ロトスコープとは、実写映像を元にアニメーションを作成するアニメやVFXの制作技法のひとつ。
ここではアニメ的手法について記載する。
概要
始めに実写で撮影を行い、その後撮影した映像をセル画にトレースしていく手法。実写の動きをトレースしているために大変精巧な動きを見せる。
ただし実写撮影→トレースの手順を取る以上、単純計算で制作費用と制作時間が2倍になる。このため現在では制作全てをロトスコープで行うことは稀で、部分的に使われるケースがほとんどである。
ロトスコープが発明されたのは1916年。フライシャー・スタジオによる「インク壺の外へ」(1919年)にて初めて商業化された。
ロトスコープが使われているアニメで有名な物としては、ディズニーの「白雪姫」(1937年)や「眠れる森の美女」(1959年)、アニメ版「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リング) (1978年)がある。東映動画による日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」(1958年)にも使用されている。
また、2006年に公開されたキアヌ・リーブス主演の映画「スキャナー・ダークリー」もロトスコープで制作されている。撮影後にアニメ化する作業では30人のアニメーターで15ヶ月もかかったそうだ。
2013年に放送された「惡の華」は、日本のテレビアニメ史上初の全編ロトスコープで制作された。
ディズニー作品では、一般的にロトスコープは実写映像をそのままトレースするのではなく、人の身体の動きをより細かく表現する助けとして利用されるケースが多かった。
日本のテレビアニメにおいては「涼宮ハルヒの憂鬱」12話や「坂道のアポロン」での楽器演奏シーンに使用されている。
一方で「惡の華」や「信長協奏曲」(2014年)「花とアリス殺人事件」(2015年)のように実写映像をほぼそのままの形で利用する場合は、多少の違和感もある。とくに「惡の華」のアニメーションは漫画の作画とかけ離れたものとなったため視聴者からは批判も起こった。
関連動画
その他
関連項目
- アニメーション
- 惡の華
- カラテカ・プリンスオブペルシャ この手法で独特の滑らかなアニメーションが作成されている。
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