『ロスト・ユニバース』とは、富士見ファンタジア文庫刊の神坂一のSF小説、およびそれを原作としたアニメーションである。
概要
人類の生活圏が広大な銀河に広がった遠未来を舞台に、トラブルコントラクター(厄介事下請け人)であるケイン・ブルーリバーは先史時代のロストシップ(遺失宇宙船)、ソードブレイカーの所有者。
様々な仕事をこなすうちに犯罪結社ナイトメアが引き起こす事件に関与するようになり、ソードブレイカーに転がり込んできた元探偵のミリィや、ソードブレイカーに搭載されたAIであるキャナルと共に、ナイトメアと、ナイトメアが所有するロストシップと戦っていく事になる。
同作者の人気シリーズ『スレイヤーズ』との関係を匂わせる場面もあるが作者は否定している。
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主な登場人物
- ケイン・ブルーリバー
- 主人公。女と見まごう優男だが短気でケンカ早く、黒いマントを常に羽織るという変わった趣味を持つ。刃物マニアで、精神力を武器にするレーザーソード「サイ・ブレード」を愛用。祖母を敬愛しているかなりのおばあちゃん子で、マント等の趣味嗜好も祖母譲りである。作中で「悪人に人権は無いって20世紀の書物に書いてあった」と『スレイヤーズ』を引用した事がある。アニメ版のCV(声の出演)は保志総一朗。
- ミレニアム・フェリア・ノクターン(ミリィ)
- とある探偵社に勤めていたが、ケインと関わった事件でクビになり、以降ソードブレイカーに住み込むことに。探偵としては無能だが射撃の腕前は作中随一で、実銃からソードブレイカーの火器兵装まで何でも扱え、ロストシップとの戦いでも数々の常識外れの戦果を挙げている。料理をすると何故か調理器具が爆発すると言う欠点があるが、それでも何故か物凄く旨い。本名はミレニアム・フェリア・スターゲイザー。アルバート・ヴァン・スターゲイザーの孫でケインとはまたいとこの関係にあたる。アニメ版のCVは柊美冬(現:石村知子)。
- キャナル・ヴォルフィード
- ソードブレイカーのAI。普段はエプロンドレスの少女(原作では巫女風)の姿をしているが、これは立体映像である為基本的に船外では活動できない。(アニメ版では船外に装置を設置して船外活動した事もある) 人間味溢れる性格で、通販でソードブレイカーの武装を買ったり、船内で暴れると生命維持装置を止めたり、船内を汚すと怒ったりと、割とやりたい放題。アニメ版のCVは林原めぐみ。
- レイル・フレイマー
- ユニバーサルガーディアンの警部で、よくケインに依頼を持ってくる。実は裏でナイトメアと繋がって私腹を肥やしていたが……。アニメ版の活躍により原作でも出番が増えたとのこと。アニメ版のCVは緑川光。
- アリシア(アリス)
- ケインの祖母で元のソードブレイカーの持ち主。故人。普段は偽名を使っていたらしく、おばあちゃん子だったケインにだけ本名を明かしていた。本名はアリシア・ツォン・スターゲイザーでアルバートの妹。アニメ版のCVはさとうあい。
- 闇を撒くもの
- ケインたちの前に現れるナイトメアのエージェント。金色の長髪に増幅器なしでサイ・ブレードを使うなど、どこか『スレイヤーズ』のガウリイを髣髴とさせるが性格は真逆。名前はアニメ版から。正体はデュグラディグドゥに改造され、青年時代の肉体まで若返ったスターゲイザー本人。アニメ版のCVは松本保典。
- アルバート・ヴァン・スターゲイザー
- 犯罪結社ナイトメアの総帥。
メカニック
広大な宇宙を舞台にした世界観である為、ワープ航法等の技術は一般的に普及している。厄介事下請人などの民間人が個人で宇宙船を所有するのも一般的な事例であり、宇宙海賊などが出現する場合もあることから武装も認められており、ビーム砲やレールガン、電磁バリアなどが一般的である。
しかし、先史文明の遺産であるロストシップは、全ての面において現代技術の宇宙船とは隔絶した戦闘力を保有しており、作中での主たる宇宙戦闘はロストシップ同士の戦闘である。
- ソードブレイカー(戦闘封印艦ヴォルフィード)
- ケインが祖母から受け継いだ艦。ロストシップ「ヴォルフィード」を偽装している。200m級。一般武装(殆どはキャナルの趣味で購入されたモノ)の他、マイクロブラックホールを形成するリープ・レールガンをはじめ、サイ・バリア、サイブラスター、プラズマブラストといった現代の文明では再現出来ないような超兵器の数々を保有する。損害を受けた場合、通常修理の他自己修復も可能だが、現代技術で再現出来ない部分は自己修復・自己生産に頼らざるを得ない。特にリープ・レールガンの弾頭は自己生産でしか調達できない為、毎回のように不足している描写が有る。
- 攻撃艦ガルヴェイラ
- 最初に登場したナイトメア側のロストシップ。ロストシップとしてはバランス型の模様。
- 機動殲滅艦ネザード
- 2番目に登場したナイトメア側のロストシップ。機動力が高いタイプらしい。
- 重砲撃艦ゴルンノヴァ
- 3番目に登場したナイトメア側のロストシップ。空間を歪めてレーザーを拡散・収束して攻撃する他、空間湾曲による防御も堅固。『スレイヤーズ』に登場する「光の剣」と同じ名を持つ。
- 機動駆逐艦ラグド・メゼギス
- 4番目に登場したナイトメア側のロストシップ。慣性を中和することでありえない機動をする。作中で唯一ソードブレイカーを敗退させる事に成功したが、その後作中唯一の大気圏内対艦戦で敗れる。アニメ版に登場した際は原作者に「まんま二等辺三角形かい!」とツッコミをいれられた。アニメ版では強化された上に出番も大幅に増えている。
- 超長距離砲撃艦ボーディガー
- 5番目に登場したナイトメア側のロストシップ。照準チップにより砲撃の軌道を変え、超遠距離から確実に目標を狙い撃つ。後述のヘカトンケイルと接続する事で、本来不可能な連続砲撃を可能にした要塞だったが、宇宙空間で極小の照準チップを全部狙い落とされると言うミリィの神業的な狙撃で無力と化す。
- 巨大戦艦ヘカトンケイル
- ナイトメアの本拠地にして超巨大戦艦。作中ではボーディガーと接続してエネルギーを供給していた。唯一現代文明で建造されたロストシップ。
- 生体殲滅艦デュグラディグドゥ
- ナイトメア側のロストシップの親玉。恐怖心により生命活動を停止させる「システム・ダークスター」を持ち、その範囲は惑星1つ丸ごとと言う超規模。先史文明が滅んだ原因。
小説
富士見ファンタジア文庫より全5巻が発売された。挿絵は義仲翔子。3巻からしばらく続刊が止まっていたが、テレビアニメの放送が始まった頃に4巻が出た。4巻からは挿絵のキャラクターデザインがアニメ版に近づき、特にキャナルの変化が著しい。1~3巻もアニメ化の頃から表紙絵を変えて出版されている。
- ロスト・ユニバース(1)「幻夢 目覚める」 - 1992年12月発売
- ロスト・ユニバース(2)「妖夢 蠢く」 - 1993年8月発売
- ロスト・ユニバース(3)「凶夢 ざわめく」 - 1994年4月発売
- ロスト・ユニバース(4)「悪夢 生まれる」 - 1998年4月発売
- ロスト・ユニバース(5)「闇 終わるとき」 - 1999年4月発売
テレビアニメ
ヤシガニ(後述)ばかりが有名になってしまった感のある本作であるが、上記の通り作品自体(特に原作)の評価はそこそこ高い。わかりやすいスペースオペラであり、同作者のスレイヤーズブームから中世ファンタジーに偏りがちだった時期のライトノベルにおいて、割と珍しい「ちゃんとSFをやっている作品」である。
あくまで実用性の低い趣味品とされながらも、ケインが愛用する個人用レーザーソード「サイ・ブレード」を用いたSF白兵戦や、宇宙空間を舞台に200m級宇宙船が、バリアや重力弾、レーザー等のハイテク兵器を駆使して射撃戦を展開するバトルシーンは特に見所である(「どちらも強力な武装を持っているので、より頭を使ったほうが勝つ」と言うのはスレイヤーズにも共通する作者のバトル展開における特徴ではある)。
なお、宇宙戦艦の描写にCGが使用された、結構エポックメイキング的な作品でもある。
アニメ化の際、原作は挿絵、イラストをアニメに合わせる形で新装版に切り替わっている。このため旧版と新装版では、メインキャラクターや主役機ソードブレイカーのデザインは大分異なる。
※アニメのせいで原作が終了したと受け取られることも多いが、1巻の時点で敵の数を明示しており「大体5巻くらい」とあとがきで発言しているので、別にアニメのせいで終了したわけではない。
ヤシガニ事件
第4話「ヤシガニ屠る」は、ある惑星でヒロインがミスヤシガニ選手権に出場する物語なのだが、あまりに常軌を逸した作画、動画の仕上がりに視聴者は息を飲んだという。
これについては、監督がチェックもしていないのに、自分の知らない話が局納品されていて「聞いてないぞ」と語ったとも噂される。
この作画崩壊・中割りなしなどあまりに酷い状態で放映されてしまったことを「ヤシガニ事件」と呼び、これ以降、この手のダメダメな作画のアニメは「ヤシガニ」と呼ばれるようになってしまった。
ちなみに放映当初はオープニング映像が完成しておらず一部のカットが「工事中」だったりして、この辺からでも過酷な製作環境を慮る事は出来た。
当時の状況などの情報や記録がまとめられている外部サイト
上記の2つのサイトでは内容に差異があり、当記事やヤシガニの記事の内容ともまた差異がある。
このため、どこかひとつだけを見て判断するよりも複数の情報源に当たり、信憑性も含めて発言者の役割や立場なども考慮して自分自身で総合的な判断をすることをお勧めする。特に第三者の主観のみに頼ったものは注意が必要。
関連動画
関連項目
- 作画崩壊
- MUSASHI -GUN道-
中韓外注の作画クオリティが低く納入もギリギリで手直しできなかったため、とんでもない作画で仕上がってしまった作品。ワーストアニメに選ばれた。しかし、作画は世紀末だが声優の演技やシナリオはまとも。
「あひゃひゃひゃひゃ」 - キャベツ
「夜明け前より瑠璃色な」で出てきた謎の物体 一見ハロにも見えるが キャベツだそうです。
というか、正式名称よりもキャベツの名称で有名なアニメって… - ガンドレス
韓国から納入されたセルが全部色指定が間違っていて使えず、完成させることが出来なかったアニメ映画。週1のTVアニメならともかく、未完成のアニメ映画というのは珍しいだろうと思われる。
この惨状を東映上層部が公開2日前に把握し、謝罪と共に前売り券の返金等を行い、希望者には完成版ビデオを送ると約束したが、その送られてきたモノは… - 学園都市ヴァラノワール
本来ゲーム屋のアイデアファクトリーが制作したOVA。
作画枚数が極端に少なく止め絵を多用した動かないアニメーション、背景すべてがしょぼいフル3D、一部シーンが原作ゲームからの流用、稚拙な脚本によるキャラ崩壊など全てにおいてツッコミ所しかなく、本作と上述「ガンドレス」を合わせて「ヤシガニ三部作」と呼称される。 - 神坂一
- スレイヤーズ
- 渡部高志
- 林原めぐみ
- 保志総一朗
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