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ワールドベースボールクラシック(World Baseball Classic、略称:WBC)とは、野球の国別世界一を決める世界選手権大会である。
概要
2006年からメジャーリーグベースボール(MLB)の世界進出(グローバル化戦略)の一環として開始された。オリンピックと同様、4年に一度(夏季オリンピックの翌年)開催される。2009年まではMLBが主催する16ヶ国参加の大会だったが、2013年の第3回大会からは国際野球連盟(IBAF)公認の世界選手権として行われるようになった。出場国も28ヶ国に増加し、予選も導入されている。
決め細やかなルールが多く、中でも投手には球数制限と、登板制限(30球未満は1日、50球以上投げたら中4日)が設けられている。そして毎回のようにルール変更が行われる。
また代表資格も非常に幅広く、「自国籍の保持」のほか「永住資格」「出生地」、さらには「親の国籍」「親の出生地」の代表になることも可能。このため、アメリカ人選手を中心に複数国の代表資格のある選手が数多い。日本でも父親はオランダ系アメリカ人、母親は日本人という事情でラーズ・ヌートバーが第5回大会で代表入りしている。キューバからの亡命選手は第4回まで規制されていたが、第5回からキューバ代表として出場できるようになった。
2015年には世界野球ソフトボール連盟(WBSC)により、新たな世界野球大会、WBSCプレミア12が開催。WBCの中間年に行われる。
ルール
- 投手については球数制限が設けられていて、50球以上投げた場合、次の登板は中4日となる。第1ラウンドは65球(第2回は70球)、準決勝・決勝は95球(第2回は100球)となる。
- 1次・2次のリーグ戦で順位が並んだ場合、自責点による得失点差、直接対決で勝ったか、コイントスなどで順位が決まる。
- 延長13回からはタイブレークとなる。
- 第4回からはロースター28人と入れ替え可能な予備投手の登録が必須となった。
- 第5回からは中継ぎ投手は最低打者3人対戦規定が実施される。
- 第5回からは同一選手による先発投手と指名打者の兼任出場が可能(大谷ルール)。
大会結果
回 | 開催年 | 優勝国 |
---|---|---|
第1回 | 2006年 | ![]() |
第2回 | 2009年 | ![]() |
第3回 | 2013年 | ![]() |
第4回 | 2017年 | ![]() |
第5回 | 2023年 | ![]() |
日本代表の結果
回 | 開催年 | 成績 | 監督 |
---|---|---|---|
第1回 | 2006年 | 優勝 | 王貞治 |
第2回 | 2009年 | 優勝 | 原辰徳 |
第3回 | 2013年 | 3位 | 山本浩二 |
第4回 | 2017年 | 3位 | 小久保裕紀 |
第5回 | 2023年 | 優勝 | 栗山英樹 |
大百科に記事のある出場選手一覧
2006年
詳細はWBC2006を参照
2009年
詳細はWBC2009を参照
2013年
詳細
出場チーム | |
---|---|
A組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
B組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
C組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
D組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
山本浩二監督の下、3連覇を目指す。当初はスポンサー収入を巡って出場辞退しようとしていたが、「侍ジャパン」が常設化されたことにより、出場が決まった。
しかし日本人メジャーリーガーは全員出場辞退となり、NPBのメンバーのみで挑むことになった。
第1ラウンドA組ではキューバに敗れ2位で通過。第2ラウンド1組ではチャイニーズタイペイ戦で9回2死で井端弘和が起死回生の同点タイムリーを放ち、延長10回で中田翔の犠牲フライで勝ち越し、4-3で勝利。オランダ戦では一発攻勢で16-4で7回コールド勝ちし決勝トーナメント進出を決めたが、敗者復活戦で勝ち上がってきたオランダと再戦。10-6で2連勝した。
準決勝・決勝
準決勝 | 決勝 | 優勝 |
---|---|---|
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||
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3期連続で決勝ラウンドに進出したが、準決勝でプエルトリコに敗れ、3連覇はならなかった。
決勝戦ではプエルトリコとドミニカ共和国が対戦し、3-0でドミニカ共和国が完封リレーで勝利。史上初の全勝でドミニカ共和国が初優勝した。
予選ラウンドが開催
2009年大会にある通り、本大会に先立つこと1年前、はじめて予選ラウンドが開催された。
前回大会で全敗だった台湾(チャイニーズタイペイ)、パナマ、カナダ、南アフリカと、新たにスペイン、フランス、イスラエル、チェコ、ドイツ、イギリス、ブラジル、コロンビア、ニカラグア、ニュージーランド、フィリピン、タイを加えトーナメント形式で予選が行われた。台湾、カナダは順当に勝ち上がったものの、南アフリカがスペインに、そして大会史上屈指の番狂わせであるパナマがブラジルに敗れ、本大会出場を逃した。
球審(プレートアンパイア)へのMLB審判以外の起用
「判定を統一する」という目的で、これまでの大会では主にMLBでジャッジしている審判(まあ第1回大会のときボブ・デービッドソン氏はマイナーの審判だった)が全ての試合で球審を担当していたが、今回はじめてMLB所属ではない審判が球審を務めた。それは、日本プロ野球NPBの審判である森健次郎である。森は台湾ラウンドの開幕戦で球審を務めた。またプエルトリコラウンドでは、オーストラリアのポール・ハイマン氏が球審を務めた。
欧州勢の躍進
この大会、なんと言っても目立ったのは欧州勢の躍進である。カリブ海に浮かぶ島キュラソー出身者と本土出身者との融合チームであるオランダは、ウラディミール・バレンティン、アンドリュー・ジョーンズと言ったNPB組と、アンドレルトン・シモンズやイグザンダー・ボガーツと言った若手有望株(トップ・プロスペクト)を擁し、欧州勢初となるベスト4入りを果たした。特にキューバとの相性は抜群で、WBC直前の練習試合やIBAFワールドカップなどを含めると5戦5勝であった。
イタリアは、オリックスのアレッサンドロ・マエストリをエースに据え、初戦のメキシコ戦でレフトエドガー・ゴンザレス(元巨人、本職は内野手である)のG.G.佐藤 落球もあって逆転勝利を収めると、その勢いをかって同国初、前回大会のオランダに次ぐ2次ラウンド進出を果たした。2次ラウンドでも、全勝優勝したドミニカや準優勝を果たしたプエルトリコに対して3点~4点のリードを奪ったものの、力負けを喫してしまった。
史上初の乱闘
1次ラウンドのカナダ対メキシコ戦では、「不文律」を犯したことによる史上初の乱闘が発生した。これは、大量リードしているカナダの選手がバントヒットを仕掛けたのが発端である。「不文律」では、「大量リードしている方がバントヒット」する行為を「傷口に塩を塗りこむ」、つまり「相手に対する侮辱行為」であるとされ、その報復に次の打者へ故意の死球が与えられた。これをきっかけとして両チーム選手が大乱闘。7名の退場者を出す結果となった。
史上初の「開催」
今大会では、これまでに開催されてこなかった場所でも試合が行われた。1次ラウンドでは福岡(福岡ドーム)と台中(インターコンチネンタル球場)、2次ラウンドで東京(1次ラウンドの開催実績はあり)、決勝でサンフランシスコのAT&Tパークである。台湾の台中では、台湾の試合に猛烈なほど観衆が押し寄せ(韓国戦では23,341人。なお収容人数は20,000人。おかしいだろ。ちなみに3試合とも「収容人数」オーバーであった)、台湾の2次ラウンド進出に大きく寄与した。一方で福岡ラウンドでは高すぎるチケットのせいで空席が相次ぎ、日本戦でも満席にならず。他国同士の試合では屋根のついた川崎球場と化してしまった。これは例えば台湾ラウンドの台湾戦が絡まない試合などでも同様であった。まあそれでも、東京ラウンドの台湾対キューバ戦とか、オランダ対キューバの敗者復活戦は筆者の想像以上に入っていた。おそらく、「日本が負ける」と踏んで買ったものの、実際には勝ち上がったので日本戦は行われなかった、しかし高額なチケットなので無駄にしたくないという心理も働いたものと思われる。
WBC2013関連項目
スコア
リーグ | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 場所 |
---|---|---|---|---|
1次ラウンド | 3月2日 | ![]() |
○5-3 | 東京ドーム |
3月3日 | ![]() |
○5-2 | ||
3月6日 | ![]() |
●3-6 | ||
2次ラウンド | 3月8日 | ![]() |
○4-3 | 東京ドーム |
3月10日 | ![]() |
○16-4 | ||
3月12日 | ![]() |
○10-6 | ||
準決勝 | 3月17日 | ![]() |
●1-3 | AT&Tパーク |
2017年
詳細
出場チーム | |
---|---|
A組 | ![]() ![]() / ![]() ![]() |
B組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
C組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
D組 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第4回大会を迎える2017WBCは、前年の2016年に第3回から引き続き予選ラウンドが4ラウンド開催。2013WBCにて予選免除となった12カ国を含め、16カ国によって争われた。
日本は2013WBC後に就任した小久保裕紀監督の下、2大会ぶりの優勝を目指した。
しかし、日本人メジャーリーガーは青木宣親以外出場辞退。本大会全体の目玉として注目された大谷翔平や、正捕手として目されていた嶋基宏もロースター発表後に出場辞退を表明した。特に大谷の辞退は、小久保監督に辞退の連絡が行き届いていないなど、多くの混乱・憶測を招く事態となった。メンバー選出では、前回大会からは野手陣の若返り化が進んだ。NPB/MLB史上初、2年連続トリプルスリーを達成した山田哲人や2016年本塁打王と打点王の二冠を獲得した筒香嘉智、2015年にシーズン最多安打記録を更新した秋山翔吾、さらには広島の25年ぶりの優勝に貢献した田中広輔、菊池涼介、鈴木誠也、巨人の正捕手に定着した小林誠司など、若い野手陣が代表に選出された。
本大会前の強化試合を初めて負け越すなど、2年前の秋に開催された2015WBSCプレミア12での失敗もあり、今大会は史上初の2次ラウンド敗退ないし1次ラウンドでの敗退もあるのではないかとの声も上がっていた。しかし、1次ラウンドは史上初の全勝、2次ラウンドも全勝を決め、6戦全勝にて決勝ラウンドに進出する。
準決勝・決勝
準決勝 | 決勝 | 優勝 |
---|---|---|
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準決勝は2大会ぶりの顔合わせとなった日本対アメリカだったが、日本打線が菊池涼介のソロホームランのみ沈黙し1-2で敗戦。日本は2大会連続でベスト4敗退となり、アメリカは初めて決勝に進出した。
オランダ対プエルトリコは延長11回に及ぶ死闘となったが、プエルトリコがタイブレークを制して決勝に進出。
決勝戦ではアメリカは8点を取ったのに対してプエルトリコは0点、これがプエルトリコ唯一の廃線となり、アメリカが初優勝を飾った。
野球新興国の躍進と強豪国の落日
今大会も、予選を勝ち上がり進出してきた初出場国が大会に大きなインパクトを残した。
イスラエルは、前回大会出場のブラジルを予選で下し出場。両親がユダヤ人などのユダヤ系マイナーリーガーで構成されたチームは、WBC全体の開幕戦となった韓国戦を2-1の接戦で制すと、国内のプロ・アマ組織の対立でボイコット者が続出したものの前回大会2次ラウンド進出のチャイニーズ・タイペイ(台湾)やベスト4のオランダ相手に3連勝。さらに2次ラウンド開幕戦のキューバ戦も勝利し、破竹の4連勝を飾るなど大会に旋風を巻き起こした。その後オランダ、日本に敗れ2次ラウンド敗退となったが、クローザー役を主に務めていたジョシュ・ザイドがオールWBCチームに選出された。
コロンビアは、パナマやスペインと言った本大会出場経験のある国を下し出場。ドミニカ共和国、アメリカ、カナダと同じ組に入れられる無理ゲーを強いられたが、あにはからんや、カナダ相手に大会初勝利を飾る。初戦のアメリカ戦と、最終戦のドミニカ共和国戦ではそれぞれ延長にもつれ込む大熱戦を繰り広げ、敗れはしたものの次回大会の予選免除を見事勝ち取った。
一方で、これまで「強豪国」と目されていた国の不振も目立った。
その最たる例が韓国。前回大会はまさかの1次ラウンド敗退となったものの、直近のプロ参加国際大会であるプレミア12では初代王者に輝き、今回は韓国初のドーム球場・高尺スカイドームを引っさげ1次ラウンドの開催権を取得。秋信守や姜正浩などメジャーリーガーは呉昇桓以外(直前でKBOに復帰した李大浩も居るが)辞退という不安要素はあったもののオランダとともに2次ラウンド進出は確実なものと思われてきた。しかし、初戦のイスラエル戦でまさかの敗戦を喫すると、続くオランダ戦にも敗れ、早々に2大会連続の1次ラウンド敗退が決定。最終戦でライバル・台湾と予選行きを賭けた一戦をするハメになり、なんとか延長で勝ちをもぎ取ったものの、ただでさえ大統領のスキャンダルで揉めに揉めている国内を活気付けることはできなかった(尤も勝とうが勝てまいが、正直WBCどころではなかったようだが)。
失点率をめぐる順位の混乱
1次ラウンドD組(メキシコ・ハリスコ)にて、「失点率」をめぐり順位の確定が二転三転する事態が発生した。
D組はプエルトリコが3勝0敗で1位通過。残り1枠(2位通過)を、イタリア・ベネズエラ・メキシコの3カ国が1勝2敗同士で争う形になった。この場合、今大会のルールではこのように順位を定める。
3チームが1勝2敗で並んだ場合は、当該3チーム間の対戦にて1イニングあたりの失点率が一番高いチームを最下位とし、残り2チームにてプレイオフを実施する。なお、イニング数には不完全なイニング(partial innings)も含める。
さて試合前、メキシコのエドガー・ゴンザレス監督は、「ベネズエラに2点差以上つければプレイオフに進出できる」と大会側から伝えられていた。試合は11-9でメキシコがベネズエラに勝利し、その情報が伝えられていたメキシコナインは大喜び。誰もが起死回生の状況からプレイオフに進出し、イタリアと最後の1枠を争う…はずだった。
国 | イニング数 | 失点数 | 失点率(失点数/イニング数) |
---|---|---|---|
イタリア | 19 | 20 | 1.05 |
メキシコ | 18 | 19 | 1.06 |
ベネズエラ | 19 | 21 | 1.11 |
ところが、その30分後、WBC公式サイトは明日の試合予定にあったイタリア対メキシコのプレイオフをTBD(未定)に変更、そしてイタリア対ベネズエラに変更 されたのであった。当然メキシコ側は困惑、激怒する。「なぜなんだ。お前らがそう言ったから俺達が進出じゃないのか」と。
実は大会側が失点率の計算をミスっていたのだ。というのも、D組のすでに行われたイタリア対メキシコ戦で、メキシコは9回裏に4点リードをひっくり返されてサヨナラ負けしているのだが、その9回裏の間アウトを一つも取れていない。これを野球の記録上に当てはめると、メキシコのイタリア戦で獲得したアウトの数は24であり、つまり3アウトで割ると8イニング。正確には8回と0/3イニングなのである。
ここで「不完全なイニング(partial innings)も含める」の問題が発生する。この「不完全なイニング」は、「イニング途中の1アウト(○回1/3)や2アウト(○回2/3)」であり、「イニング途中の0アウト(○回0/3)ではない」。なぜなら、8回終了して9回が始まる前と同じ状況も、9回がスタートしてアウトが1つも取れていない状態も、同じ8回0/3だからだ。
よって、メキシコのイニング数が1イニング減ることとなり、失点率の計算はこうなる。
国 | イニング数 | 失点数 | 失点率(失点数/イニング数) |
---|---|---|---|
イタリア | 19 | 20 | 1.05 |
メキシコ | 17 | 19 | 1.12 |
ベネズエラ | 19 | 21 | 1.11 |
もちろん、メキシコにとって到底納得できない話だ。エドガー・ゴンザレス監督は5回もWBC運営に電話をかけたがなしのつぶて。エドガーの弟で主将のエイドリアン・ゴンザレス(LAD)は「WBCには二度と出ない。クソみたいな大会からおさらばできて清々している。運営はリトルリーグ・ワールドシリーズ以下」とブチギレ。自身のtwitterアカウントからWBC公式アカウントに怒りのリプライを飛ばしまくる事態になった。
さらにこの後行われたプレイオフをベネズエラが制して2次ラウンドに進み、メキシコは予選行きの憂き目にあってしまったこともあって、好ゲームの続出した大会に水を差す出来事となってしまった。
「指名投手枠」の導入
この大会からは「指名投手枠」が導入された。MLB所属の投手はチーム側から契約上シーズン前に投球制限が掛けられている都合上、1次ラウンドから決勝まで帯同し、国を背負った戦いの中全力投球の登板を重ねる際の故障リスクを考えた場合、辞退を要望されるケースが多い。ただ、例えば「決勝ラウンドの準決勝だけなら登板OK」という条件付きの招集ならばOKという妥協案を球団側から引き出し、大会の盛り上げの一助になればという思惑もあってか、導入された。
- 各チームは本登録メンバー28名のほか、「予備登録投手」10名を登録する。
- 28名中、1名ないし2名を「指名投手枠」とし、「予備登録投手」との入れ替えを可能にする。
- 入れ替えは次のラウンドに進出したタイミングで行い、それぞれ2名まで可能。
他にも故障した場合はリスト外からも選手の入れ替えができた。日本チームの場合、小久保監督は「制度を利用する気はない」と明言。一応システム上、平野佳寿が指名投手枠になっており、大瀬良大地・澤村拓一・山崎康晃ら10名が予備登録投手として登録をされていた。
観客によるホームラン性飛球のキャッチ
本大会では2試合にて「観客によるホームラン性飛球のキャッチ」が発生した。
1試合目は1次ラウンドプールB(東京)の日本対キューバ戦。4回に日本・山田哲人がレフトスタンドにホームラン性の当たりを飛ばすが、フェンス手前でグラブを伸ばした少年に取られ、ホームランからビデオ判定を経て二塁打に訂正される。松田宣浩の生還が認められ1点は入ったが、ボールをキャッチした少年がネット上で炎上する騒ぎとなった。山田はこの件を受け、「気にしていない。またグラブを持って応援しに来てほしい」とコメントした。
2試合目は2次ラウンドプールF(サンディエゴ)のプエルトリコ対ドミニカ戦。2回、ドミニカのネルソン・クルーズがプエルトリコ先発、オーランド・ロマンからセンター最深部へ飛球を放つ。これをフェンス手前に手を伸ばした男性の二の腕に当たり、そのまま捕球。ビデオ判定に持ち込まれ、結果本塁打として認められた。さらにこの試合はこれにとどまらず、4回にプエルトリコのエディ・ロサリオが放った打球が同じくセンター最深部へ飛んでいき、ワンバウンドにて手を伸ばした観客に捕球され、エンタイトルツーベースとなった。なんとこの打球を捕球した男性は、2回にクルーズの本塁打をキャッチした男性と同一人物。単純計算にて32万4900分の1という奇跡を起こした男性は、彼の息子とゲットしたボールを1つずつ手にして、記念撮影をしたそうだ(出典)。
スコア
リーグ | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 場所 |
---|---|---|---|---|
1次ラウンド | 3月7日 | ![]() |
○11-6 | 東京ドーム |
3月8日 | ![]() |
○4-1 | ||
3月10日 | ![]() |
○7-1 | ||
2次ラウンド | 3月8日 | ![]() |
○8-6 | 東京ドーム |
3月10日 | ![]() |
○8-5 | ||
3月12日 | ![]() |
○8-3 | ||
準決勝 | 3月17日 | ![]() |
●1-2 | ドジャー・スタジアム |
2023年
詳細
出場チーム | |
---|---|
A組 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
B組 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
C組 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
D組 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
本来は2021年に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期。2023年の開催となった。この年から本選出場枠が16チームから20チームに拡大された。第4回まであった第2ラウンドは廃止され、第1ラウンド終了後から決勝トーナメントが行われる。
栗山英樹監督の下、2009年以来の優勝を目指す。日本はダルビッシュ有、大谷翔平、鈴木誠也、吉田正尚と言ったメジャーリーガーが参加表明。さらに2022年に56本塁打を記録し最年少で三冠王を受賞した村上宗隆、2年連続投手タイトル四冠の山本由伸らも代表入り。母親が日本人籍のため日本代表として参加できるラーズ・ヌートバーも代表入りし、チームメイトにたっちゃんとして親しまれる。しかし鈴木誠也は大会直前に負傷のため辞退となった。栗林良吏も代表入りしていたが、登板することはないまま腰を負傷し、指名投手枠に入っていた山﨑颯一郎がロースターに入った。
2月10日に出場する20チームの最終ロースターが発表されたが、総勢186名のメジャーリーガーが参加することになった。
日本は第1ラウンドを4戦全勝し、準々決勝に進出した。
決勝トーナメント
準々決勝 | 準決勝 | 決勝 | 優勝 |
---|---|---|---|
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アメリカ合衆国
準決勝のベネズエラ戦では7回まで5-7と劣勢だったが、8回にトレイ・ターナーが逆転満塁ホームランを放って9-7と一気に逆転。9回をライアン・プレスリーが締めて準決勝進出。
準決勝のキューバ戦ではキューバに1点を先制されたが、裏で前年ナショナルリーグMVPのポール・ゴールドシュミットが2ラン逆転ホームランを放つ。その後はトレイ・ターナーが2本塁打、セドリック・マリンズが1本塁打と一発攻勢で圧倒し、決勝進出となった。
日本
準々決勝では大谷翔平が先発し、4.2回を2失点と好投。岡本和真が1本塁打5打点と活躍し、イタリアを9-3でくだした。
準決勝ではベスト4に初めて進出したメキシコと対戦。佐々木朗希が先制3ランホームランを打たれたが、吉田正尚が同点3ランホームランを放つ。その後メキシコに3-5と勝ち越されたが、最終回で大谷が初球を打って二塁打、吉田が四球を選んで周東佑京が代走に入る。ここまで不振に陥っていた村上宗隆がセンター越えタイムリーを放ち、周東がホームインしてサヨナラ勝ち。日本が決勝戦に進出した。
決勝戦
日本対アメリカ合衆国。アメリカは2回表にトレイ・ターナーが先制ホームランを放つが、2回裏に村上宗隆が同点ホームラン、ラーズ・ヌートバーのゴロで2点をとって逆転。4回裏に岡本和真がソロホームランを放って2点差としたが、8回表にダルビッシュ有がカイル・シュワーバーにソロホームランを打たれ1点差となる。9回のマウンドには大谷翔平が上がり、15球で締めくくって第2回、14年ぶりの世界一を奪還した。
WBC2023関連項目
初出場勢
イギリスはヨーロッパ予選を3連勝で予選通過。本選ではC組に入る。3月11日のアメリカ戦で2-6、3月12日のカナダ戦で8-18で敗れたが、3月13日のコロンビア戦では7-5でWBC本選初勝利。グレアム・スプレーカーが勝利投手となった。C組で4位に入ったため、第6回大会には予選なしで出場できるようになった。出塁時に紅茶を飲む仕草をするパフォーマンス、ホームランを打ってホームインする前にチームメイトから王冠とローブが与えられるイギリス流のパフォーマンスを行った。
チェコはヨーロッパ予選で初戦はスペインに敗れたが、敗者復活戦から3連勝し予選を2位で通過。本選ではB組に入り、3月10日の中国戦でWBC本選初勝利。3月11日に日本と対戦する。佐々木朗希の162km/hの直球がウィリー・エスカラの左膝に直撃してしまうトラブルが起き、エスカラは悶絶していたが、ダッシュで出塁して観客を沸かせた。チェコは2-10で日本に敗戦したが、選手たちはダグアウトから出てきて日本の選手とスタンドの観客に祝福の拍手を行い、称賛する声が上がった。大谷翔平もオンドジェイ・サトリアと撮影し、「Respect」とSNSに投稿した。後日佐々木はチェコ代表に死球のお詫びも兼ねてロッテのお菓子を差し入れした。B組で4位に入ったため、第6回大会には予選なしで出場できることになった。
ニカラグアはパナマ予選でブラジルに敗れ、敗者復活戦から3連勝し予選を2位で通過。本選ではD組に入る。D組では4連敗し予選から出直しとなったが、デュケ・ハーバートはドミニカ戦でフアン・ソト、フリオ・ロドリゲス、ラファエル・デバースから三振を奪い、デトロイト・タイガースとマイナー契約に至った。
キューバについて
キューバの選手は亡命をしてまでアメリカ合衆国などに渡り、MLB球団と契約していた。これまで第4回大会までMLB選手がキューバ代表として出場したことはなかった。
この事態に手を打つため、キューバは2022年3月16日に亡命選手で組織されたキューバプロ野球選手協会(ACPBP)を立ち上げるが、キューバ野球連盟(FCB)はこれを批判。2022年12月7日にFCBはアメリカ合衆国連邦政府の許可が要ると通達され、12月24日にキューバ代表として出場することを許可されたことを発表された。これにより、MLBで出場経験があるヨアン・モンカダ、ヨエニス・セスペデス、ルイス・ロベルトらが代表入りした。
A組全チームが2勝2敗だったが、失点率が最も低い0.42だったため1位通過。準々決勝でオーストラリアに4-3で勝利し、2006年(第1回)以来の準決勝進出となった。
スコア
リーグ | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 場所 |
---|---|---|---|---|
第1ラウンド | 3月9日 | ![]() |
○8-1 | 東京ドーム |
3月10日 | ![]() |
○13-4 | ||
3月11日 | ![]() |
○10-2 | ||
3月12日 | ![]() |
○7-1 | ||
準々決勝 | 3月16日 | ![]() |
○9-3 | 東京ドーム |
準決勝 | 3月20日 | ![]() |
○6x-5 | ローンデポ・パーク |
決勝 | 3月21日 | ![]() |
3-2 |
表彰
MVP
年度 | ポジション | 選手名 | 国 | 所属球団 |
---|---|---|---|---|
2006年 | 投手 | 松坂大輔 | ![]() |
西武ライオンズ |
2009年 | 投手 | 松坂大輔 | ![]() |
ボストン・レッドソックス |
2013年 | 二塁手 | ロビンソン・カノ | ![]() |
ニューヨーク・ヤンキース |
2017年 | 投手 | マーカス・ストローマン | ![]() |
トロント・ブルージェイズ |
2023年 | 地球 | 大谷翔平 | ![]() |
ロサンゼルス・エンゼルス |
オールWBCチーム
個人賞
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関連項目
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