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レボドパ(Levodopa)とは、ドーパミンやアドレナリンの前駆アミノ酸である。L-DOPA(L-ドパ)。
概要
有機化合物 | |
レボドパ | |
基本情報 | |
英名 | Levodopa |
L-3,4-Di |
|
略称 | L-DOPA |
化学式 | C9H11NO4 |
分子量 | 197.19 |
化合物テンプレート |
レボドパは、カテコール構造を有するアミノ酸である。体内では、L-チロシンから生合成される。また、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの前駆体である。“3,4-Di
レボドパは、パーキンソン病のドパミン補充療法に用いられる。パーキンソン病では黒質のドパミン神経が変性し、線条体(被殻・尾状核)におけるドパミンの量が著しく減少している。ドパミンの絶対的不足とそれによる相対的なコリン作動性神経の優位により、安静時振戦(手の震え)、筋強剛(筋のこわばり)、無動、姿勢反射障害といったパーキンソニズムを呈する。ドパミンは血液脳関門を通過できず血管から脳に移行しないが、レボドパは血液脳関門を通過し脳内でドパミンへと変換されるため、レボドパ投与はパーキンソニズム改善に有効であり、パーキンソン病の最も基本的な治療法といえる。ただし、閉塞隅角緑内障や過敏症の患者に対しては禁忌。
しかし、血中のレボドパはそのほとんどが、末梢に広く分布する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)によってドパミンへと代謝されるため、レボドパのまま脳に移行する割合は1%に満たない。したがって、末梢のAADCを阻害するカルビドパやベンセラジドと併用される。これらは血液脳関門を通過せず末梢でのレボドパ代謝のみを抑えるため、投与するレボドパの量を1/4~1/5程度に減らすことができ、悪心・嘔吐や不整脈などの副作用も軽減できる。ただし、レボドパによるジスキネジア(舞踏様の不随意運動)の発症頻度が高くなるため、レボドパ単剤が選択される場合もある。
レボドパはパーキンソン病の早期および進行期で有効で、筋強剛や無動に著効する。副作用は焦燥や不安などの感情変化、抑うつ、興奮、不眠、せん妄、悪心・嘔吐、起立性低血圧、不整脈など。また、レボドパの急激な減量や中止は、悪性症候群(高熱、意識障害など)を引き起こすおそれがある。長期投与により、ジスキネジア、Wearing off現象(作用持続時間の短縮)、On and off現象(効果のみられる時間とみられない時間の反復)などを引き起こす問題もあるため、若年のパーキンソン病患者はレボドパではなくドパミンD2受容体作動薬で治療を開始する。
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