『ロビンソン・クルーソー』とは、ダニエル・デフォーの小説である。1719年初版発行。
概要
『ロビンソン・クルーソー』は”The Life and Strange Surprising Adventures of Robinson Crusoe”(ロビンソン・クルーソーの生涯と奇妙で驚くべき冒険)の邦訳タイトルのうち最も人口に膾炙したものであり、そして当該作品の主人公の名前である。幕末の1850年頃にはもう日本まで入ってきており黒田麹盧によって訳され『漂荒紀事』の題で写本として流布された。現在流通している邦訳本は多くがタイトルを『ロビンソン・クルーソー』としている。また、一作目が好評だったため二作目、三作目とデフォーは執筆し全三部作となっているが多くの邦訳本は一作目のみであり、二作目まで翻訳してあるものは岩波文庫から出ているもののみである。なお三作目の邦訳の存在は筆者は確認できなかった。
実は初版の正確なタイトルは”THE LIFE AND STRANGE SURPRIZING ADVENTURES OF ROBINSON CRUESOE, OF YORK, MARINER: Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un-inhabited Island on the Coast of AMERICA, near the Mouth of the Great River of OROONOQUE; Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. WITH An Account how he was at last as strangely deliver'd by PYRATES.”(なげぇ……)である。訳すと『自分以外の全員が犠牲となった難破により、浜辺に投げ出され、大河オリノコの河口近くのアメリカ海岸の無人島でたった一人で28年間暮らした末、数奇なことに海賊に救出されたヨークの船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と奇妙で驚くべき冒険についての記述』と言うほぼあらすじな感じのタイトルになる。
ちなみにデフォーの名前は書かれておらず、”Written by Himself”(本人自筆)と書かれていてロビンソン・クルーソー本人が書いたように装っている。
これは実はロビンソン・クルーソーのモデルの一人と考えられている、実際にチリ沖の島(現在その島はロビンソン・クルーソー島と名付けられている)で4年間漂流した、アレキサンダー・セルカークの自伝(と称するもの)が大ヒットしたのを受けての出版だったからであって、平たく言うと二匹目のドジョウを狙って釣り上げたというわけである。
ちなみにデフォーはこの作品のヒットを受けて散文小説を執筆するようになるのだがその多くは自伝形式であり、そういう作風が得意だったのかもしれない。
この作品に影響を受けた日本の探検家高橋大輔は、ナショナルジオグラフィック協会後援のもと考古学者を含む調査隊を率いロビンソン・クルーソー島の発掘調査を行い、2005年に前述のアレキサンダー・セルカークのものでほぼ間違いないと考えられる17世紀後半から18世紀前半の航海器具を発見した。
また、この作品は経済学の書籍で取り上げられることが度々ある。有名所だとカール・マルクスの『資本論』の中でも取り上げられている。
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関連項目
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