レーベンスティール(Lebensstil)とは、2020年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2023年:セントライト記念(GⅡ)
2024年:オールカマー(GⅡ)、エプソムカップ(GⅢ)
概要
父リアルスティール、母トウカイライフ、母父トウカイテイオー。
父リアルスティールはディープインパクト産駒で、2016年のドバイターフ勝ち馬。2015年の三冠戦線では皐月賞2着・日本ダービー4着・菊花賞2着と惜しくもクラシック獲りには届かずも、ドゥラメンテやキタサンブラックと覇を競った。(後に全妹のラヴズオンリーユーが海外GⅠ3勝・エクリプス賞最優秀芝牝馬受賞を果たした、海外に強い兄妹でもある。)GI1勝ながらもこうした戦歴と好血統から社台スタリオンステーションでのスタッドインを勝ち取っており、本馬はそのファーストクロップ世代の一頭である。
近年では少なくなりつつある「母父トウカイテイオー」の血統も目を引く点だろう。2023年でトウカイテイオーの没後10年を迎え、テイオー産駒の現役繁殖牝馬も次第に少なくなりつつある中で登場した活躍馬であり、オールドファンの注目も集めている。
馬名「Lebensstil」はドイツ語で「生き様」の意。父リアルスティールの馬名由来はヒュー・ジャックマン主演のアメリカ映画「Real Steel」で英語なのだが、「スティール」の響きに母トウカイ「ライフ」の名を引っ掛けた命名である。
馬主はノーザンファーム系クラブ法人のキャロットファームだが、ノーザンファームの生産馬ではなく、生まれは日高町の広富牧場。
話はレーベンスティールの3代母ベイリーフスイータと、広富牧場の先代の時代に遡る。繁殖牝馬として牧場にやってきたベイリーフスイータの馬っぷりに惚れ込んだ先代は、資金を投入して高額な種牡馬を付けて回り、リアルシャダイを付けた結果生まれたのが本馬の祖母ファヴォリ。その後先代が亡くなってご子息が跡を継いだ時、父の遺した「父リアルシャダイの肌馬」に合う種牡馬は何か、それを十分に見極めて選んだのがトウカイテイオーであった。(実際、「トウカイテイオー×リアルシャダイ」は、テイオー産駒の貴重なGⅠ馬であるトウカイポイントを生んだ組み合わせである。)こうして生まれた牝馬トウカイライフに、「超高額の種牡馬は付けられないが、手ごろな価格でも中身の濃い競走実績を残した種牡馬を」との狙いで選ばれたのがリアルスティールであった。
こうして家族牧場が練り上げた母系から出た本馬は、日高軽種馬農協の1歳市場「セプテンバーセール」に出品され、ノーザンが1,900万円(税抜)で落札してクラブ馬とした……以上のような経歴の持ち主である。一口9万円×400口で募集されて無事満口、入厩先は美浦の気鋭若手調教師として名を挙げつつあった田中博康厩舎と決まった。
生き様を継ぐ者
2歳(2022年)
新馬戦は2022年11月13日東京5R・芝1800m、鞍上はトム・マーカンド。しかしこのレースには、レーベンスティールを抑えて1番人気に推された一頭の馬がいた。レーベンの父リアルスティールを菊花賞で破り、この頃イクイノックスの台頭によって種牡馬評価も爆上がりになりつつあったキタサンブラックの産駒、そしてヴァンドギャルドの半弟でもあるソールオリエンスである。直線では2頭が後続を5馬身突き放すマッチレースとなったが、ソールオリエンスにクビ差敗れ、新馬勝ちを逃した。
中3週で臨んだ12月10日の未勝利戦(中山芝1800m)は、前走の鬱憤を晴らすかのように好位から逃げ馬を軽々と捉えて3馬身半差の快勝。(余談だがこのレーベンスティールの快勝で「やっぱりあの新馬戦の2頭、飛び抜けた力があるぞ」とソールオリエンスの評価もより高まり、その下馬評通りに年明けの京成杯を快勝、勢いは止まらずクラシック一冠目の皐月賞も勝ち取り、世代の中心に名乗りを挙げていく。)
3歳(2023年)
春のつまづき
一方のレーベンスティールは、デビューやや遅めで2歳12月に勝ち上がりを決めた有力馬とあらば、明け3歳初戦は例えば共同通信杯あたりで収得賞金を加算しクラシックを目指したいところであったが、この後脚部不安に見舞われ、復帰戦は2023年3月25日の1勝クラス戦(中山芝1800m)。しかも不良馬場に脚を取られて逃げ馬をアタマ差捕まえ損ね、思わぬ昇級失敗を喫してしまう。
その後は、日本ダービー逆転出走を狙い一か八かで青葉賞か京都新聞杯へ……といったローテは組まず、慎重に5月14日の自己条件(東京芝1800m)を選択。ダミアン・レーンを背に5馬身差楽勝し、2勝目を挙げた。(父リアルスティール・母父トウカイテイオーとも日本ダービーに出走して骨折したという血統であり、田中師もここで無理させても仕方ないと判断したのかもしれない。)
次走はラジオNIKKEI賞(GⅢ)。単勝1.9倍の圧倒的な1番人気で、ここは秋に向けしっかり収得賞金を積んでおきたいところだったが……前残りの展開になることが多いこのレース、戸崎圭太騎乗のレーベンスティールは中団から差しを狙ったものの、直線で進路に詰まり内で馬群を捌きながらの展開となってしまい、2着シルトホルンにハナ差3着。連対での収得加算すら逃してしまう、痛恨の結果となった。
秋戦線
ラジオNIKKEI賞でやらかしたことで、レーベンスティールはピンチに陥った。いくら「無敗の皐月賞馬に新馬戦でクビ差の馬」「勝ったレースはメチャメチャ強い」といっても、クラス上は自己条件2勝のみ・収得賞金900万円の立場に過ぎず、このままでは菊花賞は適性や勝ち負け以前に除外の可能性がある。9月18日のセントライト記念(GⅡ)は、何としても優先出走権確保の3着以上が必要なレースとなった。そして、ダービーでは2着惜敗し菊花賞での二冠を狙うソールオリエンスもここを秋の始動戦としており、新馬戦以来のリベンジの機会が巡ってきた。
ジョアン・モレイラ騎乗のレーベンスティールは、3枠4番から道中は内目7番手で落ち着いて進み、4角で外に持ち出すと抜群の手応えで抜け出した。外を回してきたソールオリエンスを1.3/4馬身抑え、新馬戦のリベンジを果たすと共に重賞初制覇。危うい立場だった淀行きの切符も確保した。
しかし、先述の通り一度このセントライト記念に仕上げを持って来ざるを得なかった都合もあり、レース後の田中師は「さすがに体がしぼんでいる感じ」とコメント、放牧が決定。結局その後菊花賞の回避が決まり、体調の回復具合を見極めつつ次走の舞台を探ることとなった。
結局次走は香港ヴァーズ(GI)に決定。下馬評の段階から1番人気に推され、当日は単勝1.9倍と抜けた人気を集めた。……しかし、直前の水曜日にスクミ(筋損傷により尿が赤黒く濁る症状)が出て追い切りを1日遅らせるなど、状態面での不安が伝えられていた。そして当日。スタート直後からレーベンスティールは首をブンブン振り落ち着かない。何とか向正面では中団で折り合い、3番手好位で最終直線に入ったものの……そこからぱたりと脚が止まってしまった。鞍上のモレイラも「前走とは違う馬でした。能力を全く出していません」と断じる内容で、フランスのジュンコが勝利、GI初出走のゼッフィーロが2着連対、これが結果的に引退レースとなったジェラルディーナが4着の中、まさかの8着最下位に終わった。
体質や折り合いなど課題は多そうだが、古馬での巻き返しを図りたい。
4歳(2024年)
復帰・古馬初戦は津村明秀騎乗で5月5日の新潟大賞典(GⅢ)。単勝3.4倍の1番人気に推されたものの、道中中位から直線では脚が伸びず11着惨敗。
しかし、叩き2戦目の6月9日エプソムカップ(GⅢ)では一変。道中7番手進行から、府中の直線で最重斤59kgも何のそのと脚を伸ばして突き抜け、1分44秒7のレースレコードで勝利。惨敗からの立て直しと秋に向けての収得加算にも成功する重賞2勝目を挙げた。鞍上のクリストフ・ルメールはJRA重賞通算150勝目を記録した。
秋はオールカマー(GⅡ)から始動。
引き続きルメールが騎乗し、単勝1.5倍の1番人気に推された。パドックからツル頸になり、返し馬でも入れ込んでいる様子が見られたが、3枠4番のスタートから番手につけるとルメールは折り合い重視で道中を運ぶ。直線では内目で馬群に包まれた苦しい体勢となったが、前のリカンカブール・アウスヴァール2頭の間を抜け、アウスヴァールを半馬身差し切ってゴール。ルメールの落ち着いた騎乗が光り、重賞連勝を果たした。
レース後田中師は「東京1800mや2000mはパフォーマンスを出せる舞台だと思う。大きいところを勝ちたい」とコメント。次走として、優先出走権を得た天皇賞(秋)(GI)を選択した。ルメールが騎乗して3番人気に支持されたものの、スローペースの中で後ろからの競馬となったが外枠も影響したか8着に終わった。思えば母父トウカイテイオー、その父シンボリルドルフ、父リアルスティールとレーベンスティールの血統に連なる馬はいずれも秋天に苦い思い出がある面々…(そもそも父父ディープインパクトは凱旋門賞に行ったので秋天に出られなかった)。
血統表
リアルスティール 2012 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*ラヴズオンリーミー 2006 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
Monevassia | Mr. Prospector | ||
Miesque | |||
トウカイライフ 2007 黒鹿毛 FNo.5 |
トウカイテイオー 1988 鹿毛 |
シンボリルドルフ | *パーソロン |
スイートルナ | |||
トウカイナチュラル | *ナイスダンサー | ||
トウカイミドリ | |||
ファヴォリ 1996 青鹿毛 |
*リアルシャダイ | Roberto | |
Desert Vixen | |||
ベイリーフスイータ | *ターゴワイス | ||
マギーサンイツ |
5代クロス:Hail to Reason 5×5(6.25%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
母トウカイライフはダート戦線で38戦4勝(中央3勝+地方1勝)。母系では高祖母マギーサンイツの半姉に1980年京成杯3歳ステークス勝ち馬・1981年エリザベス女王杯2着のタケノダイヤがいる。
関連動画
関連リンク
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- ウメムスビ
- エースインパクト
- オオバンブルマイ
- オマタセシマシタ
- オーギュストロダン
- オーサムリザルト
- カビールカーン
- コンティニュアス
- ゴリアット
- シュヴィル
- ショウガタップリ
- シランケド(競走馬)
- シンゾー
- シンリョクカ
- ソールオリエンス
- タスティエーラ(競走馬)
- チャリン
- デルマソトガケ
- ドゥラエレーデ
- ドゥレッツァ
- ドルチェモア
- ハッピーミーク(競走馬)
- ヒーローコール
- ビターグラッセ(競走馬)
- ビッグシーザー
- ファンタスティックムーン
- ファントムシーフ
- ブルーアーカイブ(競走馬)
- ブルーストッキング
- ブレイディヴェーグ
- ヘルシェイク
- ベラジオオペラ
- マイネルラウレア
- マンダリンヒーロー
- ミックファイア
- ミトノオー
- モズメイメイ
- モーメントキャッチ
- ヤマニンウルス
- ユメノホノオ
- リバティアイランド
- ルガル
- ワイズメアリー
▶もっと見る
- 7
- 0pt