ロケットランチャーとは、文字通りロケット弾(Rocket)を発射する装置(Launcher)である。
「ロケラン」という愛称に略される場合もある。
概要
主に個人が肩に担いでロケット弾を発射する筒を指すことが多い。
詳しく知らない方でも「バズーカ砲みたいなやつ」と言えばピンとくるのではないだろうか。
ただし、全部をバズーカというのは誤用である。(後述)
広義には携帯式以外も含める
定義的には車両搭載型でも地上設置型でもロケット弾を発射する装置ならロケットランチャーと言える。が、大がかりな場合はロケット砲(Rocket artillery)と呼ばれたり、航空機用ではロケットポッドと呼ばれたりする。
現在は航空機からの対戦車攻撃は対戦車ミサイル等に取って代わられたが、
榴弾(炸裂弾)による対人・非装甲目標への攻撃には使用されている。[1]
無反動砲
ロケットランチャーと混同されがちなもの。
どちらも対戦車攻撃に用いられる事が多く、後方から発射ガスを逃がすことで反動を相殺している点は同じだが、無反動砲は砲弾自体が推進力を持っていない。(飛んでいく物の後ろからジェット噴射とかしない)
ゲームなどでは大まかに一緒にされる場合も多い。(後述)
対戦車兵器
携帯式のものは主に対戦車兵器として使われる。
その他、破壊力を活かし敵の立て籠もる陣地や建物に対しても使用される。[2]
成形炸薬弾(HEAT弾)といった弾種が主に使われ、特徴は以下の通り。
※対戦車榴弾とも呼ばれる
装甲貫通力は口径・弾種・製品によって異なるものの
軽装甲や建物・陣地であれば小口径であっても十分な威力を持っている。
相手側の爆発反応装甲に対して、弾頭を二重にした弾種もある。(全長・重量は増える)
対人・多用途
上記の対戦車弾頭以外にも
対人榴弾(炸裂弾)、発煙弾、照明弾といった多彩な弾種があり、用途が広い。
多目的榴弾(多目的対戦車榴弾)のように、対戦車榴弾に対人榴弾の機能を付与し
汎用性を向上させたものもあるが、榴弾としての性能は対人榴弾には劣る。
再装填ができない代わりに、通常より小型・軽量な使い捨てのタイプも存在する。
(→M72LAW、AT4)
歴史
その歴史は非常に古く、明の時代にまで遡る。当時、黒色火薬を筒に詰め込んで矢に取り付けた火箭(かせん)と呼ばれるロケットが既に存在し、これを複数同時発射するための一人で持つ筒「多発火箭」が使用されたという記録が残っており、これが最初期のロケットランチャーであると言える。その後は、大砲と銃の発達により、ロケットランチャーは長らく細々とした使用に留まっていたが、第二次世界大戦においては歩兵用の対戦車兵器(バズーカ、パンツァーシュレック)やロケット砲兵(カチューシャ、ネーベルヴェルファー)などとして大活躍し、現代では主要な火器の一角を占めている。
ロケットランチャーの役割は言ってしまえば「ロケット弾に対して飛翔する方向性を与える」ことである。また、ロケット弾発射時の噴炎は外に逃がしてやれば反動はほとんど無い。このため、火薬ガスの圧力と反動に耐える必要のある大砲と比較すると、ロケットランチャーは簡単な機構でコンパクトかつ軽量に作ることが可能である。
この利点を生かし、ロケットランチャーは高火力で軽量な兵器として運用されることが多い。例えば第二次世界大戦においては、弾薬を撃ち尽くした後の死荷重(何の役割も無い重量のこと)が大口径砲と比較して小さい事から、艦船や戦車、重爆撃機などの非常に堅固な目標に対して使用する航空機用ロケットが各国で開発・運用された。これが後にミサイルへと発展する。また、簡易な機構は生産性が高いので、数を揃えての一斉射撃で敵を圧倒することを目的に開発・運用されるロケットランチャーもある。
欠点
一部は無反動砲とも共通するが、欠点もある。
- ロケット弾は風に弱く命中精度が低い
- 一度発射すると再装填に時間がかかる
- 発射炎(巨大な火球)と発射煙・発射音で発射位置がバレやすい
- 射撃時に後方爆風(バックブラスト)が発生する
- 射撃時には耳栓などの聴覚保護具が必須
…などの欠点がある。このため、ロケットランチャーごとに運用には工夫が必要で、例えば対戦車ロケットランチャーならば可能な限り敵に近付き、発射したら即座に離脱することが鉄則であったり、ロケット砲兵ならば数を揃え、進軍のため集結した敵に撃ちこむ、あるいはこちらが進軍する前に相手に心理的衝撃を与えるために撃ちこむなどの方法がとられる。
日本では
日本では主に人一人が肩にしょってロケット弾を発射する兵器のことを指し、アメリカ軍が第二次世界大戦で運用したバズーカや、映画「コマンドー」やゲーム「バイオハザード」で登場するM202などが有名である。動作や特性からゲーム等では同じ括りにされがちなRPG-7もあるが、こちらは厳密にはロケットランチャーではない。(個別記事参照)
厳密には違うのだが…
ロケットランチャー、無反動砲、携帯対戦車擲弾発射器…前述のとおり同じ括りにされがちだが、ゲームでいちいち呼び分けているとミリオタ以外の詳しくないプレイヤーをいたずらに混乱に陥れるため、苦肉の策なのかもしれない。
誤解されがちなもの
全部バズーカではない
「ロケットランチャー」をすべて「バズーカ」というのは間違い。
バズーカは個別の商品名のようなものである。
(詳しくはバズーカの記事を参照)
ただし、まったく知らない人に説明するなら
「バズーカみたいなやつ」と言うと何故か納得されやすい変な用途がある。
建物を木っ端みじんにはできない
また、貫通力には優れているが、建物やビルを木っ端みじんにする程の威力は無い。
木製の小さな物置くらいなら木っ端みじんにできるかもしれない。
もちろん、貫通力は高いため周囲の焦げた少し大きめの穴は開くし
撃ち込まれた部屋の人は死ぬか瀕死の重傷でも違和感はない。
内部に弾薬や爆薬がギッシリ貯蔵されていたなら建物ごと吹っ飛ぶかも
…しれないが、それは単なる誘爆のためロケランの威力ではない。
結構速い
ゲームによってはヒョロヒョロと目視できる速度で飛んでいくが
実際は非常に速い。(銃弾よりは遅いという程度)「見えてから避ける」のは至難の業。
ヘリも落とせる?
当たれば落とせる。いくら攻撃ヘリコプターでも重装甲では過積載で飛べないため。
離着陸やロープ降下のために超低空でホバリングしていたり、無防備に駐機しているヘリコプターも良い的である。
ただし上空を飛行中のヘリに当てるのは至難の業。弾速が意外と速い(前述)といっても銃弾よりは遅いため、外した上に居場所を暴露するのがオチである。戦争・戦闘においては位置の暴露=敵への情報提供になってしまうため、リスクが大きい。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 軍事
- 兵器
- バズーカ - 誤用されがちなもの
- 無反動砲 - 混同されがちなもの
- 成形炸薬弾
- 携行ロケットランチャー・無反動砲等の一覧
- 軍事関連項目一覧
- ロケット
- ミサイル
- 対戦車ミサイル
- 対戦車兵器
- そしたら沢田のアニキが1人でその場所に行ってなァ ロケットランチャーをぶっ放してその建物を木端みじんにしてもうたんじゃ
- 戦車 / 装甲車 / 装甲戦闘車両
脚注
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