ローラット法単語

ローラットホウ
1.8千文字の記事
  • 4
  • 0pt
掲示板へ

ローラット法Rowlatt Actとは、1919年に発布された英領インド帝国法律である。正式名称は「政府革命分子犯罪取締法(Anarchical and Revolutionary Crimes Act)」で、ローラットとは法律制定に関わったシドニーローラット率いるローラット委員会の名称にちなんでいる。

背景

1877年より、イギリスイギリス国王皇帝を兼任する英領インド帝国を建し、インドを従属として支配していた。

1885年にはインド会議が結成され、当初はインド人に対する差別的な取り扱いを善しようとするイギリスの官僚や、インド出身の議員なども立ち上げに関わった穏健な集まりで、インド人の権利の拡大、政治参加を進める革などを検討する的を持ち、イギリスからも不満の受け皿となることを期待されていた。
しかし、19世紀末には、「スワラージ(自治)」を提唱するバールガンガーダルティラク、後に武装集団ジャガンター党を率いるオーロビンド・ゴーシュなどの急進的な人物のが強まっていき、また、活動内容も民族義的な、ヒンドゥー中心のものとなっていった。
人種差別に反対するスレドラナス・バネルジーを筆頭とする穏健ティラク率いる急進によって、20世紀初頭には会議は分裂状態になっていたが、1906年にティラクが逮捕されると、穏健となり、再び会議はまとまったかに見えた。

同年、総督であるミントー卿ギルバートの後押しもあり、ヒンドゥー中心の会議に対抗する形で、全インド・ムスリム連盟が結成された。これは、ベンガル分割により、おおまかにムスリムを中心とする州とヒンドゥーを中心とする州に分割されたことに対し、少数であったムスリムが多数となる州ができることを歓迎するムスリムと、それをよしとしないヒンドゥーの対立を利用するものであった。

そして1914年から第一次世界大戦が始まる。インド民族導者は、イギリス支持を掲げ、インドからは100万人以上が徴兵に応じ、戦死した。民の間にも戦後独立できるのではないかという期待感が高まっていた。
戦争混乱したイギリス経済煽りを受ける形で、インド民はインフレ、重税、貧困に苦しむこととなり、事前の期待感も相まって、独立運動は大きな盛り上がりを見せる。

1916年、刑務所から出所したティラクは、分裂は独立の足かせになると説き、全インド・ムスリム連盟との協体制を構築することに成功した。全インド自治同盟には、アイルランド独立運動を支えたマルクス義者であるアニー・ベサントなど、イギリス人も参加していた。

この事態を重く見たイギリスは、1917年、インドの即時独立は認めず、漸進的に自治権を拡大していくとするモンタギュ宣言を発表したが、独立活動家には到底受け入れられるものではなかった。

過激派は、民族導者や独立活動家の裁判に関わる判事の暗殺、誘拐、襲撃や、陪審員への暴行、脅迫を繰り返し、これに対し、背景に組織的な武集団が存在するとしてこの法律が発布されることとなった。

概要

上記のようなテロ事件の頻発に対し、破壊活動の容疑者については裁判所しでの逮捕や、裁判を経ない最長で2年の投、あるいは陪審員をおかず判事によって裁かれる裁判などを可とするのがこの法律である。

発布後、パンジャーブ州では大規模な暴動が起こり、銀行教会電話局などが襲撃を受け、放火される、品を強奪されるなどした上、十数人のイギリス人が殺された。

また、過激派アフガニスタン政府に接触し、暴動混乱に乗じてインドに侵攻するよう要請し、実際にアフガニスタンによるインド攻撃が行われた。

パンジャーブ州での暴動に対し、アムリットサルでは、グルカ兵を中心としたイギリス植民地軍が非武装の集会まで攻撃する事件(アムリットサル事件)が発生し、攻撃を命じた指揮官は降格の上罷免処分などを受けたものの、この事件反英感情が大いに盛り上がるきっかけとなった。

この法律は、植民地政府内でも批判が多く、発布はされたものの、実際に施行されることはなかった。

アムリットサル事件や、その原因となった暴動などを受け、1919年からインドに帰していたガンディーの率いる非暴力活動は民衆の支持を集めていくことになる。

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 4
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

ローラット法

1 ななしのよっしん
2012/09/05(水) 12:29:13 ID: JwZC7JI5Tj
具体的な中身とか背景についてはなんも書かないんだな。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
2 ななしのよっしん
2012/09/05(水) 18:41:23 ID: JwZC7JI5Tj
しょうがないんで自分で調べて直しました。
ていうかこれ施行されてないんじゃん。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
3 ななしのよっしん
2012/09/05(水) 19:23:28 ID: X0r7WGi3g9
状なしに犯人逮捕」し、「自らの判断で犯人を処罰」できる法律
最近どっかで見たなこんな法律
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2012/09/15(土) 22:34:54 ID: JwZC7JI5Tj
あっそう、陰謀論者以外では見たことないよ。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
5 ななしのよっしん
2012/09/21(金) 14:17:57 ID: DhxqGeCohp
告発逮捕の区別の付かない人って……。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
6 ななしのよっしん
2012/09/23(日) 00:09:59 ID: 5sIpnq58mt
>>3
対バイオロン法のことか、最近ニコニコジバン再放送があるもんな
👍
高評価
0
👎
低評価
0
7 ななしのよっしん
2012/11/09(金) 10:14:53 ID: KfrX4TkvPS
>>4

人権擁護法は逮捕権限付与されてないよさすがに、捜告発まで
だったはず。ただしこの時点ですらかなりアレだが…。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
8 ななしのよっしん
2012/11/11(日) 00:56:34 ID: JwZC7JI5Tj
>>7
はできないよ。警察職員じゃないから。できるのは調
「相手のところに出向いて話を聞かせてくれるようにお願いする」とかそういうレベル

告発は、人権刑法に触れるレベルだった場合に警察通報するってことだぞ?
むしろそれすらできなかったら悪ないじめとかDVときどうすんのさ。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
9 ななしのよっしん
2018/03/04(日) 02:23:54 ID: 3LXPdgNpMR
非常に今更感があるんだけど、人権擁護法案小泉政権時代からずっと出されていて、
民主党案よりもっと強なものだったわけ、だから反対してきた。
だけど、法律の趣旨自体は理解できるもので、実際に必要だから民党政権も当然出した、より表現の自由等に配慮した形でね。
当時はネトウヨだったから当然反対してるんだけど、自民信者自民党人権擁護法案に反対するかって言ったらそうじゃないからねぇ。

ヘイトスピーチ規制と言う形でより弱い規定で趣旨の一部が成立したわけだけども。
👍
高評価
0
👎
低評価
0

急上昇ワード改