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ヴローヴ・アルハンゲリとは、「月姫」のリメイク作品「月姫 -A piece of blue glass moon-」に登場する死徒である。
概要
プロフィール
前置き
TYPE-MOONを代表するエポックメイキング的な作品の一つ「月姫」。そのリメイク版の発表はどれほどのファンを沸かせたことだろうか。何しろ正式なコンシューマー版であるため、それまで「メルブラ」シリーズのような外伝作品やコミックスなどの外部メディアでしか「月姫」に触れる機会がなかったファンにとっては僥倖以外の何物でもない。ここでは割愛させていただくが、このリメイク版における様々な試みからは「月姫」を末永く愛される作品にしようという意気込みさえ伝わってくることだろう。
さて。「月姫」に限らずバトルを扱った作品においては、当然ながら悪役・敵役の存在も重要となってくる。「月姫」シリーズにおいては、前半の大敵として立ちはだかったネロ・カオスや物語における悲劇の元凶の一であるロアなど、その存在感を放っていた。もう片方が存在感及び人気/ZEROだったのも今は昔。
ところが、発売まで刻一刻と迫る中にあっても敵に関する情報が皆無と言っていい状況にあった。物語における黒幕的立ち位置にあるためにその根幹に深く関わっているロアはともかく、ネロに関する情報が一切開示されないことに多くのファンはやきもきしたものと推察。というのも、「月姫」を新生するにあたり出演キャストが一新される中にあって、今やTYPE-MOON作品の重鎮と呼んでも差し支えのない中田譲治氏がネロ役として続投されるか否か。仮に一新されるとすれば、誰が新たなネロを演じるのか。また、今後の「月姫」シリーズにて氏は誰を演じるのか。気になってしまうのが人情というもの。
そうして敵に関する情報が一切ないまま、とうとう新たな「月姫」が世に送り出されることとなった。新規ファンにとっては全く新しいTYPE-MOON作品に浸ることとなり、旧来からのファンであれば懐かしいようで新しい「月姫」の世界を堪能したことだろう。
ともあれ、いよいよ接敵の時が来た。本来ならば、舞台となるホテルにて黒き獣どもによる謝肉祭を目の当たりにする。
そのはずだった。
ところが、実際に目の前で繰り広げられたのは狂える蒼紅の焔が舞い踊る舞踏会であった。と同時に、何故今まで敵の情報が開示されなかったのかを思い知らされる。その答えは単純極まりなかった。
そもそも、その惨劇の張本人は作中人物ですら知らない全く新しい死徒だからだ。
本題
死徒二十七祖第十九位。しかし、祖としては新参者であるためアルクェイドもシエルたち聖堂教会も全くその存在を認知していなかった。ある目的のために志貴たちの住む街へと現れる。
青白い肌に古風な貴族風の出で立ちというまさに古典的な吸血鬼そのものな見た目にコートを羽織った男。整った顔立ちをしているが、その目は焦点が合っておらず一目で正気を失っていることが伺える。それがどれほどのものかといえば、死徒どころかTYPE-MOON作品全般の神秘の側に属している真っ当な人物たちですら注意を払っている神秘の秘匿を全く無視した行動を平然と行うほど。
一方で、意思疎通は全くできないわけではなく、むしろその受け答えは貴族然とした見た目そのままの慇懃なもの。
妻帯者であるらしく、10人いるらしい。また、彼の領土となっている土地はもはや人間が生きていけるような場所ではなくなっているようだ。
能力
作中でも「災害」と形容されるほどの祖に相応しい凄まじい力を持つ。その光景はさながら焦熱地獄そのものであり二種類の炎を操る。一つは、世界という概念を蝕み燃え広がる(例えば、建物だけ無傷のまま中の人間だけを焼き尽くす)気化熱の如き蒼い炎。もう一つが火炎の腕で、こちらは3000度もの超高温を放っている。また、自身が従えている死者も燃え盛る炎に包まれた状態であり(アルクェイドと再会してしまった時に路地裏に出現した一群がこれ。彼女も初めて目にするタイプとか)、通常の死者よりも危険度が増している。
また、白兵戦にも長けており、鉈のような武器を得物としている。その武技の冴えはこれまで培った戦闘経験と相まって超一流と言っても過言ではない。それは今まで目も暮れなかった志貴の直死の魔眼に対しても、その危険性を直感で察した上で適切に対処する程。そして、その異常性を理解すると激昂するでもなく、ましてや恐怖に呑まれるでもなく、彼を明確な敵として認識。その在り方は、まさしく騎士と呼ぶに相応しいものである。
武器を用いる死徒はいないわけではなかったが、どちらかと言えば死徒としての異能や身体能力を振るう者や魔術を行使する者がほとんどだった。そうした中にあって、死徒としては珍しい武器の扱いに長けた熟練の使い手。それが彼である。エンハウンス?シュトラウト?知らないね!そんな『月姫2』とかいう設定だけの存在しない作品なんて!!!
とはいえ、十分に対策を練れば対処可能な相手であり、実際に弱体化したアルクェイドもそうした上でヴローヴとの対決に臨み、これを追い詰めた。
だが、如何に駆け出しとは言え、仮にも二十七祖の一角を担う死徒。この程度で終わるとは思えないが・・・・・・?
あはっ、もっとネタバレしちゃえ♪
「・・・・・・目を覚ましたのはこちらの話だ。
よくもおれから、ここまで炎(ねつ)を奪ってくれた」
そもそも、リメイク版における死徒二十七祖は単なる強力な吸血種というわけではなく、各々が『原理血戒(イデア・ブラッド)』と呼ばれる能力をその証として所有している。
ヴローヴの場合は先述の灼熱地獄とは真逆の極寒地獄、すなわち『凍結』。かつて先代十九位ゼリア・アッヘェンバウムが保有していた『原理血戒』である。そのゼリアに仕えていた一人の死徒がこれを殺害し祖の一角に返り咲いた。それがこの男、ヴローヴである。
ひとたびその呪いが発動してしまえば摂氏-100℃という極限状態の環境へと変化。猛吹雪の吹き荒れる絶対零度にも等しいこの空間での生命活動それ自体が危機的状況に陥るばかりか、その大寒波によって街一つが容易く壊滅してしまうほど。そしてヴローヴ自身がその呪いの中心点であり、不用意に近づこうものならば瞬く間に氷漬けとなってしまい粉砕されてしまうことだろう。
発動時には、その瞳から澱みの一切が消え失せており完全に正気を取り戻しているが、その冷気はヴローヴ自身ですら耐えられるものではない。彼の吸血行為は暖を取るための霊薬の摂取という意味合いもある。その有様はアルクェイドの言葉を借りれば「正気がないんじゃなくて正気から逃げていた」とのこと。
加えて、この状態のヴローヴは一歩も動くことができないものの、この極大すぎる呪いはそれすらもデメリットになりえない。氷の槍を空中から射出したり、接近してくる敵への罠としてこれを周囲に張り巡らせるなど、用意周到な迎撃態勢を敷いている。また、時として配下の死者(こちらは凍て付いた状態へと変化)を差し向けることも。
仮に接近に成功したとしても、今度は本来の得物である自身の背丈以上の長さを誇る槍が待ち受けている。かつて先代から賜った概念武装であるそれは、ヴローヴの技量と合わさって凄まじい剛槍と化す。
まとめると・・・・・・
- そもそもが接近戦も遠距離戦もこなせるオールラウンダー。
- 炎属性だと思って対策したけれども氷属性だったでござるの巻。
- 長期戦=自滅のカウントダウン or 無策な短期戦=自殺行為の無慈悲な二択。
- 本人が一騎当千の騎士かつ慢心一切なし。
・・・・・・ともはや初見殺しも同然である。大丈夫。あの三択でどれを選んだとしても、みんな仲間だよ。だから、一発で正解できた人には盛大な拍手を!そんな新たな強敵に相応しい実力者である彼だが、本来であれば祖となれるような器ではなかったらしく、おまけに本人もかつての主も永遠には特に興味を示さなかった。であるにも関わらず、彼が祖となってしまったのも、そして先述の主殺しについても、その背後にとある死徒の暗躍があったらしい。
ともあれ、この吸血鬼が迎える結末は、死を突かれたが故の人間のような穏やかな最後か。それとも仇敵に連なる者を目前にしながらの無念の怒号と共に砕かれてゆく末路か。
そのどちらに至るかは、あなた次第。
関連動画
関連項目
- 月姫 -A piece of blue glass moon-
- MELTY BLOOD:TYPE LUMINA
- 吸血鬼
- 死徒二十七祖
- 騎士
- ネロ・カオス←実質的に代打。実は天敵。
- 遠野志貴/アルクェイド・ブリュンスタッド/シエル(月姫)
↑作中で対峙する敵。特に三人目は因縁ある敵に関わる者。 - ミハイル・ロア・バルダムヨォン←怨敵
- TYPE-MOON関連の一覧
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