ワサビ(山葵)とはアブラナ科の植物。また、その根茎からとれる刺身やそばなどに添えられる香辛料のことである。
曖昧さ回避
概要
ニコニコ大百科:植物 ワサビ |
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分類? | (クロンキスト) フウチョウソウ目アブラナ科ワサビ属 (APG) アブラナ目アブラナ科ワサビ属 |
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学名? | Eutrema japonica Eutrema→良い+穴 japonica→日本の ※Wasabiaの属名もよく用いられている |
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アブラナ科 Brassicaceae? | ||
このテンプレートについて |
ワサビは日本原産の多年草である。なおセイヨウワサビ(ホースラディッシュ、ワサビダイコン、(蝦夷)山ワサビなど)は同じアブラナ科のセイヨウワサビ属(Armoracia rusticana)で東欧出身の従姉妹にあたるが、繊細なワサビと違ってかなり逞しく、北海道では完全に帰化し野生化している(そして広く食されている)。
ワサビを使った食材は日本を代表する「独特の刺激」のある香辛料になる。他にも名前にワサビと付く植物が多いので「本わさび」と表記することもある。独特な辛味と同時に甘味も含んでいて、他には無い調味料(どちらかというと薬味)である。
肥大した根茎をすりおろして薬味にする。特に、寿司のシャリと具の間に挟んだり(考案したのは江戸の華屋与兵衛とされる。揮発性成分を逃がさないようにする効果がある)、刺身やそばの薬味にすることが多い。余談だが、寿司通のひとは「なみだ」という。子供向けやワサビが苦手な人のために「サビ抜き」の寿司が用意されていることも一般的である。
ワサビを食べると鼻がツーンと刺激され、時に耐えがたいほどになる。バラエティー番組などの罰ゲームでよく使われ、例えば鼻の下にワサビを塗る「鼻ワサビ」だとか、食べ物のどれかにワサビてんこ盛りのものが混じっていたりする、ロシアンルーレット的なものが定番である。
ワサビの辛味成分はアリルイソチオシアネート(AITまたはAITCと略される)という揮発性の物質で、殺菌効果があるとして食用以外にも使われていたりする。「破砕された細胞の内容物が酸素に触れて辛味が生じる」ため、なるべくきめが細かいすりおろし具を使うことをオススメする。ちなみに、細胞が破砕される必要があることから、ワサビの根茎を丸かじりしても辛くない。また、アリルイソチオシオネートは舌の冷感を司る受容体を刺激するため、冷水を飲むとかえって辛さが増す(辛さを和らげるにはお茶などの熱い飲み物を飲むのがよい)。
おろしてから10分ほどで辛味も香味も失われてしまうので、使用する分だけすりおろし、すりおろしたらすぐに食べるのがよい。ワサビは金物を嫌う(金具によって香味や辛味を損なう)というので、高級品だが表面の粒子が細かい鮫皮またはエイ皮のおろし器を用いるのがよい。ただしこの『金気を嫌う』というのは昔のおろし金は金属加工が稚拙な粗悪な大量生産品であった事が原因であり金属である事は全く関係が無い、とする説もある。(かと思えばイオンの働きで本当に味が変わっているなんて話も。)要は目の細かい物で擦れという事。すりおろす時には頭(茎に近い方)からすりおろす。皮は綺麗に剥いた方がいい、いや綺麗に洗って剥かずに丸ごとの方がいい、と両極端な話があるので好みでいいだろう。
栽培
ワサビが、デリケートで栽培が難しい野菜だというのはよく知られている。
- 一般に平地で栽培せず、山間の渓流などにほぼ野生と同じ状態で栽培する必要がある。平地でも栽培できる畑ワサビもあるが、大きくならないためもっぱらワサビ漬けなどに用いられる。
- 水はきれいで流量が一定していなくてはいけない。上記のアリルイソチオシアネートにより自家中毒を起こすためである。
- 水温は夏場でも一定温度(9-16℃程度)である必要がある。
- 水質は中性で、有機物が多くなければならない。
- 夏は冷涼、冬は温暖で(最適温度は12-13℃)、年間温度差は3-4℃と少ない方が収量が多いとされている。
- -3℃以下になると凍害が発生する。また、20℃を超すと栽培は不可能といわれており、25℃以上になると病気が発生する。
- 適度に日は当たるものの、強い日射のない土地を好む。
- 一般に、農薬は一切使うことができない。
同じアブラナ科の、どこぞのど根性大根を見習ってほしいものである。
生産
生産量日本一は長野県(特に旧穂高町)で、特に大王わさび農場(安曇野市)は日本最大級(15ha)のわさび園である。栽培面積と産出額が1位の静岡県では古くからワサビ栽培が盛んで、伊豆市天城湯ヶ島地区が特に有名。安倍川上流もワサビ栽培で知られており、有東木(静岡県静岡市葵区)は栽培発祥の地といわれている。1744年に湯ヶ島の板垣勘四郎という人がその地を訪れ、当時湯ヶ島で盛んだったシイタケ栽培とワサビ栽培の技術交換が起こったので、その時から湯ヶ島ではワサビ栽培、安倍川上流ではシイタケ栽培も盛んになった。
江戸時代の文化年間には江戸前寿司にワサビが盛んに用いられるようになり、江戸っ子の間で人気が高まった。当時は生魚の鮮度維持・輸送技術が発達しておらず、濃口醤油と共に痛み易い生魚の消臭・殺菌・風味付けには欠かせなかったからである(この辺りは中世欧州の肉食と胡椒ブームに通じるところがある)。余りの人気ゆえ、ワサビの価格が高騰したため贅沢品としてしばしばご禁制となり、そこでワサビをネタとシャリの間にコッソリ隠すようになった、という説もあるほど。また、ワサビは江戸時代、津和野藩の特産であった。島根県西部の山間部では日本五大銘飯の一つに数えられる「うずめ飯」という郷土料理が食べられているが、これにはワサビが欠かせない。
日本のほか、台湾(特に阿里山が有名)・ニュージーランド・中国・インドネシア・オーストラリア・カナダ・アメリカ合衆国(ノースカロライナ州・オレゴン州)などでも栽培されている。最近では日本食ブームによって海外でもワサビの需要が高まっており、ソースやドレッシングの原料としても使われているという。辛いもの好きな人が多いタイで特に人気。
粉山葵・練り山葵
市販されているチューブ山葵、俗に言う粉山葵・練り山葵の原料は、セイヨウワサビなどの値段が安く、真のワサビならざる物どもを緑色に着色した物が一部または全部で使用されている場合が多い。しかも、そのような廉価品は香料・香辛料の名で添加物が多く含まれている。
余談だが、日本加工わさび協会の統一基準によると、「本わさび使用」は原料に本わさびを50%以上使用していることであり、「本わさび入り」は50%未満使用という意味である。
その他・豆知識
- ワサビのツーンとくる痛みを解消するためには、鼻から息を吸うとよい。
- 英語ではトウガラシ・カラシ・コショウ等の辛さは"hot"というが、ワサビの辛さは"cold"と表現される。
- ワサビでアレルギーを起こす人もいて、口の中が痒くなったりするらしい。
- ワサビをミツバチの巣に入れると中のミツバチが即死するという噂がある。よい子は真似しないように。
- ドラゴンボールZ神と神において、超サイヤ人ゴッドですら勝てなかった破壊神ビルスを辛過ぎて暴れされる程度の戦闘力を誇る(ワサビマジ怖い)。
関連動画
関連項目
- 食材の一覧
- 植物の一覧
- 刺身
- 寿司
- ソバ
- たこわさ
- 徳川家康
- わびさびわさび
- ドラわさび…Flashサイト「ドラサイト」の管理人・Flash製作者。ドラサイトの記事を参照。
- ドラえもん(上記オラエモンこと「オラサイト」からの風評被害)
- 荻山葵
- 破壊神ビルス
- 山葵仮面
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