上遠野浩平(かどのこうへい)とは、日本の小説家、SF、ミステリ、ライトノベル作家。
苗字の読みは「かどの」であって「かみとおの」や「うえとおの」ではない。愛称は「かどちん」。
概要
1998年、第4回電撃ゲーム小説(現・電撃小説大賞)大賞を『ブギーポップは笑わない』で受賞しデビュー。
当時はまだ後発の弱小レーベルだった電撃文庫で圧倒的な発行部数を記録し、電撃文庫をライトノベルのトップレーベルへと押し上げる最初の起爆剤となった。同時にライトノベルそのものの確立、セカイ系の発展にも大きな役割を果たしたとする書評も多い。
人物
デビュー前は会社員やりながらモデラーも趣味にしてたり。漫画家である荒木飛呂彦の作品(特に『ジョジョの奇妙な冒険』)のファンで、洋楽鑑賞の趣味なども影響を受けている。
余談だが西尾維新が荒木飛呂彦との対談の際、小説家での世界一の荒木飛呂彦ファンとして上遠野の名前を挙げていた。2011年には『ジョジョ』のノベライズを西尾と共に手がけている。
ファンタジー・SFが主流だったライトノベル界隈に、「ジュヴナイル」として既に主流から外れた扱いであった「学園伝奇」というジャンルを再び新しい形で持ち込んだことで、その後のライトノベルの流れを変えるきっかけともなる。「セカイ系」の確立を担った作家と分析している文献なども散見される。
西尾維新、奈須きのこ、佐藤友哉、入間人間など[1]が上遠野浩平の影響を受けていることを公言しているなど、後進の作家に与えた影響も大きい。西尾曰く「ラスト・ゴッド」。上遠野が持ち込んだ「日常の中の非日常」を描く作風は2011年現在まで、非常に多く見られるようになっている(一時期の電撃大賞の応募作はこのジャンルだらけだったらしい)。
2000年、講談社ノベルスから『殺竜事件』を刊行。ライトノベルレーベルの新人賞からデビューして他社の一般レーベルへ進出した初の作家となった。以降電撃文庫でもシリーズを描き続けながら、講談社を始めとした様々なレーベル[2]にまたがって伝奇、ミステリ、SFなど多数の作品を発表し続けている。
世界観
上遠野作品は全ての作品がリンクし合っており(ノベライズ作品である『マーズの方程式』『恥知らずのパープルヘイズ』を除く)そのため上遠野作品全般をまとめて「上遠野サーガ」とも呼ぶ。
内容は複雑すぎるほどに絡み合っており、全てを把握している読者は居ないとも言われている。その為コアなファン達は新刊が発表される度に、2chの専用スレなどでリンク点を探すのが常態化してきた。ある作品の主要キャラが他の作品で脇役として登場したり、ある作品の根幹を担う重要な設定が全く別の作品で明かされたりといったことが常である。
が、そのリンク構成とは真逆に、シリーズ化している一部を除いた全作品が単作で完結している。と同時に、全ての作品が出版社を問わず世界観リンクしているのも特徴。
電撃文庫作品のイラストはデビュー作から一貫して緒方剛志が担当しているが、だいたいいつも炎上している。
他の作品でイラストを担当したのは金子一馬、中澤一登、椋本夏夜、斉藤岬といった面々で、こちらは短いシリーズもあるものの見事に描き分けられている。
関連動画
関連商品
関連静画
関連項目
脚注
- *他には時雨沢恵一が自身の電撃文庫への投稿のきっかけとしてブギーポップの影響を挙げている他、高橋弥七郎、ハセガワケイスケ、おかゆまさき、成田良悟も影響力を語っている
- *電撃文庫と講談社の他は、徳間文庫、富士見書房、祥伝社、集英社など
- 12
- 0pt