ロイヤルブラッドとは、光栄(現コーエー)から発売されたシミュレーションゲームである。
1991年にPC版とファミコン版、1992年にメガドライブ版とスーパーファミコン版が発売された。
当時の光栄のゲームでは珍しい、オリジナルのキャラクターが登場するファンタジー物のシミュレーションゲームで、後に続編も作られている。
ストーリー
人間とモンスター、妖精たちが共存する大陸「イシュメリア」。
イシュメリア大陸を治めるランカシア王家の国王エセルレッドは、凶悪な力を持つドラゴンと宝石魔術師と呼ばれる六名の魔術師が封じ込められた王冠・ロイヤルブラッドの力を持って暴政を強いていた。
ある日の晩、父の暴政に心を痛めていた王女アヴェールの前に、神の使いである水龍パスハが現れ、「ロイヤルブラッドの宝石を解放せよ」とアヴェールに告げた。
父の寝室へ密かに忍び込んだアヴェールは、宝石魔術師たちが封じ込められている六つの宝石をロイヤルブラッドから外し、夜空へ解き放った。
しかし、間もなくこの行為がエセルレッドに発覚。アヴェールは捕らえられて城の奥深くへと幽閉されてしまうのだった。
その頃、ロイヤルブラッドから解放された宝石魔術師たちは、王家によって大陸の片隅に追いやられていた六名の貴族の下に降り立っていた。
宝石魔術師の力を得た貴族たちは好機とばかりに兵を挙げ、今まさにイシュメリアの覇権とロイヤルブラッドを巡る戦いが始まろうとしていた。
概要
プレイヤーは貴族の一人となって、30の領地に分かれているイシュメリア大陸を統一するのが、ゲームの最終的な目標である。
シナリオは4つあり、シナリオごとに既存勢力や勢力比、状況が異なっている。
担当できる勢力は決まっているので、全ての勢力を使用できるわけではない。
軍事、内政ともにかなりシンプルな物になっており、シミュレーション初心者でも割と取っつきやすいゲームとなっているが、その分難易度は控えめである(勢力によっては厳しい戦いを強いられることもあるが)。
戦争では投入兵力を均等に分けた第一~四部隊の他、第五部隊として前述の宝石魔術師を使用したり、モンスターや特殊傭兵を雇って投入することが出来る。
登場する人物は全部で63名で、各キャラクターには軍事力・政治力・魅力の三つのステータスが数字で割り振られている。
ゲーム上ではあまり触れられないが、同時期に発売されたハンドブックに各人物の設定や背景が書かれているので手に入れられればよりキャラクターに感情移入することができるだろう(PC版のみ、ステータス画面で軽くキャラクターの背景が語られている)。
主要人物
宝石魔術師に選ばれた六名の貴族たち
- エラン
武官の名門であるブランシェ家の当主で、このゲームの主人公格でもある。全シナリオで使用可能。
武力を好み、軍事力に優れるが、実は政治力や魅力もかなり高い。
イシュメリア大陸の北東部を支配しており、ライバルであるライル家と小競り合いを続けている。
地の利はそれほど悪くなく、優秀な配下も多いため、初心者向けの勢力。 - レッドワルト
イシュメリア大陸の北西部を支配する、文官の名門であるライル家の当主で、エランのライバル的存在。
全シナリオで使用可能。
全体的にステータスが高いが、中でも政治力が高く、エランとは正反対の知将タイプなイメージのキャラクター。
シナリオ1~2ではクリサリス家に背後を取られているが、それほど脅威ではないし、配下にも恵まれているのでこちらも初心者向けの勢力といえる。 - イリアス
フェリアス家当主。エランやレッドワルトには劣るが、それなりに高いステータスを持つ、笑顔が素敵なナイスガイ。
シナリオ1~3で登場し、シナリオ2で使用可能。
火山群のあるイシュメリア南西部の支配権をコーラル家と争い、コーラル家に勝利して南西部を支配した。
その後、突然現れた謎の青年・エアドリックに領地を奪われてしまい、イシュメリアから追放されてしまう。 - ガッシュ
最北西にある島、アイランドを根城にするクリサリス家の当主。シナリオ1で使用可能。
辺境君主にありがちな武力が少し高くてその他がイマイチというステータス。
島国であるため、後ろを取られることがないという地の利を得ているものの、本島に進出するために強敵のライル家と戦わなくてはならない。シナリオ2では病死している。 - ランフランク
コーラル家当主で「灼熱公」の異名を持つ。シナリオ1で使用可能。
フェリアス家と南西火山群の支配権を巡って争うが敗北。宝石魔術師に選ばれた貴族の中では、最初に脱落した勢力である。 - レアンデル
モーブル家当主。シナリオ1~2で登場し、シナリオ2で使用可能。
イシュメリアの西部森林地帯を支配していたが、ライル家とスレテート家に攻められ、あえなく戦死。
その他の当主
- ギメルシュ
ガッシュの次男で、病死したガッシュの跡を継いでクリサリス家の当主になった。シナリオ2で登場するが、プレイヤーは使用できない。
エランをも凌ぐ軍事力を持っているが、最終的にはライル家に滅ぼされ、兄のビマードと共に追放されてしまう。 - ティリアン
スレテート家当主。エセルレッド配下の大司教だったが、とてつもない野心家であり、フェリアス家に滅ぼされたコーラル家の家臣からフレイムを手に入れたのを機に独立した。シナリオ2~4で登場し、シナリオ3で使用可能。
最初は中央付近を根城にしていたが、中央進出に失敗し、シナリオが進むにつれ西側へ追いやられてしまう。
地の利は良いとは言えないが、ティリアン自身のステータスは高く、息子のサーディックはバランス型、娘のアニスは政治特化型と、配下には恵まれている。 - ジョスリン
トルディン家当主。シナリオ1はコーラル家の配下、シナリオ2ではモーブル家の配下だったが、シナリオ3で息子のフュノーと娘のメルティナと共にトルディン家を興し、独立した。プレイヤーも使用可能である。
イシュメリアの南東部を根城にするが、宝石魔術師を所有しておらず、北はランカシア王家、西はフェリアス家に囲まれており、使用できる全貴族の中でも難易度が高い勢力である。
設定では雇い入れたモンスターが領地を荒らした際に死亡してしまい、トルディン家は自然消滅となった。 - リアラッハ
ディアス家当主。エセルレッド配下の近衛兵隊長だったが、イリアスの息子であるライアスにそそのかされて独立。
シナリオ4で使用可能。
宝石魔術師を所有しておらず、北はブランシェ家、南はランカシア王家の領地に挟まれているという、シナリオ3のトルディン家と似たような状況に置かれている。 - エアドリック
テュードリア家当主。シナリオ4で使用可能。南西部を支配していたイリアスを破り、領地を奪い取った。
かつて何者かに拉致されたという、エセルレッドの息子に似ているらしいが、ゲーム上ではそれ以上の詳細は語られていない。
軍事力は劣るが、内政と魅力に優れている。
ランカシア王家
- エセルレッド
ランカシア王家の当主であり、イシュメリアの現国王。全シナリオに登場するが、プレイヤーは使用できない。
ステータスでは他の貴族に大きく遅れを取るが、全シナリオを通してドラゴンが封印されている王冠・ロイヤルブラッドを所有しており、侮れない相手ではある。
シナリオ1では強大な勢力を誇っていたが、シナリオが進むにつれて他の貴族らの侵攻、ティリアンとリアラッハの裏切りのために、領土を狭められていく。 - アヴェール
エセルレッドの娘で、王女。パスハの命でロイヤルブラッドにはめられていた宝石を外して、貴族たちの下へ宝石魔術師を解き放つが、エセルレッドに捕らえられて城の奥へ幽閉されてしまう。
オープニングとエンディングのみの登場だが、何年経過しても姿は若いままである。
ハンドブックでは、漫画でエセルレッドに捕らえられて牢屋から脱走したエランとレッドワルトを自分の部屋に匿うシーンがあったり、貴族たちと面識があるような描写がなされている。
宝石魔術師とドラゴン
六名の宝石魔術師とロイヤルブラッドに封印されているドラゴンは戦争時に第五部隊として使用できる。
費用などは一切かからないが、一回使用すると2ヶ月使用できなくなるペナルティがある。
ペナルティがあるとはいえ、タダでそれなりに強力な部隊を使えるので、やはりいるといないとでは大違いである。
ロイヤルブラッドと宝石に封印されているわけではないが、水龍パスハについてもこの項目で記述する。
宝石魔術師
- ミーティア
隕石を操る魔術師。宝石の色は濃青色。
耐久値は全魔術師の中で最も高く、隕石による間接攻撃が強力。
全シナリオを通してライル家が所有。 - サンダラス
雷を操る魔術師。宝石の色は緑。
ミーティアの次に強い魔術師で、雷による間接攻撃を持つ。
しかし、移動力はミーティアより高いので使いやすさではこちらが上。
全シナリオを通してブランシェ家が所有。 - フレイム
炎を操る魔術師。宝石の色は橙。
移動力が低く、攻撃も近接のみなのでやや使いにくいが、攻撃自体は強い。見た目が暑苦しい。
シナリオ1でコーラル家、シナリオ2以降はスレテート家が所有。 - マシェーティ
カマイタチを操る女魔術師。宝石の色は空色。
フレイムと同じく近接のみだが、使い方次第ではドラゴンを倒すことが可能。
シナリオ1~3でフェリアス家、シナリオ4でテュードリア家が所有。 - チル
氷を操る女魔術師。宝石の色は紫。
近接のみで攻撃力に劣るが、移動力に優れるため一般兵の殲滅や奇襲戦法に向いている。
シナリオ1~2でクリサリス家、シナリオ3以降はライル家が所有。 - ポイズン
毒を操る魔術師。宝石の色は白。
こちらも移動力を生かした奇襲戦法向きの魔術師。毒霧による間接攻撃が可能。
シナリオ1~2でモーブル家、シナリオ3以降はブランシェ家が所有。
ドラゴンとパスハ
- ドラゴン
王冠ロイヤルブラッドに封印されているドラゴンで、灼熱の炎を吐いて攻撃する。
攻撃力が強く、強力な宝石魔術師・モンスター・傭兵でないとタイマンで対抗するのは難しい。
移動力が低いのが唯一の弱点と言えるが、広範囲に攻撃が出来るためにあまり弱点になっていない。
全シナリオを通してランカシア王家が所有。 - パスハ
神の使いの水龍で、アヴェールに宝石魔術師を解放するよう命じた張本人。
ラッキーイベントで一回だけ力を貸してくれることがあり、第五部隊として使用することができる。
イベントなので全領地に現れる可能性があるが、ハンドブックによると30匹兄弟らしい…?
ドラゴンに対抗できる数少ないユニットだが、攻撃が近接のみなので先手を取りづらい。
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関連項目
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