一人当たりGDPとは、国家全体ではなく、国民一人当たりの経済力・生活水準を表す量である。
例えば中国は国家としては世界第2位の経済規模(GDP)だが、一人当たりGDPは日本の半分も無く南アフリカ以下であり、一人一人は貧しい(順位は89位)。
一方、華僑、つまり客家などの中国系が多いシンガポールでは、GDPは日本の7%程度の規模だが、一人当たりGDPは日本人の2倍以上、世界第3位である(日本は27位で、イギリスに近い。ドイツは17位で日本より20%ほど多い)。
概要
要するにGDPを人口で割った平均。英語ではGDP per capita、グラフや表ではGDPpcなどの略号でも表わされる。国民一人一人が、平均して一年間でどれだけの市場価値を生産したか表す。なお、収入とは異なるので注意。
なお主婦業の成果など、市場で取り引きされないものの価値は反映されない。また、シャドーエコノミーという、違法な経済活動や政府が捕捉していない経済活動も反映されない。タイやロシアはこれらを入れるとGDPが倍増するという。
近年の日本の順位としては、統計を取った機関にもよるが、下記の2つの計算方法ともおおよそ20位代後半となっている。
計算方法
計算方法には為替レートベース、購買力平価ベースの2つがある。為替レートベースは国民1人当たりの経済力を表し、購買力平価ベースは物価を考慮したもので、国民の生活水準を表す。
他の国と比べるため米ドルに換算して出した「為替レートベース」は、外国人が日本人一人当たりからどれくらい儲けられるのか、あるいは日本人一人当たり外国からどれだけ買い物ができるかなどを見るときに使える。Wikipediaでは国の国内総生産順リスト_(一人当り為替レート)に記事がある。
一方、国民一人当たりの生活水準・豊かさを表わすには、「購買力平価(PPP)ベース」が使われる。持ってる金額が同じでも、物価によって買えるものは変わる。略号はGDPpc(PPP)。
Wikipediaでは国の国内総生産順リスト (一人当り購買力平価)に記事がある。
平均寿命との関係
一人当たりGDPはもちろん平均に過ぎず、所得格差を考慮していない。だが平均寿命との相関を見る限り、一定の妥当性があると思われる。
参照:一人当たりGDP(購買力平価ベース)と平均寿命との相関
補足
一人当たりGDPは物やサービスの種類や質を考慮していない。これはGDP自体にも言える。また規模が利点になるということもあるので、合計の規模であるGDPもそれなりに重要である。
例えば一人当たりGDPが10年間変わらなかったとしても、同じ額で買えるものの価値は大きく変わっている。それまでは手に入らなかったような物やサービスが、信じられないほど安く買えるようになっていることはしょっちゅうである。特に情報通信関連技術の分野でこの傾向は著しいが、流通から医療まで、技術進歩がある分野全般に言えることである。
また、国全体のGDPが大きいということは、一国にまとまった市場があるということであり、国民一人ひとりが買えるものの選択肢はそれだけ多様になる。神田神保町(古書店街。普通の書店もある。)や秋葉原(電気街、二次元街)のような街があるのはそれだけの市場があるから可能なのであり、こういう面は単純な指標では表せない。
国家としての安定性も重要である。経済や金融の規模が小さいと、世界の経済や金融事情に翻弄されやすい。一企業の動向で国家経済が左右されることもある。安全保障にかける費用においても小国は不利である。なお、もちろん小回りがきく、カバーすべき範囲が小さいなどの利点はある。
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