![]() |
ロータスランド(Lotus Land)とは、2017年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
白いグッドルッキングホースに嫁入りするために、はるばるアメリカからやってきた……はずの牝馬である。
主な勝ち鞍
2021年:関屋記念(GIII)※2021年サマーマイルシリーズ優勝
2022年:京都牝馬ステークス(GIII)
生い立ち
2017年1月31日、アメリカ・ケンタッキー州にあるウィンチェスターファームにて誕生。父Point of Entry、母Little Miss Muffet、母父Scat Daddyという血統。
父Point of Entryは18戦9勝、内芝GIを5勝、BCターフで2着等の実績を持つ。JRAでデビューした産駒はロータスランドを筆頭にほぼ勝ち上がっており日本競馬への適性の高さを窺わせている。
母父Scat Daddyは同期にカーリンや*ストリートセンスがいるなか9戦5勝、内ダートGI2勝。早世したものの米三冠馬ジャスティファイを輩出。日本ではミスターメロディが活躍・種牡馬入りし、母父としてもカレンブーケドールを輩出している。
彼女が生まれたウィンチェスターファームは、日本人である吉田直哉氏が創業し場主を務めており、日本にも競走馬を多数送り込んでいる。
馬主は小林英一ホールディングス。「異系統の牝馬を購入して、所有しているゴールドシップの種牡馬事業を支援したい」というウィンチェスターファームへの要望に、馬体と血統面から選ばれたロータスランドは小林氏に買い上げられ日本で走ることになった。
……端的に言えば「ゴルシの許嫁」なのである。
ならば、そこそこ走って早々に繁殖入り……となりそうなものだが、彼女は競走馬としても重賞戦線をたびたび沸かせる実力の持ち主であったために、嫁入りはどんどん遅れていくのである……。
黄金航路の『桃源郷』
2歳・3歳
栗東・角居勝彦厩舎からデビュー。2019年9月阪神芝1600mに1番人気で出走し、2着に1馬身3/4差をつけデビュー戦を飾る(この時の6着にパンサラッサがいたりする)。続く10月のもみじステークスでは、後にNHKマイルカップを勝利するラウダシオンに交わされ2着。阪神ジュベナイルフィリーズでは逃げるレシステンシアを2番手で果敢に追走するも、レコードを叩き出す快速の前にガス欠、12着と撃沈し2歳シーズンを終える。
3歳時は角居師の勇退に伴い、新規開業する辻野泰之厩舎に引き継がれる形でキセキ・ワイドファラオらと共に転厩。その後出走したのは5月の新潟でこの後ラジオNIKKEI賞、セントライト記念を連勝するバビットのクビ差2着に惜敗した1走のみ。辻野師曰く爪に不安があったという。
4歳
2021年2月に復帰。緒戦こそ2着だったもののその後条件戦を連勝し、格上挑戦でサマーマイルシリーズ・米子ステークスに、岩田望来を鞍上に迎えて出走。3番手でレースを進め、坂を上り切ったところで脚を伸ばし1馬身3/4差の快勝。続くシリーズ2戦目・中京記念は藤岡康太に乗り替わり2番手で進めるも直線で伸びずアンドラステの5着。
シリーズ3戦目・関屋記念には田辺裕信が騎乗、好スタートから先団に着けて直線で内から抜け出し、カラテやソングラインの追撃を振り切り重賞初勝利。辻野師はこれがJRA重賞初勝利、小林オーナーにとってはゴールドシップ以来の重賞勝利馬となった。また、中京記念を制したアンドラステは京成杯オータムハンデキャップに出走しなかったため、米子ステークス・関屋記念の勝利を以てロータスランドはサマーマイルシリーズ2021チャンピオンに輝いた。
秋も引き続きマイル路線を選択し田辺騎手を鞍上に富士ステークスに出走、ハナを切って初めて逃げでレースを進めたが、二桁の体重増も響いたか粘り切れずソングラインの10着。続くマイルチャンピオンシップも外々を回されてグランアレグリアの12着と、散々な結果に終わった。
5歳
春は阪神開催の京都牝馬ステークスから始動。出走馬の中では実績面で頭一つ抜けた存在ではあったが、オッズは割れに割れて5番人気。実績分の斤量+2kgに加えて+18kgもの大幅な体重増もあったが、加えて米子ステークス以来の鞍上となる岩田望来も不安視されていた。若手ながらリーディング上位に食い込むほど活躍している望来騎手だったが、デビュー以来重賞未勝利・97連敗中と、平場では勝てていても何故か重賞は勝てないジョッキーだったのだ。
そんな不安も他所に、先団で好位に着け最終コーナー出口で先頭に立つとそのまま押し切り勝利。重賞2勝目と同時に、岩田望来騎手に重賞初勝利をプレゼントした。ゴルシに付けられる前に望来の筆下ろしとか言わない。望来騎手は自身の重賞初勝利に「いつもより直線が長く感じました」と語り、ロータスランドについては「レースセンスが良く、レースがしやすい馬です。馬体重プラスは成長分、もう一段パワーアップしています」としている。
辻野師は「1400m寄りのマイラー」と評しており、春はヴィクトリアマイルを大目標に定め、次走は初のスプリント戦となる高松宮記念。重馬場の中4コーナー付近では中団内側にいて、前が開いた残り200mから足を伸ばしたが、後方から更に内を突いたナランフレグには勢い及ばずクビ差2着に惜敗。
この後は再びマイル路線へ。上記の通り当初目標はヴィクトリアマイルだったが、疲労の残る馬の状態との兼ね合いから、陣営は安田記念へと目標をスイッチ。間隔をあけた分馬体の仕上がりは高評価を受けていたものの、中団から進めたレースはスローペースの瞬発力勝負となり、抜け出すこともかなわず10着に沈んだ。
秋はセントウルステークスから始動の予定だったが、放牧先で挫跖を発症したためスプリント路線は回避。スワンステークスを6着とした後、マイルチャンピオンシップに出走。内ラチ沿い4番手でソダシを外に置く形でレースを進め、直線では内回りの合流点から最内を突いて脚を伸ばし残り200m地点で先頭に立つも、粘り切れず8着。距離短縮して得意条件とされる阪神カップでは3番人気に推されるも9着に沈んだ。
6歳
去年と同様阪神開催の京都牝馬ステークスから始動。鞍上は岩田望来からその父・岩田康誠へ乗り替わる。短距離では不利な大外枠、かつスタートで後手を踏み、スローペースの中最後方で直線を迎える厳しい展開に……だが直線では3F32.8の強烈なキレ味を発揮して最内を強襲、3着に捻じ込んだ。ここまで先行押し切り一辺倒の馬だったこともあってか、「こういうレースができたのは次につながる」と岩田騎手もその走りを評価。タッグを継続し高松宮記念に乗り込む。
稍重以上の馬場では昨年の同レースも含めここまで5戦全連対の重馬場巧者。雨予報に辻野厩舎の橋本助手も「雨はロータスの味方になる」と期待を寄せる。
そんな陣営の雨乞いは天に……届いた! うおっ……これは流石に降りすぎ……
中団待機から直線は外に進路を取るも伸びきれず6着に終わった。前日から降りしきる雨による不良馬場となっては勝手が違ったのだろうか。
次走はヴィクトリアマイル。岩田騎手がイズジョーノキセキに騎乗するため、空いた鞍上にはゴールドシップの縁か横山典弘を招聘。引き当てるは1枠1番。明確な逃げ馬が不在の中、ノリ、最内枠。何も起きないはずがな…好スタートから生涯2度目の逃げを敢行するも、坂を上り切った残り200m地点で後続に捉えられ6着。その後2度目の制覇がかかる関屋記念に挑む。鞍上にはこれまたゴルシの縁か内田博幸を迎える。嫁入り前の挨拶回りか何かだろうか。外枠から好発進で番手に付けるもここでも残り200m地点で足が止まり12着。
秋はスワンステークスから始動。またしても大外枠を引いてしまうものの、距離短縮と鞍上に戻った岩田騎手のイン突きが奏効し上がり最速の末脚で馬群を割り3着に食い込む。1400mに目標を絞ったか、マイルチャンピオンシップは回避し阪神カップへ。スプリント・マイル両路線から有力馬が詰めかけるなか、この年3度目の8枠。後方待機から馬群を割って伸び、勝ち馬のウインマーベルから0.2秒差の中に7頭がひしめく混戦の中6着でシーズンを終えた。
7歳
7歳になる2024年も現役続行、京都牝馬ステークスから始動し、最後方から上がり最速の33秒3で追い込むも6着まで。そして高松宮記念がラストランと発表された。
雨の重馬場となった2024年3月24日の高松宮記念。ロータスランドはやや外目の6枠12番からスタートしたが、岩田康誠はスタートから手綱を抑えて内目に入れ、経済コースを回りつつ直線勝負を狙ういつもの構え。そして直線では内をすくって追い込むも、先頭争いのマッドクール・ナムラクレアまでは届かず、ウインカーネリアンにハナ差の5着。
だが引退レースでもこのコンビらしいイン突きを見せ、あくまで勝負にこだわる内容。そして7歳牝馬にして掲示板に食い込み、最後もしっかり嫁入り支度金を積み増した。実に馬主孝行でこの馬らしいラストランだった。
嫁入り前の支度金を自分で稼ぐどころか、勝ち味が遠くなって尚もあわやと思わせる強い走りを見せ続けるが故に「強すぎて嫁に来ない」とネタにされファンをやきもきさせたロータスランド。彼女は「ゴルシの許婚」だからではなく、ロータスランド彼女自身として競馬ファンを惹き付けるだけの走りを見せた。そして、女だてらに7歳春まで力強く走り続けこれだけの実績を挙げただけあって、ゴールドシップとの将来への期待値は非常に高まっており、色々な意味でゴルシの嫁にふさわしい女であるに違いないだろう。
晴れて母となるロータスランドの健康と、ゴールドシップとの間に丈夫で強い仔が産まれることを祈りたい。
余談
- 小林オーナーはランドネ(3勝・繁殖入り)やロータスランドの半妹プリファードラン(地方3勝、JRA1勝クラス・繁殖入り)など、他にもウィンチェスターファーム生産の牝馬を所有しており、同様にゴールドシップとの交配を目的としているものとみられる。
- ゴルシの現役時代の盟友・ジャスタウェイにも、馬主の大和屋暁氏自らジャスタウェイとの交配のために所有している牝馬がいる。その名もズバリ『イイナヅケ』。2頭の間からは『(ジャスタウェイの子なので)ジャスコ』『(長男なので)エルデストサン』『ヒヒーン』といったネーミングセンスに癖のある産駒達が送り出されている。
- 「耳に前髪が入るのが嫌みたいだったので、三つ編みにしてみた時があったんですよ。そしたらいつも以上に気分良さそうに歩いてくれた」と橋本助手は語る。三つ編み女子である。
- ロータスランドの馬体は「人間に例えればプロレスラー」「後ろから見るとお尻が真四角に見える」と評されている。一方ゴールドシップも現役時代調教時に騎乗した福永祐一曰く「箱みたい」と評されたことがある。箱カップルである。
血統表
Point of Entry 2008 鹿毛 |
Dynaformer 1985 黒鹿毛 |
Roberto | Hail to Reason |
Bramalea | |||
Andover Way | His Majesty | ||
On the Trail | |||
Matlacha Pass 1997 鹿毛 |
Seeking the Gold | Mr. Prospector | |
Con Game | |||
Our Country Place | Pleasant Colony | ||
*メイプルジンスキー | |||
Little Miss Muffet 2009 黒鹿毛 FNo.3 |
Scat Daddy 2004 黒鹿毛 |
*ヨハネスブルグ | *ヘネシー |
Myth | |||
Love Style | Mr. Prospector | ||
Likeable Style | |||
Jenna S. 1994 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto | |
Sharp Queen | |||
Shapiro's Mistress | Unpredictable | ||
Anytime Ms. | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Roberto 3×4(18.75%)、Mr. Prospector 4×4(12.50%)、His Majesty 4×5(9.38%)、Nijinsky II 5×5(6.25%)
関連動画
関連コミュニティ
関連リンク
- ロータスランド関屋記念制覇、ウィンチェスターファーム吉田直哉氏インタビュー:HorseBook
- 【高松宮記念】「抱きしめた時の感触が違うんです」雨予報も吉!三つ編みで気分アゲアゲのロータスランド:東スポ競馬
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アリストテレス(競走馬)
- イロゴトシ
- ウインマリリン
- ウシュバテソーロ
- オヌシナニモノ
- カフェファラオ
- ギルデッドミラー
- コントレイル
- ゴールドトリップ
- サリオス
- サーペンタイン
- シスキン
- ショウナンナデシコ
- ストラクター
- タガノビューティー
- テリオスベル
- ディープボンド
- ナダル(競走馬)
- ハクサンアマゾネス
- バスト(2017年生の牝馬)
- バビット
- パンサラッサ
- フォーウィールドライブ
- フクム
- ブラックホール(競走馬)
- プロミストウォリア
- ポタジェ
- メイショウハリオ
- ライトウォーリア
- ラウダシオン
- レッドベルジュール
- ヴェラアズール
- ヴェルトライゼンデ
▶もっと見る
- 6
- 0pt