ワールドヒーローズとは、アルファ電子(後のADK)がネオジオ向けに制作した対戦型格闘ゲームシリーズ、および第1作(1992年7月28日発売)のタイトルである。
概要
史上最強であることを示すために呼応した8人の英雄達が今、時を越える。
(ワールドヒーローズのストーリーより)
略称は『WH』『ワーヒー』など。
『ストリートファイターII』のヒットから、格闘ゲームというジャンルが構築され、一時期ブームとなった。『ワールドヒーローズ』もまた、格ゲーバブル期に登場したシリーズの一つである。
操作はレバーとボタン。ボタンはパンチ・キック・投げとシンプルだが、パンチとキックについてはボタンを押す長さで強弱が変化する(後の作品では明確に4ボタンに変更)。
登場キャラクターは主人公のハンゾウ=リュウ、ライバルのフウマ=ケン、ブロッケン=ダルシム、マッスルパワー=ザンギエフ、と形容されるほど、よくカプコンに訴えられなかったなと思ってもいいくらい、見事なまでにスト2とキャラ性能が被っていた。しかし主人公がADKのゲームおなじみの忍者であることをはじめ、キャラクターの多くは歴史上の人物や漫画などを元にしており(ラスプーチンなんてモロ麻●だし…)全体的にイロモノ感の漂うキャラや暑苦しいキャラが複数いるなど濃く、1作目から既に他の格闘ゲームと比べ異彩を放っていた。第2作以降は、さらにアクの強いキャラクターが増えシリーズの独自性を増していった。
キャラのみならずシステムも濃く、第1作、第2作では通常のCPU戦とは別にデスマッチモードなるモードが用意されており、通常のステージに様々なトラップが仕掛けられた仕様となっている。髪切りマッチも存在し、負けたキャラは基本丸坊主、たとえ女のジャンヌであろうと容赦なく無残なグラフィックが映し出される。最終作である第4作『ワールドヒーローズパーフェクト』では、ライフバーの下にリアルタイムでキャラの台詞が表示される等独自色をより強めていった。
シリーズ全体を通してゲームバランスの悪い作品が多かったため稼動期間が短命に終わった作品もあり、SNKの主力作品や他社の人気作ほどの大きなヒットを飛ばすことは出来なかった。とはいえ、ネオジオ系格ゲーマーからはネオジオサードパーティの代表格として、それなりにファン層を開拓していった。現在も小規模ながら本シリーズ(特に『ワールドヒーローズパーフェクト』)を使用した大会が行われる事も少なくない。
当時はTVCMも放送され、表紙を何回か飾ったことがあるコミックゲーメストをはじめ、少年王、月刊コロコロコミックで本作を題材にした漫画も連載され単行本化もされていた(現在はほとんど絶版)事から、それなりの知名度を誇る作品である。
ちなみに4作目の『パーフェクト』が本作の最終作であるが、その後ADKが開発した格闘ゲーム『ニンジャマスターズ〜覇王忍法帖〜』は、開発当初は本作の主人公ハンゾウのスピンオフ作品として企画されたが、最終的には主人公を含め本作とは無関係な新作ゲームとして発表された経緯があるという。
ADKが事業から撤退した後はSNKに権利が引き継がれた。それ以降は続編こそ製作されていないものの、2005年発売の『ネオジオバトルコロシアム(NBC)』では唯一のサードパーティ・ワーヒー枠としてハンゾウ、フウマ、マッドマン、NEO-DIOが新ドットを引っさげ再登場したほか、『SNK VS. CAPCOM カードファイターズDS』にキャラクターが客演するなどしていた。
家庭用向け移植ではNEOGEOROM版の他、ネオジオCDやスーパーファミコンなどに移植された。ADKの事業終了後は、版権を引き継いだSNKプレイモア(現・SNK)によって過去作の移植作品が収録されたPS2用ソフト『ワールドヒーローズゴージャス』の発売や、プロジェクトEGG・任天堂のバーチャルコンソール・アケアカNEOGEO(PS4、Nintendo Switch)でのダウンロード販売が行われている。
他にもPS3・PSP向けに、NEOGEO Stationでのダウンロード販売もされていた(現在はサービス終了)。
近年は携帯アプリやKOFの背景の客演等を除き、暫く音沙汰のない時期が続いたものの、シリーズ最終作から23年経過した2018年に、SNKの公式サイトでひっそりと紹介されるだけとなっていた本作の新作漫画が月刊ヒーローズにて連載開始。シリーズ4作品のサウンドトラックの配信も決定した。同時に、久々の外部出演として『SNKヒロインズ』にジャンヌが登場することになった。『NBC』から実に13年ぶりのプレイアブル化である。
更に2020年には海外のホビーブランドStormToysから、今頃になってハンゾウとフウマの1/12アクショフィギュアが発売され、それを輸入代理店の株式会社ノーツが販売し国内の小売店でも一定数が流通したため、偶然目にした当時のファン達を驚かせている。
このようにADK死すともワーヒー死なずとでも言うべき、根強い存在感を未だに発揮し続けている作品である。
キャラクター
[]内はモチーフとなった人物。
第1作から登場
- ハンゾウ[服部半蔵]
主人公的存在。必殺技や修行マニアの点から、スト2リュウとの共通点が多い。 - フウマ[風魔小太郎]
歌舞伎役者かと思うくらいハデな忍者(花の慶次で登場する風魔小太郎がモチーフであると思われる)。忍者としてだけでなく、現代へタイムスリップしてサラリーマン生活もする。『痛快GANGAN行進曲』でも登場する。 - ジャンヌ[ジャンヌ・ダルク]
強い男と結婚したいらしい。特にJ.カーンに想いを募らせている。 - ドラゴン[ブルース・リー]
映画スターになることを夢見て世界各地で戦っていたが、本当の自分の実力が知りたくなったために博士に呼応した。 - ラスプーチン[グリゴリー・ラスプーチン(ロシアの僧)]
身をもって愛の素晴らしさを説く、究極奥義「秘密の花園」は格闘ゲーム界を代表する怪技。ニコニコ動画でも、ガチホモ系のネタコメントがつきやすい。それ以前は某教祖に例えられていた。ラスプーチコという孫娘がいる。 - ブロッケン[ルドル・フォン・シュトロハイム(漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第二部)]
「我がドイツの科学力は世界一ィィィ!」『ワールドヒーローズパーフェクト』の究極奥義は、一見ネタ色が強そうで実はガチ。 - マッスルパワー[ハルク・ホーガン]
歩行速度が非常に遅いザンギエフとして知られている。 - J.カーン[チンギス・ハーン]
蒙虎覇極道という必殺技など、ウイグル獄長(北斗の拳)も反映してるとか。 - ギガス
第1作のラスボス。小学生レベルの漢字が書けない液体金属の生命体。ランダムで登場キャラクターの誰かに変身して戦う。
『2』から登場
- キャプテン・キッド[同名の海賊]
サメ型や船型の飛び道具を使う。 - エリック[赤毛のエイリーク]
第2作の彼のステージBGMは、フジテレビ系列報道番組『ニュースJAPAN』のオープニングに長期間使用されたことで知られている。 - マッドマン[マッドメン(諸星大二郎の漫画)のシャーマン]
実はイケメン。 - リョウコ(出雲良子)[田村亮子(現在の谷亮子)]
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!
谷亮子をモチーフとしたキャラクターは、この作品の他に『ファイターズヒストリー』の嘉納亮子がいる。嘉納亮子にも言えるが、漫画「YAMAWA」の影響も強い。 - ジョニー・マキシマム[ジョー・モンタナ?]
アメフトの選手が元とされているが公式では不明。 - シュラ(シュラ・ナイ・カノム・トム)[ナーイ・カノムトム(アユタヤ時代の戦士)]
公式に不人気扱いされた不遇のキャラクターッスー! - ネオギガス
前作と同じく、様々な登場キャラクターに変身する。 - DIO
『2』のラスボス。外見はバオー、台詞はDIO、使用技はカーズなど荒木飛呂彦作品の影響が強い生物兵器。
『2JET』から登場
- ジャック[切り裂きジャック]
パンクファッションに身を包む変態。 - リョフ[呂布奉先]
方天画戟を持って戦う。酒を飲んで火を吹いて攻撃出来る。 - ゼウス
『2JET』のラスボス。ヒーローを部下に迎えようとして間違えて「HEEL」を呼んでしまった自称・世紀末覇王。その風貌から、北斗の拳に登場するラオウやファルコに似ているとも。
『PERFECT』から登場
- 孫悟空[孫悟空(西遊記)]
ドラゴンボールの影響も多少受けているが、ベースは西遊記の孫悟空。 - NEO-DIO
『PERFECT』のラスボス。ネオギガスを吸収したDIO。『NBC』では追加された技のお陰で更に荒木成分が増した。
関連動画
キャラクター紹介
BGM
プレイ動画など
TAS
大会動画
その他
余談
海賊版で悪名高いCony Softが発売したファミコンソフト「ワールドヒーローズ2」が存在する。ロゴは同作のパクリだがWHキャラは登場せず、ストⅡや餓狼伝説、マリオやソニック、孫悟空(ドラゴンボール)など別の意味でワールドなヒーローが戦う。
関連商品
関連サイト
関連項目
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