一口馬主とは、馬主資格を有する法人を介して複数人で競走馬に対して出資する馬主形態の一つである。
概要
ここではある程度嚙み砕いて説明するので、より厳密な概要が知りたい方はWikipedia等を参照してほしい。
要するにクラブ法人を介して複数人で競走馬に出資するという馬主形態の一つだが、似たような馬主形態の一つである組合馬主とは異なり、馬主資格を有さない一般人からも広く出資を募っている。
しかし、競走馬を保有するクラブ法人に対して直接出資してしまう形態ではJRAに「名義貸し」としてみなされてしまうため、実際に出資者が出資するのは馬主資格を有さない愛馬会法人に対してであり、愛馬会が出資金を元手に生産、購入した競走馬をクラブ法人に現物出資し、競走馬を保有するクラブ法人が競走馬の賞金を諸経費を引いた後に愛馬会に対して分配し、それを愛馬会が出資者に分配するという複雑なシステムで馬主資格のない人の参加が可能になっている。
参加者は日本全国に5万人程度いるとされ、出資者の殆どが馬主資格を有さない人物であるが、馬主資格を有している人物も出資することが可能であったり、まず一口馬主の経験から実際に馬主なったという経験を持つ人も少なくなく、将来の販路拡大などにつなげたい牧場と、日本では極めて厳しいハードルが課せられ得る競走馬のオーナー気分を味わえる顧客双方にメリットがあることから、中央競馬のレースでは「1レースには1頭は一口馬主の馬が必ず居る」と言っても過言ではないほどに普及している。
一口馬主の特典
形態上金融商品に当たるため、配当金が主な見返りだがそれ以外にも様々な特典があるクラブも多い。
一例をあげると
- 出資馬の写真、オリジナルグッズのプレゼント及び限定販売
- ホームページにおける出資馬の情報提供
- 口取りへの参加(定員あり)
- 出資馬の馬名応募権
- 会報の配布
- 馬主席への入場(定員あり)
- 優勝記念品の購入権(希望者の中から抽選)
- 優勝馬のゼッケンプレゼント(希望者の中から抽選)
- 牧場、育成施設等の施設への入場権
- クラブ主催のパーティー、海外遠征ツアー、牧場見学ツアーへの参加権
などの特典がある
一口馬主の種類
一口に一口馬主クラブと言っても(一口だけに)、いくつか系統が分かれる。この項ではクラブの種類をできるだけ解説する。
社台系(サンデーレーシング、社台レースホース、G1レーシング、シルクレーシングなど)
世界有数の競走馬生産集団である社台グループから募集馬の提供を受けているクラブ。二桁口数のクラブはまず社台系である(例外もある)。
古くはノーザンテースト、90年代のサンデーサイレンス、その息子ディープインパクトを始めとした競馬ファンならまず知っているだろう馬の産駒がずらりとラインナップされる様は壮観の一言。そして社台グループというブランドに裏打ちされた充実の育成施設、所属する厩舎も騎乗するジョッキーもリーディング上位、社台系のクラブは馬主の年間獲得賞金上位の常連でもある。とにかく最速で出資馬が勝つ喜びを知りたいのであれば社台系のクラブに入ると良いだろう。
デメリットとしては良血馬故の高額馬が多いこと。特に40口クラブは口数が少ないこともあり1口100万超はざらである。そして高額馬だからと言って必ず勝つとは限らないのが競馬の良い所であり、辛い所である。そして社台グループの種牡馬の産駒が募集馬の大半を占めるという事は、逆に言えば父のバリエーションが少なく、バラエティに欠けるという側面がある。よく言えば安定、悪く言えばつまらないと感じるだろう。また、社台系のクラブは押しなべて会員数が多く、それに伴い出資の競争率も高い。出資実績と抽選によって出資できるかが左右されるため、ネットなどでは入会1年目から希望の馬に出資するのはまず無理と言われている。自分の希望通りの馬に出資したいのであれば、入会から数年我慢する必要があるだろう。
牧場連合系(ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン、ローレルレーシングなど)
中小牧場(主に日高地方)がいくつか集まり、それぞれの生産馬を出し合って運営しているタイプのクラブ。牧場ごとに血統が違うため、多種多様な産駒が募集される。誰もが知ってる有名種牡馬から渋みのあるマイナー種牡馬までバラエティに富み、また、社台系よりも比較的希望馬に出資しやすく、一口が安価な馬も多い。また当歳馬募集をしている事もあり、生まれた直後からこれと見定めて出資した馬に夢を託すことも可能。色々な血統を見たい、手頃な値段から始めたいという場合はおすすめだ。
デメリットとしては、参加牧場の提供度合いによって馬の質が左右されること。先にクラブに良さそうな馬を提供する牧場もあれば、セリで売れ残った馬を提供する牧場もあるため、出資の見極めが難しい(まぁこれはどのクラブでも勝つ馬の見極めは難しいのだが)。
独立牧場系(大樹ファーム、ロードホースクラブなど)
非社台系の牧場が単独あるいは極少数で運営しているクラブ。良くも悪くも母体となっている牧場の生産・育成方針、成績などが反映されやすい。ファンだった競走馬の生まれがここの牧場だった、牧場が特色ある育成をしており、その牧場の馬に出資してみたい、母体の牧場から重賞勝ち馬が出ており、今後その牧場の成績が伸びそうと言う場合は入会してみると良いだろう。
折衷系(ウイン、サラブレッドクラブ・ラフィアン)
母体となる牧場があるが、その牧場からの提供と同程度の頭数を競り市で確保して提供するクラブ。実質故・岡田繁幸総帥が率いたマイネル軍団の系列である(ウインは岡田総帥の次男、義広氏が運営)。両クラブとも渋みのある血統の馬が多く募集されており(無論、有名種牡馬の産駒の募集もあるが)、流行の血統ではない一味違った馬が多く募集されている。故・岡田総帥とその息子である紘和、義広両氏の抜群のセンスを感じたいのであれば是非入会してほしい。
バイヤー系(友駿ホースクラブ、DMMドリームクラブ、YGGホースクラブなど)
母体となる牧場を持たず、専ら競り市で落札した馬を提供しているクラブ。セレクトセールの高額馬からサマーセールやセプテンバーセールのお手頃価格の馬まで幅広く募集されており、牧場連合系以上に新鮮味のあるラインナップが揃う。また、1000口以上の超大口募集のクラブが多かったり、ポイント還元や割引キャンペーンが手厚いなど、特色あるサービスを提供するクラブも比較的多いため、初めて一口馬主を始めるにあたり、金額的にとっつきやすいクラブが揃っている(もちろん、良血の高額馬をメインに募集する正統派クラブもあるが)。よくわからないのでまずは一口と言う初心者から、メインのクラブは別にあるがサブクラブとして何口か出してみたいというベテラン一口馬主まで選択肢にあがることは多いだろう。
デメリットとしては、競り市で落札した馬を提供するという形態上、ほかの牧場系クラブと比べて募集総額のコストパフォーマンスが悪くなりやすい。
一口馬主にかかる費用と収入、および税金について
一口馬主には、以下のような費用がかかる。費用の名前はサンデーレーシングのものを用いるが、だいたいどこも似たような仕組みである。
一方、収入は、大きく分けていくつかある。以下はJRAの場合である。
- 本賞金・出走奨励金 - レースで5着以内に入ると本賞金が、タイムオーバーせずに6着から9着(重賞および平地オープン特別の場合10着)に入ると出走奨励金が入る
- 距離別出走奨励賞 - 3(4)歳以上の芝1800m以上の重賞以外の2勝クラス以上、もしくは1勝クラス特別競走で10着以内に入ると入る
- 内国産馬奨励賞 - 内国産馬で平地競走で5着以内に入ると入る
- 内国産牝馬奨励賞 - 牝馬限定戦以外において内国産牝馬で3歳春季までの新馬戦・未勝利戦で5着以内に入ると入る
- 付加賞 - 特別競走で3着以内に入ると入る
- 特別出走手当 - 一部の例外的状態を除き、出走した場合すべてで入る
- 交流競走協力金等 - 地方競馬の指定交流競走に出走したJRA馬に対して、地方の安価な賞金に対する補填として入る
- 見舞金 - 競走中もしくは調教中に故障や疾病などにより死亡・安楽死処分・競走能力喪失・長期出走不能などになった場合に入る
- 抹消給付金・付加金 - 初めてJRAから登録を抹消されるときに入る
また、引退後、牝馬の多くは生産牧場へ買戻し、活躍した牡馬は種牡馬として売却されるが、それらに関しても最終配当に上乗せされる。
これらの収入は当然、ファンドの運用実績になるので課税対象になるわけだが、税務上の取り扱いは少し複雑になる。
ここでいう「元手の返還にあたるとされる部分」とは、上記の「馬への費用」から残存価額を引いたものから、それまでに出資返戻金として返還されたものを引いたものになる。残存価額は、競走馬出資金に(48-運用月数)/48を掛け算したものである(運用月数が48以上の場合は0)。通常、運用は2歳4月から行うため、6歳3月をもって残存価額が0になる。
例えば、DMMバヌーシー所属のタイムトゥヘヴン(主な勝ち鞍:2022年ダービー卿チャレンジトロフィー(GIII))の場合を見てみることにする。なお、特に故障などはないものとし、2022年11月14日時点での実績に基づくものとする。また、源泉精算金および消費税精算金があり、それらは年末にまとめて処理されるが、簡易に行うためにすべての処理を税込計算で行うものとするため、多少の誤差が生じる。また、クラブの取り分は、賞金などにかかわる部分は3%である。
競走馬に関する諸元
- 2歳1月から10月
- 2歳11月
- 2歳12月
- 3歳1月
これは厳密な計算ではないが、基本的な計算はこのような流れで進めていく。
牝馬について
多くのクラブでは、牝馬の引退期限に関して定めがある。以下の主な一口馬主クラブにあるところでは、以下の通り。
クラブ名 | 引退期限 | 延長可能性 |
---|---|---|
サンデーレーシング | 6歳3月 | なし |
社台レースホース | 6歳3月 | なし |
G1レーシング | 6歳3月 | なし |
シルクレーシング | 6歳3月 | なし |
キャロットファーム | 6歳3月 | 中央:なし、地方:あり |
サラブレッドクラブ・ラフィアン | 6歳4月 | あり |
ウイン | 6歳4月 | あり |
ロードホースクラブ | 6歳3月 | 原則なし |
DMMバヌーシー | 6歳3月 | あり |
友駿ホースクラブ | 6歳2月 | あり |
YGGホースクラブ | 6歳3月 | あり |
大樹ファーム | 6歳3月 | あり |
ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン | 6歳2月 | あり |
ノルマンディーサラブレッドレーシング | 6歳3月 | あり |
フクキタル | 5歳11月 | あり |
牝馬は多くの場合、繁殖入りすることから、引退後の価値が存在する(牡馬に関しては種牡馬になれる頭数はそれほど多くない)こと、引退後は生産牧場へ買い戻されることが多いことなどから、このように引退期限を定めているのだろう。なお、6歳3月というのは、2歳4月から減価償却を始めた時、この月末をもって残存価額が0円になる月である(競走馬の減価償却は4年)。それも無関係ではないだろう。5歳11月というフクキタルの引退時期だが、残存価額が4ヶ月分となり、予定買い上げ金額(募集総額の10%)を下回る月になることからも、その説が否定できない。
社台系は6歳3月でバッサリ引退させるため(シルクだけは地方所属に限り6歳4月以降の運用可能性がある)、遅咲きの牝馬だと活躍し始めてすぐ引退ということもよくある。だが、牝馬は次の世代へ繋ぐ大事な役割もあることから、そうそう長引かせるわけにもいかないのだ。
主な一口馬主クラブ
ここでは特に有名な一口馬主クラブを紹介する。クラブ名はクラブ法人で記載する。
サンデーレーシング
ノーザンファームの生産馬を中心としている一口馬主クラブ、恐らく今日本で一番有名な一口馬主クラブ。日本のGⅠレースには必ずと言っていいほどサンデーレーシングの馬が出てくるため、ここの勝負服を知らないという競馬ファンはまずいないだろう。
このクラブの活躍馬は本当に枚挙にいとまがない。クラシック三冠に加え有馬記念2回、宝塚記念を制し、凱旋門賞二年連続2着などの輝かしい成績を残したオルフェーヴル、牝馬三冠にジャパンカップ連覇、ドバイシーマクラシックに有馬記念まで制したジェンティルドンナ、牡馬とも互角以上の勝負を繰り広げGⅠ6勝を上げた名牝ブエナビスタ、日本初のメルボルンカップ制覇を達成したデルタブルース、クイーンエリザベス2世カップを制して超がつくほどの良血に恥じない成績を上げたルーラーシップ、数少ないエルコンドルパサー産駒の筆頭にして、長きにわたり日本のダート界の頂点に君臨したヴァーミリアン、オルフェーヴルの全兄にして朝日杯フューチュリティステークスと春秋グランプリを制したドリームジャーニー、近年ではラッキーライラック、フィエールマン、ステルヴィオ、グランアレグリア、クロノジェネシス等……
も~う書くのも難儀なくらい数多の活躍馬がいる。「GⅠ馬の一口馬主になりたい!」というのであればとりあえずここの募集馬の一口馬主になってみるといいかもしれない、しかし高額馬を40口分にしか分けないため、一口当たりのお値段がめちゃくちゃ高い、覚悟するように。
ちなみに規約により牝馬はどんな成績であろうとも6歳3月末までで引退となるので牝馬に出資したい方は注意されたし。
社台レースホース
社台ファームの生産馬を中心としている一口馬主クラブ。かつてはダイナという冠名を用いていたが今は冠名を使用していない。
近年はノーザンファームとサンデーレーシングの勢いに押され中々活躍馬を出せていないが、2010年頃までは大きな勢力を誇っていたクラブであり、活躍馬も数多い。社台グループ躍進の始まりであるダービー馬ダイナガリバー、ディープインパクトの不敗神話を打ち破ったハーツクライ、日本初の内国産馬による海外GⅠ制覇を成し遂げ、競馬ファンからも熱烈に愛されたステイゴールド等多くのGⅠホースがこのクラブの馬であった。
また、近年の社台グループの血統の基礎を築いた名種牡馬、名繁殖牝馬も多い。牝馬だとダイナカールは後に日本屈指の名牝エアグルーヴを産み、ダイナアクトレスは娘のランニングヒロインがスクリーンヒーローを産み、そのスクリーンヒーローがアジアの中距離王モーリスを産み出している。牡馬では先述のハーツクライ、ステイゴールドの他、ゴールドアリュール、ダンスインザダーク、ネオユニヴァース等が種牡馬として優れた産駒を多数送り出している。
G1レーシング
追分ファームや白老ファームの生産馬を中心とする一口馬主クラブ。2010年設立と社台系クラブ法人としては最も新しいクラブだが、ペルシアンナイト、ジュールポレール、ルヴァンスレーヴと既にGⅠホースを3頭も輩出している。他にも幻の最強馬と呼ばれたシルバーステートや重賞戦線で強さを見せたサングレーザー、タンタアレグリア等の注目馬も所有している
シルクレーシング
「シルク」「シルキー」の冠名でおなじみだった一口馬主クラブ。
代表者と早田家の関係が深かったことから1990年代までは早田牧場から競走馬の提供を受け、シルクジャスティス、シルクプリマドンナといった早田牧場産の有力馬がこのクラブの主力だった。
しかし、2002年、早田牧場が破産するとその煽りを受けて優秀な競走馬を集めにくくなり会員数が減少、長い苦難の時期を過ごすことになる。そんな中でも早田牧場倒産前に支援目的で買収した天栄ホースパークを利用した競走馬育成、ばんえい競馬への進出などで経営難を脱しようとするも、リーマンショックによる景気悪化、金融庁による未出走馬の出資者に対する補償制度の撤廃、東日本大震災による天栄ホースパークの被災などの悪条件が重なり、なかなか経営を立て直すことが出来なかったが、2011年天栄ホースパークをノーザンファームに売却した縁でノーザンファームとの関係が強くなり、ノーザンファーム生産馬を多く提供してもらえるようになると会員数が激増し、経営が好転の兆しを見せ始め、手数料減額、配当率向上等の諸改革が功を奏し現在では日本有数の一口馬主クラブに復活を果たした。
主な活躍馬は説明不要のGⅠ9勝の三冠牝馬アーモンドアイ、有馬記念馬ブラストワンピース、自身の名と同じ由来の香港ヴァーズで2勝を挙げたグローリーヴェイズ、3歳にして秋天・有馬を制し続くドバイシーマクラシックにて衝撃の世界デビューを果たしたイクイノックスなどがいる。
キャロットファーム
かつては外国産馬の募集馬が多かったことで有名な一口馬主クラブ、現在はノーザンファーム生産馬を主力募集馬としている。
かつて外国産馬を多く保有していたことからか他のクラブに比べて海外遠征に積極的なのが特徴で、シーザリオ、ハットトリック、リアルインパクト、ネオリアリズム、リスグラシュー、メールドグラースらが海外GⅠ制覇を達成している、もし会員になった場合、出資馬の海外遠征費用の別途負担が求められることもありうるので注意されたし。
活躍馬はシーザリオの仔でホープフルステークスと皐月賞を制したサートゥルナーリアやダートの新生クリソベリル、オーストラリアで初のGⅠタイトルを手にしたメールドグラース、日本調教馬初の海外ダートGⅠ勝利の偉業を成し遂げたマルシュロレーヌ、父父シンボリクリスエス以来19年振りの3歳で天皇賞秋を制したエフフォーリアなどがいる。
サラブレッドクラブ・ラフィアン
ビッグレッドファーム、コスモヴューファーム、日高地区の中小牧場などから競走馬の提供を受けている他、マイネル軍団の総帥岡田繫幸のお眼鏡にかなったセリ落札馬などが主要な募集馬である一口馬主クラブ。
GⅠ馬はマイネルラヴ、マイネルレコルト、マイネルホウオウ等、今まで7頭輩出しているがその父馬の面子がチーフベアハート、スズカフェニックス、フォーティナイナー、コマンダーインチーフ……と中々に渋い感じの馬が多いのも特徴、これも岡田総帥の相場眼の賜物なのだろうか……若干渋めの血統の馬の一口馬主になりたいというという人にはお勧めできるクラブである。
もちろん、ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ロードカナロア等の超メジャーな種牡馬の仔もいるのでご安心を。
主な活躍馬としては、2013年のNHKマイル杯を勝ち、花の12期生柴田大知に平地GⅠ初勝利をもたらしたマイネルホウオウ、2021年のオークス馬ユーバーレーベンなどがいる。
なお、かつては牝馬に付けることが多かった「マイネ」を使用することはない状況である。
ウイン
コスモヴューファーム傘下の一口馬主クラブ、その性質上、現在はコスモヴューファーム生産馬が主要な募集馬である。
かつては「ゼンノ」の冠名で有名な大迫正善が代表を務めるクラブだったが2011年にコスモヴューファームに経営権が譲渡されている。
主な活躍馬は色々とネタにされることが多い「ウインガー」ことウインクリューガー、普通に強いのに金色の暴君にボコボコにされたせいでネタ馬的扱いにされてしまったウインバリアシオン、父親に似て海外でだけ世界レベルの走りを見せるウインブライトなど。
ロードホースクラブ
主な活躍馬は世界レベルのスプリンターにして種牡馬としても大ブレイク中のロードカナロアやオークス馬にして生涯一度も掲示板を外さない安定感を見せたレディパステル等がいる
DMMバヌーシー(旧称:DMMドリームクラブ)
DMM.comが2017年に設立した一口馬主クラブ。募集馬は主にセレクトセールで調達している。
他のクラブと一線を画すのは競走馬1頭当たりの口数の多さ、2000口でも十分多いが2018年までは一頭10000口というとんでもない口数であり、愛馬会法人もDMM.com証券が行っているなど異色のクラブ。あまりの異色さに参入が発表されたときは掲示板では懐疑論が渦巻いていたが、ラヴズオンリーユーの成功でクラブとしての基盤を築いた。
口数が多いため、従来の一口馬主に比べて金銭面のハードルが低めになっていたり、他のクラブに比べてやや特典がしょぼいものの「一回一口馬主を体験してみたい」という人はこれをやってみるのがいいかもしれない。
主な活躍馬は2019年のオークス馬にして、日本馬として初めてブリーダーズカップ・フィリー&メアターフを制したラヴズオンリーユー、上の例にて名前の出ているタイムトゥヘヴンなど。
友駿ホースクラブ
冠名シチーで知られている日本最古の一口馬主クラブ。1975年に現在の一口馬主の仕組みを考え、法律面を全てクリアした結果、同じ方式の一口馬主が設立されていった。セールで買い付けた馬をメインに募集をしている。
500口(昔は400口だった)かつ高くても1口5万程度に抑えた募集を続けており、他のクラブと比較してもそれなりにリーズナブルなラインナップとなっている(今は500口クラブが増えたほか1000口超の超大口クラブも出てきたため価格面はあまり変わらなくなってきたが)。
最近は重賞レースでの勝ち負けに絡む馬は少ないが、主な活躍馬としては1986年に阪神3歳ステークス(現・阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝ち、当年の最優秀3歳牡馬の表彰を受けたゴールドシチー、2003年ジャパンカップ、2004年宝塚記念を買ったタップダンスシチー、2009年からJpn1かしわ記念、マイルチャンピオンシップ南部杯3連覇、2010年フェブラリーステークスなどダートG1を9勝したエスポワールシチーがいる。
YGGホースクラブ
リアルダービースタリオン視聴者の方にはお馴染みのクラブ。
かつては荻伏牧場レーシングクラブと呼ばれ、荻伏日高地方の大牧場だった荻伏牧場が母体となっており、募集馬も荻伏牧場の馬だった。しかし、不況と生産馬の成績低迷による経営状況の悪化などを受けて荻伏牧場が倒産すると、経営母体が変わりブルーマネジメントへ改称(その頃は勝負服も青に白袖と青色をシンボルカラーにしていた)。さらに2018年に現在のYGGホースクラブに社名が変更となった。
募集馬の傾向はセールでの買い付けだが、全体的に買い付け額と募集総額は安め。また、出資口数によって月額が代わり、1口だけだと月額が1000円以下になる。メインにしているクラブとは別にちょっと手を出してみたい人にも向いているだろう。
前述した通り、リアルダービースタリオンの企画内で生まれたモーメントキャッチが募集されており、そこからニコニコ内での知名度はそれなりに高い。
主な活躍馬としてはブルーマネジメント時代に2006年からマイルチャンピオンシップ南部杯3勝、2006年東京大賞典などダートG1・Jpn1を7勝したブルーコンコルド、面白いところでは2014年12月に未勝利戦を勝ってから負けが続きながらも走り続け、2021年7月に9歳にして障害未勝利戦で2勝目をあげ、JRA最長勝利間隔の記録を更新したブルーガーディアンがいる。
大樹ファーム
設立された当初はアメリカの良血〇外の高額募集馬中心というかなりハイソなクラブであり、馬産の中心地である日高から離れた十勝の大樹町に牧場を置いたが、特筆すべきはアメリカにも生産牧場を開き、育成牧場はアイルランドにあったことにある。
すなわち、アメリカの馬産の本場であるケンタッキーで生産し、育成はヨーロッパ仕込みのアイルランド、そして賞金の高い日本で走らせると言うシステムだ。これが当たり、90年代はまだ日本ダービーや天皇賞などのクラシックへの外国産馬の出走はできなかったものの、それ以外の重賞で多数の活躍馬を出した。90年代後半の競馬を語る際、タイキ軍団と言われた緑に白い星の勝負服をまとった鞍上を背にする〇外達は避けて通れないだろう。
しかし、アメリカ→アイルランド→日本のルートはやはり経費がかかり、段々と国内の牧場で生産した馬にシフトしていったが、それに合わせるように募集馬の成績も低下していき、最終的には経営陣が交代。現在は大樹ファームは閉鎖(跡地はホテル)され、大樹町の隣町、浦河町の牧場であるビクトリーホースランチが募集馬を提供している。2010年代に入ってからは重賞勝ちの馬はいないが、何とか持ち直して欲しいところ。
主な活躍馬としては、1998年にマイル最高峰レースの一つであるジャック・ル・マロワ賞を勝ち、今なお国内最強マイラーの一頭と評されるタイキシャトル、1996年のNHKマイル杯を驚異のレースレコードで勝ったタイキフォーチュン、1997年に苦闘の果てに旧7歳にして安田記念を勝った超良血馬タイキブリザードなどがいる。
ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン
主に日高地方の19の中小牧場が株主となり募集馬を提供しているクラブ。その性格上、産駒の血統はバラエティがあり、出資の選択肢が豊富である。また、募集馬の幼名は一般的な「母の名前+生年」ではなく、「ペガサス+通し番号」となっている。
主な活躍馬としては、1989年のエリザベス女王杯で20頭立て20番人気から優勝し、単勝配当43,060円を叩き出したサンドピアリス(実はユニオンの初年度募集馬である)、2014年のJBCレディスクラシックと2015年のチャンピオンズカップを制した砂の女傑サンビスタ、2018年の皐月賞馬エポカドーロなどがいる。また、リアダビ企画のモーメントキャッチの幼馴染にして僚馬であるハルオーブもこのクラブの所属である。
ノルマンディーサラブレッドレーシング
新ひだか町の岡田スタッドを母体とするクラブ。代表の名前と牧場名でん?と思った方もいるかもしれないが、代表の父であり岡田スタッドの代表である岡田牧雄氏の実兄がマイネル軍団総帥、故・岡田繫幸氏である。まぁラフィアンやウインとの関係は特にないのだが。
このクラブは入会金10,000円、月額会員費用1000円とクラブの中ではトップクラスに安い(入会金は平均20000円、月額会員費は平均3000円ほど)。また1万分の1口の馬を3頭1セットで出資できるスターズファンドと呼ばれる方式を考案したり、楽天と提携して楽天カードによるクレジットカード決済を可能にする(大体のクラブは口座引き落としが基本)など、初心者への仕組み、価格ともに取っつきやすさを重視している。
募集馬の傾向は岡田スタッドの生産馬と競り落とした馬数頭と言う構成だが、ゴールドシップやフリオーソなどの日高の種牡馬から、社台系の有名種牡馬まで幅広く募集されているため、選択肢も豊富。社台系と同様に牝馬は6歳3月末で強制引退させることが原則であるが、「馬体状況および競走成績によっては延長する」旨のただし書きがある。
主な活躍馬としては、JRA史上初の無敗牝馬三冠を達成したデアリングタクトなど。
フクキタル
新冠町のパカパカファームを母体とするクラブ。ちなみに愛馬会法人の名前は「ワラウカド」である。
この名前でん?と思った方もいるだろうが、代表のハリー・スウィーニィ氏は元待兼牧場のゼネラルマネージャーであり、マチカネフクキタルとマチカネワラウカドの育成に携わっていた事からこの名前になっている。
このハリー・スウィーニィ氏、獣医師として世界中の牧場で働いていたところを大樹ファームの求めで来日。ゼネラルマネージャーとして働いたのち待兼牧場でもゼネラルマネージャーに就任。その後に非常に高いハードルだった外国人による農地取得をクリアして自身のパカパカファームを開場。外国人の取得に大変厳しいJRAの審査も通り抜け馬主資格も取得。開場して数年後に生産馬ディープブリランテが日本ダービーを勝ち、現在はダーレージャパンの日本法人代表と二足の草鞋と言う朝ドラのネタになりそうな濃い人生を送られている。
馬のラインナップも彼の生産方針に沿った馬が並ぶ。牝系を重視しており、海外の重賞を勝った、もしくは好成績を残した牝馬を繁殖として輸入し生産しているので、母を重視する人にはお勧めできるかと思う。
2017年に設立されたばかりなので、重賞勝ち馬はゼノヴァース(東京ハイジャンプ)しか出ていないものの、これからに期待が持てるクラブだろう。
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