ヴァンパイアハンターとは、吸血鬼を退治する能力を持った人間のことである。吸血鬼を題材にした小説や映画などにしばしば登場するが、元は東欧の民間の吸血鬼伝承において語り継がれてきた存在である。
曖昧さ回避
- カプコンの対戦格闘ゲーム「ヴァンパイアハンター Darkstalkers' Revenge」 → ヴァンパイア(ゲーム)
- コナミのゲーム「悪魔城ドラキュラ」「キャッスルヴァニア」シリーズに登場するベルモンド一族 → 悪魔城ドラキュラ
民間伝承のヴァンパイアハンター
ダンピール(Dhampir)
ジプシーに伝わる吸血鬼ハンターで、吸血鬼と人間のハーフである。1959年までその存在が確認されていた。ダンピールよる吸血鬼の退治方法は、現代の視点でみると霊感商法そのものである。詳細は記事:ダンピールを参照。
クルースニク(Kresnik)
スロベニアに伝わるヴァンパイアハンター。ハンガリーではタルボシュ(Talbos)とも呼ばれている。こちらはダンピールとは違い普通の人間である。吸血鬼クドラク(Kudlak)との戦いを宿命付けられている。
白い羊膜包まれて生まれたらクルースニク、黒か赤の羊膜に包まれて生まれるとクドラクになるという。クルースニクは光や善を象徴する存在で、予言や病気を治癒する能力があるとされている。それに対してクドラクは闇と悪の象徴であり、凶作、疫病などを撒き散らす存在だと考えられていた。クルースニクは町や村ごとに、最低一人はいたという。
クルースニクとクドラクの戦いは、両者共に牛、豚、馬に変身して激しく戦う。このときクルースニクが変身した動物は白色、クドラクが変身した動物は黒色になるので、すぐに見分けることが出来る。(ちなみにクドラクは黒い狼の姿とも言われている。)別の伝承では、お互いに炎の輪になって戦うというものもある。
クルースニクが戦う際、必ず自分が生まれた時の羊膜を左腋に貼るか、もしくは粉末状にして飲んでおかないとクドラクに絶対勝てないと言われている。だが別に、そもそもクルースニクは神の使者であるので、悪の象徴であるクドラクはクルースニクに絶対に勝てないという伝承も存在する。
ヴェドゴニャ(Vjedogonia)
スロベニアの隣国であるセルビアに伝わるヴァンパイアハンター。睡眠中に幽体離脱を行い、木や石などで吸血鬼と戦うとされている。
クルースニクとの違いは、白い羊膜でなく赤い羊膜に包まれて生まれてくること、そして死後吸血鬼になると考えられていた。その為、死後埋葬する際は膝の腱を切る、足の爪に棘を指すなどの処置を行っていた。この処置を怠ると、強力な吸血鬼となって甦ると伝わっている。
ギリシア・サントリーニ島の住人
ギリシアのサントリーニ島に住む住人は、全員がヴァンパイアハンターだと思われていた時期があった。ギリシア本土で手におえない吸血鬼(と思われた死体)は、サントリーニ島へと移送され火葬処理が施された。
この背景に、まずギリシア正教(東方正教会)の「再埋葬」という独特の習慣が挙げられる。埋葬してから何年か経ってから墓を掘り返し、再度埋葬するのだが、このときギリシア正教では遺体が腐敗してなければ吸血鬼になったと考えられていた。吸血鬼になる者は異教徒、破門された者など。勿論迷信であるし通常は腐敗が進行する。だがギリシアは石灰質な土壌が多い土地柄なため、遺体が腐敗しにくかったのである。とくにサントリーニ島の土壌は無菌性であったために、余計に遺体が腐敗しなかったようだ。
こうしてサントリーニ島はいつしか世界で一番吸血鬼に汚染された島と言われることになる。それに伴い、住人全員が吸血鬼退治のエキスパートと思われるようになっていった。
実在したヴァンパイアハンター
記事:ダンピールを参照。
ヴァンパイアハンターを題材にした作品
クルースニクを題材にした作品
ヴェドゴニャを題材にした作品
- 吸血殲鬼ヴェドゴニア
- Vassalord.
関連動画
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