レムリア大陸とは、インド洋上または太平洋上にあったとされる「失われた古代大陸」の一つである。
概要
生物地理学上の不連続性を説明付けるために動物学者フィリップ・ラトリー・スクレーターによって提唱されたのが起源で、彼は1864年に書いた論文「マダガスカルの哺乳類」(The Mammals of Madagascar)でレムールス(Lemurs; キツネザル)という分類を参照しており、共通する化石などからインド、マスカリン諸島とマダガスカル島が共にかつて存在していた大陸の一部であるという仮説を提唱。先述のレムールスに因んで"レムリア"と名付けた。
インド洋を中心にインド南端部、マダガスカル島、オーストラリア西部を三角に結ぶ広大な面積で形成されていたと予想されており、またその形状が生物地理学的には陸橋(land bridge: 海を隔てた地域の間をつなぐ陸地)の役目を果たしていたという考えであった。
一方この大陸説は動物学者達の間からその他の分野にも波及し、1888年に刊行された神智学系の著作『シークレット・ドクトリン』においてレムリアはインド洋ではなく太平洋上にあるとの説が発表されたため、同じく太平洋上にあるとされたムー大陸とレムリア大陸を同一視する考えも現れ始めた。
しかし、現代においては違う大陸や島で似た動植物が見られるのは大陸と大陸の間に別の大陸があって陸橋の役目を果たしていたからではなく、かつては一つだった大陸が二つに分かれる大陸移動説などのプレートテクトニクスによって説明がされるようになった。それに伴い、科学に基づいたレムリア大陸の存在は否定され、その名前はオカルトやフィクションの中に見られるのみになった。
他の「失われた古代大陸」との比較
「失われた古代大陸」として語られる大陸は他にもムー大陸、アトランティス大陸が有名である。三大陸はいずれも19世紀後半から脚光を浴びたという点で共通しているが、その起源はムー大陸が16世紀、アトランティス大陸が紀元前に溯るものであり、レムリアは最もその起源が新しい。また生物学・化石学上の要請から生じた大陸仮説であるという点で、古文献にその名が刻まれる他の二大陸※とは一線を画している。
※ただしムー大陸の名が記されていたとされるトロアノ絵文書についてはその解読方法が誤りであった事が近年指摘されている事から、ムー大陸についてはその解読者であるフランスの聖職者シャルル=エティエンヌ・ブラッスール・ド・ブルブールの創案という可能性もある。
大陸地上に存在していた時期についてはレムリアが約2億-5千万年前と地質学的背景を元にした年代なのに対し、ムー大陸・アトランティス大陸は約1万2000年前に水没したという伝承になっており、数字上では明らかな差がある。
ムーの紋章は八芒星とその中心に描かれた丸十字で表されている。またアトランティスの紋章は多重同心円とその中心から伸びる十字(アトランティス十字)で描かれる※が、レムリアの紋章はムーのそれを流用したものかそれに近いマークで表されることが多い。
※プラトンの記述を元にしている。またアンクの下端が二又に分かれているものをアトランティス十字と呼ぶ事もある。
レムリア大陸が登場する作品
- 『はるかなるレムリアより』…太平洋説(ムー大陸と同一視)に基づいている
- 『レムリアン・サーガ』…太平洋説に基づいている
- 『黄金の太陽』…古代から栄える楽園都市の名前として登場
- 『三つ目がとおる』…三つ目族が本拠地とする古代王国の名前
- 『スーパースターフォース 時空暦の秘密』
- 『Ever17 -the out of infinity-』…作品の舞台となる巨大海洋テーマパークLeMUがレムリア大陸をモチーフにしている。
- 『燐光のレムリア』
その他
◆クリスタルの一種にシンギングクリスタル(singing crystal)と呼ばれるものがあり、それらはレムリアンシード(Lemurian seed)という別名を持つ。シンギングクリスタルはかつてロシアやブラジルで産出されていたが現在は希少化が著しいとされる。
関連動画
関連項目
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