三江線とは、かつて存在したJR西日本の赤字地方交通線である。
三次駅を除き米子支社浜田鉄道部の管轄となっていた(三次駅は広島支社國鐵廣島管轄)。使用車両はキハ120形。
概要
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島根県の江津と広島県の三次を結ぶ路線で、江の川に沿って走っている。1920年の帝国議会にて鉄道敷設法(旧法)が改正され同法第7条に記載され建設予算がついた。2年後の1922年に改正鉄道敷設法が施行され旧法は廃止となったものの改正鉄道敷設法附則の「本法施行前に予算がついていたものは本法により敷設するものとみなす」を根拠に1925年に江津側で起工し、1930年代から順次営業が始まった。しかし、全線開通が1975年となっており、その間に地域交通は車利用になってしまっていた。全通前の時点(三江北線・三江南線)で赤字83線にもリストアップされていたほどである。当然のごとく国鉄末期にも廃線候補(特定地方交通線)にリストアップされたが、代替の道路が未整備という理由で廃止を免れ現在まで生き残っている。
全通前は北線(江津駅~浜原駅)が8往復+石見川本折り返し1往復、南線(口羽駅~三次駅)が7往復であった(いずれも1972年3月時点)。
全通後も区間運転が主であり、最終開業区間である浜原駅~口羽駅間は1日4往復のみの運転。1986年11月時点で通し運転は江津発が2本、三次発が4本。臨時列車の快速「三江線紅葉の旅」(1往復・江津駅~口羽駅間ノンストップ、口羽駅~三次駅間各駅停車)も運転されたことがある。
2008年の鉄道統計年報では平均通過人員は83で、全国で見ればワースト2位である(1位は岩泉線)。なんということでしょう。あまりに利用者が少ないため、災害で運休した際の代行輸送は定員10人程のジャンボタクシーで行われる。
陰陽連絡線としても活用される事もなく、廃線話が出ても地元の反発で廃線になる事もなく、専ら地域輸送に徹している。
※もっとも、三江線のメインの利用者層は通学生である。沿線の島根中央高校・川本町は三江線が不便な為スクールバス転換を希望しているものの、他の沿線自治体との関係からスクールバスへの全面転換は出来ていない(全面転換してしまうと三江線廃止に繋がってしまう、という理由で横槍が入る為。横槍を入れる人達が三江線を使っているかどうかはお察しください)。
なお、度々廃線話が出ているところに災害で不通になったりするが、1年かかってでも復旧させているのが現状である。ちなみにJR化後、災害不通が原因で廃止宣言した路線はワースト1位だった岩泉線だけである(廃止は2014年4月1日)。
2010年3月13日時点では三次方面に8本、江津方面に9本の列車が設定されているが、全線を走破するのは三次行き2本と江津行き1本及び、三次発石見 川本行と2時間近く留置した後そのまま江津行となる列車のみ。そうでなくても1本逃すと次の列車までかなりの時間待つ事になるのでご利用は計画的に。(なお、列車を増発しようにも浜田には三江線増発に回せるだけの車両はなく、また三江線は交換設備も不足している為現状ではこれ以上の増発は不可能とされている。)
一応利用客を増やすための努力もしており、2012年10月1日より3ヶ月間増便実験が行われた。なお使用車両はバス&ジャンボタクシーである。また地元の利用者向けに回数券や団体貸切料金の補助をしたり、駅をイルミネーションで飾るなど沿線の活性化に努めている。最近では沿線以外の利用者を呼びこもうと、沿線の観光ガイドを作ったり、「石見みえ」という萌えキャラを作ったり、コスプレ列車や婚活列車などの団体イベント列車の運行にも積極的に取り組んでいる(時折無許可でイベントをして問題になる事もある)。
なお、JR西日本が毎年公表している「データで見るJR西日本」によれば三江線の平均通過人員は民営化された1987年度が458(人/日)だったのに対し、2013年度が44(人/日)となっている。2014年度は50と増加してはいるがそれでもかなり低い水準である事に変わりない。また、旅客運輸収入は2013年度で20(百万円/年)。小野田線と同水準だが、営業キロ(108.1km)からして厳しい数値となっている。
果たして三江線の明日はどっちだ!
廃線へ
・・・などと書かれて数年、2015年10月にとうとうJR西日本はこの100キロ以上もの長大な赤字路線を2017年を目処に廃止する方針を打ち出した。これは地元紙でも大きく報じられたが、利用率の面からやむを得ないという声も多い。
なお、その後の報道で広島県は「廃止を含め存続の可否を検討している」とJRから伝達された事を明らかにしている。
そして2016年9月1日にJR西日本は「鉄道事業としてはいかなる形態でも行わない」と判断し廃止を表明。社内手続きを経て9月30日に鉄道事業廃止届出書を国土交通省に提出した。これにより、三江線は2018年4月1日での廃止が決定した。
なお、2017年秋頃より廃線を惜しむ鉄道ファンで混雑する傾向にあり、ジャンボタクシーやバスによる振替輸送の他、一部列車は最大3両編成まで増結する措置が執られている。また2018年3月17日ダイヤ改正より、廃止まで僅か2週間ではあるが1往復の増発が予定されている。しかし、大雪災害により1月12日から全線で不通となり、JRでは2例目となる復旧を待たずして廃線、という可能性も出ていた(唯一の事例は岩泉線)。なお2月24日までに全線での運転を再開し、心配は杞憂に終わっている。
使用車両
キハ120形気動車1両編成で運転されていた。
三江線廃線に伴い山陰本線専属運用となり、浜田駅~益田駅間からキハ40系を淘汰した(2024年には出雲市駅以西からキハ126系すらほぼ追い出した)。
| キハ120形 |
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駅一覧
| 駅名 | 管轄 | 乗換・周辺・備考 | 自治体 | ||
| 江津駅 | 米 子 支 社 浜 田 鉄 道 部 |
■JR西日本 D山陰本線 ○江津市役所 |
島 根 県 |
江 津 市 |
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| 江津本町駅 | ○山辺神社 | ||||
| 千金駅 | |||||
| 川平駅 | |||||
| 川戸駅 | ○江津市役所桜江庁舎 | ||||
| 田津駅 | |||||
| 石見川越駅 | |||||
| 鹿賀駅 | |||||
| 因原駅 | ○道の駅インフォメーションセンターかわもと | 邑 智 郡 |
川 本 町 |
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| 石見川本駅 | |||||
| 木路原駅 | |||||
| 竹駅 | 美 郷 町 |
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| 乙原駅 | |||||
| 石見簗瀬駅 | |||||
| 明塚駅 | |||||
| 粕淵駅 | |||||
| 浜原駅 | |||||
| 沢谷駅 | |||||
| 潮駅 | |||||
| 石見松原駅 | |||||
| 石見都賀駅 | |||||
| 宇都井駅 | *高架駅 | 邑 南 町 |
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| 伊賀和志駅 | 広 島 県 |
三 次 市 |
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| 口羽駅 | 島 根 県 |
邑 智 郡 |
邑 南 町 |
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| 江平駅 | |||||
| 作木口駅 | |||||
| 香淀駅 | 広 島 県 |
三 次 市 |
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| 式敷駅 | 安 芸 高 田 市 |
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| 信木駅 | |||||
| 所木駅 | |||||
| 船佐駅 | |||||
| 長谷駅 | 三 次 市 |
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| 粟屋駅 | |||||
| 尾関山駅 | |||||
| 三次駅 | 広島支社 三次鉄道部 |
■JR西日本P芸備線・Z福塩線(芸備線乗入) ○三次市役所 ○三次バスセンター ○中国自動車道三次I.C. |
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関連動画
関連項目
- JR西日本
- 山陰本線
- 木次線(三江線と同じく米子支社管轄で赤字)
- 鉄道事業者・路線一覧
- 駅名一覧(中国地方)
- 廃線
外部リンク
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