三陸鉄道とは、岩手県に存在する第3セクターの鉄道事業者である。略称は三鉄。
2013年に放送された連続テレビ小説「あまちゃん」に登場する「北三陸鉄道」のモデルになったことでも知られる。
概要
国鉄の財政悪化に伴い赤字ローカル路線の一部は廃止されることになったが、その路線を引き継いだうえで建設中の区間を完成させる形で開業した会社である。設立は1981年で、盛線(盛~吉浜間21.5km)・宮古線(宮古~田老間12.8km)・久慈線(久慈~普代26km)と建設中の吉浜~釜石間・田老~普代間を引き継いで1984年4月に開業した。なお、日本で初めての第三セクターの鉄道会社でもある。
日本初の第3セクター鉄道という話題性と、風光明媚な三陸海岸を堪能できる[1]ということもあって開業当初は黒字経営であったが、10年後には赤字に転落してしまう。2007年には岩手県をはじめとした沿線自治体が支援を表明し、上下分離方式へ移行した。
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2019年3月23日に、JR山田線の宮古~釜石間が当鉄道に移管された。これにより、日本の第三セクターでは最長の163kmとなった。
路線
盛駅~久慈駅間163.0kmを結ぶリアス線を運営している。かつては盛駅~釜石駅間の南リアス線、宮古駅~久慈駅間の北リアス線に分かれていたが、その間にあったJR東日本の山田線が東日本大震災からの復旧に当たって三陸鉄道に譲渡されたため、一体の路線として運行されるようになった。
ただし届出上の路線名は変更されていないため、正式な「リアス線」は釜石駅~宮古駅間のみであり、区間は一直線であるが路線名としては南リアス線・リアス線・北リアス線の3路線のままとなっている。
車両
現在の車両
過去の車両
東北地方太平洋沖地震の影響
三陸鉄道は2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震の被害を受け、特に沿岸部を走る北リアス線の一部は津波による壊滅的な大被害を受けてしまった。
被害の少なかった北リアス線の宮古駅~小本駅間・陸中野田駅~久慈駅間では1か月以内に運行を再開したが、残る南リアス線全線および北リアス線小本駅~陸中野田駅間では運休が長期化。公的支援によって復旧が行われ、2014年4月6日に全線で運転を再開した。
北リアス線と南リアス線
2011年11月3日、岩手県が2011年度一般会計補正予算9月補正(設計費など5億7500万円)を確定したことにより本格的な路線復旧工事が始められた。なお、復旧工事費は約110億円で、地方過疎路線への投資額としては破格の多額出費となった。
82.5kmという長大距離(1周34.5 kmの山手線の2.4周分)の復旧ではあるが、元々三陸鉄道自体がトンネルが多い路線であること、三陸鉄道自身が早期に3分の1を自力で復活させたことなどによりこの金額にとどまっている。復旧工事そのものは鉄道・運輸機構が担当し、久慈市内に鉄道建設所が開所されていた。
2012年4月1日に北リアス線の田野畑駅~陸中野田駅間が運転再開し、2013年4月3日には南リアス線の盛駅~吉浜駅間が再開。そして2014年4月5日に南リアス線が全線復旧し、翌4月6日に北リアス線も戦線で運転を再開した。これに伴い、公式ブログにて以下のように発信している。
式典には、駐日クェート国大使を始め、たくさんのご来賓の方にもご出席いただきました
他の駅でも、たくさんのお見送りやお振舞いをしていただきました
改めて三陸鉄道は、たくさんの方々に愛されてる鉄道なんだなぁと実感しました
三陸鉄道は、ご支援して下さった皆様への感謝の気持ちを忘れず、
社員一同精進してまいりますので今後とも三陸鉄道をどうぞ宜しくお願いいたします
駐日クウェート国大使館のアルオタイビ大使が式典に参加したのは、クウェートから間接的な支援を受けたためである。震災時にクウェート国が無償提供した原油が現金化され、それが被災地に分配された結果、新車購入に繋がった。こうして製造された新潟トランシス製36-700形の側面には、アラビア語・英語・日本語による感謝の言葉と、クウェートの国章が掲示されている。
また、台湾鉄路管理局(台鉄)から「東日本大震災の復興支援に協力したい」との申し出があり、2016年の6月に姉妹鉄道協定を結ぶ。これにより、岩手県内の第三セクターであるIGRいわて銀河鉄道と三陸鉄道が同時に台鉄との姉妹鉄道となる。
山田線の経営分離と新生「リアス線」
上記の通り三陸鉄道の路線は2014年に全線が再開したが、両路線を結ぶJR東日本の山田線(釜石駅~宮古駅間)は採算の問題から手つかずの状態であった。当初は気仙沼線・大船渡線同様にBRTによる復旧が予定されていたが、地元自治体が鉄道への復旧を要求して譲らず、復旧計画の再構成が行われることになった。
その結果、復旧工事はJR東日本側が行い、再開後の運営は三陸鉄道が引き受けることになった。そして2019年3月23日に三陸鉄道のリアス線として再開業し、運転を再開した。
三陸鉄道の社員たち
鉄道むすめ
久慈ありす(CV:藤村歩)
vol.2より登場している三陸鉄道所属の運転士(北リアス線担当)。
詳細は久慈ありすを参照。
釜石まな(CV:中村繪里子)
当初は出版社に勤務していたがUターンして三陸鉄道に就職、現在は盛駅駅員となっている。
名前の「まな」はハマナスから。
鉄道ダンシ
三陸鉄道独自の取り組みとして男性版の「鉄道ダンシ」を募集し、2012年4月1日付けで入社している。現在は権利を外部に譲渡しているものの、なんだかんだで10年以上続く企画となっている。詳しくはこちら。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連項目・外部リンク
- 日本国有鉄道
- 岩手県
- 鉄道むすめ(久慈ありす)
- 北リアス線・南リアス線
- 山田線
- 台鉄
- 鉄道事業者・路線一覧
- 銚子電鉄
- 広島電鉄
- JR東日本(東日本旅客鉄道)
- 鉄道in東北
- 上下分離方式
- アチハ株式会社
- IGRいわて銀河鉄道
- 東北地方太平洋沖地震
- 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
- あまちゃん(連続テレビ小説)
- クウェート国
- 三陸鉄道公式サイト
脚注
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