レーティング(rating)とは、評価・格付けを表す英単語である。
概要
評価・格付けの意味を表す英単語。転じて以下のような意味合いも表す。
- 評価・格付け
- テレビや映画、ゲーム、ブラウザー等において、年齢制限の意味。
R-18,R-15,R-12 の表記における、Rはこの意味 - 競走馬・ヨットレースに付属する評定
競走馬であれば、国際統一基準のポンドに併せて設定がされる。このレーティングは同じ馬であってもレースごとに異なった値になるのが普通である。重賞やリステッド競走においては、(少なくとも日本やオーストラリアやヨーロッパなどにおいては)4着までの馬のレーティングの平均が条件に応じて定まった一定値以上であること[1]が要求される。
ヨットレースであれば、帆の大きさや船の大きさなどで決まる。 - 投資信託等における評価機関が、リスクとリターンに応じて効率性をしめしたもの
- チェスなどで用いるイロレーティングなどのように、特定プレイヤーの実力を数値化したもの
わかりやすく言えば、その人の強さを数値で表現したもの。勝てば上がるし、負ければ下がる。自分よりも強い(レーティングが高い)相手には勝ちづらいが、勝てばその分レーティングの上昇量も大きく、負けてもレーティングの下降量は小さい。逆に自分よりも弱い(レーティングが低い)相手であれば勝っても上昇量は小さく、負けると下降量が大きくなる。
年齢制限の例
- 日本の家庭用ゲーム機のソフトの場合、ほとんどはCEROというものを用いている
- 日本の映画の場合、映画倫理機構(映倫)が決めている
- Androidアプリの場合、国によって異なる
- iOSアプリの場合、基本は以下の通り
。成人向けアプリはそもそも頒布不可なので、それに対応するレーティングはない
競走馬のレーティング
競走馬のレーティングは、基本となる考え方は、ハンデキャップ競走に根付いている。例えば、
- 馬Aと馬B(馬齢・性別どちらも同じ)が定量戦(負担重量が馬齢・性別だけで決まるレースのこと)の同じ芝1600mのレースに出走し、馬Aが馬Bに1馬身先着した
- その後、再び馬Aと馬Bが芝1600mの同じハンデキャップ戦に出走することになった。この時、馬Aと馬Bをおおむね同じくらいでゴールさせるには、馬Aの負担重量をおおむね2ポンド重くすれば釣り合いが取れるだろうと推論する
これがレーティングの基本となる考え方である。これをすべての馬に広げて考えると、すべての馬の相対的な数値が求まる。これを過去の基準などに照らし合わせ、絶対的な数値に落とし込んだものが、レーティングである。
一般には、ロンジン社が作っているロンジンワールドベストホースランキングを用いることが多いが、タイムフォーム社が作るレーティングも非公式には用いられることも多い。
もうちょっと具体的に解説
1つ目の例として、2024年12月の中日新聞杯(GIII)(芝2000m)のレーティングを説明する。
- 1着 - デシエルト(58kg) 牡5 - 113
- 2着 - ロードデルレイ(57.5kg) 2馬身 牡4 - 108
- 3着 - マテンロウレオ(58.5kg) アタマ 牡5 - 110
- 4着 - トーセンリョウ(55kg) アタマ 牡5 - 103
基本的な知識としては、以下のことを押さえておく必要がある。
で、実際についたレーティングを見ると、今回の2馬身差は4、アタマ差はどちらも0としたようだ。
2つ目の例として、同年同月の有馬記念(GI)(芝2500m)のレーティングを説明する。
- 1着 レガレイラ(54kg) 牝3 - 118
- 2着 シャフリヤール(58kg) ハナ 牡6 - 121
- 3着 ダノンデサイル(56kg) 1馬身半 牡3 - 119
- 4着 ベラジオオペラ(58kg) 1/2馬身 牡4 - 118
今回は3歳馬・古馬、牡馬・牝馬がいる。この時の考え方は以下の通りである。
- 馬齢によるアローワンスは負担重量を補正し除去する。3歳馬の2500m戦のこの時期のアローワンスは2kgのため、レガレイラ56kg、ダノンデサイル58kgとして計算する
- 性別によるアローワンスは除去しない。ただし、レース自身の質を評価するときには、牡牝混合戦の牝馬は4を加算する
芝2500m戦では以下の通り。
これらを踏まえると、本来は1着より2着が4大きい必要がある(要するに負担重量差2kgの4分、シャフリヤールが大きくなるはず)。しかし、基本的には1着馬が一番優位になるように補正するという大原則があるため、レガレイラのレーティングに1を加えたため、このような形になっている。
チェスのレーティング
チェスの場合、イロレーティングを用いることが多いのは前述の通りであるが、これは平均的なプレイヤーのレーティングをR0、そのプレイヤーが平均的なプレイヤーと対戦したときの勝利確率をW、敗北確率をLとしたとき、以下の式であらわされる。
R=400log10(W/L)+R0
一般に、R0には1500という数値を用いる。この式において、プレイヤーAがプレイヤーBに勝つ勝率WABは、プレイヤーAのレーティングWA、プレイヤーBのレーティングをWBとする。詳細は省くが、最終的にはWAB=1/(10(RB-RA)/400+1)となる。つまり、レーティングの差が同じであれば、勝率は同じ程度であると期待できる。
レーティング差(自分-相手) | 勝率 |
---|---|
-300 | 15.1% |
-200 | 24.0% |
-100 | 36.0% |
0 | 50% |
+100 | 64.0% |
+200 | 76.0% |
+300 | 84.9% |
このレーティングは、FIDEにおけるマスター称号を得るためにも用いられる。
インターナショナルマスターおよびグランドマスターは、レーティングに加え、ノルムと呼ばれる実績を積む必要がある。
あまりにも複雑なので、詳細はFIDEのハンドブックを参照せよ。
例えば羽生善治の場合、アクティブにチェスをやっていたころのレーティングはおおむね2400前後だったとのこと(だいたい日本で一二を争うのプレイヤーが2400前後である)。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
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