レベルデザインとは、ゲーム中の建築物や生物、自然物の配置といった世界構造のデザインを専門に行う作業である。
概要
初期のゲーム開発ではプログラマーやゲームデザイナーがゲーム中の建築物や敵の配置を行っていた。
しかしハードの性能の向上に伴いゲーム開発に必要な要素が複雑化する中で、効率的にゲーム内コンテンツをつくる必要性が生まれた。
こうしたコンテンツの中でもレベル(日本語ではステージ、マップ、あるいは1面、2面の意味)を制作する作業をレベルデザインとして分業するようになった。
レベルデザインを行うための専用ツールをレベルエディタといい、レベルデザイナーを目指す人は市販のMOD作成等が可能なゲームのレベルエディタで作品を作るのが登竜門になるだろう。
実際の開発現場ではMayaや3dsMaxといったモデリングソフトでレベルデザインを行うこともある。
レベルデザインとはゲーム内でプレイヤーが動き回る建物や広大な環境を設計をすることであり、いわばその建築士のことをレベルデザイナーと呼ぶのである。
参考書籍
レベルデザインの名著として、
ゲームデザイナーのための空間設計 歴史的建造物から学ぶレベルデザイン
という本があるが残念ながら絶版状態でプレミア化している。
出版社のボーンデジタルは再販するか電子書籍化を検討してほしい。
Architectural Approach to Level Design: Second edition (English Edition)
実際のゲーム開発で使われているようなレベルデザインの技法を学びたいという人は以下の本が参考になるだろう。
3Dゲームをおもしろくする技術 実例から解き明かすゲームメカニクス・レベルデザイン・カメラのノウハウ
たくさんの有名なゲームのレベルを抽象化して書籍上に再現し、膨大な図とともに詳細な解説がなされている。
読みごたえはあるがややプロ向けの本かもしれない。
タイトルから勘違いしがちだがこちらはレベルデザインについて書かれた本ではない。
「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック
原題は「Level Up!: The Guide to Great Video Game Design」であり、読んだ人のゲームデザイン能力をレベルアップさせるという意味合いである。
一般的なゲームデザインのプロセスについて網羅的に書かれているが、第9章はレベルデザインについての記述があるので興味のある人は読んでみてもいいだろう。
レベルデザインをめぐる混乱
日本国内のモバイルゲームの会社で難易度のパラメーター調整を行う作業をレベルデザインと呼ぶことがある。
これは海外ほど分業が進んでおらずレベルデザイナーという職業の認識が薄かった日本で「レベル=難易度」という誤った認識から適当に名前がつけられてしまったためであろう。
このことにより仕事上のコミュニケーションでトラブルが発生することがある。
たとえばゲームの難易度調整をしてほしいという意味でレベルデザインを修正してほしいと頼むと、不必要な工数をかけてゲーム内の建物や敵配置がごっそり変わってしまうという悲劇を想像してほしい。
あえて英語名をつけるのであれば,、難易度調整のことは Game Balancing と呼ぶので調整を専門に行う人は Game Balancer 、あるいはマネタイズに関わるのであれば Monetization Designer と呼ぶべきである。
これらの名称は海外のスタジオの求人で実際に存在する。
もちろんそうした分業を行うことで制作効率が上がることが前提となる。
"level"の本来の意味は、名詞では水面を基準とした高さ、
形容詞では水平であること、
"ゲームの難易度"を直訳すると"difficulty level of a game"になるが、"level"に難しさの意味はない。
"level design"
レベルデザインは難易度調整を含むべきか?
また、レベルデザインはマップや敵の配置を行うので難易度にも当然関係する。
そのため難易度調整すること自体をレベルデザインに含めてもよいのではないかという議論もある。
しかしゲームの難易度というのはマップや敵の配置だけで決まるものではない。
もちろん初代スーパーマリオブラザーズのようにシンプルな2Dゲームであればマップの配置がそのまま難易度に直結する。
しかし現代のゲームは敵のAIアルゴリズム、武器の性能、アイテムの効果、ゲームメカニクスの設計など難易度に影響する要素は多岐にわたる。
そのためレベルデザイナーに難易度調整の責任をもたせてしまうとレベルデザイン以外の作業を並行して行うことになり作業効率が悪くなってしまうことが考えられる。
いってみればキャラクターのモーションが性能に影響するからといって、格闘ゲームのキャラアニメーターに対戦時のバランス調整作業をやらせるようなものである。
1人や少人数でゲームを作るならともかく、多数と予算と人員が投入されるゲーム開発では専門的な作業を分業して行うのが常識となっている。
その結果としてディレクターやゲームデザイナーは分業した成果物の方向性や品質について一貫した調整を行い、必要であれば他の開発スタッフに指示して修正してもらう、といったワークフローが自然と形成されてきた。
たとえばどこかのゲーム開発スタジオでレベルデザイナーが、あるいはアーティストやプログラマーが難易度調整を一任されているのだとしたら、彼らはゲームデザイナー相当の仕事を兼任している可能性が高い。
それが最適な開発体制であるかどうかはプロジェクトの性質に依存するし、そのためにレベルデザインの意味するものを強引に歪める必要もないのだ。
つまり、すでに一般的である用語を特殊な例を元に拡大解釈して厳密な定義を求めようとするよりも、なぜこの現場ではレベルデザインを分業すると作業効率が上がるのか?難易度調整は誰が責任をもつのが最も効率的か?といった点を重要視したほうが生産的であろう。
分業する必要性がなければゲームデザイナーがレベルデザインを担当することになるだろうし、難易度調整に対する自信が無ければ他のスタッフやテストプレイヤーを雇って分業しても良いのである。
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関連項目
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