で解る」と語りかける。
- 霧雨魔理沙 「私は、抱え落ちはしない主義なんだぜ」
- 射命丸文 「未練がある人は、諦めが悪いものです」
伝統の幻想ブン屋。特ダネを追う烏天狗の新聞記者。黒い羽を持つ。ある疑問を抱えた史規のもとへ突撃取材として来訪、公平な取引と称し「投げかける質問に、本音で答えて欲しい」と持ちかける。ふともも担当。
- 魂魄妖夢 「寄る辺無き者と呼ぶのなら、それも良いでしょう」
半分幻の庭師。二振りの刀を携えた銀髪の少女。初対面でありながら史規のことを知っていると言う。「誰も幸せにはなりません」として、史規に帰るのを止めるよう警告する。ちっちゃい。かっこかわいい。
- 西行寺幽々子 「きっとここを好きになれる。私が保証するもの」
足跡
- 2008年5月~2009年11月:レトロスペクティブ東方3 presented by tokati0755
- 2010年3月~2010年6月:レトロスペクティブ東方-Phantasm-5 presented by tokati0755/レトロ組
- 2011年1月25:レトロスペクティブ東方-MEMORIES-7 presented by tokati0755/レトロ組
- 2012年12月2日~2016年10月30日:レトロスペクティブ東方-雅- presented by tokati0755
関連動画
関連コミュニティ
関連楽曲・商品
関連項目
外部リンク
本作を紹介しているサイト
注釈
- その後修正された1話が2008年5月17日に再投稿された。
- 本編完結後のあとがき動画を含めると2009年11月27日。
- 完結後、Phantasm5と共に公開停止。現在は削除済み。
- ネタバレ回避のため現在は非公開。
- 製作・公開を共に停止。現在は削除済み。
- ここでいうリビルドとは、前作の視聴者も、新規の視聴者もそれぞれの新鮮な楽しみがある作品を目指すため、今また新たにレトロスペクティブ東方の歩みを再構築するという位置付けとのこと。(第一話あと
がき )
- 応援していた視聴者と制作に携わった皆様への感謝動画。ネタバレ回避のため非公開とされていた。
- FFL同人誌編集部発行のゲーム雑誌みたいな同人誌vol.2
にて製作者インタビュー対談特集が掲載された。
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