ローマの休日(原題:Roman Holiday)とは、1953年の映画で、世界的大ヒットを記録した古典名画である。モノクロ118分。
概要
ヨーロッパのとある王国の王女が一人の若き新聞記者に出会い、ローマ各地で触れ合ううちに互いに惹かれてゆく、というシンプルな内容ながら、ローマの名所が随所に登場する画造り、笑いあり、涙ありの緻密な話造りなどが現在に至るまで評価されており、恋愛映画、ワンナイトストーリーのお手本ともされるほどの有名作品。
特に、主演のオードリー・ヘプバーンは本作によって世界的に知名度を上げ、晩年に至るまで数多くの映画に出演する名女優となった。
真実の口のシーンがグレゴリー・ペックのアドリブをそのまま採用したというのは有名な話で、この他にも新人のオードリーを引き立たせるために数多くのアイデアが使われたという。
監督ウィリアム・ワイラーはこの後も順調にキャリアを重ね、『ベン・ハー』『大いなる西部』『おしゃれ泥棒』などのヒット作を次々に生み出していった。
パロディネタとしても多く引用され、「高貴な身分の人間が一般人に恋する一夜の物語」という題材は枚挙に暇がない。特に「リョーマの休日」はネタ被りした者同士のプチバトルが勃発したことも。
日本語吹き替えは複数存在するが、殆どがどこかしらのシーン(冒頭のギャンブルシーンなど)をカットしているので、ノーカットの吹き替え版はあまり多くない。しかし、キャストは池田昌子(メーテルの人)、城達也(JET STREAMの機長)とかなり豪華だった。
物語
ヨーロッパ最古王室の王女アンは多忙な公務に嫌気が差してノイローゼになり、ローマの宮殿から逃走。
ひょんなことから、アメリカ人の新聞記者ジョーと親しくなった彼女だったが、ジョーはアンの正体に気付き一大スクープのチャンスとばかりに友人とローマガイドをかってでる。
自由を満喫するアンと、ローマを案内していくジョーだったが、二人の間には次第に強い感情が芽生えはじめて・・・
原題「Roman Holiday」について
なお、原題の「Roman Holiday」という言葉には、「他人の苦しみによって成り立つサディスティックな娯楽」あるいは「他人を犠牲にすることを前提とした利益」などと言った意味合いがある英語の成句でもある。これは19世紀初頭に活躍した詩人バイロンの著作「チャイルド・ハロルドの巡礼」の中の、コロシアムで剣闘士が血を流すことがローマ市民の休暇の娯楽であったことを詠う一節に由来する。
これをもって、原題は単なる「ローマでの休日」を指すのみではなく、「登場人物が他人に被害をかけてでも楽しみ(自由)や利益(スクープ)を得ようとする」ことを仄めかすような、二重の意味があったとする説がある。この場合、登場人物らはその「Roman Holiday」たるものを物語の終盤において自らの決断で手放したということになる。
以上のような「Roman Holiday」という成句の意味を踏まえた指摘は、2001年に評論家の呉智英が著作『ロゴスの名はロゴス』内で行った。さらに、2012年に神奈川大学の鳥越輝昭も考察を加えている[1]。
関連動画
一応、公開から50年以上経過しているのでパブリックドメインにある。
関連項目
脚注
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