ヴェネツィア公国単語

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ヴェネツィア公国とは、「ワールドウィッチーズ」シリーズに登場する国家である。

概要

旧ヴェネツィア共和国にあたる立憲君主制国家。国旗は赤黄赤の縦三色旗、海軍旗は赤地に黄色で染め抜かれた剣持つ有翼獅子のデザイン。主要言語はロマーニャ公国と同じローマ語だが、変化が大きく別言語に近いとされる。

欧州南部、地中海に突き出た半島の北東部からバルカン半島のアドリア海沿岸一帯を国土とする。しかしその真髄は領土よりむしろ東地中海各地に保持する良港にあり、ヴェネツィア公国は地中海全域の制海権を支配する海運の中枢、航行の守護者として、重要な地位を占めているのである。

隣国ロマーニャ公国とは、歴史的に物心両面からの強い結びつきがあり、軍事面を含め多くの場面で協同している。例として、第一次大戦の際、ヴィットリオ・ヴェネトの戦いにおいてロマーニャとの連合軍を編成して怪異を撃退したことが挙げられる。

大公を元首とするものの、大公位は有力家門から選ばれる選挙君主制。こうした家門の中には、ロレダン家のように海軍提督や傭兵隊長を多く輩出してきた伝統を持つ貴族も存在する。地位としては過去の共和国時代のドージェに近いものがあるが、かつてほど厳密な選挙ではなく、名目化しているという。

地理

国土はアドリア海最奥部の港湾都市ヴェネツィア市を中心に、半島北東部、そしてバルカン半島沿岸のダルマティア地方からなる。アドリア海北東部でオストマルクがわずかに海岸に出ているため、両地域は一体の領土とはなっていない。

隣国としては半島を二分するロマーニャ公国のほか、北方ではヘルウェティア連邦、帝政カールスラントと、ダルマティア北東方ではオストマルクと長大な国境を共有し、ダルマティア南東方ではマケドニア、オストマン、ギリシャとも接している。

全般的に地中海性気候で明確な四季を持ち、ヴェネツィア市には年中湿気が多いいっぽう、ダルマティア地方は避寒地として知られる温暖な地域とされる。都市としてはヴェネツィアのほか、半島基部にブレシア、ミラノなどがある。

干潟に杭を打って築き上げられた水の都ヴェネツィアの最大の特徴は、建物の間に張り巡らされ、ゴンドラが行き交う運河の存在である。運河でのゴンドラレース、“レガタ・ストリカ”は有名。

歴史

ヴェネツィアの起源は、ローマ帝国時代に作られた自治領である。ヴェネツィアは東地中海貿易によって1000年以上にわたる繁栄を謳歌したが、やがて欧州に大航海時代が訪れると地中海の貿易は縮小。アフリカ方面での対怪異戦闘による国力消耗も相まって、史上最も長く続いた共和制、“アドリア海の女王”ヴェネツィアの共和政治は崩壊する。

これを再編成して成立したヴェネツィア公国は、緊縮財政と貿易の再編、そして基幹産業の復興によって国力の回復を図った。海洋国家としても、ブリタニアやガリアの対怪異攻略軍を輸送・補給の面で助けたことをきっかけに地中海での護衛を委託されることで両国からの支援をとりつけ、再起の道を歩んだ。

やがて1853年、黒海クリミア方面での大規模怪異発生（クリミア戦争）に対する各国の派兵が大きな需要となり、地中海の重要度が再認識されるようになった。この戦いにより、地中海-紅海連絡ルートの必要性が認識され、1869年には10年の工事の末にスエズ運河が開通。以降、東西両洋を結ぶ重要航路となった東地中海とともに、海洋国家ヴェネツィア公国は新たな繁栄の時代を迎えたのだった。

軍事力

伝統的に海軍中心の軍備を整えており、地中海における海上の雄として、小型で高速だが航続距離が短い軽快艦艇を中心に船団護衛に向いた海軍を有している。陸軍国であるロマーニャからヴェネツィア海軍を志すロマーニャ人も多いという（逆にロマーニャ陸軍を志すヴェネツィア人の例も同様である）。

海軍艦艇はリットリオ級戦艦、トレント級、ザラ級、ボルツァーノ級といった重巡洋艦、ロマーニャと設計図を共有するナヴィガトーリ級駆逐艦などからなる。このうちザラ級は、後継艦の就役に伴ってロマーニャ海軍への貸与も行われている。航空母艦の建造にも着手しているが、機動部隊としての運用はウィッチ不足で実現していない（空母機動部隊型のウィッチ隊である第508統合戦闘航空団に対しては、護衛艦艇の拠出によって貢献している）。

特筆すべき点として、ネウロイに対する隠密航行には金属を使用しない木造船が有効という実験結果を受け、国営造船所では輸送船として古いガレー船の生産ラインを急遽復活させているという。

ネウロイ大戦における活躍

地中海の海軍国家として、ヴェネツィアは主に地中海方面の船団護衛と海上戦闘に貢献してきた。航空兵力も海軍の支援がメインで、地中海を挟んだ対岸であるアフリカ方面へと注力されている。特に大戦初期には、圧倒的なネウロイの攻撃を受けたアフリカでなし崩し的にヴェネツィアとカールスラント、ブリタニア連邦、ロマーニャの四カ国連合軍が成立して善戦し、多国籍部隊の有効性を示すものとして統合戦闘航空団構想の基礎となった経緯がある。

1942年のマルタ島防衛戦の際にもマルタへの輸送船団の護衛のため艦隊を派遣しているが、中途でネウロイに阻まれ船団への合流を果たせなかった（輸送自体はかろうじて成功）。

1945年春、人型ネウロイとの対話を試みるトラヤヌス作戦がヴェネツィア北方で実施されたが、巨大なネウロイの巣の発生によって失敗し、ヴェネツィアも陥落する事態となった。同年夏の“オペレーション・マルス”では海軍が連合軍艦隊に参加して祖国奪還作戦の一翼を担い、同年のデロス島攻撃作戦にも艦隊を送ってネウロイの撃破に寄与した。

オペレーション・マルスにおける連合軍艦隊と第501統合戦闘航空団＜ストライクウィッチーズ＞の活躍の結果、ヴェネツィアは無事解放されることとなり、以後は復興が進められている。

ウィッチ

もともとウィッチは多くなく、航空ウィッチの装備は独自生産ではなくカールスラントやロマーニャからの輸入で賄い、他国との共同作戦も多い。

その一方、海軍国家らしく、世界的にもまれな海上型ウィッチを配備している。

作品への登場

アニメ『ストライクウィッチーズ2』では重要な舞台の一つではあったものの、新たなネウロイの巣の所在地であったためにヴェネツィア公国そのものの登場は遠景程度で、むしろ海軍の活躍が目立った。

『ストライクウィッチーズ劇場版』では序盤、シャーロット・E・イェーガーとフランチェスカ・ルッキーニの滞在地として復興途上のヴェネツィアの街中が描写され、リアルト橋のポーズをはじめとして市街の詳細も表現された。小説版においては、ロマーニャ公国マリア・ピア・ディ・ロマーニャ公女一行のヴェネツィア訪問も描かれている。

OVA『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』では、Vol.2においてデロス島のネウロイ破壊作戦のためにヴェネツィア海軍が活躍している。『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』では、第1話～第2話で戦艦＜ドゥージェ＞（ドージェ）と乗組員たちが空前の大活躍を遂げて注目を集めた。

主要な国家説明は『ストライクウィッチーズ』DVD特典「全記録」第六集に収録。

ウィッチ

ヴェネツィア出身のウィッチとしては、かつての怪異との戦いで活躍したとされるアンナ・フェラーラ退役空軍大尉（『ストライクウィッチーズ2』3話）が登場するのみ。

なお、アドリアーナ・ヴィスコンティは初代ミラノ公（後世のミラノはヴェネツィア国内）を輩出した貴族の出であるが、生家はロマーニャ国内のピサ近辺にあり、ロマーニャ公国軍所属のウィッチである。

非ウィッチ

ウィッチ以外の軍人では、ヴェネツィア第一戦隊旗艦である戦艦＜ヴィットリオ・ヴェネト＞の艦長レオナルド・ロレダン大佐、航海長ジョバンニ・コッラルト中佐が『ストライクウィッチーズ2』に登場。はじめ2話でネウロイの襲撃を受けたところを宮藤芳佳に救われ、“オペレーション・マルス”にも艦とともに参加している。

また第二艦隊第一戦隊所属の戦艦＜ドゥージェ＞の艦長カルロ・グリマーニ大佐、副長アルマンド・イキアーノ中佐および乗組の水兵・整備兵らが『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』序盤に登場。氷山型ネウロイを相手に芳佳とともに奮戦する姿を見せた。その他、民間人ではグリマーニ大佐の娘でローザンヌ医学校生のアルテア・グリマーニも同1話で登場している。